北極星はシリウスなどと比較すると非常に遠く、そして明るい

 先日は北極星並みに明るい恒星が天の北極付近で輝くことはかなり珍しいことについて書きましたが本日は北極星の明るさについて書いていきます。

1. 北極星は非常に遠い

 北極星は天の北極付近の恒星の中では非常に明るい部類の恒星であり、これほどまでに明るい恒星が天の北極付近に輝くことは非常に珍しいです。しかし、明るいと言っても全天で最も明るい恒星というわけでも無く、その明るさは1.97等と1等星ではありません。

 そのため、北極星の明るさは若干物足りなく、全天で最も明るいシリウス24分の1程度の明るさしかありません。けれどもシリウスが地球から見て明るい理由は地球からの距離が非常に近いからであり、シリウスは地球から8.6光年しか離れていません

 加えて地球から明るく見える恒星は地球から比較的近い恒星が多く、アルタイルは16.7光年、ベガは25光年シリウスと比較すると若干遠いものの地球からの距離が非常に近いことには変わりはありません。

 しかし、北極星はこれらの恒星とは異なり地球からの距離が非常に遠く、433光年も離れています433光年はシリウス50倍、アルタイルの26倍、ベガの17倍も遠く、キロメートルに換算すると4,100兆キロメートルにもなります

 つまり、北極星は地球からの距離が非常に遠いために地球からの明るさがそこまで明るくは無く、仮に北極星シリウスの位置にあると-6.54等星、ベガの位置だと-4.22等になり、とてつもなく明るい恒星として見えます。

f:id:Baikalake:20191203214814j:plain

北極星シリウスと入れ替えると凄まじい明るさとなる

 北極星は地球からだとそこまで明るくありませんがシリウスと位置を入れ替えるととてつもなく明るい恒星として見え、反対にシリウス北極星の位置に持って行くと肉眼で観測ができなくなるほどになります。つまり、北極星シリウスが肉眼で見えないほどの距離にあるにも関わらず、明るい恒星として見え北極星がいかに明るいかが分かります。

 ちなみに北極星よりも遠い1等星はデネブ, リゲル, ベテルギウス, アンタレスの4つしか無く、残りの17の1等星は北極星よりも距離が近いです。

 

2. 北極星はどれほど明るいのか

 北極星は非常に明るい恒星であるものの地球からの距離が非常に遠いため、そこまで明るくは見えません。しかし、非常に遠いと言うことは仮に近くに位置していると相当明るく見えることを意味しており、先ほども紹介したように北極星シリウスの位置に持って行くとマイナス6.54等級もの明るさに見えます。

 では、北極星の明るさは具体的にはどれほどなのだろうか?

 北極星は地球からの距離が433光年、視等級は1.97等であるため絶対等級(32.616光年先から見た星の明るさ)はマイナス3.64等であります。この明るさは太陽の2,450倍に相当します(太陽の絶対等級は4.83等)。

 このことより、北極星シリウス(23倍)やベガ(49倍)とは比にならないほど明るく、北極星がいかに明るい恒星であるかが分かります。つまり、北極星は天の北極に近いだけの恒星では無く、実際の明るさも非常に明るく、ここまで明るいと明るいもの揃いの夜空で輝いている恒星の中でも相当明るい部類に入ります

 では、何故北極星はここまで明るいかというと超巨星だからであり、超巨星とは中心核の水素がつきた後、より高度な核融合反応を起こすことで膨張した巨星よりも更に規模が大きい恒星であり、元々の質量が大きくないとなれません

 北極星の質量は太陽の6倍ほどもあり、これはシリウスの3倍に相当します。そして、北極星は先ほども書いたように高齢化して超巨星となっているため、直径が太陽の47倍6,000万キロメートル以上となっています。ここまで直径が大きいと表面積は太陽の2,200倍ほどにもなっており、表面温度こそ太陽よりも若干高い程度でありますがこの莫大な直径故に非常に明るくなっています

f:id:Baikalake:20191203210827j:plain

北極星は表面温度は太陽程度だが直径は非常に大きい

 そのため、表面温度こそ高いものの直径の小さなシリウスとは比較にならないほど明るく、100倍以上も明るさに差をつけられています。

 

3. 北極星は何光年まで地球から見たシリウスよりも明るいのか?

 最後に北極星がどれほど遠くまで見えるかについて書いていきます。北極星はとてつもなく明るく、当然ではありますがシリウスとは比較にならないほど見える範囲も広いです。

 では、北極星はどれほど遠くまで見えるのでしょうか?

 答えは約3,480光年先までであり、この距離はキロメートルに換算すると3.292京キロメートルとなります。驚くべきことに兆はおろかその上の京まで単位として出てきており、加えて1京キロメートルでは無く3京キロメートルをも超えているため、ここまで光の届く北極星が非常に明るい恒星であることを改めて実感させられます。

 そして、1等星で見える範囲は肉眼で見える範囲のちょうど10分の1の距離に相当するため、北極星348光年先まで1等星として観測することができます。これはせいぜい7光年先までしか1等星として観測できない太陽とは比にならないほど遠く北極星は広範囲で明るい恒星として見えることを意味しています。

 

 ここまでは北極星がどの範囲まで見え、どの範囲まで1等星として見えるかについて書いてきましたがここからは北極星がどの範囲まで地球から見たシリウス以上の明るさで見えるかについて書いていきます。

 シリウスの明るさはマイナス1.47等星であるため、北極星がマイナス1.47等星として見える距離を求めればこの距離以内ではシリウスよりも明るく見えることを意味しています

 北極星がマイナス1.47等星として見えるためには88.8光年まで近づけばよく、つまり北極星を地球から見たシリウスと同じ明るさ以上で見るためには88.8光年以内まで近づけば良くなります

 最後に北極星を他の1等星の位置に置いたときに見える明るさについて書いていきます。

f:id:Baikalake:20191203214138j:plain

北極星を他の1等星の位置に置いたときの明るさ

 北極星を他の1等星の位置に置いたときの明るさは上表のようになっており、地球から近い恒星(レグルスまで)の位置に置いたときは地球から見たシリウスよりも明るい恒星として観測できます。そして、アクルックスまでの恒星までは1等星として観測できるがこれ以上遠くなると北極星の明るさをもっても1等星としては観測できず、特に1等星の中でもとりわけ遠いリゲルやデネブの位置まで持って行くと単なる暗い恒星としてしか見えません

 しかし、リゲルやデネブはこの途方も無い位置にあるにも関わらず地球からは明るい恒星として観測でき、その理由はこれらの恒星は銀河系全体で数えてもトップ級の恒星であり、10,000光年以上離れても見えるほどの明るさを有しているからです(カノープスもとてつもなく明るいがリゲルやデネブよりかは暗く、10,000光年先からは見えない)。

 このようにとてつもなく明るい北極星の上にも恒星は存在しており、リゲルなどと比較すると北極星もかすむ程度の明るさとなります。