北京の気候は3つの気候のほぼ境界線に位置している

 本日は中国の首都、北京の気候について書いていきます。

1. 気候区分

 一般的な気候区分であるケッペンの気候区分は大まかに分けると熱帯, 乾燥帯, 温帯, 冷帯, 寒帯の5つに分けられています。そして、これらの気候はアルファベットが振り分けられており、熱帯(A), 乾燥帯(B), 温帯(C), 冷帯(D), 寒帯(E)となっています。

 更にこれらの気候は細分化されており、例えば熱帯の場合は熱帯雨林気候(Af), サバナ気候(Aw), 熱帯モンスーン気候(Am)のようになっています。

 そのため、気候区分は細かく分けると非常に多くなっており、熱帯は3種類、乾燥帯は4種類、温帯は9種類、冷帯は12種類、寒帯は2種類の計30種あります。

 このように気候区分は非常に多くの種類がありますが本日はこの中の乾燥帯と温帯、及び冷帯について書いていきます。

 

2. BCD気候

2.1 乾燥帯(B)

 乾燥帯とは夏の平均気温だけで見ると樹木が生育できるものの降水量が少ないため樹木が生育できない気候のことであります。そのため、地球上に存在する乾燥帯は降水量が少ないという共通点はあるものの気温に関してはまちまちであり、サハラ砂漠のように灼熱の所もあればゴビ砂漠のような極寒の所もあります。

 また、乾燥帯と言っても降水量が比較的多いところでは樹木が生育することは不可能ですが草程度なら生育することが可能となっているところもあります。そのような気候のことをステップ気候と言い、記号で書くとBSとなります。

 その一方で降水量が非常に少ないところでは草原さえ生育することのできない気候となり、そのような気候のことを砂漠気候と呼び、記号はBWとなります。

 そして、乾燥帯か否かを決める上で重要となってくるのが乾燥限界であり、この乾燥限界を下回った場合、乾燥帯になります乾燥限界の式は季節の降水量の偏りによって決まり、夏期に降水が少ない場合は数値が小さくなり、反対に冬季に降水が少ない場合は数値が大きくなります。また、乾燥限界の式は以下の通りであります。

夏期少雨型(s型): 年平均気温×20

年中湿潤型(f型): (年平均気温+7)×20

冬季少雨型(w型): (年平均気温+14)×20

 上式が乾燥限界を決める式であり、この乾燥限界の0.5~1.0倍までの場合はステップ気候0.5倍未満の場合は砂漠気候に分類されます。

2.2 温帯(C)

 温帯気候とは樹木が生育できるほど夏の気温が高く冬の気温も寒すぎもなく暑すぎもなく、更に降水量も十分多い気候のことであります。そして、日本の大半もこの気候に属しており、一見すると温帯は多そうに見えますが実は5大気候の中では最も面積の狭い気候であり、地球上で見てみると温帯気候は珍しいと言えます。

 また、温帯気候の条件は以下の通りであります。

  • 最暖月平均気温が10 ℃以上
  • 最寒月平均気温がマイナス3~18 ℃
  • 降水量が乾燥限界以上

 この条件をクリアすると温帯気候となり、更に最暖月の平均気温や降水の季節による偏りで細分化されます

 例えば最暖月平均気温が22 ℃以上の場合は夏期高温型(a)となり、10~22 ℃の場合は夏期温暖型(b,c)となります

 また、夏に降水が少ない場合は地中海性型(Cs)偏りが小さい場合は温暖湿潤型(Cf)冬に少ない場合は温暖冬季少雨型(Cw)となり、乾燥限界もこの型によって式が異なります。勿論乾燥限界を下回った場合は乾燥帯となるため、温帯の場合は乾燥限界を上回っている必要があります

2.3 冷帯(D)

 冷帯は樹木の生育が可能な気候の中で最も寒い気候であり、温帯と比べると冬の気温がかなり低いという特徴があります。そのため、冷帯の条件は以下のようになっています。

  • 最暖月平均気温が10 ℃以上
  • 最寒月平均気温がマイナス3 ℃未満
  • 降水量が乾燥限界以上

 冷帯と温帯の違いは単純に冬の気温が暖かいか寒いかの違いであり、最寒月平均気温がマイナス3 ℃未満の場合は冷帯、マイナス3 ℃以上の場合は温帯となります。

 そのため、気候の細分化も温帯とほぼ同じであり、こちらも最暖月平均気温の違いによって夏期高温型(a)と夏期冷涼型(b,c,d)の違いとなります。

 当然降水量の方も同じであり、夏に降水が少ない場合は高地地中海性型(Ds)、偏りが小さい場合は冷帯湿潤型(Df)、冬に少ない場合は冷帯冬季少雨型(Dw)となります。

 しかし、ただ一つ違いがあり、それはdの存在であります。dとは最暖月平均気温がマイナス38 ℃を下回っているという極めて寒い気候のことであり、定義上矛盾するため、温帯にはありません。このdに属している場所はヤクーツクやオイミャコンの様に極めて寒い所に限られており、アジアにしかありません(Dfd, Dwdのように書かれる)。

 

3. 北京は非常に絶妙な気候となっている

 ここからは世界的に見ても珍しい3つの気候の境界となっている都市、北京の気候について書いていきます。

 北京は中国の首都であり、北緯39度55分、東経116度23分に位置しています。この緯度はほぼ北緯40度線上に位置しており、日本で言うと秋田県あたりになりますが北京は秋田県よりもやや寒い気候となっています。また、東経からも分かるように北京は意外に西側に位置しており、日本で北京よりも西に位置しているところはありません。

 そして、北京から西に目を向けてみるとゴビ砂漠が迫っていることからも分かるように北京の降水量は比較的少なく、日本の地域で北京よりも降水量の少ないところはありません

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北京は地図上から見ても分かるようにゴビ砂漠が近い

 このことより、北京は冬の気温で言うと温帯と冷帯の境界線上年間の降水量に関して言うとほぼ乾燥限界と同じ量であるため温帯, 冷帯, 乾燥帯の3つの気候の境界線上にあり、非常に絶妙なものとなっています。

 では、北京はどのような気候をしているかをここから詳しく書いていきます。北京の年間の気温と降水量は以下のようになっています。

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北京は季節による寒暖差と降水量の差が激しい気候である

 北京は季節による寒暖差がかなり激しい気候であり、冬場の日平均気温は氷点下でありますが夏場になると東京とほぼ変わらない気温となります。加えて一日の気温差である日較差も大きく、真冬は相当冷え込みますが最高気温は意外に高く、平均最高気温が氷点下である月は存在しません

 また、降水量は日本と比べるとかなり少なく、年間の合計量でも532 mmしかありません。更に降水量に関しても季節による差がかなり大きく最も降水量の多い7月の降水量と最も少ない12月の降水量の比は80倍も異なっており冬場の降水量が非常に少ないことが分かります。

 そして、ここからは北京の気候について書いていきます。気候を決める上で重要なデータは以下のデータであります。

年平均気温: 12.9 ℃

年間降水量: 532 mm

最暖月平均気温: 26.7 ℃

最寒月平均気温: -3.1 ℃

最大降水月降水量: 160.1 mm (7月)

最小降水月降水量: 2.0 mm (12月)

 

 初めに乾燥限界を決めていきます。北京の最大降水月は7月の夏にあり、7月の降水量は最小降水月の12月(冬)の80倍もあるため、北京は冬季少雨型(w型)に属しています

 w型の乾燥限界の式は年平均気温に14を足した値に20をかけて算出されるので北京の乾燥限界は(12.9+14)×20 = 538となり、年降水量を若干上回ります(つまり、乾燥限界にギリギリ届いていない)。

 そのため、北京はギリギリ乾燥帯に属するようになり、更に年平均気温が18 ℃を下回っているため、低温ステップ気候(BSk)に属しています。

 このように北京は乾燥帯に属していますが非常にギリギリであり、仮に降水量が6 mm上回っていると乾燥限界を超えるため、乾燥帯では無くなります

 そこでもし、北京が乾燥帯で無くなると今度は温帯か冷帯かの判定がなされるがこちらも非常に絶妙なものとなっています。温帯と冷帯の境目は最寒月平均気温がマイナス3 ℃以上か否かであります北京の最寒月平均気温はマイナス3.1 ℃であるのでギリギリ冷帯(冷帯冬季少雨気候, Dw)に属することとなります

 また、最暖月平均気温は26.7 ℃であり、22 ℃を余裕で超えているため、夏期高温型(a)に属しています。

 以上のことより、北京の気候は乾燥帯であるBSk、温帯であるCwa、及び冷帯であるDwaのほぼ境界上にあり、現在の状況だとBSkに属していますが少しでもずれるとすぐCwaやDwaになるほどきわどいものとなっています。

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北京の気候はBSkだが少しでもずれるとCwaやDwaとなる