リゲルと双璧をなす一等星、デネブ

 先日はとてつもなく強大な1等星(正確には0等星)であるリゲルについて書きましたが本日はそのリゲルと双璧をなすほど明るい恒星であるデネブについて書いていきます。

1. 群を抜いて遠い夏の大三角形の恒星デネブ

 デネブは夏の代表的な恒星の一つであり、ベガとアルタイルと共に夏の大三角形を形成しています。そして、デネブははくちょう座に属している恒星であり、はくちょう座の中で最も明るい恒星であります。

 しかし、デネブは夏の大三角形の中では最も暗い恒星であり、その明るさは1.25等と1等星以上の恒星の中ではレグルス, ベクルックスに次いで暗く、全天で19番目に明るい恒星となっています。そのため、デネブは夏の大三角形の恒星の中ではそこまで存在感は無く、ベガやアルタイルの陰に隠れがちとなっています。

 けれども、デネブが暗い理由は地球からの距離が非常に遠いからであり、実は全ての1等星の中では群を抜いて遠い恒星であります。デネブは地球からの距離が1,412光年も離れており、この距離は2番目に遠いリゲルよりも550光年も遠く、1.64倍も離れています

 その一方でアルタイルとベガは地球からの距離が非常に近く、アルタイルは16.7光年、ベガは25光年しか離れていません。つまり、デネブはアルタイルの84.6倍、ベガの56.5倍も離れており実際の明るさはこれら2つの恒星とは比にならないほど明るくなっています

 では、デネブはアルタイルやベガと比較するとどれほど明るいのでしょうか?

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デネブはベガやアルタイルと比較すると比にならないほど明るい

 デネブは前述したようにベガやアルタイルと比較すると極端に距離が遠いため、実際の明るさはこれら2恒星とは比にならないほど明るく、その明るさは太陽の5万倍以上もあります

 当然この明るさは銀河系全体で見てもトップクラスの明るさとなっており、肉眼で見える恒星全体の中でも上位20番以内に入っているほどです。そのため、デネブは極端に明るいことで有名なリゲルと双璧をなす恒星とも言えます。

 では、デネブとリゲルはどちらの方がすごいのでしょうか?

 

2. リゲルとデネブはどちらが強大か?

 デネブは1等星以上の21恒星の中で最も遠い恒星であり、21恒星の中で唯一1,000光年以上も離れています。それと同時に唯一1京キロメートル以上離れている恒星でもあり、地球からは1.336京キロメートル離れています。

 そのため、デネブは太陽の5万倍以上という明るさを有しているが21恒星の中ではそこまで明るい方ではありません。しかし、それでも1等星として見えていることを考えると太陽の5万倍という明るさがどれほど凄まじいかが分かります

 また、前述したようにオリオン座のリゲルはデネブと匹敵する恒星として知られており、こちらは863光年とデネブと比較すると近場にあるため、21恒星の中ではかなり明るい恒星となっています

 では、ここからはリゲルとデネブのスペックを比較していきたいと思います。

 初めにスペクトル型から書いていきます。スペクトル型とは恒星の表面温度と状態を示す指標であり、表面温度は高い順からO, B, A, F, G, K, Mの順となっております。そして、リゲルとデネブのスペクトル型はそれぞれB8Ⅰa, A2Ⅰaであり、このスペクトル型からリゲルの方が表面温度が高いことが分かります。

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アルファベットが同じ場合は数字が若いほど高温である

 上図は有名な恒星のスペクトル型を示したものであり、夏の大三角形の恒星はいずれもA型星であることが分かります。そして、アルファベットが同じ場合は数字が若いほど高温であるため、夏の大三角形の恒星の表面温度はベガ>デネブ>アルタイルの順となっています。そして、シリウスとベガは上表からも分かるようにリゲルよりかは低温ではありますがデネブよりも高温であることが分かります。

 また、アルファベットと数字の次に来るⅠaとは恒星の状態を表したものであり、このⅠaとは極めて明るい超巨星であることを示しております。

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スペクトル型と恒星の状態

 恒星のスペクトル型と状態の関係は上表のようになっており、質量が同じなら左に行くほど明るくなります。しかし、左に行けば行くほど必ず明るくなると言うわけでは無く、例えばスピカとさそり座λ星はさそり座λ星の方が明るい恒星であるにも関わらず右に位置していますがこれはさそり座λ星の方が重い恒星であるためです。

 けれどもⅠaとⅠbではⅠaの方が明るい恒星と言え、現にリゲルやデネブはカノープスよりも明るい恒星であります。

 このようにリゲルとデネブとではリゲルの方が表面温度が高くなっていますが直径に関してはデネブの方が1.5倍近くもあり、リゲルの直径は太陽の78倍、デネブは114倍ほどと推測されています

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リゲルやデネブは非常に大きく、地球軌道と比較してもかなり大きいことが分かる

 リゲルやデネブは1億キロメートル以上もあるため非常に巨大であり、その大きさは太陽とは比にならないほどであります。更に表面温度も太陽と比較するとかなり高いため、単位あたりの放射エネルギー量も大きく、巨大な直径との相乗効果で極端な明るさとなっています。

 このようにリゲルとデネブは巨体さに加えて表面温度も高めであるため、太陽の5万倍以上という凄まじい明るさとなっており、1,500光年先からでも1等星として見える明るさを有していますがどちらの方が明るいのでしょうか?

 その答えは僅差でリゲルの方が明るく絶対等級はリゲルがマイナス6.98等で太陽の53,000倍デネブがマイナス6.93等で50,600倍となっています。そのため、21恒星の中ではリゲルが最も明るい恒星で次いでデネブが明るい恒星となっています。

 そして、ここで僅差と書きましたがこれはあくまでリゲルとデネブのような極端な明るさを有している恒星間での話であるため実はこの僅差も非常に大きく、両恒星は北極星程度の明るさの差を有しています

 つまり、デネブ+北極星=リゲルの明るさというわけであり、デネブやリゲルからしてみると僅差でしか過ぎない差も太陽からしてみると非常に大きな差と言えます。

 以上のことより、リゲルとデネブではリゲルの方が若干明るく、最強の21恒星はリゲルということになります。