常夏の島サイパンは猛暑にならず、歴代の最高気温は意外に低い

 本日は常夏の島であるにも関わらず猛暑になったことの無いサイパンについて書いていきます。

1. 年中気温差の無いサイパン

 サイパンは太平洋上に位置している島であり、地理的な距離は遠いですが現在はアメリカ領です。そして、25年間と短い期間でありましたが終戦までは日本領であった時代もありました

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サイパンは日本よりも若干東に位置しており、緯度はフィリピンと同じぐらいである。

 サイパンは日本の最南端である沖ノ鳥島(日本で唯一北回帰線よりも南に位置している)よりも南の北緯15度11分に位置しています。そして、東西方向に関しては東経145度45分と日本列島よりも東寄りでフィリピンよりもかなり東に位置しているため大陸の影響は全くといってもいいほどに無く、完全に海洋性の気候をしているといえます。

 そのため、サイパンは一年を通して気温に明白な差は無く、気温による季節は無いと言っても過言ではありません。

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サイパンは一年中似た気温であり、意外にも最高気温が低い。

 サイパン年較差(最も暖かい月の平均気温と最も寒い月の平均気温の差)が非常に小さく、わずか1.6 ℃しかありません。また、日平均気温は日本の真夏の気温と大差がありません日本の真夏と比較すると日較差(一日の気温の差)が小さいため、意外にも最高気温が低くなっています。

 真夏の日本の最高気温は30 ℃を超えており、真夏日が当たり前となっていますがサイパン最高気温の平均が30 ℃を超えている月は一度も無く、最も気温の高い6月でも29.4 ℃しかありません

 そのため、サイパン常夏の島ではありますが灼熱の島では無く、実を言うと35 ℃以上の猛暑日を観測したことは一度も無く史上最高の気温でもわずか32 ℃しかありません。

 このようにサイパンは日本の真夏のような灼熱になることは決して無く、裏を返せば日本では真夏になるとサイパンの歴代最高気温を超えるような気温に何度もなっていると言うことになります。

 以上がサイパンの気候についてであり、サイパンは気温が下がることは無いが反対に灼熱になることも無い温暖な島であることが分かります(歴代最低気温: 17 ℃、歴代最高気温: 32 ℃)。

 

2. 夏のシベリアの昼は意外に暑く、猛暑日になるときもある

 サイパンは前述したように熱帯であるにも関わらず極端に暑くなることは無く、今まで一回も猛暑日になったことはありません。そのため、サイパンの歴代最高気温は世界的に見てもかなり低い方であり、サイパンよりも歴代最高気温の低いところは南極の様な極地、極地に近い温帯(アルゼンチンのウシュアイアやアイスランドレイキャビク)とかなり限られており南極やグリーンランドを除く内陸部ではほぼ例外なくサイパン島よりも歴代最高気温が高くなっています。

 それはシベリアの様な極寒地も例外では無くシベリアの都市では過去に猛暑日を観測したところも数多くあります。例えば東シベリア最大の都市イルクーツク年平均気温は1.0 ℃最寒月平均気温はマイナス17.8 ℃と非常に低いですが歴代最高気温は37.2 ℃猛暑日となっており、これはサイパン島のものよりも遙かに高い気温となっています。

 更に世界一寒い都市であるヤクーツク(こちらもシベリア)の年平均気温はマイナス8.8 ℃、最寒月平均気温はマイナス38.6 ℃イルクーツクと比較しても比にならないほどの寒さであります。しかし、歴代最高気温は38.4 ℃イルクーツクよりも高くなっており、加えてヤクーツク猛暑日を観測する日もそこまで珍しくは無く、緯度の割に夏場の気温はかなり高くなっています(7月の平均最高気温は26.6 ℃と夏日であり、サイパンと大差が無い)。

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アジア北部の内陸に位置しているイルクーツクヤクーツクも夏は意外に暑くなる。

 イルクーツクヤクーツクは上地図の様にシベリアの内陸部に位置しているため、大陸性の強い気候となっており、年較差は勿論のこと日較差もかなり大きくなっています

 そのため、真夏の昼は前述したように意外に高温になりますが朝晩は日中と比べるとかなり冷え込み、熱帯夜になることはありません。それどころか真夏でも非常に寒くなることはあり、ヤクーツクに至っては真夏である7月に氷点下を観測したことがあるほどです(これは中央シベリアや東シベリアでもいえること)

 このように大陸性の気候は高緯度でも日較差が激しい故に歴代最高気温は相当高くなり、逆にサイパンは海洋性気候故に極端に気温が高くなることは無く、歴代最高気温もシベリアの極寒値よりも低くなります。

 

3. サイパンよりも歴代最高気温の高い寒帯がある

 イルクーツクヤクーツク冬場になると極端に気温が低くなりますが夏場になると気温が高くなるため、寒帯では無く冷帯に属しています冷帯とは冬場の気温は非常に低くなります夏場になると気温がそこそこ高くなる気候のことであり、主に高緯度の大陸内陸部や東部に位置しています。

 それに対して寒帯とは一年中気温の低い地域であり、冷帯との明白な違いは夏場の気温であります。寒帯は真夏の気温でさえ平均すると10 ℃も届かない寒冷な気候であり、冷帯とは異なり樹木は育ちません。

 そのため、寒帯は年中極寒な気候のようにも思われます。確かにこれは当たっていると言えますが実は寒帯は「最も暖かい月の平均気温が10 ℃未満」であることを定義としているため、ここに抜け穴があります。

 気候区分の定義は1日1日には着目しておらず、例え1日だけ極端に気温の高い日があったとしても30日平均して気温が低ければ十分良く、更にこの気候区分は過去30年分のデータが考慮されるため、最暖月だけでも約900日分のデータがあります

 そのため、極端に気温の高い日が1日だけあったとしても気候区分にはほぼ影響せず、ほぼほぼ埋もれる形となります

 このように気候区分には抜け穴が存在しており、ここに着目すると歴代最高気温の高い寒帯がありそうです。

 そして、ここからはそのことを考慮して猛暑日近い気温を観測した寒帯について書いていきます。

 猛暑日近い気温を観測した寒帯はヤクーツクと同じ東シベリアに位置しているティクシという町であり、この町は北極海沿岸に位置しています。ティクシは北緯71度39分、東経128度52分の北極圏に位置しているため、年中を通して気温は低く、日平均気温が最も高い8月は日平均気温が7.7 ℃平均最高気温が最も高い月である7月でも平均最高気温は12.1 ℃しかありません

 しかし、驚くべきことにこの年中気温の低い町でも前述したようにかなり高温になったことがあり、過去には34.3 ℃を記録し、この気温はサイパンの歴代最高気温を2.3 ℃も上回っています

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ティクシは年中を通して寒冷だが季節は明白である。そして真夏である7月や8月もサイパンよりも遙かに寒いが歴代最高気温は上回っている。

 ティクシの気候は年中寒い寒帯ではあるが季節は明白であり、かなり大きな年較差があります。これは真冬の気温が非常に低いからであり、真冬になるとマイナス35 ℃程度なら当たり前のように観測します。そして、真夏でもサイパンより気温は遙かに低い大陸性が強いため極端に気温の上がる日もあり、そのときは30 ℃を超えることもまれにあります

 ちなみにティクシは下の地図の位置にあります。

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ティクシは北極海沿岸に位置している

 このように北極圏内に位置している寒帯でも大陸性の強い気候なら極端に気温の上がる日もあり、このときは熱帯の海洋性の気候の地域を上回ることもあります。