DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

厚い大気と海を有する唯一の太陽系の衛星 タイタン

 今回は太陽系の中でもとりわけ大きな衛星であるタイタンについて書いて行きたいと思う。

目次

1. 水星より直径の大きな衛星 タイタン

1.1 大きいが軽いタイタン

 タイタン(Titan)とは土星の衛星であり、太陽系の天体の中でも非常に大きな部類に入る。では、どれほど大きいかと言うと太陽系の中では太陽, 木星, 土星, 天王星, 海王星, 地球, 金星, 火星, ガニメデに次いで大きく、衛星でありながら惑星である水星の大きさを若干超えているほどである。

 つまり、タイタンは直径の面では惑星である水星を下剋上している形となるが質量に関しては水星の半分も無く、かなり密度の小さな天体であることが分かる。そのため、タイタンがもし土星の衛星ではなく太陽の周りを直接公転する惑星であったとしてもおそらくではあるが惑星として認められている可能性はかなり低いと考えられる(冥王星ののような準惑星となっている可能性が高い)。

 その理由は単に密度が小さいだけではなく、タイタンが地球型惑星とは明らかに異なる構造をしているからであり、実際この構造の違いがタイタンの密度の小ささに直結していると言える。

 例えば水星は直径こそ小さいものの構造は地球型惑星そのものとなっており、密度に関しても地球の密度とほぼ同じとなっている。しかし、冥王星は地球型惑星とは明らかに異なった構造をしているため、密度は地球や水星と比較してもかなり小さく、更に直径もタイタンとは違い月よりも小さいので76年間もの間惑星として認められていたほうが不思議と感じるほどである。

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タイタンと地球と水星の比較図

 タイタンの密度は地球と比較すると明らかに小さいが水星の密度は地球とほぼ同じなので地球はタイタンよりも水星のほうに明らかに近い惑星である。

 そのため、タイタンは大きさこそ大きいものの地球型惑星とは明らかに異なっており、実際にタイタンの位置は地球型惑星の位置と比較すると明らかに太陽からは遠い位置にある。

1.2 タイタンの構造

 ここからはタイタンの構造について書いて行きたいと思う、タイタンは先ほども書いたように地球型惑星と比較すると明らかに密度が小さく、その理由はタイタンの構成元素が地球とは大きく異なるからである。

 地球は中心近くと表面近くでは恒星元素が大きく異なっており、表面からマントルにかけては岩石が中心となっているため、ケイ素と酸素の割合が大きくなっており、次いでアルミニウム, 鉄が多い形となっている。

 しかし、地球の核は鉄が大部分を占めており、次いでニッケルが多い形となっているので地球全体で見てみると鉄が最も多く、次いで酸素, ケイ素の順に大きくなっている。

 そのため、地球全体で見てみると鉄, 岩石(酸素, ケイ素)の割合が大きく、これらの密度は大きいため、地球の密度は太陽系の天体の中で最も大きくなっている。

 また、水星も同じように鉄や岩石が中心となっている惑星であるため密度が大きく、更に鉄の割合に関しては地球を上回っているほどである。しかし、水星は地球と比較すると重力が小さいため、地球ほど物質が圧縮されておらず、水星の密度は地球よりも若干小さくなっている。

 そのため、もし水星の成分が今と変わらないまま地球と同じ直径になると密度は地球よりも大きくなると考えられる。

 ここまでは地球型惑星の恒星元素について書いてきたがここからはタイタンの恒星元素について書いて行きたいと思う。

 タイタンは地球と同じように岩石を主としているが構造は明らか異なっており、地球型惑星の場合は鉄が中心核となっているがタイタンは水を含んだケイ酸塩(岩石の成分)の核となっている。

 このことより、タイタンは岩石が核となった構造をしており、岩石は鉄と比較すると密度がかなり小さいので結果としてタイタンの密度は地球の35 %程度しかない形となっている。

2. 厚い大気と海を有する衛星

2.1 多くの大気を有する衛星

 タイタンは土星の衛星であり、直径も大きいがそれ以上に大きな特徴がある。それは非常に厚い大気を有していることであり、タイタンの大気圧は地球よりも大きくなっている。

 では、どれほどの大気圧かと言うと1,467 ヘクトパスカル、地球の1.45倍ほどである。しかし、実際にタイタンに含まれている単位面積当たりの大気の量は地球とは比較にならないほど多く、地球の場合は1 ㎡当たり10.34 tの大気があるタイタンの場合は同じ面積に108.5 t分の大気がある。

 しかし、タイタンの大気圧は地球の1.45倍しか無く、とても地球の10倍強もの大気など無さそうに見えるがその理由はタイタンの重力が弱いからである。

 タイタンの表面重力は地球の14 %しかなく、この大きさは月の表面重力をわずかに下回るほどである。そのため、地球上では100 kgと測定された物体もタイタンに持っていくと14 kgにしかならない。

 けれどもタイタンに持って行ったからと言ってその物体の質量が小さくなったわけでは無く、単純に重さが小さくなっただけである。重さとは力のことであり、力とは質量に加速度をかけた値であるため、質量が変わらなくても重力加速度が変われば当然重さは小さくなる。

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地球上とタイタン状での重さの違い

 体重計で量られる値は正確には重さであり質量では無いため、体重100 kg(重すぎる気がするが)の場合は目盛こそ100 kgであるが実際には980 Nとして測られているのである。そのため、タイタンに地球基準の体重計を持っていくと重さは135.2 Nとなり、これを9.8で割った値が体重計に示されるので体重計には14 kgと示されるようになる。

 そして、圧力は力を面積で割った値、つまり重さに依存する力であるため当然重力加速度の影響を受け、重力加速度の小さなタイタンでは同じ質量の大気でも地球の14 %分の圧力にしかならないのである。

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1 ㎡当たりの大気の質量と力

 タイタンは単位面積当たりに地球の10倍以上の質量の大気があるが重力は小さいので大気圧自体はそこまで大きくならない。

2.2 タイタンの大気組成

 地球の大気組成は窒素78.08 %, 酸素20.95 %, アルゴン0.93%, 二酸化炭素0.04 %となっており、酸素の割合が非常に大きいことが特徴である。

 しかし、タイタンの場合は窒素の割合が非常に大きなことは共通ではあるが酸素は大気中には含まれておらず、大気のほぼ全てが窒素となっている。そして、窒素以外にはメタン, 水素が若干含まれている程度であり、地球の大気とは78.08 %は共通しているもののそれは全て窒素である。

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タイタンと地球の大気組成

 タイタンには酸素が一切含まれていないので地球上の生命体は存在できず、更に窒素はかなり安定したガスであるため、窒素だけで呼吸することはかなり困難と考えられる。

 そのため、タイタンには生命体はいないと考えられ、いたとしても細菌のような簡単な構造をした生命体に限定されるがそれでも歴史がひっくり返るような発見となる。

 また、先ほども書いたようにタイタンには地球の10倍以上の質量のガスが単位面積当たりにある上にタイタンの表面積は地球の16 %ほどもあるため、タイタンに存在している大気の総質量は地球のものを上回っている

 つまり、タイタンには地球の大気の量をも上回る莫大な量の窒素が存在しており、金星が二酸化炭素の惑星であるならばタイタンは窒素の惑星と言える(当然金星と比較するとかなり少ないが)。

2.3 海のあるタイタン

 最後にタイタンの海について書いて行きたいと思う。地球にはH2Oを主成分とする海があるが実はタイタンにも海がある。しかし、当然ではあるがタイタンの表面温度は太陽からの距離が非常に遠いために極めて低くなっており、わずかマイナス180 ℃ほどしか無い。

 そのため、H2Oの融点を軽々と下回っているので当然H2Oの海は存在しておらず、タイタンの海はCH4、つまりメタンである。

 メタンとは最も簡単な構造をした炭化水素であり、炭素がただ一つ存在している唯一の炭化水素である。そして、メタンは地球上では液体ではなく気体として存在しているがタイタンの表面温度はメタンの融点よりか高く沸点より低いため液体として存在しており、更にこのメタンの量は非常に多いのでタイタンの表面はメタンの海でおおわれている。

 更に驚くべきことにタイタンの表面ではメタンが川を作り雨となって降り注ぐ環境となっており、まるで地球の海や川のような状態になっている。つまり、タイタンでは地球と同じように気象現象が発生しており、更にこの現象の中心となっている物質が地球上では天然ガスとなっているメタンであることを考えると到底信じられないようにも思える。

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地球とタイタンの雨

 タイタンでは温度が非常に低いためメタンの雨が降っており、更にタイタンの表面温度はメタンの融点に近いため、場所によってはメタンの雪が降っている可能性さえもある(タイタンの大気圧は地球よりも大きいため、融点も若干変化しそうであるが)。

 このようにタイタンには莫大な量の大気以外にもメタンによる海もあり、更に気象現象も起こっていることも考えると非常に面白い衛星と言える。

 以上、タイタンについてでした。