DS930810のブログ

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北アメリカ最高峰を含むアラスカ 実は全域が寒冷なわけでは無く...

 前回はアメリカの州の中で最も暑いハワイについて書いてきたが今回は最も寒いアラスカについて書いて行きたいと思う。

目次

1. アメリカ最北端のアラスカ

1.1 人口密度の小さいアラスカ

 アラスカはアメリカ合衆国に属している州であるがハワイ州と並んで本土とは隔てられており、孤立した州となっているがこちらはハワイとは異なり北アメリカ大陸に属している。

 更にアラスカの特徴としては最も北部に位置していると同時に最も面積が広く最も人口密度が小さいことである。そして、これは日本で言うと北海道の特徴に合致しているため、アラスカは「アメリカの北海道」と言えるような州となっている。

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 しかし、実際に比較してみると大きく異なることが分かり、北海道は日本の中では最も面積が広く、反対に人口密度は最も少ないもののアメリカからしてみればどちらも大したことが無く、アメリカの州の中には北海道よりも面積の広い州のほうが圧倒的に多く、人口密度もアメリカ合衆国全体で見ても北海道の半分程度しかない。

 そのため、北海道をアメリカの州の中に入れても大して目立つことは無く、更に気候に関してもワイオミング州や五大湖周辺部は寒冷地なので北海道がとりわけ寒いわけでもない。

 それに対してアラスカの面積は極端に大きく、アラスカ州だけでも日本の国土面積の4.5倍ほどもあり、モンゴルの面積を上回るほどである。しかし、人口に関しては非常に少なくなっており、北海道はおろか徳島県をも下回る程度であり、アラスカよりも人口の少ない日本の都道府県は鳥取県, 島根県, 高知県だけとなっている。

 そのため、アラスカの人口密度は非常に少なくなっており、北海道の100分の1をも下回るほどとなっている。

 更にアラスカの気候は非常に過酷なことで有名であり、冬場になると氷点下数十度が当たり前の世界となるが全域がそうなっているわけでは無く、南東の海に面した地域では北海道よりも冬が温暖なほどである。

 けれども夏も冬も気温の高い地域は存在せず、年平均気温はどの地域でも札幌を下回っているほどである。

1.2 北アメリカ最高峰, デナリ

 アラスカは非常に過酷な環境であるがそれ以上の大きな特徴がある。それは北アメリカ最高峰であるデナリ(Denali)を含むことである。

 しかし、デナリと言う山の名称はあまり耳にすることは無く、アラスカの最高峰はマッキンリー(McKinley)と思われているが実はマッキンリーもデナリも同じ山の名称であり、とある事情で正式名称がデナリになったのである。

 その事情とはオバマ大統領が現地の名称であるデナリを尊重するという内容である。マッキンリーとはアメリカの大統領であったウィリアム・マッキンリー(William McKinley)にちなんでいるため、人名由来となっている。そのため、現地の名称であるデナリが2015年から正式名称として採用される形となり、実際に日本語版のWikipediaでも記事のタイトルが「デナリ」となっている。

 また、同じようなことがエベレストにも言え、こちらは由来となったジョージ・エベレスト(George Everest)自身が現地の名称を尊重する意思があったため、そのうち現地の名称であるチョモランマ(Chomolungma)に変わる可能性も十分考えられる。

 そして、デナリの標高は6,190 mとアフリカ最高峰であるキリマンジャロ(Kilimanjaro)の標高よりも若干高く、更にキリマンジャロは赤道付近に位置しているので山頂の気温は低いことには低いものの極端に低いわけでは無い。

 しかし、デナリの場合は麓でも極寒なので山頂ともなるととてつもないほどに気温が低く、キリマンジャロと比較しても非常に過酷であることが伺える。

 更にデナリは麓から山頂までの高さ(比高)が非常に高いことで有名であり、チョモランマの場合は麓であるチベット高原との相対的な高さが3,700 m程度しか無いがデナリの場合は麓の高さが低いため、比高は5,500 m程度と非常に高く、これは世界一の高さと言われているほどである。

 更に高緯度に位置しているため、季節による昼夜の長さの差が非常に激しいため、冬のデナリの登山はチョモランマの登山以上に過酷なものとなる。そのため、冬にデナリを登頂することは絶対に行ってはならないことである。

 そして、余談ではあるがデナリでは非公式ながらオイミャコン以上の低温が観測されたこともあり、真の北半球の寒極はデナリである可能性も考えられるがその点に関しては不明である。

 以上のことより、アラスカはただでさえ高緯度である上に北アメリカ最高峰もあるため、その山頂付近の気温は極限に達していると考えられる。

2. アラスカの気候

2.1 実は全域が寒冷地ではないアラスカ

 アラスカは全域が極寒のイメージがあるが実を言うと南東部の海岸沿いは寒冷地ではなく、気候も冷帯ではなく温帯に属しているほどである。

 例えばアラスカの州都であるジュノー(Juneau)は最寒月の平均気温がマイナス3 ℃を若干上回っているため温帯に属しており、アラスカとしては珍しく温暖な気候となっている。

 更にジュノーは高緯度にしては珍しく降水量も多く、その降水量は横浜の降水量を上回っているほどであり、一般的な寒冷地とは程遠い気候となっている。

 しかし、これはあくまでアラスカの中でも温暖な地域の例であり、アラスカの内陸部ともなるとアラスカのイメージ通りの過酷な気候となる。例えばアラスカの代表的な町であるフェアバンクス(Fairbanks)の気候はシベリアのような気候となっており、冬場になるととてつもなく寒くなる。

 けれども夏場になると比較的気温も上がり、6,7月の最高気温の平均値は20 ℃を上回るほどとなり、こちらもシベリアと似たようになっている。

 また、更に北に行くと夏場の気温もだんだんと下がっていき、北極海に面しているバロー(Barrow)では真夏の気温でさえ東京の真冬の気温をも下回るほどとなり、冬場になると非常に寒冷な気候となる。

 そのため、アラスカには温暖な地域もあるがやはり全体的に見てみると極寒の地であり、この寒さはシベリアやカナダのものとかなり似ている。

 では、ここからはアラスカの町の気候について書いて行きたいと思う。

2.2 降水が非常に多く温暖なヤクタト

 ヤクタト(Yakutat)はアラスカの州都であるジュノーの近くに位置している町であり、人口はそこまで多くは無い。そして、名称が世界最寒の都市であるヤクーツク(Yakutsk)にかなり似ているが両者に関係が特にあるわけでは無く、ヤクーツクはサハ人(Yakut)の街(sk)と言う意味に対してこちらはトリンギット語のカヌーが休む場所に由来している。

 そして、ヤクタトの緯度は北緯59.75°とヤクーツクと比較してもそこまで大差は無いが気温に関してはかなり温暖であり、最寒月でも函館と同じぐらいである。

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 ヤクタトは最寒月の平均気温でさえマイナス2.2 ℃と緯度の割には非常に高く、マイナス3 ℃を上回っているため温帯に属している。しかし、最暖月の平均気温は12.1 ℃とかなり低く、更に10 ℃を上回っている月が3カ月しか無いので年中気温の低い状態となっており、このような気候のことを極温帯気候(Cfc)と呼ぶ。

 極温帯気候は西岸海洋性気候の一種であるが夏場の気温も大して上がらないという特徴があり、更に年較差が非常に小さい気候でもある。この気候は高緯度側の海洋に見られる気候であり、世界的に見ても非常に珍しいタイプの気候である。

 そして、この気候に属している場所にはアイスランドのレイキャビクやアルゼンチンのウシュアイア, ニュージーランドのオークランド諸島などがあり、ジュノーもこの気候に属している。

 また、この気候に属している場所では緯度の割に比較的降水量の多い傾向があり、ウシュアイア以外は降水量が多いもののヤクタトの降水量はこれを考慮しても非常に多く、世界的に見ても最も降水量の多い地域となっている。

 ヤクタトは最寒月の平均気温からギリギリ寒冷地ではないものの寒冷地に非常に近い気候となっており、更に気温が下がれば下がるほど降水量が少なくなるため、これほどの緯度でこれほどの降水量を有する地域はヤクタト程度である。

 しかし、ヤクタトはアラスカの中では異端とも言える気候であり、降水量が多いことで有名なジュノーの降水量でさえここまでは多くなく、更にアラスカの降水量は全体を見渡してもかなり低くなっている。

2.3 典型的なアラスカの気候 フェアバンクス

 フェアバンクスはアラスカの代表的な町であり、人口はジュノーとほぼ同じぐらいであるが10万人を軽々と下回っており、3万人を少し超えているほどである。

 そして、フェアバンクスは典型的なアラスカの気候をしており、冬場になると非常に寒くなるが夏場の気温はそこそこ上がり、ヤクタトと比べてもかなり高くなる。

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 フェアバンクスは典型的な高緯度内陸性の冷帯気候であり、以下の条件をすべて満たしている。

  • 冬場になると気温が非常に低いが夏場はそこそこ気温が高い
  • 日較差がかなり大きい
  • 降水量が少なく、特に冬場は少ない

 フェアバンクスの年平均気温はマイナス2~3 ℃程度であり、緯度が近いレイキャビクと比較するとかなり低いもののカナダのノースウェスト準州の州都であるイエローナイフと比較すると高く、サハ共和国の首都であるヤクーツクと比較するとかなり高くなっている。

 そのため、フェアバンクスは極寒ではあるものの同緯度程度の場所では更に極寒な所もあり、フェアバンクスよりも緯度が若干低いオイミャコンの年平均気温はフェアバンクスよりも10 ℃以上も低いほどである。

 そして、余談ではあるがフェアバンクスはイエローナイフとヤクーツクとは姉妹都市の関係にあり、更にイエローナイフとヤクーツクも姉妹都市の関係であるため、これらの町(ヤクーツクのみは都市と言える十分な人口を有している)は三姉妹都市と言う関係にあり、このような例は世界的に見ても非常に珍しくなっている。

2.4 夏も寒いバロー

 最後にバローについて書いて行きたいと思う。バローはアラスカの中でも最北端に位置している町であり、緯度も北緯70°以上もある。そのため、バローは北極圏に位置している町であり、更に北極海にも面している。

 そして、これほど北に位置しているのでいくら海に面していても気温は非常に低く、年平均気温はマイナス10 ℃を下回るほどである。

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 バローは年間を通して気温が低く、最も気温の高い7月の平均気温でさえ3.9 ℃と東京の真冬よりも低いほどである。そのため、バローは一年中冬のようにも見えるが実はそうでは無い。何故ならバローには年較差がきちんとあるからであり、春夏秋冬とは相対的なものに用いるためいくら7月の気温が低くても2月と比べるとかなり高く、7月はバローにとっては夏となる。

 そして、その最寒月である2月の平均気温に着目するとマイナス28.6 ℃と非常に低くなっているがこれでもはるかに緯度の低いヤクーツクと比較すると10 ℃も高く、その理由は内陸性の気候ではないからである。そのため、バローはヤクーツクのような内陸と比較すると最寒月の最低気温はかなり高くなっている。

 また、降水量に着目すると年間を通して非常に低くなっており、アラビア半島の砂漠と同等程度となっているがこの理由はバローが年間を通して気温が低いからである。気温が低いと空気が重くなって気圧が高くなるうえに飽和水蒸気量も著しく小さくなり、結果として降水量が極端に小さくなるのである。

 このようにバローは年間を通して気温も降水量も小さくなっており、これは他の北極海に面した町も同じようになっている。

 以上がアラスカの気候であり、全体的に寒冷な気候となっているが州都であるジュノー周辺部は海洋性の気候をしているため、冬場になってもそこまで気温が下がらず、更に降水量も緯度の割には非常に多くなっている。

 以上、アラスカについてでした。

 

参考文献

Alaska Wikipedia (アラスカの面積, 人口)

https://en.wikipedia.org/wiki/Alaska

北海道 Wikipeida (北海道の面積, 人口)

https://ja.wikipedia.org/wiki/北海道

Yakutat, Alaska Wikipedia 2.1 Climate (ヤクタトの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Yakutat,_Alaska

Fairbanks, Alaska Wikipedia 2.3 Cliamte (フェアバンクスの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Fairbanks,_Alaska#Climate

バロー (アラスカ州) Wikipedia 1.3 気候 (バローの雨温図)

https://ja.wikipedia.org/wiki/バロー_(アラスカ州)

 

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