世界一降水量の少ない首都は霧がかかっており冷涼である

 本日は世界一雨の降らない首都について書いていきます。

1. 降水量が少なくなる要因

 日本列島はどの地域でも降水量が多く、国内で降水量が最も少ないと言われている長野県や北海道でも世界平均と比べると同等か少し多い降水があります

 そのため、日本は砂漠とは無縁の国であり、日本国内には乾燥帯は一切ありません。しかし、世界に目を向けると乾燥地域はどの大陸にも存在しており乾燥地域は世界の陸地面積の3分の1もあります

 例えばアラビア半島から北アフリカにかけての広大な地域は世界最大の乾燥地帯となっております。加えてユーラシア大陸では中央アジアからモンゴルにかけても乾燥しており、アフリカ大陸では南西部も乾燥しています。

 更に北米、南米両大陸も乾燥地帯は広がっており、北米はロッキー山脈から西経100度線あたりまで、南米大陸は北西部と南部に乾燥地帯が広がっています。

 そして、言うまでもありませんがオーストラリア大陸は世界で最も砂漠の割合が大きな大陸となっており、地球上の陸地は非常に乾燥地域が多いことがうかがえます。

 このことより、日本の様に乾燥地域が全くない地域の方がむしろ珍しく乾燥地域の存在していない地域は日本以外にはヨーロッパ、東南アジア等があります

 では、ここからは乾燥する要因について結論だけ書いていきます。乾燥する要因は大きく分けて4つ存在しており、中にはこれらの要因が複合している地域もあります。乾燥する4つの要因は以下の通りになっています。

  • 亜熱帯高圧帯に覆われている
  • 山脈が妨害し、雨が届かない
  • 寒流が沿岸を流れ、上昇気流が起こらず降水が発生しない
  • 海から非常に遠く、水蒸気が届かない

 また、ここでは詳しく書きませんが今回紹介する降水量の最も少ない首都に当てはまるものはこの中のどれかに当然該当しています。

 

2. 降水量が極めて少ない首都

 降水量の少ない首都は比較的多くあり、アラビア半島の首都は全て砂漠気候に属しています。例えばアラビア半島最大の国であるサウジアラビアの首都リヤドの降水量は年間100 mmと日本の1ヶ月分に満たないほど少なく極端に少ないと言えますが実はこれ以上に降水量の少ない首都は存在しています。それはエジプトの首都カイロペルーの首都リマであり、これらの首都の降水量は年間25 mmをも切っています。

 降水量25 mmは日本の降水量で例えると1週間分にも満たず一度の降水でこの降水量を超えることもしばしばあります

 そのため、カイロとリマの降水量は世界的に見ても微少と言え、ここからはこれらの首都の降水量について書いていきます。

2.1 カイロの降水量

 カイロはエジプトの北東部に位置しており、アラビア半島の近くに位置しています。

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カイロはエジプトの東北部、アフリカの北東端近くに位置している

 そして、カイロは地中海とも近く、地理的に見るとヨーロッパやアジアと比較的近くに位置しています。また、意外かもしれませんがカイロの最も暖かい月である7月の日平均気温は30 ℃を下回っており、思った以上にカイロは暑いところではありません。

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カイロは降水量こそ極めて少ないが思った以上に暑くは無い

 カイロの降水量は年間の合計値でも24.7 mmしかなく、これは世界的に見ても最も少ない部類に入っています。特に5月から10月にかけての夏場の降水量は半年の合計でも1.3 mmしか無く、比較的多い冬場でも非常に少なくなっています

 そして、カイロの降水量が極端に少ない理由はカイロの緯度に関係しておりカイロの緯度はちょうど北緯30度ほどであるため亜熱帯高圧帯の影響を非常に受けやすくなり、そのため非常に乾燥します。

 しかし、北緯30度前後はどの地域も乾燥するかというとそうでは無く、大陸の東岸部はモンスーンの影響を受けるため、湿潤な気候となり降水量が多くなります。けれどもカイロは東部にアラビア半島が存在しているためモンスーンの影響は無く、ただ年中高気圧に覆われる状態となるので降水量が極めて少なくなっています。

 また、カイロは降水量こそ非常に少ないものの前述したように気温に関してはそこまで高くは無く、日平均気温が30 ℃以上の月、及び平均最高気温が35 ℃以上の月は1つもありません。加えて夏場の最低気温も比較的低く、むしろ日本の最低気温の方が高いほどです。

 そのため、カイロはエジプトのイメージの灼熱とは比較的遠くなっていますが全く灼熱では無いかというとそうでは無く、時折南方から灼熱の熱波が流れてくることもあるため、そのときは40 ℃を超えるようになります。実際過去には47.8 ℃にまで気温が上昇したこともあります。

 ちなみにその熱波の流れる方向である南部の気温は非常に高く、北緯26度弱に位置しているルクソールでは夏場になると40 ℃は当たり前に超える灼熱となっています。しかし、冬場はルクソールの方が寒く、カイロは観測史上一度も氷点下となったことはありませんルクソールではなったことがあります

 加えてカイロはエジプトの中では特に降水量の少ない地域では無く、むしろルクソールのような南部の都市の方が少なくなっており、こちらは年降水量が1~2 mm程度と極めて少なく、実はエジプトは全体で見ると世界一降水量の少ない国でもあります。

2.2 リマの降水量

 南米の国として有名なペルーの首都リマの降水量はカイロを更に下回っており、年間の合計値でも6.4 mmしかありません。そのため、リマは間違いなく世界一降水量の少ない首都であります。

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リマは海の近くに位置しているがとある理由で降水量が極度に少ない

 リマは上地図のように海の近くに面しているため、内陸部に位置しているわけでは無く、更に南緯12度3分とかなり低緯度に位置しているため、亜熱帯高圧帯の影響も大きいわけではありません。また、リマのすぐ後ろには極めて標高の高いアンデス山脈があるがこの山脈は特に雨雲を遮っているわけでも無いです。

 そのため、リマの降水量が極端に少ない理由は内陸部に位置している、亜熱帯高圧帯の影響が大きい、山脈に雨雲が遮られるわけでは無いのは明白であります。

 では、何がリマの降水量を極度に少なくしているかというとすぐそばを流れるフンボルト海流であり、フンボルト海流は寒流に属しています

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リマの近くには寒流が流れているため、緯度の割に気温はかなり低くなっている

 リマは寒流による砂漠であるため、一般的なイメージの灼熱とはほど遠い冷涼な砂漠となっており、南緯12度とは思えないほど気温が低くなっています。リマは真夏でも日平均気温が23 ℃を若干下回るほどしか無く最低気温の平均に至っては20 ℃を超える月が一つもありません

 また、この寒流は冬の気温にも影響を及ぼしており南緯12度というと高山を除くと普通は熱帯となりますがリマの場合は(乾燥限界を度外視すれば)最寒月の平均気温が18 ℃を下回っているため、熱帯ではありません。勿論リマは高山では無いため、標高によって気温が下がっているわけでも無く、純粋に寒流の影響だけでこのように冷涼な気候となっているのです。

 では、寒流の何が降水量を極限まで少なくしているかというと海の温度を低温にしていることであり、海の温度が低いと水が重くなり、上昇気流が発生しなくなります上昇気流が発生しなくなると雲ができないため結果として降水が起こらなくなり、下図の様な状態となります。

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海が低温だと上昇気流が起こらず、冷涼な砂漠が形成される

 また、リマは砂漠ではありますが近くに海があるため湿度は高く、更に霧が発生しやすいため、年中晴れ晴れとしている訳では無く、霧で曇っている状態となっています。

 そのため、リマのような寒流による砂漠は一般的な砂漠とはほど遠い冷涼で湿気の多い霧がかった砂漠となっています。

 以上が世界一降水量の少ない首都リマであり、リマは寒流の影響だけで降水量をほぼゼロ等しくしているため、一般的な砂漠とは一線を画しています。