オリオン座で最も明るいリゲルは銀河系全体から見てもトップ級の恒星である

 本日はオリオン座で最も明るい恒星であるリゲルについて書いていきます。

1. リゲルとは

 リゲルはオリオン座の恒星の一つであり、明るい恒星の多いオリオン座の中でも最も明るい恒星であります。そして、リゲルはよく1等星として紹介されることが多いが正確には1等星ではありません。リゲルの地球から見た明るさは0.13等星、つまり1等星よりも明るい0等星に属しています。

 0等星はマイナス0.5~0.5等星までの明るさの恒星であり、リゲル意外にはリギル・ケンタウルス, アルクトゥルス, ベガ, カペラ, プロキオン, ベテルギウス, アケルナルが0等星に該当しています。

 そして、リゲルは全天で7番目に明るい恒星であり、この明るさは明るいことで有名なベガよりもわずか9パーセントほどしか暗くはありません。そのため、リゲルの近くには全天で最も明るい恒星であるシリウスが位置しているため、そこまで明るい恒星としての印象はあまり大きくはありませんが実際はベガに匹敵するほどの明るさを有しており、冬の代表的な恒星となっています。

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リゲルの周辺の恒星は明るいものが多い

 リゲルの周辺には明るい恒星が数多くあり、すぐ近くには冬の大三角形があります。冬の大三角形おおいぬ座シリウスこいぬ座プロキオン、及びオリオン座のベテルギウスの3恒星から形成されており、この中にはリゲルは含まれていません。

 そして、この中でプロキオンベテルギウスはリゲルよりも暗いがシリウスは地球から見た明るさが最も明るく、リゲルの4.37倍の明るさで見えるため、シリウスと比較すると前述したようにそこまで明るくは見えません(これはシリウスが明るすぎるだけであり、決してリゲルが暗い恒星というわけではない)。

 このようにリゲルはシリウスと比較すると暗い恒星であるがシリウスを除くと冬の恒星の中でもトップレベルで明るい恒星であります。しかし、リゲルはシリウスとは大きく異なる点があり、それは次章でも紹介するように地球からの距離であります。

 

2. 太陽の5万倍以上も明るい恒星

 リゲルは全恒星の中でも非常に明るい恒星であり、その明るさは前述したようにベガと大差がありません。そのため、リゲルはシリウスやベガと同じように地球からの距離が非常に近い恒星のようにも思われます。

 しかし、実際は地球からの距離が非常に遠い恒星であり、驚くべきことに21恒星(1等星以上の恒星)の中では2番目に遠い恒星であります。つまり、21恒星の中でリゲルよりも遠い恒星はただ一つだけであり、それ以外の恒星は全てリゲルよりも近いです。

 では、リゲルがどれだけ地球から離れているかというと863光年も離れており、この距離はシリウスの100倍以上も離れています。そのため、リゲルは距離が非常に遠いにもかかわらず全天でトップレベルに明るい恒星に君臨しており、その理由はリゲルの明るさがとてつもなく明るいからであります。

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リゲルまでの距離は非常に遠い

 ここで話を北極星に持って行きたいと思います。北極星は明るいことで有名な恒星であり、地球からの距離が433光年とかなり遠くに位置しています。しかし、北極星はこれほど離れているにもかかわらずほぼ2等級の明るさを有しており、非常に明るい恒星であることがうかがえます。

 実際に北極星の明るさは非常に明るく、その明るさはシリウスの100倍強、太陽の2,400倍ほどもあり、絶対等級(恒星の実際の明るさ、5等増えると100倍の明るさになる)はマイナス3.64等(太陽は4.83等)もあります。

 しかし、これほど明るい北極星もリゲルと比較すると比較にならないほど暗く、リゲルの5パーセントの明るさも有していません。

 では、極端に明るい北極星をも軽々と驚愕するリゲルはどれほどの明るさを有しているのでしょうか?

 リゲルの平均絶対等級はマイナス6.98等と北極星よりも3.34等も明るく、この明るさは北極星の21.7倍も明るく、太陽と比較すると53,000倍の明るさを有します。そのため、仮にリゲルをシリウスの位置に持って行くとマイナス10等級に迫る明るさとなり、北極星の位置にあった場合でも地球から見たシリウスに匹敵する明るさとなります。

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リゲルは北極星の位置にあった場合でも地球から見たシリウスに匹敵する明るさとなる

 上表はシリウス, 北極星, 及びリゲルの位置を他の天体に持って行ったときの明るさを示したものであります。例えばリゲルをシリウスの位置に持って行った場合はマイナス9.88等となり、北極星の位置に持って行った場合はマイナス1.37等になることを示しています。

 そして、非常に明るい北極星でさえリゲルの位置に持って行くと3.47等と暗い3等星程度にしか見えず、リゲルがいかに遠いところにあるかが分かります。

 このようにリゲルは明るさが他の恒星とは桁違いなため、北極星でさえ暗くなるほどの位置にあるにも関わらず全天でトップ級の恒星として見え、計算上リゲルは16,220光年先まで見える結果となります。

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リゲルは16,000光年先からでも見える

 つまり、リゲルは10,000光年先からでもまだ見ることができ、地球から見ることのできる恒星で最も遠いものは14,000光年離れているため、リゲルは地球から見ることのできる前恒星から見ることが可能な恒星となっています。

 実際にリゲルはただ一つを除く全ての1等星以上の恒星から1等星以上の明るさで見ることができ、非常に多くの恒星から明るい恒星として認識することができます。

 しかし、実は1等星以上の恒星でリゲルに匹敵する恒星が存在しており、その恒星とははくちょう座のデネブであります。デネブはリゲルに負けず劣らず凄まじい恒星であり、こちらも太陽の5万倍以上の明るさを有しています。

 そして、デネブとリゲルはお互いの距離が非常に離れており、両恒星間の距離は2,009光年も離れています。そのため、デネブから見たリゲルはさすがに1等星には見えず、1.97等星と地球から見た北極星程度の明るさとなります(2,000光年以上離れていても北極星並みの明るさに見えることを考えるとリゲルのすさまじさが余計に分かる)。

 そのため、リゲルはデネブただひとつからは1等星としては見えず、先ほど書いた「ただ一つを除く」とはデネブのことを指します。

 このようにリゲルの明るさは規格外であり、北極星とも比にならないほどでありますが21恒星の中では群を抜いてはおらず、その理由はデネブという強力なライバルがいるからであります。