全天で二番目に明るい恒星は極端に明るいため、何度も全天一の恒星となっていた

 久々の記事になりますが本日は遠くに位置していても明るい恒星について書いていきます。

 

1. 過去に何度も全天一になった恒星

 現在地球から見て最も明るい恒星は太陽を除くとシリウスであります。そして、恒星は移動をしているためシリウスはいずれ地球から遠ざかり、21万年後には全天で最も明るい恒星では無くなります

 また、当然ではありますがシリウスは昔から最も明るかった恒星では無く、9万年前以前は最も明るい恒星ではありませんでした。

 そのため、全天で最も明るい恒星は時代によって転々としており、現在暗い恒星が過去には最も明るくなる事例もあり、反対に現在明るい恒星も年月がたつと暗くなります

 ここで、Wikipediaに500万年前から500万年後の間で最も明るい恒星のデータがあったため、500万年前から現在までの最も明るい恒星のデータを掲載します。

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歴代で最も明るい恒星は時代によって移り変わる

 過去500万年間で最も明るい恒星は時期によって大きく変化していき、500万年前はおおいぬ座アダーラ(現在1.5等星)が全天で最も明るい恒星でした。そして、442万年前には同じくおおいぬ座ミルザム(現在1.98等星)が最も明るくなり、その後はカノープスという形に変わっていきます。

 そして、全天で最も明るい恒星はただ一つを除き、一度でも全天一の座を獲得したら二度と全天で最も明るい恒星にはなりません。しかし、ただ一つことカノープスだけは過去に3回も全天で最も明るい恒星となり、今後もあと一回だけ全天で最も明るい恒星になります

 つまり、カノープスだけが全天で最も明るい恒星に4回もなり、特に初めてカノープスが全天で最も明るくなったときは233万年間も全天で最も明るい恒星の座に居座っていました。更に2回目、3回目も含めると293万年間も全天一の座に居座っておりカノープスは間違いなく全天で最も明るく見える期間が最も長い恒星であります

 では、その全天で長い間最も明るい恒星であるカノープスとはどのような恒星なのでしょうか?

 

2. 最も明るく見える期間の長い恒星、カノープスの明るさと位置

 カノープスは過去500万年間で最も明るく見えた期間の長い恒星であり、その期間は500万年間の6割近くにも及びます。そのため、カノープスは長い目で見るとシリウス以上に重要な恒星であり、間違いなく地球から見て最も明るい恒星であるといえます(無論太陽は除くが)。

 では、現在カノープスはどれほどの明るさで見えるのでしょうか?

 現在のカノープスシリウスに次いで明るい恒星であり、明るいことで有名なベガのの明るさで地球から見えます。そのため、カノープスシリウス以外のもう一つのマイナス1等星(-1.5~-0.5等星)であり、地球からの明るさはマイナス0.72等であります。

 しかし、カノープス日本からだと非常に見づらく、その理由はカノープスがあまりにも南にあるからです。カノープス赤緯(恒星の緯度)はマイナス52度42分と非常に南に位置しており、北緯37度18分よりも北では見えません。この緯度は日本で言うと福島県に相当するため、これ以上北では見えず、東京でもほぼ見ることは不可能となります。

 けれども南半球だとカノープスは長い間非常に明るく見える恒星であり、特に南緯37度18分よりも南だと一年中カノープスを観測することが可能となります。つまり、オーストラリアやアルゼンチンからだとカノープスは非常に目立ち、更に一年中観測可能な恒星となるため、北半球とは異なり、非常に存在感のある恒星となります。

 ちなみにカノープスりゅうこつ座という恒星に属しており、言うまでもありませんがりゅうこつ座の恒星の中では最も明るい恒星であります。

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カノープス(中心の明るい恒星)と周辺部の恒星

 上図はカノープスと周辺の恒星を示した図であります。そして、この図からも分かるようにカノープスは周辺部の恒星とは比に無いほど明るく、カノープスがいかに明るい恒星であるかが分かります。

 

3. 北極星よりも更に明るい恒星

 カノープスは過去500万年間で最も明るい恒星として見え、現在も全天で二番目に明るい恒星であります。そして、今後も地球から遠ざかるため徐々に暗くなっていきますがシリウスとは異なり非常に長い期間1等星として観測することができます

 では、何故カノープスがここまで長い期間明るい恒星として観測できるかというと極端に明るい恒星だからであり、その明るさは太陽の1万倍以上にも及びます。この明るさは全ての恒星の中でもトップレベルのものとなっており、肉眼で見える恒星の中でも上位70位に入るほどであります。

 また、1,000光年以内の恒星の中ではリゲルに次いで明るい恒星であり、1,000光年以内には恒星が何百万個もあるため、カノープスがいかに明るい恒星であるかが分かります。

 更にカノープスは地球からの距離も比較的遠く、地球から309光年離れた位置にあるます。この距離は太陽からすると非常に遠く。仮にこの位置に太陽を持って行くと9.7等となるため肉眼で観測することは不可能となり、シリウスでもギリギリ見える程度の明るさになります。しかし、カノープスは前述した通り、極端に明るい恒星であるため、この距離でもベガの倍の明るさで見えます。

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カノープスシリウスとは比にならないほど遠く明るい

 カノープスの絶対等級(32.616光年先から見た明るさ)はマイナス5.6等と凄まじいほどに明るく、これは太陽よりも10等以上も小さな値です。絶対等級は5等小さくなると100倍明るくなるため、カノープスは太陽の1万倍以上も明るく、大体太陽の14,860倍も明るい恒星であります。

 そして、カノープス極端に明るいと同時に非常に巨大な恒星であり、その直径は太陽の71.4倍、1億キロメートルに匹敵する大きさがあります。また、質量も太陽と比較すると相当大きく、太陽の10倍はあると考えられています。

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極端に巨大で明るすぎる恒星カノープス

 カノープスは太陽が非常に小さく見えるほどの大きさを有しており、更にこの大きさを有しているにもかかわらず、太陽よりも表面温度も高くなっています。そのため、カノープスは凄まじいほどの明るさとなっており、この光は1,000光年先でも北極星よりも明るく見えるほどであります。

 つまり、カノープス北極星よりも明るい恒星であり、北極星は以下の記事でも書いたように非常に明るい恒星です。

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  ちなみにカノープス北極星6倍強明るい恒星であり、仮に現在の北極星の位置(433光年)にカノープスが存在した場合、カノープスはベガと同等の明るさで見え、まだ全天で最も明るい恒星の一つに入るほどです。

 このようにカノープスは非常に明るいことで有名な北極星よりも更に明るい恒星であり、質量も北極星よりも太陽4個分ほど大きいため、将来的には超新星爆発を起こすと考えられています。

 更にカノープス質量が大きく極端に明るいが故に寿命も短く、将来的に超新星爆発を起こすときもまだ1等星として輝いている可能性も考えられるほどです。

 以上のことより、カノープスは極端に明るい恒星が故に長期間全天で最も明るい恒星となっており、ただ地球からの距離が近いだけのシリウスとは一線を画した恒星であります。