DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

日本の温帯と亜熱帯, 亜熱帯と熱帯の境目 どの地点までが亜熱帯なのか?

 今回は鹿児島から沖縄にかけての気候について書いて行きたいと思う。

目次

1. 亜熱帯

1.1 亜熱帯と乾燥帯

 亜熱帯は気候の一つであり、熱帯よりかは気温が低いものの温帯よりかは気温の高い気候のことを指す。しかし、亜熱帯気候には実は明白な定義は無く、実際にケッペンの気候区でも亜熱帯気候と言う気候は存在しない。

 ケッペンの気候区では緯度が低い順に熱帯, 乾燥帯, 温帯, 冷帯, 寒帯となっており、本来亜熱帯があるべきところに乾燥帯が存在している。その理由は亜熱帯に相当する緯度では亜熱帯高圧帯と言う地球規模の大気の循環による大規模な高気圧があるからであり、亜熱帯地域は乾燥しやすいからである。

 例えばサハラ砂漠やアラビア, オーストラリアの降水量は非常に少なくなっているがこの理由はこれらの地域が亜熱帯に位置しているからである。更に亜熱帯高圧帯の影響は低緯度の熱帯側にまで影響しており、アラビア半島南部のイエメンやオマーンでは気温だけ見てみると明らかに熱帯に属している形となっている(高山は除く)。

 そのため、本来なら亜熱帯に相当する所が乾燥をしているため、ケッペンの気候区では亜熱帯と言う気候は存在しておらず、乾燥帯となっているが乾燥していない亜熱帯が存在していないかと言うとそうでは無く、反対に高緯度にも乾燥帯は見られるのである。

 まず、前者について書いて行きたいと思うが亜熱帯高圧帯の影響を受けている場所は主に大陸西岸であるので大陸東岸である中国南東部や沖縄では緯度がアラビア北部と同じぐらいであるが湿潤な気候をしており、明白な亜熱帯気候となっている。この理由はこれらの地域はモンスーンの影響が大きいからであり、モンスーンは主に大陸東岸に大きな影響を及ぼしている。

 反対にユーラシア大陸の中央部に位置している中央アジアからモンゴルにかけては比較的高緯度に位置しているにもかかわらず砂漠が広がっている。当然これら砂漠は亜熱帯高圧帯とは無関係な砂漠であり、形成要因も全く異なっている。そして、これらの砂漠の形成要因は海から遠い、山脈の影響で雨雲が届かないなどである。

 そのため、これらの砂漠は緯度の高さの影響で熱帯や亜熱帯と言うよりも冷帯的な砂漠となっており、冬場になると氷点下数十度の極寒の地と化すのである。

 このように亜熱帯は乾燥帯になりやすいものの全ての亜熱帯がそうなるのではなく、反対に緯度が比較的高い地域にも砂漠は形成され、これらの地域の砂漠は冬場になると極寒の地になるのである。

1.2 亜熱帯の定義

 亜熱帯気候は良く耳にする気候であるが明白な定義は存在しておらず、ケッペンの気候区にもない。そのため、明白に亜熱帯と呼べる地域はないものの一応以下の様な定義が便宜上なされている。

  • 年平均気温が18 ℃以上
  • 冬季の平均気温が15 ℃以上
  • 平均気温が20 ℃以上の月が4~11カ月
  • 最寒月の最低気温の平均が0 ℃以上

 上記の定義を見てみると下二つの判定は非常に厳しくなっており、もしこの条件が亜熱帯の条件となると平均気温が20 ℃以上の月が4カ月あり、最寒月の最低気温の平均値が2 ℃ほどである横浜や千葉が亜熱帯気候となる。

 更に平均気温が20 ℃以上の月が4カ月以上の定義は冷帯であるトルコのムシュ(Mus)を亜熱帯と見なし、最寒月の最低気温の平均が0 ℃以上の定義は寒帯であるニュージーランドのキャンベル島を亜熱帯と見なすようになる。

 以上のことより、これらの定義は冷帯や寒帯を亜熱帯と見なすため、定義としては明らかにおかしい。そのため、亜熱帯の定義としては年平均気温が18 ℃以上や冬季の平均気温が15 ℃以上のほうが正しく見えるが後者の場合は逆に判定が甘くなるため、筆者は最寒月の平均気温が10~18 ℃を亜熱帯として見なしていきたいと思う。

 何故最寒月に着目したかと言うと熱帯, 温帯, 冷帯は最寒月の平均気温によって判定されるからである。また、10 ℃と言う気温に関しては最暖月の平均気温の場合は寒帯であるか否かの定義となっており、更に温帯や冷帯の気候を細分化するための因子となっている。そして、最寒月の平均気温が10 ℃未満の月が冬と定義されていることが多く、亜熱帯は一般的に以下の様な気候と見なされているため、このような定義が正しいと見なした。

  • 冬場になると気温は下がるものの春や秋程度の気温である
  • 熱帯よりかは気温が低く、季節がある

 この定義に従うと平均気温が10 ℃未満の月, いわゆる冬に相当する気候は無いが熱帯(最寒月の平均気温が18 ℃以上)よりかは気温が低いため、このような条件が最適になるのである。

2. 日本の亜熱帯

2.1 鹿児島県

 日本の中で最も温暖な場所は沖縄県, 鹿児島県, 東京都の小笠原諸島があるが小笠原諸島は飛び地であるのでここでは省略する。

 そして、鹿児島県は沖縄県よりも気温は低いものの日本の中では最も気温の高い場所であり、年平均気温も明らかに高くなっている。

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 鹿児島市の年平均気温は18.6 ℃と県庁所在都市としては二番目に高く、18 ℃以上あるものの最寒月の平均気温は8.5 ℃と確かに高いことには高いものの亜熱帯と言うには気温が若干足りないので鹿児島市は亜熱帯とは言えない。

 そのため、亜熱帯気候になるためにはもう少し南に行く必要があり、九州本島では最寒月の平均気温が10 ℃を下回っていないので奄美大島あたりにまで南下する必要がある。

 奄美大島は九州本島よりも更に南に位置している島であり、鹿児島県に属している。そして、九州本島から南下すると急激に最寒月の平均気温が上昇するので奄美大島は亜熱帯に属することになる。

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 奄美市は北緯30°を下回っている上に本土から離れているため、海洋性の気候となっており、鹿児島と比べて明らかに最寒月の平均気温が高く、10 ℃を優に上回っているほどである。

 そのため、奄美市は亜熱帯気候となっており本土のように寒い冬は無く、冬でも秋のような気候となっている。また、歴代の最低気温も氷点下になったことは無いため、奄美大島は典型的な海洋性の亜熱帯気候であり、降水量も緯度の割には非常に多くなっている。

 また、鹿児島市と奄美市の気温を比較すると下のグラフのようになっている。

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 奄美と鹿児島では夏の気温は大差がないものの冬の気温が明らかに弧となっており、鹿児島のほうが圧倒的に低くなっている。そのため、鹿児島と奄美の気候は全くと言っても良いほどに異なっており、鹿児島の気温は奄美よりも新潟に近いと言っても過言ではないほどである。

 このことより温帯と亜熱帯の境目は九州本島と奄美大島の境目当たりにあると言え、北緯30°当たりが境目になっていると考えられる。

2.2 沖縄県

 沖縄県は全土が亜熱帯, または熱帯性の気候となっており、日本で唯一普通の温帯(最寒月の平均気温がマイナス3~10 ℃)の無い都道府県となっている。

 そして、沖縄県の気温は奄美大島よりもさらに高くなっており、那覇市の気温は熱帯に非常に近いものとなっている。

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 那覇の最寒月の平均気温は17.0 ℃と亜熱帯と熱帯のボーダーである18 ℃に非常に近いものとなっており、あと1 ℃最寒月の平均気温が高ければ那覇は熱帯気候となるほどである。しかし、その気温を下回っているため、那覇の気候はあくまで亜熱帯気候であり、熱帯気候ではない。

 そして、年平均気温は23.1 ℃とかなり高く、この気温は東京のものよりも7 ℃程度も高くなっている。

 また、那覇の最暖月の平均気温は28.9 ℃と非常に高いものとなっているが月較差は小さいため、極端に気温が高くなることが無く、歴代の最高気温でさえ35.6 ℃と全国の県庁所在都市の中で最も低く、それどころかシベリアの主要都市のほぼ全ての最高気温の記録を下回っているほどである。

 以上のことより那覇の気温は高いもののまだ熱帯ではなく、熱帯になるためには石垣島まで行かなければならない。

 石垣島は沖縄本島よりも更に南に位置している島であり、北回帰線がすぐ南に迫っているほどである。

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 石垣市の最寒月の平均気温は18.6 ℃と18 ℃を上回っているため、もはや亜熱帯ではなく熱帯気候となっている。そのため、石垣市の気候は温暖湿潤気候(Cfa)ではなく熱帯雨林気候(Af)となっている。しかし、赤道付近の熱帯雨林気候とは異なり緯度が高い所に位置しているため、季節は一応存在はしており、年較差も10 ℃を若干上回っている。

 そのため、石垣市は熱帯であることにはあるものの限りなく亜熱帯に近い熱帯となっており、高緯度熱帯と言ったほうが正しそうである。

 このように亜熱帯と熱帯の境目は沖縄本島と石垣島の間にあり、石垣島は沖縄本島よりも北回帰線のほうに緯度が近いほどである。

 また、これらの地域は緯度の割には降水量が非常に多くなっているがこれはモンスーンの影響が大きく、主に梅雨前線と秋雨前線, 台風の影響が大きくなっている。

 以上、日本の温帯と亜熱帯, 亜熱帯と熱帯の境目についてでした。

 

参考文献

鹿児島市 Wikipedia 3.2 気候 (鹿児島の雨温図)

https://ja.wikipedia.org/wiki/鹿児島市

奄美市 Wikipedia 1.2 気候 (奄美の雨温図)

https://ja.wikipedia.org/wiki/奄美市

那覇市 Wikipedia 2.2 気候 (那覇市の雨温図)

https://ja.wikipedia.org/wiki/那覇市

石垣市 Wikipedia 2.1 気候 (石垣市の雨温図)

https://ja.wikipedia.org/wiki/石垣市