DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

世界で最も珍しい気候はどのような気候なのだろうか?

 今日は世界で最も珍しい気候について書いて行く。

目次

1. 気候の種類

1.1 大まかな気候

 気候は大きく分けると年中気温の高い熱帯(A), 降水量の少ない乾燥帯(B), 冬がそこそこ寒い温帯(C), 冬が極端に寒い冷帯(D), 年中寒い寒帯(E)の5種類がある。そして、日本の気候は温帯が中心となっており、北海道のみが冷帯となっている。しかし、高山では本州でも冷帯が見られたり、富士山頂や大雪山では寒帯、石垣島では熱帯となっている。そのため、日本の気候は非常に多様であり、熱帯、温帯、冷帯の3種の気候を有している国は日本以外にはアメリカと中国しかない。

 けれども日本はモンスーン気候のため全域で降水量が多く、乾燥帯に相当する地域は一切存在しない。また、鳥取砂丘は一見すると砂漠のように見えるがあくまで温暖湿潤気候に存在している砂丘なだけであり、降水量はかなり多い。

 このように日本国内には乾燥帯以外の気候が存在しているがこの5種類の気候も更に細分化することが出来る。

1.2 気候の細分化

 気候は5種類あるがこれらの気候は更に細分化がされている。しかし、気候によって細分化されている数は異なっており、熱帯は3種類、乾燥帯は4種類、温帯は9種類、冷帯は12種類、そして寒帯は2種類に細分化がされている。

1.2.1 熱帯

 初めに熱帯から書いて行きたいと思う。熱帯は年中気温が高いため(最寒月の平均気温が18 ℃以上)、季節が明白となっておらず、降水量で細分化がされている。その細分方法は以下の表の通りである。

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熱帯気候の細分化

 熱帯気候は上図のように細分化され、Afは年中降水が多く、Awは月によって降水の差が激しく、AmはAfとAwの中間的な性質となっている。そして、日本には非常に場所が限られているがAfとAwが存在しており、前者は石垣島、後者は南鳥島の気候である。

1.2.2 乾燥帯

 乾燥帯は大まかに分けると降水量が極端に少ない砂漠気候(BW)とそこそこあるステップ気候(BS)の2通りに分けられ、更に年平均気温によって2つに細分化される。年平均気温が18 ℃以上の場合は高温型(h)、18 ℃未満の場合は低温型(k)となる。

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 乾燥帯はどの気候でも世界的に見られる気候であり、特に珍しいものは無いが全域が湿潤な日本国内にはこの気候は見られない。また、高温型は亜熱帯気候のものが多く、低温型は温帯から冷帯性の気候となっている。前者はアラビアからサハラに多く見られる気候であり、後者はタクラマカン、ゴビに存在しており、日較差、年較差ともに高いという特徴がある。

1.2.3 温帯

 温帯は中緯度から高緯度に見られる気候であり、最寒月の平均気温がマイナス3~18 ℃となっている。そして、温帯は日本で多く見られる気候であり、以下の様に細分化がされている。

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 温帯は細分化すると上図の様になっており、ここで条件を書くと非常にややこしくなるため、ここでは省略する。そして、日本ではCfa, Cwa, Cfbの3通りの気候が見られるがほぼ全てがCfa型であり、CfbやCwaはかなり珍しいものとなっている。しかし、世界的に見るとこれらの気候は特に珍しいものではなく、長冬季型であるc気候のみ珍しい気候となっている。その理由は温帯は冬場の気温が比較的高く、更にc気候は冬場が長くなる必要があるからである。そのため、この気候は高緯度であるかつ年較差が小さくなる必要があり、このような条件に当てはまる場所は低緯度の高山や高緯度の海洋側にのみ限られる。ちなみに前者はCwcが多く、後者にはCfcが多い。

1.2.4 冷帯 

 冷帯は気温の高い夏と過酷な冬を有する気候であり(最寒月の平均気温がマイナス3 ℃未満)、北半球のみに見られる気候である。日本は北海道が冷帯となっており、他にも高標高の場所に冷帯がある。そして、冷帯は最も多く細分化が出来る気候であり、12通りにまで細分化がされている。

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  冷帯気候は冬場の気温が低いため、温帯の条件に加えて冬季の気温が極端に低いd型が加わっている。そのため、冷帯には様々なタイプが見られる。しかし、冷帯気候の大半はDfb, Dfc気候であり、北海道の気候も大半がDfb気候となっている。

 しかし、東シベリアにはDwタイプも主要な気候となっており、珍しい気候はDs気候のみである。その理由は冬場が寒い冷帯の降水量は必然的に夏場に集中するからであり、夏場の降水量の少ないDs型は非常に珍しいからである。そのため、この気候はCs気候の高標高の地域で主に見られるために高地地中海性気候と呼ばれている。

 更に冬季極寒型のdはアジアの北東部のみに見られる非常に珍しいタイプであり、総合的に見てみるとDsd気候が最も珍しいものとなっている。

1.2.5 寒帯

 寒帯は最も高緯度側に見られる気候であるがこの気候の条件は夏場の気温が上がらないことなので低緯度の高山にも見られる。そして、寒帯は単純に夏場の気温だけで細分化がされているため、たったの2通りにしか細分化がされていない。

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  寒帯は最暖月の平均気温がプラスのツンドラ気候(ET)と氷点下の氷雪気候(EF)の2通りであり、降水量に関しては特に言及がされていない。また、ツンドラ気候は富士山頂や大雪山などに見られるがもはやこれだと点範囲でしか無いため、日本に寒帯があるとは明白にいえない。ツンドラ気候は主に南極半島、グリーンランド沿岸、北極海沿岸などに見られ、他にも高山にも見られる。

 その一方で氷雪気候はグリーンランドの内陸部や南極大陸のほぼ全域で見られるため、両者ともに珍しい気候ではない。

 以上が全気候の細分化について書いてきたが次章では地球で最も珍しい気候について記載していく。

2. 非常に珍しい気候

2.1 Csc気候

 世界の気候を細分化すると非常に多くの種類があるがその割合は一定ではない。例えば温暖湿潤気候(Cfa)は日本のほぼ全域で見られ、サバナ気候(Aw)は世界中に広範囲に渡り分布している。しかし、気候の中には非常に珍しいタイプの気候が存在しており、特に夏に降水量の少ないs型の気候は稀である。

 降水量は基本的に夏のほうが多くなる。その理由は気温が低いと飽和水蒸気量が下がる上に大気が重くなる関係で気圧が上昇するからである。気圧が上昇すると天候は安定し、冬場になると東アジアに生じるシベリア高気圧がその典型的な例である。

 しかし、夏場に降水量が少なくなる地域も少なからず存在しており、それは緯度30~40度当たりの大陸西岸である。これらの地域は夏場になると大規模な砂漠を形成する亜熱帯高圧帯がかかるようになり、降水量が極端に少なくなる。その一方で冬場になると亜熱帯高圧帯が低緯度側に移動するため、降水量が比較的多くなる。

 また、これらの地域は同緯度の大陸東岸の地域と比較して冬場の気温が高い亜熱帯性の気候をしており、更に夏場の気温が高いため、気候で分類するとCsa気候となっている。しかし、サンフランシスコのように沿岸部に寒流が流れていると夏場の気温が低なり、このような場合は夏場の気温がそこまで高くないCsb気候となる。

 けれども短い夏を有するタイプであるCc気候は高緯度の海洋部のみに見られる気候であり、このような地域では月別の降水量に大差がない。例えばアイスランドのレイキャビクやアルゼンチンのウシュアイアはCc気候であるがこれらの場所の緯度は55~65度と高く、当然これほど緯度が高いと亜熱帯高圧帯の影響を受けないため、気候は年中湿潤型のCfcとなる。

 このことより、Csc気候は亜熱帯高圧帯ではなく、地形の影響を受ける気候でなければならず、更に高緯度の海洋部に位置していなければならない。そのため、Csc気候は世界的に見ても非常に珍しい気候となっている。しかし、全く存在しないわけでは無く、南米大陸にこの気候は存在している。その場所とはチリのバルマセダ(Balmaceda)と言う村である。

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 Cscのは以下の条件を満たす気候である。

  • 最暖月の平均気温が10 ℃以上であるかつ最寒月の平均気温がマイナス3~18 ℃(温帯Cの条件)
  • 乾燥限界以上の降水量を有する (乾燥帯ではない)
  • 冬場の最大降水月の降水量が夏場の最小降水月の降水量の3倍以上であるかつ最小降水月の降水量が30 mm未満 (夏季少雨型sの条件)
  • 10 ℃以上の月が1~3カ月であるかつ最暖月の平均気温が10~22 ℃(cの条件)

 バルマセダの最暖月の平均気温は12.1 ℃、最寒月の平均気温は0 ℃であるかつ年降水量が乾燥限界である128 mmを上回っているため、温帯に当てはまる。また、最大降水月は冬場の6月の82.7 mm、最小降水月は夏場の2月の20.2 mmであり、2月の降水量は6月の3分の1にも満たないため、夏季少雨型である。更に10 ℃以上の月は3カ月しか無いため、c気候の条件にも当てはまっている。

 以上より、バルマセダはCsc気候に当てはまっていることが分かる。

 ちなみに他のCc気候であるCfcは前述したようにレイキャビクやウシュアイアに当てはまり、Cwc気候は高山のサバナ気候であるラパスなどが当てはまっている。

2.2 Dsd気候

 Csc気候は非常に珍しい気候であるものの存在している場所はある。しかし、存在自体が疑問視されている気候もあり、その気候とはDsd気候である。その理由はこの気候の条件に問題があるからであり、特に3文字目のdに問題がある。

 これは最寒月の平均気温がマイナス38 ℃を下回っている必要があり、この気候は北東アジアのみに見られる気候である。この気候に当てはまっている場所には世界一寒い都市ヤクーツク(最寒月の平均気温がマイナス38.6 ℃)や北半球の寒極オイミャコン(最寒月の平均気温がマイナス46.4 ℃)などがある。

 更に先ほども書いたように降水量は気温が極端に低いと極端に少なくなり、実際にヤクーツクやオイミャコンの冬の降水量はゼロに近くなっている。加えて、s気候は冬場の降水量が夏場の3倍を上回らなければならない。当然、最寒月の平均気温がマイナス38 ℃を下回る場所では降水量は非常に少なくなるため、夏場の降水量が限りなくゼロにならなければいけない。そのため、Dsd気候の降水量は砂漠並に少なくなる必要がある。また、これだと乾燥限界を下回りそうに見えるがその心配はなく、何故ならこれほどにまで気温が低下すると乾燥限界が余裕でマイナスに突入するからである。そのため、降水量がゼロでも乾燥帯にはならず、冷帯の状態でいることが出来る。

 しかし、この冷帯であるという条件が非常に問題となっており、冷帯は夏場の気温がそこそこ高い必要がある。つまり、この気候の問題点は以下の様になっており、非常にハードルが高くなっている。

  • 冷帯ゆえに最暖月の平均気温が10 ℃を上回る必要があり、寒帯である南極ではこの気候にはならない
  • 更に必然的に冬場の降水量が極端に少なくなるため、気温の高い夏場の降水量が極端な話、ひと月の合計で1~3 mm程度に制限される

 このような条件になるには内陸部に位置する必要があり、d気候は北東アジアにしか無いため、北東アジアを調べるしかない。しかし、筆者はこの気候を未だに発見できておらず、実際に存在するかどうかさえ怪しいほどである。

 以上より、世界で最も珍しい気候はDsd気候であり、その存在があるかどうかも怪しいほどである。

 

参考文献

Balmaceda, Chile Wikipedia (バルマセダの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Balmaceda,_Chile