DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

世界最南の砂漠パタゴニア 南部は夏でも気温が低く降水量も多い

 今回は世界最南の砂漠であるパタゴニアについて書いて行きたいと思う。

目次

1. パタゴニア

 パタゴニア(Patagonia)とは南米に位置している地域であり、南米に位置している大河, コロラド川よりも南の地域のことを指す。そのため、パタゴニアの緯度は北端は南緯40°程度、南端に至っては南緯55°程度とかなり高緯度側に位置しているのでパタゴニアは南極を除くと世界で最も南に位置している地域となっている。

 また、パタゴニアはチリとアルゼンチンの2つの国にまたがっており、アンデス山脈によって国境が隔てられているがこのアンデス山脈の影響で気候がチリ側とアルゼンチン側では全く異なったものとなっている。

 では、どのように異なっているかと言うとチリ側では湿潤な気候となっているがアルゼンチン側ではかなり乾燥した気候となっており、地域によっては砂漠と化している所さえあるほどである。

 この理由は湿潤な偏西風がアンデス山脈を超える時にチリ側で降水をもたらした後に乾いた風がアルゼンチン側に流れ込むからである。そのため、アルゼンチン側では湿気の無い風がアンデス山脈からもたらされるようになり、この結果アルゼンチン側では降水量が非常に少なくなるのである(下の図を参照)。

 このような現象のことを雨陰と言い、雨陰が原因となって起こる砂漠は雨陰砂漠と呼ばれている。

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パタゴニアの雨陰

 このようにパタゴニアはアンデスの西と東では全く気候が異なっており、アルゼンチン側のほうはかなり乾燥した状態となっている。

2. 暑くない砂漠

2.1 砂漠の分類

 パタゴニア(アルゼンチン側)は雨陰となっているので非常に乾燥しており、場所によっては砂漠と化している所さえあるほどである。しかし、パタゴニアは一般的に想像する灼熱の砂漠とは異なり、緯度の低い北部ではそこそこ暑くなるが南部では気温が夏でも低めとなっている。

 その理由の一つとしてパタゴニアが高緯度に位置していることが挙げられるがその前に砂漠の分類について書いて行きたいと思う。

 砂漠は大きく分けると4種類に分類され、以下の様になっている。

  1. 亜熱帯砂漠
  2. 寒流砂漠
  3. 内陸砂漠
  4. 雨陰砂漠

 この中で灼熱の砂漠に該当するものは1の亜熱帯砂漠であり、このタイプの砂漠はその名の通り、低緯度の亜熱帯地域(緯度20~30°当たり)に位置しているが亜熱帯だけではなく、熱帯の領域にまで広がっている。

 そのため、亜熱帯砂漠の夏場の気温は極端に高くなっており、40 ℃以上が当たり前となっている所さえあるほどである。

 亜熱帯砂漠の代表例はサハラ-アラビア砂漠(サハラ砂漠とアラビア半島を便宜上一つの砂漠として見ている)であり、この砂漠は北アフリカから西アジアにかけての広範囲に広がっている世界最大の砂漠である。そして、サハラ-アラビア砂漠の緯度は北緯12~33°当たりと低緯度であり、北部は亜熱帯から温帯性の気温となっているが南部では年中気温の高い熱帯性の気候となっている。

 しかし、これらの地域は普通の熱帯や亜熱帯とは異なり、夏場の気温が極端に高くなっており、最暖月の平均気温が30 ℃を超えることが当たり前となっている。

 更に亜熱帯砂漠は最も面積の広い砂漠であるため、「砂漠=灼熱」のイメージが定着しているが2の寒流砂漠は砂漠であるにもかかわらず気温は高くはならない。

 寒流砂漠はアフリカ西部や南米西部に位置している砂漠であり、緯度的に見ると亜熱帯砂漠と変わりは無いが気温に関してはかなり低くなっている。その理由はこのタイプの砂漠は寒流によって生じるからである。

 では、何故寒流が流れていると砂漠になるかと言うと寒流によって空気が冷やされるからであり、空気が冷やされるということは空気が重くなり、高気圧が生じるようになる。その結果、大気が安定するようになり、結果として降水が起こらなくなる。

 そして、この砂漠の代表的な場所としてはペルーの首都のリマがあり、リマの降水量は世界の首都の中では最も少ないと言われているほどである。

 ここまでは低緯度の砂漠について書いてきたがここからはパタゴニアのような高緯度の砂漠について書いて行きたいと思う。

2.2 高緯度の砂漠

 パタゴニアは世界で最も南に位置している砂漠であるが反対に世界で最も北に位置している砂漠はどこなのだろうか?

 その答えはゴビ砂漠であり、ゴビ砂漠は中国の北部からモンゴルの南部にかけて広がっている砂漠である(中央アジアの砂漠も同じぐらいの緯度に位置しているがここでは面積が最も広いゴビ砂漠を世界一広い砂漠として扱う)。

 ゴビ砂漠は亜熱帯砂漠を除くと世界で最も広大な砂漠であり、その面積は日本の国土面積の3.5倍程度にも及ぶ。

 そして、ゴビ砂漠は緯度的に見るとパタゴニアと同じぐらいであるが気候に関しては全くと言っても良いほど異なっている。

 ゴビ砂漠は夏場になると気温がかなり上がるようになるが冬場になると極寒となり、場合によってはマイナス40 ℃を下回るほどである。そのため、ゴビ砂漠は灼熱以上に極寒のほうが目立っており、年較差の非常に大きな砂漠となっているがパタゴニアに関しては砂漠とは思えないほど年較差が小さく、そして降水量も比較的多い。

 その一方でパタゴニアは先ほども書いたように北部に関しては夏場の気温は比較的高くなるが南部は夏場でも気温が低く、最南端のウシュアイア(砂漠では無いが)では年中東京の冬のような気温となっており、気温だけに関してはアイスランドのような気候となっている。

 では、ここからは高緯度の砂漠であるゴビ砂漠とパタゴニアの気候を比較していきたいと思う。

2.3 ゴビとパタゴニア北部の気候

 ゴビ砂漠は人口が非常に希薄ではあるが町は存在しており、代表的な町としてダルンザドガド(Dalanzadgad)がある。ダルンザドガドは北緯43°34', 東経104°26'に位置している人口が25,000人程の町であり、標高は1,470 mとかなり高い所に位置している(ゴビ砂漠は全体的に高標高だが)。

 対して、パタゴニア(アルゼンチン側)でダルンザドガドと同緯度の町にはラウソン(Rawson)があり、こちらの緯度は南緯43°18', 西経65°6'と南緯北緯の違いはあるもののほぼダルンザドガドと同じ緯度となっている(標高は4 mと非常に低いが)。

 では、ここからはダルンザドガドとラウソンを比較していきたいと思う。

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高緯度砂漠_気温_降水量

 ダルンザドガドとラウソンは同じ低温砂漠気候(BWk)に分類されているが降水量や気温に関しては全く異なっており、ダルンザドガドのほうが降水量が少なく、更に気温に関してもダルンザドガドのほうが低温となっている。

 ダルンザドガドの夏の気温はラウソンと大差は無いものの冬場の気温に関しては圧倒的に低くなっており、最寒月の平均気温はマイナス14.7 ℃とシベリアの主要都市と大差がないほどである。そのため、ダルンザドガドの年平均気温はわずか4.3 ℃と非常に低くなっている。

 その一方でラウソンは最寒月の平均気温は5.9 ℃と関東平野南部と同じぐらいであり、年平均気温に関しても13.6 ℃と大して低くは無い。

 また、降水量に関してもかなり異なっており、ダルンザドガドは冬場の降水量が顕著に低くなる特徴を持っているがこれはシベリア高気圧が原因である。そして、このような気候はモンゴル全域の特徴であり、バイカル湖辺りまで冬場の降水量が非常に少なくなっている。

 その一方でラウソンの降水量は年中を通してそこまで偏りはなく、降水量の合計に関しても砂漠とは思えないほど多く、ギリギリ砂漠気候に分類されているほどである。

 そのため、パタゴニアは世界で最も湿潤な砂漠と言える気候となっており、気温に関してもラウソン当たりでは比較的高くなっているが南部に行くと夏場の気温も低くなっており、氷河が発達している所さえあるほどである。

2.4 夏の気温も低いパタゴニア南部

 ラウソンはパタゴニアの中では低緯度側に位置しているため、気温は比較的高いもののパタゴニアの南部ともなると夏場の気温も低くなっている。

 例えばパタゴニアの南部に位置しているサンタクルス(Santa Cruz)州の州都であるリオ・ガジェゴス(Rio Gallegos)は最暖月の平均気温も13.8 ℃とかなり低くなっている。

 そして、ここからはダルンザドガドとリオ・ガジェゴスを比較していきたいと思う。

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 リオ・ガジェゴスはラウソンよりも高緯度に位置しているにもかかわらず年較差が小さくなっており、パタゴニアは高緯度に行けば行くほど年較差が小さくなる傾向がある。そのため、リオ・ガジェゴスはダルンザドガドよりも高緯度に位置しているにもかかわらず冬場の気温はかなり高くなっており、年平均気温もダルンザドガドよりも3.5 ℃ほど高くなっている(最暖月の平均気温はこちらのほうが低いが)。

 そして、降水量も比較的多いため、砂漠気候ではなく半砂漠気候(ステップ気候)に分類されており、比較的湿潤な気候であることが分かる。

 また、リオ・ガジェゴスよりも高緯度側(南側)に位置しているフエゴ島はパタゴニアの中で最も南に位置している場所の一つであり、ここまでくると寒帯か寒帯に近い気候となる。

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 このようにパタゴニアは砂漠に分類されているにもかかわらず降水量は比較的多くなっており、更に北部では気温が比較的上がるものの南部は気温が夏でも低くなっており、一般的にイメージされる砂漠とは程遠い気候となっている。

 ちなみにパタゴニアの反対側はシベリアである。

 以上、パタゴニアについてでした。

 

参考文献

Dalanzadgad Wikipeida 3.Cliamte (ダルンザドガドの気温, 降水量)

https://en.wikipedia.org/wiki/Dalanzadgad

Rawson Wikipedia 3.Climate (ラウソンの気温, 降水量)

https://en.wikipedia.org/wiki/Rawson,_Chubut

Rio Gallegos Wikipedia 5.Climate (リオ・ガジェゴスの気温, 降水量)

https://en.wikipedia.org/wiki/Río_Gallegos,_Santa_Cruz