世界一海から遠い巨大湖は半分淡水で半分塩水である

 本日は世界一海から遠い巨大湖について書いていきます。

1. 世界一海から遠い巨大な湖

 日本は海に囲まれた海洋国家であり、最も海から遠い長野県佐久市でも海からは115 kmしか離れていません

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日本一海から遠い場所

 そのため、日本では海が無いことなど想像できず、海を見ることは難しくはありません。しかし、世界中には海と接していない内陸国が多く存在しており、そのような国では国境を越えないと海に行くことができません。

 そして、内陸国ユーラシア大陸中央部に集中しており、特に中央アジア5カ国はすべて内陸国となっています。そのなかでもカザフスタンの面積は中央アジア全体の面積の合計値よりも広く、その面積は272万平方キロメートルにも及びます。

 この面積は内陸国の中でも群を抜いて広く二番目に広大なモンゴルよりも115万平方キロメートルも広いです。

 また、世界一海から遠い地点はカザフスタンと中国の国境付近に位置しており、最も近い海からも2,500 km以上も離れています。

 このようにカザフスタンは広大な面積を持ちながらどの地点も海から非常に遠く、今回紹介する世界一遠い巨大湖もカザフスタン内に位置しています。

 では、世界一海から遠い巨大湖は何湖かというとバルハシ湖という湖であり、バルハシ湖はカザフスタン東部に位置しています。

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世界一海から遠い湖

 世界一海から遠い巨大湖であるバルハシ湖は世界一海から遠い地点のすぐ近くにあり、非常に海から遠いことが分かります。しかし、バルハシ湖の近くにはイシク湖(キルギス)という湖もあり、こちらも世界で最も遠い湖の一つではありますがバルハシ湖の先端の方が世界一海から遠い地点と若干近いため、ここではバルハシ湖を世界一海から遠い湖として扱います。

 

2. バルハシ湖の大きさと特徴

2.1 広大だが浅い湖

 バルハシ湖は世界一海から遠い巨大な湖であり、最も近い海からも2,000 km以上も離れています。また、バルハシ湖の面積は16,400 ㎢と世界で15番目に広い湖であり、アジアの湖に限定するとシベリアのバイカル湖に次ぐほどです。

 この面積は日本最大の湖である琵琶湖の24.5倍ほど広いです。しかし、バルハシ湖は非常に水深が浅く、平均水深は6 m程度、最も深い場所でも26 mしかないため貯水量自体は106 ㎦しかなく、これは琵琶湖の4倍ほどであります。

 そのため、広大な面積を有するバルハシ湖も水量に関しては少なめであります。その一方で近くに位置しているイシク湖は非常に水深が深い湖であるため、貯水量は多く、その量はバルハシ湖の16倍ほどもあります。

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バルハシ湖は広大だが水深は非常に浅い

2.2 半分淡水で半分塩水

 バルハシ湖の西側イリ川という川が流れ込んでおり、それ以外に目立った川は注ぎ込んでいません。そして、バルハシ湖からは一切川は流出しておらず、このように一方的に川が注ぎ込む湖は中央アジアに数多く存在しております。

 そして、このイリ川の流入はバルハシ湖をある地点を境目に淡水と塩水に分けており、バルハシ湖を半分淡水、半分塩水の湖にしています。

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湖の西側にはイリ川が注ぎ込む

 バルハシ湖の西側に注ぎ込むイリ川は中国のウイグルを源流としており、カザフスタンの国境を越えた後、カザフスタン国内を流れ、最終的にバルハシ湖に注ぎます。そして、バルハシ湖は上地図にも書いたように半島が東西を分断しており、この東西を分断する半島こそがバルハシ湖の西側と東側を性質の異なる湖に分けています

 まず、初めに西側について書いていくと西側は淡水となっています。この理由はイリ川にあり、イリ川はバルハシ湖の塩分濃度を薄める効果があるためバルハシ湖の西側は淡水となっています。その一方で東側は半島が分断している上に大きな川が流れ込まないために水の塩分濃度が薄まりにくく、そのため塩水となっています

 このようにバルハシ湖はイリ川、および西部と東部を分断する半島によって半分淡水半分塩水の特異な湖となっています。

 

3. 極寒の砂漠にある湖の気候

 最後にバルハシ湖の気候について書いていきます。バルハシ湖は海からの距離が非常に遠い内陸部にあるため周辺部はかなり乾燥しています。更に緯度も北緯46度とかなり高めであるため気温も低く、冬場になると湖が凍結します。

 そのため、バルハシ湖の周辺部はサルイイシコトラウ砂漠という極寒の砂漠となっており、この砂漠の砂はほんの少しではありますが黄砂の原因になっているほどです。

 そして、ここからはバルハシ湖周辺の町について書いていきます。バルハシ湖の湖岸には湖と同じ名称のバルハシ(地図上ではバルカシュ)という町があります。

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内陸にあるため、寒暖差が非常に激しい

 バルハシは高緯度の内陸部にあるため、夏と冬の寒暖差が非常に激しくなっています。夏の気温は緯度の割にかなり高く、日中は平均でも30 ℃近くに達します。しかし、冬場の気温は非常に低く、真冬である1月は平均最低気温が氷点下18 ℃近く、平均最高気温も氷点下8 ℃を下回っています

 また、降水量は年間を通して少なく、特に夏の降水量は少なくなっています。しかし、冬場の降水量は少ないと言っても夏場に比べると多く、更に気温が低いため一度降った雪は溶けることは無く、冬場になると意外に雪が降り積もります

 このようにバルハシの降水量は少なく、更に周辺部は地図からも分かるとおり乾燥しているため、バルハシの気候は一見すると砂漠気候のようにも思われます。しかし、バルハシの年間平均気温は6.3 ℃と低いため、乾燥限界(樹木が生育できるための最低限の年間降水量)は266 mmと低くなっています。

 そして、バルハシの年間降水量は138 mmと少ないものの乾燥限界である266 mmの半分以上はあるため砂漠気候では無く半乾燥気候であるステップ気候に分類されます

 更に9月を夏と仮定すると乾燥限界の緩やかな夏期少雨型となるため、乾燥限界が126 mmまで下がり、これだと乾燥限界を上回るため、バルハシの気候区は冷帯夏期少雨気候(Dsa 高地地中海性気候とも言う)になります。

 このようにバルハシは非常に乾燥しているが冬場の気温が低いが故に年間の平均気温も低く、水分の蒸発量が少ないため砂漠気候には分類されていません。

 

 以上が海から最も遠い巨大湖であるバルハシ湖についての説明であり、海から遠いが故に寒暖差が激しく降水量も少なくなっています。

 また、地形の関係上半分が淡水、半分が塩水となっている面白い湖であり、このような湖はバルハシ湖以外は知られていません。