DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

大マゼラン星雲を含むかじき座 大マゼラン星雲以外にも太陽に似た恒星もあり...

 今回はかじき座について書いて行きたいと思う。

目次

1. 南天の星座 かじき座

1.1 かじき座とは

 かじき座(Dorado)は魚の旗魚(かじき)を模した星座であり、特に明るい恒星も存在していない。そのため、かじき座には伝統的な神話は存在しておらず、知名度に関してもかなり低いものとなっている。

 しかし、かじき座には非常に大きな特徴があり、それは銀河系の隣に位置している小銀河である大マゼラン星雲を含んでいることである。大マゼラン星雲は銀河系のような大銀河ではなく、小さな銀河であるものの非常に明るく質量の大きな恒星を数多く含んでおり、発見されている中で最も質量の大きな恒星であるr136a1もこの大マゼラン星雲内の恒星である。

 そして他にも最大光度時に可視光絶対等級がマイナス10等を超えるS星や安定した光度を持つ中では最も可視光絶対等級の強いHD 33579などの強大な恒星もある。

 そのため、かじき座には単体では肉眼で観測こそできないものの極端に明るい恒星が数多く含まれており、非常に興味深い星座とも言える。

 ちなみに小マゼラン星雲はかじき座ではなくきょしちょう座に含まれている銀河である。

1.2 かじき座の大きさと位置

 かじき座は南天の星座であり、目立つ恒星は特にないものの大マゼラン星雲を含んでいる点では非常に重要な星座と言える。しかし、その大きさはかなり小さなものとなっており、肉眼で観測が可能な恒星もわずか30個程度しかない。

 そのため、かじき座は星座としてみるとかなり小規模なほうと言え、大マゼラン星雲が無ければ特に特徴のない小星座となるが実は最も明るい恒星はそこまで暗くは無い。先ほどかじき座には明るい恒星は含まれていないと書いたがそれは2等星以上の恒星が無いという意味であり、かじき座で最も明るい恒星の明るさは3.28等と比較的明るい。

 この明るさはかに座やうお座で最も明るい恒星よりも明るく、かじき座は最輝星に限れば比較的明るい星座と言える。

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 かじき座は領域こそ狭いものの比較的多くの星座に囲まれており、レチクル座, みずへび座, テーブルさん座, とびうお座, がか座, ちょうこくぐ座, とけい座と計7つの星座に囲まれている。そして、これらの星座はいずれもマイナーなものであるががか座を挟んだ先には全天で二番目に明るい恒星であるカノープスを含むりゅうこつ座が位置しており、かじき座はカノープスの近くに位置していることが特徴とも言える(かじき座とりゅうこつ座は接していないが)。

 このようにかじき座はかなり狭い星座ではあるものの近くにカノープスが位置しており、カノープスから探せば簡単に見つけられるようにも感じられるがそれ以外に特に明るい恒星は無いため、やはり見つけることは難しいと言える。

 しかし、先ほども書いたようにかじき座には大マゼラン星雲が含まれており、大マゼラン星雲は0.9等程度とアルデバランと同じ程度の明るさで観測が可能であるため、大マゼラン星雲自体を見つけることはそこまで難しい話ではない。

2. かじき座の恒星

2.1 かじき座の主要恒星

 ここからはかじき座の恒星について書いて行きたいと思う。かじき座の主要恒部分は線状となっており、その線の上に5つの恒星がある形となっている。

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 かじき座は大マゼラン星雲に近い順からδ, β, ζ, α, γの順になっており、その中でα星は3等星、βとγ, δ星は4等星、そしてζ星は5等星となっている。

 そして、これらの恒星は当然ではあるが地球からの距離は全く異なっており、最も遠いβ星は地球から1,000光年程度も離れているのに対しζ星はわずか38光年しか離れていない。そのため、β星は絶対等級の強い強大な恒星ではあるもののζ星は太陽と大差がない恒星であり、近辺の恒星では最も太陽に似た恒星の一つである。

 また、以下の表にこれらの恒星のデータを載せていきたいと思う。

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 かじき座の主要恒星はβ星を除くと質量の軽い主系列星ばかりであり、絶対等級も全体的に見て弱めである。そのため、地球からの明るさは暗めではあるが地球からの距離はそこまで遠くは無く、200光年以上離れている恒星はβ星を除くと存在していない。

 しかし、β星だけは強力な絶対等級を有する超巨星であり、地球からの距離が1,000光年も離れているにもかかわらず、かじき座の中では二番目に明るい恒星となっている。そのため、かじき座は明るい恒星の中ではβ星が群を抜いて明るい恒星となっており、他の恒星は暗めの恒星と言う形となっている。

 以上がかじき座の恒星についての説明であったがここからは興味深いβ星とζ星のみ詳しく書いて行きたいと思う。

2.2 明るく、そして遠いβ星

 かじき座の主要恒星は全体的に暗めではあるがβ星のみ非常に明るい恒星である。そして、β星は地球からの明るさが3.76等, 距離が1006.7光年であるので絶対等級はマイナス3.68等と算出され、この明るさはちょうど北極星と同じぐらいである。

 更にβ星のスペクトル型は北極星と同じF型であるため、表面温度も北極星に似ており、外見だけ見ると北極星に似た恒星のように見えるが実は北極星とは異なり明るさが大きく変動する恒星である。

 かじき座β星はケフェウス座δ型変光星に属している恒星であり、このタイプの恒星は太陽と同じか若干表面温度の高い超巨星に見られるタイプのものである。そして、このタイプの変光星は変更するたびに表面温度が変わるため、一定の表面温度を有しておらず、β星も表面温度が最も高い時では太陽よりも高くなるが反対に最も低い時は太陽よりも表面温度が低くなる。

 そのため、β星は明るさが一定ではなく、最も明るい時には3.46等と3等星となり、絶対等級もマイナス4等程度となるが反対に最も暗い時は4.08等程度の明るさとなる。

 また、β星は変光するたびに大きさが変わるため、正確な大きさを持たないものの平均すると太陽の65倍程度の直径を有していると考えられている。

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 上図はかじき座β星と太陽の大きさの比であるが太陽の65倍ともなると太陽が非常に小さな球にしか見えないほどとなる。

 以上のことより、かじき座β星は太陽と比較すると非常に大きな直径を有している上に絶対等級も明るい恒星であり、かじき座の主要恒星の中では群を抜いて強大な恒星である。

 しかし、反対にζ星は太陽にかなり似通った暗い恒星であり、絶対等級や表面温度も太陽に似たものとなっている。

2.3 太陽に似たζ星

 かじき座ζ星は地球からの距離が38光年程度と非常に近く、更に太陽に似た恒星である。そのため、ζ星は近くにあるにもかかわらず地球からの明るさはかなり暗いものとなっており、絶対等級も4.38等と太陽と大差がないほどである。

 そして、この絶対等級は太陽に最も近い恒星系のリギル・ケンタウルスAとほぼ同じ値であり、リギル・ケンタウルスAをこの位置にまでもっていくとかじき座ζ星のように見えると考えられる。

 また、ζ星のスペクトル型はF7型であるため、太陽よりも若干表面温度が高く、6,000 Kを若干超えているほどである(太陽の表面温度は5,778 K(=5,505 ℃))。

 このようにζ星は太陽と非常に似通った恒星であるが今度はかじき座ζ星からの星空について書いて行きたいと思う。

 かじき座ζ星は太陽から38光年離れているため、地球から見た星空とは違った世界となっており、遠くの恒星に関してはそこまで違いは無いが近くの恒星には大きな変化が出ている。

 例えば地球から見て最も明るい恒星であるシリウスは地球からだと8.6光年しか離れていないがかじき座ζ星とは32.46光年も離れているため、1.41等と暗い1等星程度にしか見えない。この明るさは地球から見たものの14.19分の1にしかすぎず、近場の恒星は少しでも離れると明るさが大きく変わることが分かる。

 その一方で地球からの距離が309光年も離れているカノープスはかじき座ζ星から見ると272.15光年と近づいてはいるもののそこまで変わりは無いため、地球からの明るさではマイナス0.72等であったものがマイナス0.99等になっているだけとなっており、この明るさは地球から見たものの1.28倍だけ明るいに過ぎない。

 このようにかじき座ζ星から見た星空は近くの恒星に大きな変化が発生し、地球から見て非常に近いシリウスの明るさに大きな変化があるが反対にかじき座ζ星に近い恒星もある。

 かじき座ζ星から見て最も近い恒星はHip 23708と言う小さな恒星であり、地球から見ると9等星にしか見えない恒星であるがかじき座ζ星からだととてつもなく近い恒星である。どれほど近いかと言うとわずか7,000億キロメートルしか離れていないほどであり、これを光年に直すと0.07399光年にしかすぎない。

 そのため、絶対等級がわずか8.64等(太陽の3%)しかないHip 23708もかじき座ζ星から見るとマイナス4.58等の非常に明るい恒星として見え、この明るさは他の恒星を圧倒するほどの明るさである。そして、Hip 23708は橙色の主系列星であるため、かじき座ζ星からは非常に明るい橙色の恒星が目立っており、この光景は地球からは想像できないものとなっている。

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 反対にHip 23708からかじき座ζ星を見るとマイナス8.84等の非常に明るい黄白色の恒星として観測され、この明るさは金星をはるかに上回るほどである。

 以上のことより、かじき座ζ星の星空は非常に明るい恒星が一つあり、更にその恒星が太陽の3パーセント程度の明るさであり、1兆キロメートルも離れていないことを考えれると驚きである。

 しかし、地球からこのような光景がずっと見れないかと言うとそういうわけでは無く、今から136万年後にはグリーゼ710と言う小さな恒星が太陽系に大接近するため、もしかしたらこのような光景が見れる可能性も考えられる。

 以上、かじき座についてでした。

 

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