近いことで有名なアルタイルよりも近い恒星は意外に多くある

 本日はアルタイルよりも近い恒星の中で肉眼で見ることのできる恒星について書いていきます。

1. アルタイルとは

 アルタイルとはわし座で最も明るい恒星のことであり、地球からは1等星(0.77等星)として観測することができます。そして、アルタイルは最も明るい恒星であると同時に最も近い恒星の一つであり、その距離はわずか16.7光年しか離れていません。

 この距離はベガのほぼ3分の2、シリウスの倍近くであり、肉眼で見ることのできる恒星の中ではトップクラスに近いもの(当然肉眼で見えないものも含めてでも近い)となっています。

 また、アルタイルはA型主系列星というタイプの恒星に分類されており、このタイプに分類されている恒星はアルタイルの他にシリウス, ベガ, フォーマルハウト(みなみのうお座α星)などがあり、絶対等級の基準となる32.616光年以内に位置しているA型主系列星はこの4つしかありません

 ちなみに主系列星とは中心核で「水素→ヘリウム」の核融合反応を起こすことで輝く若い恒星のことであり、単純に質量が大きいほど比例するように直径, 光度, 表面温度が増すようになります。

 そして、ここで登場する「A型」とは恒星の表面温度を示す指標であり、表面温度が高い順、つまり明るい順に並べると「O, B, A, F, G, K, M」の順となっており、Aは3番目に明るいです(細かく言うとアルファベットの後に0~9の数字がつき若い方が表面温度は高い。つまりA3よりA1の方が熱い)。

 ちなみに中心核の水素がつき、「ヘリウム→炭素」等のより高度な元素の核融合を行うことで直径が増した恒星のことを巨星といい、巨星の場合は表面温度と光度が比例しなくなります

 例えばりゅうこつ座カノープスはF型(F0)の恒星でアルタイル(A7)よりも表面温度がわずかに低いですが光度はアルタイルの1,000倍以上もあり、直径も質量も比にならないほど大きなものとなっています。

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カノープスはアルタイルよりも表面温度は低いが比にならないほどの光度を有する

 カノープスは上図からも見てのように直径が非常に大きい恒星であり、巨星はおろか更に大規模な超巨星に属しています。そのため、主系列星の法則からは外れており、表面温度はアルタイルよりも500 ℃ほども低いにもかかわらずアルタイルの1,350倍ほどの明るさを有しています

 しかし、カノープスは地球からの距離が309光年と非常に遠く(これでもベガの倍も明るくシリウスの次に明るい)、32.616光年以内には超巨星は勿論のこと巨星も存在しないため、主系列星しかありません

 更に32.616光年以内にはO, B型の主系列星は一切存在しないためA型主系列星が最も明るい恒星となっており、アルタイルは先ほど挙げた4つの恒星の中では最も弱い恒星であるため、この範囲では4番目に明るい恒星となっています。

 このようにアルタイルは肉眼で見える恒星の中ではかなり弱い恒星ではありますが32.616光年以内の恒星の中では最も明るい部類に入っており、この範囲では非常に明るく見えます。

 

2. アルタイルよりも近いが暗い恒星

 アルタイルは地球からの距離が16.7光年と非常に近く、アルタイルよりも近い恒星の中でアルタイルよりも明るい恒星はシリウスしかありません。そのため、アルタイルは近場の中では最も明るい部類に入っており、1等星として観測することが可能となっています。

 しかし、アルタイルよりも暗い恒星、例えば太陽を16.7光年先から見ると大して明るくない3.38等の恒星としてしか見えず、存在感もそんなにありません。そして、アルタイルよりも近い恒星で肉眼で観測することのできる恒星は太陽を除くと12個もありますがその中で地球からの明るさが1等星以上の恒星は太陽を除くとリギル・ケンタウルスA, リギル・ケンタウルスB, シリウス, プロキオンの4つしか無く残りの8つの恒星は明るい恒星ではありません

 その理由はこれらの恒星がいずれも太陽よりも暗い恒星だからであり、この中で最も明るく見えるくじら座τ星(タウ星)でさえ3.49等の明るさでしか見えません。

 では、アルタイルよりも近い肉眼で観測できる恒星をリスト化していきます。

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明るい恒星は赤字、太陽よりも明るい恒星は太字表記

 アルタイルよりも近い肉眼で観測できる恒星は上表の通りであり、先ほども書いたように全て主系列星【Ⅴ (=5)】となっています (プロキオン主系列星から準巨星へ移る段階のⅣ-Ⅴとなっていますが一応主系列星として扱える)。

 そして、これらの恒星のスペクトル型は表面温度が低く暗いK型が8つ太陽と同じG型は3つ太陽以上アルタイル未満のF型はプロキオンの1つ、そしてA型はアルタイルとシリウスの2つとなっています(ちなみに16.7光年以内には最も弱いM型も数多くあるがあまりにも暗すぎるため、肉眼では見えるものは無いです)。

 つまり、アルタイルよりも近い恒星には光度の弱いK型主系列星が数多く含まれており、これらの恒星は距離は近いものの太陽よりも暗い恒星ばかりなので肉眼では見えるものの暗い恒星でしかありません

 特にはくちょう座61番星Bはこの中でも最も暗い恒星であり、この恒星は肉眼で見ることのできる恒星の中では最も暗い恒星であります(実は見えないものも含めると結構明るい部類に入る)。

 また、太陽よりも暗い恒星の中で最も明るい部類に入るくじら座τ星は太陽と同じG型主系列星なのでエリダヌス座ε星(こちらはK型だが)と共に地球外生命体の探索調査である地球外知的生命体探査(SETISearch for extraterrestrial intelligenceの略、「くじら座の」を意味するCetiとも掛け合わせている)の対象となった天体であります。

 

 このようにアルタイルよりも近い恒星の中にも太陽と比較的似た恒星は数多くあり、この範囲だと肉眼で見ることは可能でありますが50光年も離れるとこれらの恒星は肉眼では観測できなくなるため、これらの恒星は当然ではありますが肉眼で見ることのできる恒星の中では最も暗い部類に入っています。