DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

日本の名を関する元素 ニホニウム

 今回はニホニウムについて書いて行きたいと思う。

目次

1. ニホニウム

1.1 新元素ニホニウム

 ニホニウム(Nh)とは原子番号が113番の元素のことである。そして、ニホニウムは余りにも原子核が重すぎ、すぐ崩壊するため自然界には存在していない。そのため、ニホニウムは人工的にしか作ることが出来ない元素となっており、これは原子番号が非常に大きな元素の共通することである。

 また、ニホニウムは13族の元素であり、他の13族にはホウ素(B), アルミニウム(Al), ガリウム(Ga), インジウム(In), タリウム(Tl)が存在しており、これらの元素は安定同位体が存在しているため自然界にも存在している元素である。

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 上の周期表で黄緑色の部分は13族を示しており、ニホニウムは緑色の部分である。そして、13族は典型元素であるため、仮にニホニウムの化合物があったとしてもその化合物の色は白色であると考えられ、ニホニウムイオンの色も透明であると考えられる。

 このようにニホニウムは非常に原子番号の大きな元素であるので一瞬たりとも存在することが出来ないぐらいに半減期の短い元素である。

1.2 日本の名を冠する元素

 ここまではニホニウムの周期表での位置を書いてきたがここからはニホニウムの名称について書いて行きたいと思う。

 ニホニウムは文字を見れば分かるように日本の名を冠する元素であり、英語表記で書くと「Japanium」ではなく「Nihonium」となっている。つまり、ニホニウムは日本の外国名である「Japan」ではなく日本の自称である「Nihon」が用いられており、これは日本と言う名称が世界的に見ても尊重されていることを意味している。

 また、国名の名を冠する元素は他に原子番号32番のゲルマニウムがあるがこちらはドイツにちなんでいる。しかし、この名称はドイツの自称である「Deutsch」ではなく英語名の「German」が用いられており、もしニホニウムと同じような名称となると「Germanium」ではなく「Deutschium」となっていたと考えられる。

 また、国名を冠する元素はニホニウムとゲルマニウム以外にはアメリシウム(Am), ポロニウム(Po), フランシウム(Fr), ガリウム(Ga)があり、これらの元素がどの国に対応しているかを下に示していきたいと思う。

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 これらの元素の内、フランスに相当するものはガリウムとフランシウムがあり、フランスは唯一2つの元素の由来となっている国である。そして、この中でヨーロッパ由来となっているものはガリウム, ゲルマニウム, ポロニウム, フランシウムであり、ヨーロッパ由来の元素が3分の2も占めていることになる。そして、アジア由来の元素はニホニウムただ一つであり、日本はアジアの中で唯一元素の由来となった国である。

 また、これらの元素の内、安定同位体が存在するものはガリウムとゲルマニウムのみであり、他の元素は全てが放射性となっている。

 ここまでは国名由来の元素について書いてきたがここからはニホニウムの経緯について簡潔に書いて行きたいと思う。ニホニウムは2004年7月に日本の理化学研究所の研究チームによってビスマス209と亜鉛70によって生み出され、この時生成したニホニウムは質量数が278のニホニウムであった。

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 上図がニホニウム278が初めて生成されたときの式であり、最後のnは中性子(質量数1, 陽子数0)である。そのため、亜鉛70(原子番号30)とビスマス209(原子番号83)の衝突により、中性子が一つ弾き飛ばされたため、ニホニウムの質量数は279ではなく278となっている。

 そして、この功績が称えられ、2016年11月にニホニウムの名称が正式決定される形となった。

2. ニホニウムの同位体と原子構造

2.1 ニホニウムの同位体

 ニホニウムは初めて質量数が278の物が生成された後も様々な質量数のものが生成され、現在の所6種類のニホニウムが確認されている。そして、これらのニホニウムの質量数は278, 282, 283, 284, 285, 286であり、いずれも半減期が非常に短い放射性となっている。

 更にこれらのニホニウムたちはいずれもヘリウム4核を飛ばすα崩壊を及ぼすため、崩壊後は原子番号が2小さいレントゲニウム(Rg)となる。そして、言うまでも無いがニホニウムが崩壊したレントゲニウムの質量数は元々あったニホニウムよりも4小さくなり、レントゲニウムも安定同位体が一切ないため更に崩壊していく形となる。

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 ニホニウムはいずれも寿命が短く、最も寿命の長いニホニウム286でも半減期は7.9 秒であり、これは7.9秒後には半分の数になることを意味している。そして、初めて生成されたニホニウム278は実を言うと最も寿命が短く、わずか0.0014秒で元々あった数の半分にまで減少するようになる。

 このようにニホニウムは半減するまでの時間が非常に短いため、すぐレントゲニウムに壊変し、更にそのレントゲニウムも半減期が非常に短いため、マイトネリウムにすぐ壊変するのである。

2.2 ニホニウムの電子配置

 ニホニウムは原子番号が非常に大きいため電子数も非常に大きく、中性の時の電子数は113にも及ぶ。そのため、ニホニウムには数多くの種類の軌道が存在しており、原子核に近い順から1s, 2s, 2p, 3s, 3p, 4s, 3d, 4p, 5s, 4d, 5p, 6s, 4f, 5d, 6p, 7s, 5f, 6d, 7p軌道が存在している。

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 ニホニウムの電子配置は上表のようになっており、7p以外の軌道は全て充填している形となっている。そして、7p軌道だけは完全には埋まっていないが原子番号が増えるごとに埋まっていくようになり、7p軌道に6つの電子が埋まった時に電子が軌道に充填するようになる。

 そして、その電子が充填している状態の元素は原子番号118番のオガネソン(Oganeson)であり、オガネソンは反応性の小さな希ガスとなっている。

 ちなみに他の13族の元素も最も数字の大きなp軌道に電子が1つだけ存在している状態となっているため、ニホニウムの性質はアルミニウムやガリウムと似ていると考えられるがニホニウム自体が非常に崩壊しやすい元素であるため、それを確認する術は実質ないと言える。

 以上がニホニウムについてであり、ニホニウムは非常に半減期が短いため実質地球上には存在しないが日本の名を冠している元素である上に唯一アジアの国名由来の元素であるため、日本人からしてみると大変誇らしい元素と言える。