DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

水の密度が1 g/㎤なのは偶然なのか? 更に密度が1 g/㎤以上の水も存在し...

 最近用事が増えてきたので毎日更新できなくなりましたが6日ぶりに記事を更新します。

 そして、今回のテーマは水の密度と1 g/㎤以上の水について書いて行きたいと思います。

目次

1. 密度

 密度とは単位体積当たりの質量のことであり、一般的には1 ㎤当たりに何グラムの質量があるかを示している。例えば水の密度は温度によって多少は前後するものの大体1 g/㎤であり、これは1 ㎤当たりの水の質量が1 gであることを意味している。

 また、当然ではあるが密度は物質によって様々な値を取っており、例えばアルミニウムの密度は常温下(20 ℃)では2.698 g/㎤、鉄は7.870 g/㎤であり、最も重い金属であるオスミウムの密度は22.59 g/㎤となっている。

 つまり、同じ体積でもオスミウムの質量は水の22.59倍もあり、反対に同じ質量ではオスミウムの体積は水の4.43 %にしかすぎない。

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 上図は同じ質量の水とオスミウムを立方体で示した図であるが同じ質量でも水とオスミウムでは一片の長さが2.827倍も違い、水のほうが圧倒的に体積が大きいことが分かる。

 このように密度の大きさは物質によって大きく異なるが実は温度や物質の状態によっても大きく変わり、特に液体が気体になった時の密度の変化は非常に大きいものとなっている。

2. 水の密度

2.1 水の密度が1 g/㎤であるわけ

 水の密度はきれいな具合で1 g/㎤となっているが果たしてこれは偶然なのだろうか?

 実は答えはNoであり、水の密度は意図的に1 g/㎤となっているのである。その理由はキログラムの始まりが10 cm四方の水の質量と定義されたところにあるからである。10 cm四方の体積は1,000 cmに相当し、ここに1,000 g(1 kg)の質量があると当然密度は1 g/㎤となるのである(下図は当初の1 kgの定義)。

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 そのため、水の密度は偶然ではなくこのような経緯で1 g/㎤となっているのであり、質量の定義は水の質量から始まっているのである。しかし、その後水の質量は温度によって変化することが分かり、更に水が最も高密度となる4 ℃の時の密度もかすかに1 g/㎤を下回っているので水の密度は正確には1 g/㎤を超えていないのである。

 このことより現在の定義は水の質量ではなくキログラム原器と言う白金とイリジウムの合金によって定義されている。しかし、このキログラム原器も長い時間を経ると質量が誤差レベルで変化するため、来年からはキログラムの定義がキログラム原器ではなく、不変の量であるプランク定数に置き換わる形になる。

 以上が水の密度が1 g/㎤になった理由であるが水の密度は温度に依存するため、定義から外されるようになり、最終的には不変の値であるプランク定数が採用される形となった。

2.2 水分子の違いによる密度

 質量の定義の始まりは水の質量によるものであったが実は水分子は1種類だけではなく、何種類かが存在しており、その理由は原子の質量が一定ではないからである。

 原子は現在の所118種類あり、宇宙に存在する物質のほぼ全ては原子から構成されている。そして、原子はこれ以上細分化できないと発見当時は言われていたが実際には陽子, 中性子, 電子から構成されており、更にこれらの粒子はクォークと呼ばれる素粒子によって構成されている。

 そのため、原子は細分化するとかなり細かい部分にまで分けることが出来るものの今回はクォークまで分ける意味は無いので陽子, 中性子, 電子までで考えていきたいと思う。

 原子は大きく分けると原子核とその周辺部を周っている電子によって構成されており、質量の大半は原子核に集中している。そして、原子核は陽子と中性子によって構成されており、陽子には+1.602×10^-19 Cと言う非常に小さな電荷を有しているのに対し、中性子は電荷を持っていない。

    また、電子は陽子とは反対に負の電化を持っており、その大きさは陽子のものと同じである。

 以上が原子の構成となっているが原子がどの種類の原子であるかを決めているのは原子核の陽子数であり、陽子数が同じならばたとえ中性子の数が異なっても同じ原子として見なされる。更に中性子は陽子よりも若干大きい質量を有しているため、中性子の数が増えれば増えるほど同じ原子でも質量が増えていき、このような関係は同位体と呼ばれている。

 例えば水素は陽子のみの軽水素と中性子を含む重水素があるがこれらの原子は質量こそ倍異なるが両方とも水素原子として見なされている。

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 上図は水素の同位体であり、左の軽水素は陽子しか含まないのに対し右側の重水素は中性子を含んでいるので質量は倍程度もある。そのため、同じ原子でも質量は異なっており、これは分子となった場合にも影響する。

 ちなみに電子の質量は陽子や中性子の1,000分の1も無いので影響はほぼないと見なすことが出来る。

 そして、ここからは水分子について考えていきたいと思う。水分子は水素原子2つと酸素原子1つによって構成されているが先ほども書いたように水素原子には軽水素と重水素があるので軽水素のみの水と重水素のみの水では質量は異なるのである。

 更に酸素原子にも同位体は存在するので最も軽い原子から構成されている水分子と最も重い原子から構成されている水分子では質量がかなり異なるようになる。

 そのため、水分子には質量の異なるものが何種類かがあり、これは水素原子と酸素原子の組み合わせにより生じるので下に水素原子と酸素原子の同位体を示した表を書いて行きたいと思う。

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 水素原子の内、重水素はわずか0.0115 %しか存在せず、これは軽水素の8,695分の1にしかすぎない。そして、酸素のほうも陽子数, 中性子数8の酸素16がほぼ全てを占めているのでほぼ全ての水分子は最も軽い軽水素×2+酸素16分子によって占められている。

 また、上表を参照にこのタイプの水分子が全水分子中でどれほどの割合であるかを計算すると99.734%も占めていることが分かる。つまり、最も軽いタイプの水分子以外の水分子の割合は非常に小さいことが分かり、水分子の割合は以下の表の様になっている。

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 水分子は9通りもあるが大半は最も軽い1-16-1型であり、先ほども書いたように水分子の大半を占めている。反対に最もレアな分子は2-17-2型であり、この分子の割合は全体のわずか1,990億分の1にしかすぎない。

 そして、ここからは水分子の割合と密度について書いて行きたいと思う。初めに水分子の分子量について話していきたいが上表に書いている分子量は若干異なっている。

 上表では便宜上陽子の質量=1, 中性子の質量=1, 電子の質量=0と置いているが実際には電子の質量や陽子や中性子同士の結合もあるので実際の質量とは異なっているが今回はこの定義を用いていきたいと思う。

 また、これらの分子の平均分子量は18.00471 g/molとなっているのでこの値を1 g/㎤と対応させていきたいと思う。

 そして、今回は現実世界ではありえないことであるが最も重い2-18-2水分子だけを集めた場合について考えていきたいと思う。2-18-2分子の割合は2.71113×10^-11であり、これは水分子全体の369億分の1にしかすぎないがこのタイプの分子だけ集めるとその密度は1.222 g/㎤となり、明らかに普通の水分子と比較すると大きいことが分かる。

 更に他のタイプの分子の密度を調べると質量数が21のものは1.166 g/㎤, 20のものは1.111 g/㎤, 19のものは1.055 g/㎤となり、水分子でありながら密度が1 g/㎤を見える範囲で超えていることが分かる。

 そのため、意図的に質量の大きな水分子だけを集めると密度が1 g/㎤以上の水の実現が可能となる。

 このように水分子の密度は必ずしも1 g/㎤と言う訳では無く、1 g/㎤を超えるものもあることが分かる。

 以上、水の密度が1 g/㎤である理由と1 g/㎤以上の水分子についてでした。

 

参考文献

水素原子と酸素原子の同位体の割合は以下の本を参照しました。

元素118の新知識 引いて重宝、読んでおもしろい (ブルーバックス)

元素118の新知識 引いて重宝、読んでおもしろい (ブルーバックス)