太陽の明るさは意外に明るい方である

 本日は太陽が恒星の中でどれほど明るいかについて書いていきます。

1. 夜空の恒星と太陽の明るさ

 太陽は地球から見ると非常に明るい恒星であり、その明るさは二番目に明るいシリウスの128億倍もあります。そして、太陽の光は前回の記事でも書いたように70光年程度先まで観測することができ、これはキロメートルに換算すると666兆キロメートルに相当します。

 つまり、太陽の光は数百兆キロメートル単位で見ることができ、とてつもなく明るい恒星に見えますが他の恒星と比較するとどうなのだろうか?

 その答えは夜空に輝いている肉眼で見える恒星の中では非常に暗い部類に入っており2等星以上の恒星(シリウス~2.5等星)までの恒星の中で太陽よりも暗い恒星はリギル・ケンタウルスB以外はありません

 それもそのはずであり、肉眼で見ることのできる恒星は数百光年、即ち数千兆キロメートルぐらい離れた恒星も多くあり、太陽はこれほど離れると見えなくなります。それでもこれらの恒星は余裕で見えるため、当然これらの恒星は太陽よりも圧倒的に明るく、太陽も夜空に輝いている恒星と比較すると非常に暗い部類に入ります。

 ちなみに2等級以上の恒星で絶対等級(本来の明るさ)が暗い順に並べるとリギル・ケンタウルスB, リギル・ケンタウルスA, プロキオン, アルタイル, デネボラ,フォーマルハウト, アルデラミン, シリウスの順となっており、意外にもシリウスは本来の明るさで見れば暗い部類に入っています(ちなみに2等星以上の恒星は90個近くある)。

 また、これらの恒星の明るさ, 距離, 光が届く限界の距離を表として示します。

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 この中で最も暗いリギル・ケンタウルスBは50光年も離れると見えなくなるほど暗い恒星であり、この中では唯一太陽よりも暗い恒星であります。しかし、プロキオン以降は100光年以上離れても見ることができプロキオンは192光年(1,816兆キロメートル)、アルタイルは234光年(2,214兆キロメートル)、シリウスは338光年(3,198兆キロメートル)先まで見ることができます。

 このように2等星以上の恒星はワーストレベルの恒星でさえ1,000兆キロメートル先から見ることができ、1,000兆キロメートル先から見えない恒星はリギル・ケンタウルスA, リギル・ケンタウルスB, 太陽の3つしかありません。

 また、これらの恒星は先ほども書いたようにあくまでワーストレベルの恒星であり、明るい恒星ともなると1,000光年先からでも見えるものもあります。特に2等星以上の恒星の中で最も明るいアルニラム(オリオン座の三つ星の真ん中の恒星)は18,000光年、キロメートルに換算すると17京キロメートルまで見ることが可能なほどです。

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アルニラムは18,000光年先まで見える

2. 全恒星と比較すると太陽はかなり明るい方である

 太陽の光は夜空に輝いている恒星と比較すると非常に暗く、最も暗い恒星でしか無いようにも思えます。しかし、ここまで比較した恒星はあくまで肉眼で見ることのできる明るい恒星に限定した話であり、肉眼で見えない恒星を考慮していません

 肉眼で見える恒星を大きく2つに分けると恒星そのものの明るさが極端に明るいため遠くにいても見えるもの(リゲル, カノープスなど)と近くにあるから見えるもの(シリウス, プロキオンなど)があります。つまり、肉眼で見えない恒星は以下の理由で見えなくなっています。

  • 恒星の明るさが微少なため見えない
  • 距離が極端に遠いため見えない

 ここで重要となってくるのが前者であり、実を言うと恒星は質量が軽く、暗いものの方が圧倒的に多いです。これらの恒星は太陽と比較しても微小レベルの光しか放っていないため、たった数光年先からでも見えないほどであり、このような恒星ともなるといくら近くても肉眼で観測することが不可能となります。

 そのため、実は太陽から数光年から20光年程度の領域には恒星が比較的多く含まれており、この中で肉眼で観測できない恒星はできるものよりも数が圧倒的に多いほどであります。

 例えば太陽から最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリ4.24光年と非常に近くに位置していますが等級は11.05等と肉眼で見ることは不可能であり、今の66倍以上明るくなければ見えません

 そして、先ほども書いたようにプロキシマ・ケンタウリのように非常に小規模の恒星は極端に明るい恒星とは比にならないほど多く存在してしており、20光年以内には恒星が100個強存在していますが太陽よりも明るい恒星はたった6個しかなく、他の恒星はすべて太陽よりも暗い恒星であります。

 また、この傾向は他の領域でも同じようになっているため太陽は全恒星の中でも上位5パーセントに入るほどであり、太陽はかなり明るい部類に入ることが分かります。

 

3. 暗い恒星は1光年先からでも見えない

 太陽は肉眼で見ることのできる恒星の中では非常に暗い部類に入りますが前恒星に範囲を広げると非常に明るい部類に入ります。そして、ここで気になるのは暗い恒星はどれぐらいまで見えるかであり、もしかしたら1光年先からでも見えないのでは無いかと感じられるほどです。

 それは正解であり、先ほど紹介したプロキシマ・ケンタウリ1光年も離れると観測することができなくなりますプロキシマ・ケンタウリ太陽の18,200分の1程度の明るさしか無いため、0.52光年まで近づかないと肉眼で観測することができず、この距離はキロメートルに換算すると4.92兆キロメートルに相当します。

 この距離は太陽と地球の距離の33,000倍に相当する距離でありますが恒星からしてみるとあまりにも近く、仮に太陽がこの位置にあった場合はマイナス4.16等星として見え、これは金星の明るさに匹敵するほどです。

 ちなみにプロキシマ・ケンタウリを太陽と同じ明るさで見るためには111万キロメートル先まで近づく必要があり、この距離は太陽の直径をも下回るほどであります。

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プロキシマ・ケンタウリを太陽と同じ明るさで見るためには太陽の直径よりも短い距離まで近づく必要がある

 プロキシマ・ケンタウリを太陽と同じ明るさで見るためには上図の距離まで近づく必要があり、いかにプロキシマ・ケンタウリが暗い星であるかが分かります。さすがに月の距離まで持ってくると太陽よりも明るくなりますが...

 そして、プロキシマ・ケンタウリ太陽の15パーセント程度の直径しかありません太陽の135分の1程度の距離まで近づく必要があるため、その大きさは太陽の9倍程度に見え、非常に大きく見えます。

 このように1光年先からでも見えないような恒星を太陽と同じ明るさで見るためには必要以上に近づかなければならないため、恒星そのものの大きさは非常に大きく見えます。反対にシリウスのような明るく表面温度が高い恒星は距離は大きさこそ大きいもののそれ以上に距離を隔てなければいけないため、恒星の大きさは小さく見えます。

 

 以上が太陽の明るさの順位についての説明であり、太陽は一見すると暗い恒星のようにも見えますが1光年しか離れていなくても見えないほど暗い恒星が圧倒的に多いため、太陽は意外に明るい部類に入ることが分かります。