南極は地域による寒暖差が激しく、その寒暖差はジャカルタとウランバートル以上である

 本日は世界一寒い大陸である南極大陸について書いていきます。

1. 南極大陸とは

 南極大陸はご存じの通り世界で最も南に位置している大陸であり、南極点を通っていることで有名であります。そして、言うまでもありませんが南極大陸は世界一緯度の高い大陸であるため、気温が極めて低くなっており、全域が寒帯に属しています

 そのため、南極大陸世界で唯一定住地が存在していない大陸であり、どの州にも属していません(参考までにグリーンランドは北米に属しています)。

 

 また、南極大陸はあまり知られていませんが意外に面積の広い大陸であり、その面積はヨーロッパとインドの合計値よりも広く、およそ1,400万㎢もあります。このことより、南極大陸はユーラシア, アフリカ, 北米, 南米に次ぐ世界で5番目に広い陸塊であり、世界一狭い大陸は南極では無くオーストラリアとなっています。

 以上が南極大陸についての簡単な概要であり、南極大陸は全域が寒帯であるため単調な気候となってそうなイメージがありますが実は地域によって気候は大きく異なっており、最も暖かいところと寒いところでは非常に大きな気温差があります。

 

2. 南極で最も暖かい場所

 南極大陸は緯度の高さ故に全域が寒帯となっているため、不毛の地となっています。しかし、南極大陸の中にも比較的暖かいところがあり、それは南極大陸の北端に位置している南極半島にあります。南極半島南米大陸の南端からドレーク海峡を超えたところに位置しており、南米から行くことも可能となっています。

 そして、この南極半島に位置しているエスペランサ基地は南極の観測基地の中でも最も暖かい基地の一つであり、南緯63度24分に位置しています。この緯度は南極線よりも北に位置しているため、エスペランサ基地は南極大陸にありながら南極圏には属しておらず、完全な白夜となることはありません

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エスペランサ基地は南極の北端近くに位置しており、南米とも近い

 エスペランサ基地は細長い南極半島の先端部に位置しているため、海洋性の気候が強く、気温も南極の中では年中高くなっています。

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エスペランサ基地は年較差が小さく、真冬でもそこまで気温は下がらない

 エスペランサ基地は真冬(7月, 南半球なので季節は逆となっている)でも日平均気温がマイナス10 ℃を若干下回る程度であり、南極とは思えないほど気温が高くなっています。この気温は遙か低緯度に位置している満州瀋陽(北緯41度48分。北半球だが緯度は明らかに低い)よりも高く、カナダの首都オタワとほぼ同等であります。

 また、夏の気温も南極の中では非常に高い部類に入っており、最も暖かい月である1月の日平均気温は1.4 ℃と氷点下では無いため、南極大陸では極めて珍しいツンドラ気候となっています。

 南極大陸ほぼ全域が最も暖かい月でも平均気温が氷点下となっている氷雪気候に属していますエスペランサ基地は前述したように最も暖かい月の平均気温が0~10 ℃のツンドラ気候に属していますので非常に温暖と言えます(勿論日本からしてみると極寒だが)。

 更にエスペランサ基地は南極大陸の中では降水量が非常に多い方であり、年間を通して安定した降水量があります。この理由は半島の先端に位置しているため水分が届きやすい、気温が比較的高いため空気中にそこそこの水分が存在しているからであります。

 このようにエスペランサ基地は緯度が低い上に海洋性の気候をしているため、南極の中では非常に温暖であり、降水量も多くなっています。

 

3. 南極最寒値はシベリアが生ぬるく感じるほどの極寒となっている

 南極大陸は全域が氷点下何十度の世界になっているイメージがありますが先ほど紹介したエスペランサ基地のように(南極としては)温暖な地域もあります。

 しかし、少しでも内陸部に入りますと気温は急激に低下し、特に分厚い氷の層のある大陸の東側の気温はシベリアでさえ暖かく感じるほどの極寒値となっています。

 南極大陸の東側には基地がいくつかありますがその中でも有名なものとしてヴォストーク基地(ロシア語で東の意味)があります。ヴォストーク基地は南緯78度28分、東経106度50分に位置しており、東経と書いてあるとおり南極大陸の東側に位置しています。

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 ヴォストーク基地は上地図の様に南極大陸の内陸部に位置しているため、エスペランサ基地とは比較にならないほど冷え込みが強くなっています。更に氷の上に位置しているため標高は3,500 m近くもあり、この高標高が気温を更に低下させています

 そのため、ヴォストーク基地は南極大陸の中でも最も寒い場所の一つとなっており、南極大陸で最も寒いところの一つであると言うことは世界で最も寒い場所の一つであることを意味しています。実際にヴォストーク基地は1983年の7月21日にマイナス89.2 ℃を観測しており、この気温は明白な記録がある中では世界最寒であります(近年衛星からの観測でマイナス94 ℃が観測された所があるが衛星からなので実際に観測された中ではヴォストーク基地が最寒)。

 このようにヴォストーク基地は世界一寒い場所でありますが実際にどのような気温なのでしょうか?

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ヴォストーク基地は夏も冬の凄まじく寒いが年較差は比較的大きい。更に降水量も極端に少ない

 ヴォストーク基地は年較差が比較的大きいため、季節はあるものの夏の気温もとてつもなく低く、真夏である12月や1月でさえ中央シベリア高原の真冬と同じぐらいの気温となっており、真夏でも突き刺すような寒気が吹き付けています。

 そして、夏が終わると急激に冷え込むようになり、日平均気温がマイナス60 ℃を下回る月は半年間も続きます。特に真冬に当たる7~9月になると平均最低気温がマイナス70 ℃を下回るようになり、二酸化炭素が凍結する氷点下78.5 ℃に達することも珍しくはありません

 この気温は先ほど紹介したエスペランサ基地とは比較にならないほどであり、特に最寒月はエスペランサ基地よりも57.4 ℃も低くなっています。これは常夏の国インドネシアの首都ジャカルタと世界最寒の首都であるウランバートルの気温差をも超えているほどであります(ジャカルタウランバートルの最寒月の差は47.8 ℃)。

 また、ヴォストーク基地は降水量も極めて少なくなっており、年間の合計降水量はサハラ砂漠と大差が無いほどであります。その理由は内陸部に位置しているため水分が届かない、地表は氷に覆われているが気温が低すぎて蒸発しない、更に気温が低すぎて空気中の水蒸気量が極めて少ないからであり、全て内陸に位置していることと極寒であることに関係しています。

 このように南極大陸は気候区分では全て寒帯で塗りつぶされていますが実際は地域によって非常に大きな気温差があり、その気温差は先ほども書いたように常夏の国と極寒の国以上にあります。