DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

太陽系から遠ざかりつつある探査機ボイジャー 長い年月を経ると...

 今回は地球から最も遠くに位置している人工物であるボイジャーについて書いて行きたいと思う。

目次

1. ボイジャー

1.1 ボイジャー1号

 ボイジャー(Voyager)とは太陽系の惑星の探査を目的とした探査機のことであり、1号と2号の2つがある。そして、ボイジャーはあらゆる探査機の中で最も偉業を達成した探査機であり、その理由は太陽系の惑星の鮮明な画像の撮影に成功したからである。

 更にボイジャーは人工物の中では最も遠くに位置しており、その距離は200億km前後にも及ぶ。

 そのため、ボイジャーは他の探査機とは一線も二線も画しており、地球から打ち上げられた人工物としてはハッブル宇宙望遠鏡と並んで最も偉大なものだと筆者は考えている。

 まず初めにボイジャー1号から書いて行きたいと思う。ボイジャー一号は1977年9月5日に打ち上げられた探査機であり、41年もの間宇宙空間を漂い続けている。当然ではあるがボイジャー1号はただ宇宙空間を漂っているだけではなく木星と土星の鮮明な画像の撮影に成功しており、木星には打ち上げられてから1.5年後、土星には2年2か月後に最接近をしている。

 そして、ボイジャー1号が撮影した天体は木星内にある超巨大台風「大赤斑」, 木星で三番目に大きな衛星「イオ」, 二番目に大きな衛星「カリスト」, 土星, 土星の衛星「タイタン」などがある。

 特にイオとタイタンに関しては大きな発見をしており、前者は火山活動、後者に関しては濃い大気を観測しており、ボイジャー1号の観測は太陽系の惑星, 衛星に関して大きな発見となった。

 そして、土星を過ぎた後は天王星, 海王星に接近することも無く太陽系から離れつつあり、現在は太陽系から200億 km以上も離れた所を漂い続けている。

 このようにボイジャー1号は太陽系の惑星の探査において非常に大きな功績を残しているが次に紹介するボイジャー2号も非常に大きな功績を残している。

1.2 ボイジャー2号

 ボイジャー2号はボイジャー1号の後に打ち上げられていそうであるが実際には1号よりも先に打ち上げられており、こちらは1977年8月20日に打ち上げられている。つまり、2号は1号よりも16日も早く打ち上げられていることとなる。

 そして、ボイジャー2号の最大の業績は天王星と海王星の撮影であり、天王星も海王星も地球から見た明るさがかなり暗く、特に海王星に至っては7.9等と地球から観測できないほど暗い。

 そのため、天王星も海王星も発見は他の惑星よりもかなり遅く、どのような惑星であるかは不明であった。しかし、ボイジャー2号の探査によってその詳細な姿が明らかとなり、この探査のおかげで天王星と海王星の実在が明白に分かるようになった。

 更にボイジャー2号は天王星と海王星以外にも木星と土星にも接近していたため、計4つの惑星の探査に成功したこととなる。

 以上のことよりボイジャー2号は1号以上、と言うよりも1号とは比べ物にならないほどの活躍をしており、以下の様な業績を果たした。

  • 木星の大赤斑の反時計回りの発見
  • 木星の新たな衛星であるアドラステアの発見
  • 土星の温度が内部に行くにつれて上昇していることの発見
  • 天王星の環の形成要因
  • 天王星の数多くの衛星の発見
  • 海王星の数多くの衛星の発見
  • 海王星の大暗斑の発見

 このようにボイジャー2号は数多くの発見をしており、これ以外にも多数の発見を果たした。

 ちなみにボイジャー2号は当初は土星までの探査で終わらせる予定であったが惑星の配置が175年に1度の良配列となっていたため急遽天王星と海王星の探査も加えることとなった。更にボイジャー2号の探査では天王星と海王星のほうが有名である上にこちらの貢献のほうが大きいため、ボイジャー2号は非常に運に恵まれた探査機と言える。

 以上がボイジャー2号の貢献であり、ボイジャー2号は惑星の配列に恵まれていたおかげで1号以上に大きな貢献を果たした探査機となった。

1.3 ゴールデンレコード

 ボイジャーは最も偉大な探査機であるがもう一つ重要なことがある。それは内部に搭載されている黄金のレコード(Golden Record)であり、このレコードには地球外生命体に向けたメッセージが書かれている。

 では、どのようなことが書かれているかと言うと「動物の鳴き声」「55か国語のあいさつ」「様々な国の音楽」などであり、更に時代の特定ができるようにウラン238で表面を覆っている。

 そのため、ボイジャー1, 2号には地球の特徴と時代を分かるための工夫がされており、55か国語のあいさつの中には英語や中国語のような話者の多い言語以外にも日本語も入っている

 しかし、このような異星人に向けてのメッセージはボイジャーが初めてではなくボイジャーよりも数年前に打ち上げられたパイオニア探査機(10,11号)にも搭載されている。けれどもボイジャーのレコードはパイオニアに掲載された金属板とはことなり、再生が可能となっており、質に関してはボイジャーのレコードのほうが上回っているため、宇宙人にとってはこちらのほうが有益と言える。

 以上がボイジャーの活躍と搭載物についてでしたがここからはボイジャーの距離について書いて行きたいと思う。

2. ボイジャーの将来と夜空

2.1 ボイジャーの地球からの距離

 ボイジャーは現在地球からは非常に遠くに位置しており、2018年12月8日時点で1号は144.14天文単位, 2号は119.96天文単位離れている。1天文単位は1.496億 kmであるので1号は㎞に換算すると215億6334万4千 km, 2号は179億4601億6千 kmも離れていることとなる。

 つまり、ボイジャーは地球から非常に離れた位置にあることが分かり、現在も秒速17 kmほどの速度で太陽系から遠ざかっている。

 しかし、この距離も光年に換算すると非常に短くなり、1号は0.002279309光年, 2号は0.001896947光年と1光年はおろか1光日にも届かないほどである。このことよりボイジャーは地球からの距離は非常に遠いものの天文学的に見てみるとかなり近距離に位置していることが分かり、実際に1光年進むには現在の速度だと1号は17,600年, 2号は19,600年程度かかる計算となる。

 つまり、ボイジャーが別の恒星にたどり着くまでは数十万年もの時間が必要となり、他の惑星にメッセージが運よく届いたとしても人類が生存している可能性はかなり低いと考えられる。

 このようにボイジャーは非常に遠くに位置しているが他の恒星から見てみるとまだ地球の近辺に位置しているだけに過ぎず、非常に近距離しか進んでいないように見えるが数万年後ともなると地球から無視できないほどにまで離れるようになる。

2.2 ボイジャーの今後

2.2.1 1号の未来

 ボイジャー1号は2号と比べると10%ほど速く進んでいるので太陽系を脱出するのにかかる時間は2号ほどはかからない。しかし、それでも莫大な時間を有することには変わりはなく、4万年後になってグリーゼ445(Gliese 445)と言う恒星に1.7光年まで近づくようになる。

 グリーゼ445は太陽系から17.418光年ほど離れた所にある小さな恒星であり、地球から見た明るさは10.79等にしかすぎない。そのため、グリーゼ445を地球から観測することは不可能である。

 しかしボイジャー1号がグリーゼ445に接近する時はギリギリ見えるほどにまで明るくなり、その明るさは5.74等とようやく見える程度の明るさである。

 ちなみにグリーゼ445はきりん座に位置している恒星であり、位置は以下の図の通りである。

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 グリーゼ445は天の北極に近い位置にあり、北極星と北斗七星の間に挟まれた所にある。そのため、東京からだと一年中観測することが可能であるが先ほども書いた通り、あまりにも暗すぎるために地球からは肉眼で観測することは不可能であり、肉眼で観測するには4万年後のボイジャー1号程度にまで近づかなければならない。

 また、ボイジャー1号が近づいても5.74等程度の明るさなのでこの時点でも太陽のほうが普通に明るく見え、更にグリーゼ445は4.5万年後には太陽系から3.44光年先まで接近するため、4万年後のボイジャー1号から見た太陽の明るさはシリウスの明るさ程度に見えると考えられる。

 ちなみに現在のグリーゼ445から太陽を観測すると3.47等星として観測することが可能であり、みずへび座の比較的明るい恒星として見ることが出来る。

 そして、その後はグリーゼ445からも遠ざかるようになり、ボイジャー1号は更に遠くに行くと考えられる。

2.2.2 2号の未来

 次にボイジャー2号の未来について書いて行きたいと思う。ボイジャー2号は現在地球から180億kmほど離れており、この距離は太陽がカノープスであった時、カノープスが太陽と同じぐらいに見えるほどの明るさである。

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 カノープスは太陽系から309.16光年離れた所に位置している超巨星であり、りゅうこつ座のα星である。そして、カノープスはこれほどの距離を隔てているにもかかわらず全天で二番目に明るい恒星であり、絶対等級もマイナス5.6等と太陽の1.5万倍程度と非常に明るい。

 しかし、太陽がカノープスであったとしてもボイジャー2号からは現在の太陽程度の明るさでしか見えず、先ほどは天文学的に見て近いと書いたがカノープス程度の恒星が太陽程度の明るさでしか見えないと書くと非常に離れているように見える。

 ちなみにボイジャー2号から見た太陽の明るさはマイナス16.34等, 1号から見た明るさはマイナス15.95等となっており、カノープスが太陽であった時は地球から見た太陽程度の明るさとなっていることを考えると太陽がカノープスと比べるとかなり暗いことが分かる。

 以上が現在のボイジャー2号の明るさについてでしたがここからは2号の将来について書いて行きたいと思う。

 ボイジャー2号は今後、シリウスに近づくと考えられており、こちらは約30万年後と1号と比較するとかなり遅くではあるがシリウスから4光年程度にまで近づくと考えられている。

 そして、現在シリウスの明るさはマイナス1.47等とどの恒星よりも明るく見え、こちらはカノープスとは異なり8.6光年と近場にある。そのため、シリウス自体は大して明るい恒星では無いが太陽と比較するとかなり明るい恒星であり、その明るさは太陽の23倍にも及ぶ。

 また、当然ではあるが4光年はシリウスの現在の距離の半分にも満たない距離であるため、30万年後の2号機からはシリウスは現在地球から見ている明るさよりも明るく見えるようになり、その明るさはマイナス3.13等と太陽を1光年先から見た明るさよりも明るくなる。

 このように2号機からは30万年後となるが非常に明るいシリウスを観測することが出来るようになり、ここまで時間を経ると太陽から1光年以上離れるようになるため、太陽よりも明るいシリウスを観測できるようになる。

 以上がボイジャーの未来であり、長い年月はかかるもののボイジャーからは現在地球から見える星空よりも明るい夜空を観測できるようになる。

 以上、ボイジャーについてでした。

 

参考文献

Voyager - Mission Status (現在のボイジャーまでの距離)

https://voyager.jpl.nasa.gov/mission/status/#sfos