同じ緯度でも気候は全く異なる 北緯45度編

 今回は同じ緯度に位置しているにもかかわらず、気候が大きく異なる地域について書いていきたいと思います。

 

1. 日本の最北端、北緯45度

 北緯45度は北極と赤道のほぼ中間に当たる位置にあります。ここでほぼと書きましたが実を言うと厳密には中間には位置しておらず、少しだけ赤道よりにあります。その理由は地球が楕円形をしているために若干ずれているからです。

 そして、北極と赤道のほぼ中間に当たる北緯45度は日本でいうと稚内あたり、つまり日本の最北端に位置しています。そのため、日本の北緯45度はかなり寒い気候となっており、ヨーロッパあたりでも寒そうに思われがちであります。

 しかし、アジアの中での北緯45度はかなりの高緯度でありますがヨーロッパにおいての北緯45度は実を言うと低い方であり、ロンドンはおろかパリですら北緯45度よりも北部に位置しています。

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実はかなり北に位置しているロンドン

 けれどもロンドンが寒いという話は一切聞いたことは無く、実際にロンドンの真冬の気温は関東南部と大して変わりません。これだけ聞くと一見不思議に思われがちであるが実はロンドンの西側に位置している大西洋には暖流が流れており、この暖流のおかげでヨーロッパは全体的に同じ緯度のアジアよりもかなり暖かくなっています。特にロンドンはすぐ西が大西洋なのでヨーロッパの中でもかなり温暖な気候となっています。

 しかし、大陸東岸では季節風の影響で西岸と比較すると気温差が激しくなっており、更に降水量の差もかなり大きくなっています。

 そして、ここからは北緯45度の西岸の都市と東岸の都市の気温、および降水量の差について書いていきます。

 

2. 極寒のハルビン、温暖なボルドー

 北緯45度といっても前述したようにかなり気候が異なっており、大陸の西岸と東岸では明白に気候が異なっています。そして、今回はユーラシア大陸西部に位置するボルドー(フランス)と東部に位置するハルビン(中国、満州)の比較を行っていきます。

 まず始めにボルドーから書いていきますがボルドー北緯44度50分、西経0度35分に位置する都市であり、経度からも見ても分かるようにユーラシア大陸の西岸に位置しています。

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ボルドーの位置

 ボルドーはフランスの南西部に位置していますが日本と比較すると最北端に近いところに位置しており、札幌市よりも北部にあります。しかし、先ほども書いたようにボルドーは暖流に近い大陸西岸に位置しているため、真冬でも浜松の真冬と大差がありません。

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ボルドーの年間の気温と降水量

 ボルドーの気候の特徴は冬はかなり温暖ではあるが夏の気温もそこまで高くはならず、降水量も年間を通してほぼ一定であることです。ボルドーは気候の分類では西岸海洋性気候(Cfb)に属しており、この気候はまさにボルドーのような気候を示し、高緯度の大陸西岸によく見られます。

 また、真夏でも最低気温は16 ℃を少し下回る程度なので熱帯夜になることはまずありません。そして、冬場でも気温が高いため、そこまで防寒に気を配る必要はありませんが高緯度の大陸に位置しているため、極まれに強力な寒波が来ることもあり、過去には氷点下16.4 ℃にまで気温が低下したことがあります(ちなみに意外かもしれませんが過去に熊谷以上の気温になったこともある)。

 そのため、極まれではあるが極端に気温が下がることもあるため、いつも温暖というわけではありませんがこの氷点下16.4 ℃という気温はハルビンの中ではかなり暖かい方であり、ハルビンでは真冬になると普通に氷点下20 ℃を下回ります

 

 そして、ここからはハルビンについて書いていきます。ハルビンは中国の中でもとりわけ寒い満州に位置している大都市であり、人口は満州最大であります。しかし、大都市といえども気温はとてつもなく寒く、北海道が暖かく感じるほどです。

 ハルビン北緯45度45分、東経126度38分に位置しており、緯度だけで見るとボルドーとほぼ変わりません。

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日本とも近いハルビン

 また、ハルビンは日本とも位置がかなり近く、意外かもしれませんが東京-那覇間の距離と東京-ハルビン間の距離はほぼ同じです(つまり、東京は台湾よりもハルビンの方が近い)。つまり、ハルビンは日本にとってかなり身近な場所であり、一見すると日本に似たような気候になっているようにも感じられます。

 しかし、日本とハルビンの間には暖流の流れている日本海があり、この日本海の暖流が日本の気候を温暖にしています。けれどもハルビン満州の奥地、強いてはシベリアの極寒の季節風が直接当たるためとてつもなく寒く、というよりも痛さとなっており、実際にハルビンの気温は以下のように凄まじいものとなっています。

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ハルビンの年間の気温と降水量

 ハルビンは真冬の気温が尋常ではないほど低く、特に真冬である1月は平均最低気温が氷点下23 ℃、最高気温でさえ氷点下12 ℃と日本ではあり得ないような気温となっており、平均最高気温が氷点下の月が11~2月と4ヶ月もあります。

 しかし、夏場の気温は意外に高く、特に真夏である7月の平均最高気温は28 ℃、最低気温も19 ℃とかなり温暖な気候となります。更に真夏は極端に気温が低下することもなく、過去の記録を見渡しても7月の最低気温の記録は10 ℃を少し下回ったほどであります。

 このようにハルビンは非常に寒暖差の激しい気候となっており、夏が過ぎるといきなり冬のような気候となるため、日本のような四季は無いといえます(しかし、日本も近年秋が無いようにも思えるが...)。

 また、気温だけでは無く降水量もかなり極端なものとなっており、冬場の降水量は非常に少なくなっているが夏場はかなり多く、これは冬場になるとシベリア高気圧に覆われるからであります。

 このような気候のことを冷帯冬季少雨気候(Dw)と言い、ハルビンはこの中でも夏場の気温が高いため、夏場の気温が高いことを示すaの符号がつくDwaという気候区分になります。

 

 最後にボルドーハルビンの気温、および降水量を比較します。

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ハルビンは降水量も気温も季節によって明白に異なっている

 ボルドーは季節による気温の差は小さく、降水量に関しては更に小さくなっているがハルビンはどちらも非常に両極端なものとなっており、グラフの形状を見ても明らかです。また、年平均気温は言うまでもありませんがハルビンの方がかなり低く、ボルドーの最寒月(1月)の平均気温>ハルビンの年平均気温(1年間の気温の平均値)となっています。

 また、1年の合計降水量もハルビンの方が少なく、ハルビンボルドーの7分の4程度しか雨が降りません。

 このようにハルビンボルドーでは同じ緯度でも気候は全くといってもよいほど異なっており、夏はハルビンの方が暑く降水量が多いにもかかわらず冬の寒さ、雨の少なさから総合的に見てもハルビンの方が気温も降水量も低い値となっています。