DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

降水量の比較的多い南アラビア 実は森林が存在している所もある

 今回は南アラビアについて書いて行きたいと思う。

目次

1. アラビア半島

1.1 アラビア半島が乾燥する理由

 アラビア半島は世界一広大な半島であり、アジアの南西部に位置している。そして、アラビア半島はほぼ全域が高温砂漠気候(BWh)となっており、降水量が非常に少ないことが特徴である。

 更にアラビア半島の西側に目を向けてみるとアフリカ大陸があるがアフリカ大陸もアラビア半島と同緯度の地域では乾燥しており、この乾燥地帯こそサハラ砂漠である。

 このようにアフリカ大陸北部からアラビア半島にかけてはほぼ全域が砂漠となっており、世界で最も広大な乾燥地となっているがこの原因は何に由来しているのだろうか?

 それは地球規模の大気の循環であり、赤道付近では海水温が高いため、上昇気流が発生し気圧が低くなる。そのため、赤道付近では年中降水量が多い状態となっているがこの上昇した気流は高緯度側に進み、回帰線~緯度30°付近で下降するようになる。

 その結果、回帰線~緯度30°当たりにかけて高気圧が発生するようになり、この領域はちょうど北アフリカやアラビア半島の北部に該当する。そのため、これらの地域は年中乾燥しており、この乾燥領域は更に低緯度側の北緯12°当たりにまで広がっている。

 また、この回帰線~緯度30°当たりの地域は気候で言うと亜熱帯に該当するため、この地球規模で発生する高気圧は亜熱帯高圧帯と呼ばれており、この高圧帯の緯度に相当する場所は乾燥するようになる。

 このようにアラビア半島全域が乾燥する理由は亜熱帯高圧帯によるものであり、亜熱帯高圧帯の影響が小さい熱帯側でも年中降水量が少なくなっている。

 しかし、亜熱帯領域全体が乾燥地であるかと言うとそういうわけでは無く、モンスーンの影響が大きい大陸東岸では湿潤な気候となり、現に亜熱帯に該当する沖縄や中国東岸の気候は湿潤な気候となっている。つまり、亜熱帯に相当する大陸東岸は乾燥することは無く、乾燥するのはモンスーンの影響の小さい大陸西岸が中心となっているのである。

 けれどもアラビア半島の中で南端に位置している地域ではモンスーンの影響が多少なりともあり、極まれにサイクロンが上陸することさえあるので降水量はアラビア半島の中では最も多くなっている。

1.2 南アラビア

 アラビア半島には国家がいくつかあり、最も広大な面積を有する国家はサウジアラビアであり、アラビア半島の半分以上の面積を領地としている。

 そして、サウジアラビア以外にはイエメン, オマーン, アラブ首長国連邦, カタール, クウェート, バーレーンの6か国があり、アラビア半島には7か国もの国がある。

 また、これらの国の内、カタール, クウェート, バーレーンは面積の小さな国家であり、10万㎢を超える広い国家はサウジアラビアとイエメン, オマーンの3か国となっている(アラブ首長国連邦は10万よりも若干狭い程度である)。

 そして、これらの国の中でイエメンとオマーンは南アラビアに属している国であり(実は南アラビアと言う呼び方は無く、便宜上アラビア半島の中でも南側に位置している二国をそう呼んでいるだけである)、西側がイエメン, 東側がオマーンとなっている。また、イエメンは完全に回帰線の南側, オマーンは若干回帰線よりも高緯度の地域はあるもののほぼ全域が回帰線よりも南側に位置している。

 そのため、イエメンとオマーンはかなり低緯度の国であり、年中気温の高い熱帯性の気候となっているが普通の熱帯とは異なり降水量が極端に少ないため、より過酷な気候となっている。

 しかし、アラビア半島の南西側は標高が比較的高くなっている上にモンスーンの影響を多少は受けるため、アラビア半島の中では最も湿潤な気候となっており、乾燥帯では無く湿潤な亜熱帯に属している所もわずかにあるほどである。

 そして、ここからは南アラビアの二国家について書いて行きたいと思う。

2. 標高の高い国, イエメン

2.1 イエメンとは

 イエメンとはアラビア半島の南西部に位置している国であり、西アジア(中東)の国家の中では最も南に位置している国である。そして、イエメンはアラビア半島の中ではサウジアラビアに次ぐ面積を有している国であり、527,968 ㎢と日本よりもこうだいなめんせきを有している。

 また、人口に関しても28,915,284人とアラビアにしては比較的多くの人口を有しており、こちらもアラビア半島の中では第二位となっている。

 更に余談ではあるがイエメンは面積, 人口と共に世界50位ぐらいであり、両者の順位がほぼ同じとなっている国である。

 また、イエメンは一見全域が灼熱の砂漠のようにも思われているが実は比較的涼しい地域も存在している。例えばイエメンの首都であるサナア(Sanaa)は標高が2,000 mを超えている世界的に見ても標高の高い首都となっており、気温も地上と比較すると低くなっている。

 更にこれらの高山地域はモンスーンの影響を比較的受けるため、降水量も多くなっており、中には乾燥限界を上回っている地域もある。そのため、イエメン国内には乾燥帯では無い地域も存在しているほどである。

 けれどもやはり国土の大半は乾燥しているため砂漠気候と化しており、イエメン第二の都市であるアデンの降水量は40 mm程度と非常に少なく、更に低緯度に属しているため年中高温な熱帯的な気候となっている。

 そして、ここからはこれらの都市について書いて行きたいと思う。

2.2 熱帯乾燥地域

 イエメンはアラビア半島の中で最も南に位置しているので高山を除くと年中気温の高い気候であり、特に南端に当たる地域では降水量を除くと年較差の小さな熱帯気候となっている。

 そして、イエメンで最も南に位置している都市はイエメン第二の都市であるアデン(Aden)であり、アデンの緯度は北緯12.8°と非常に低く標高も低い。

 更にアデンの降水量は先ほども書いたようにかなり少なく、緯度的に見ると熱帯であるサバナ気候(Aw)になるはずであるが亜熱帯高圧帯の影響が非常に大きいため、乾燥帯になっているのである。

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 アデンの気候は年中気温が高く、年較差の小さい熱帯型の気候をしているが降水量が普通の熱帯と比べて非常に少ないため乾燥しており、そのため気温は普通の熱帯と比べて高くなっている。

 アデンの年平均気温は29.1 ℃と世界で最も高温な地域となっており、この気温よりも高い所はエチオピアのダロルやサウジアラビアのメッカ等緯度の低い乾燥地域だけとなっている。

 また、意外ではあるがアデンの歴代最高気温は42.8 ℃とそこまで高くは無く、この気温はサウジアラビアの首都であるリヤドの最暖月の最高気温よりも若干低いほどである。しかし、リヤドは冬になると気温が若干下がる亜熱帯性の気候であるため、年平均気温はアデンよりも低くなっている。

 このようにイエメンの南端部の低地では降水量はかなり少なく、熱帯型の砂漠気候となっているが高山地域ではモンスーンの影響がある気候となっており、降水量は比較的多くなっている。

2.3 湿潤な高山帯

 イエメン第二の都市であるアデンの降水量は少ないがイエメンの首都であると同時に最大の都市であるサナアは高山に位置しているため、気温も低くなっている。

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 サナアの緯度は北緯17°程度と低めであり、本来ならばサバナ気候となるはずであるが標高が2,300 mと高めであるため年平均気温は横浜や東京とほぼ同じであり、最暖月の平均気温も横浜などと比較するとはるかに低くなっている。

 また、降水量に関してだが夏場はモンスーンの影響も比較的あるため比較的多くなっており、特に4,7,8月に関してはひと月でアデンの年平均降水量を上回っているほどである。

 しかし、それ以外の季節の降水量はかなり少ないため、年降水量に関しては265 mmとアラビア半島にしてはかなり多いほうであるがそれでも少なく、乾燥限界の半分にも達していないため、砂漠気候(BWk)に属している。

 そのため、サナアは雨季はあるものの全体的な降水量は少ないので湿潤な気候とはとても言えず、やや降水量の多い砂漠程度である。

 けれどもイエメン第三の都市であるタイズ(Taiz)はサナアと比較しても降水量が多く、年によってはギリギリではあるが乾燥限界を上回っている可能性が高いため、その時は乾燥帯では無く温帯冬季州気候(Cwa)に属していると考えられる。

 そして、タイズはサナアと同じ高山に属している都市であるが標高は1,400 mとそこまで高くは無いので気温はサナアほどは低くは無い。しかし、降水量に関しては年間で660 mmとサナアの倍以上もあり、アラビア半島とは思えないほどに多い。

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 タイズは年平均気温のデータが無かったため、ここでは掲載できないがおそらく23.0 ℃程度と考えられる。

 しかし、年平均気温が23.0 ℃の場合は乾燥限界値が740 mmとなり、660 mmだと下回るため降水量の多い乾燥帯であるステップ気候(BSh)となる。けれども降水量は年によってまちまちであるため、降水が多く、気温の低い年には乾燥限界を上回る可能性が高く、その時は乾燥帯では無く温帯に属すこととなる。

 そのため、タイズは必ずしも乾燥限界を超えているわけでは無いが砂漠気候とは程遠く、場合によっては乾燥帯でない時もあるほどである。

 以上のことより、タイズはアラビア半島の中では最も降水量の多い都市であり、タイズよりも標高の高い地域では常時乾燥限界を上回っている可能性も考えられるほどである。

3. 平和だが過酷な国, オマーン

3.1 オマーンとは

 オマーンはアラビア半島の南東部に位置する国家であり、中東の国の中では最も治安のよい国である。中東と聞くとあまり治安のよいイメージは無く、実際に隣に位置しているイエメンでは物騒な話が多いもののオマーンに関してはそのような話を一切聞かず、危険性に関しても全くないと評価されているほどである。

 そのため、オマーンは非常に平和な国であり、アラビアはおろか世界的に見ても治安のよい国であるが気候に関しては過酷である。

 オマーンは先ほども書いたように緯度が低いため気温が高く、更にイエメンとは異なり降水量の多い地域もほぼ無いのでこちらはほぼ全域が乾燥した気候となっている。

 また、標高の高い地域は存在するものの都市は発達していないのでイエメンの都市と比較するとオマーンの都市は気温が高く、全ての都市が高温な砂漠気候となっている。

 そして、オマーンの面積に関してだがオマーンはアラビア半島の中では三番目に面積が広く、日本の国土面積よりもやや狭い309,500 ㎢程度であるが人口に関しては4,899,946人とイエメンと比較してもかなり少なく、人口密度は16人/㎢とかなり小さい。

3.2 灼熱砂漠の国

 オマーンの首都はマスカット(Muscat)であり、北回帰線付近に位置している。そして、マスカットの特徴としては気温の高さであり、首都の中では上位5位以内の入るほど年平均気温が高くなっている。

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 マスカットの気温と降水量は上図のようになっているがこれから分かるように一年中気温が高く、特に気温の高い6月の平均気温は35 ℃を超えており最高気温に至っては平均でも40 ℃を超えるほどである。

 そのため、マスカットの年平均気温は28.6 ℃と非常に高く、この気温はシンガポールを上回るほどであり、マスカットよりも年平均気温が高い国家は数えるほどしか無い。しかし、それでもマスカットよりも気温の高い首都は存在しており、低緯度の乾燥帯に少々存在している。例えばアフリカ大陸の国家ジブチの年平均気温は29.9 ℃と30 ℃に迫る勢いである。

 ちなみに信じられないようにも思われるがマスカットの歴代最低気温は1.6 ℃とかなり低く、熱帯型の気候としては最も低いものとなっている(マイアミは熱帯であるが極まれに氷点下に達することがある)。

 また、マスカットの乾季は夏であり、降水量がゼロに近くなるが冬場になるとそこそこの降水が見られるようになる。けれども年降水量は100.3 mmと非常に少ないため、マスカットは灼熱と乾燥の砂漠となっている。

3.3 乾燥しているが森林のあるサラーラ

 サラーラ(Salalah)はオマーンの南西部に位置している都市であり、イエメンの国境にかなり近い。そして、オマーンの中では二番目に大きな都市であり、都市圏の人口は30万人をこえているほどである。

 そして、サラーラの気候は砂漠気候であるものの北側に山脈が位置しており、その山脈の降水量は比較的多くなっている。そのため、サラーラの北の山脈にはアラビア半島にしては珍しい森林が形成されているのでサラーラは降水量こそ少ないものの乾燥帯と言うよりも熱帯のような気候となっている。

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 サラーラの雨温図はマスカットのものと大差が無く、若干気温が低く降水量が多い程度であるが北部の山脈ではこれよりも降水量が多いので森林が形成されている。そのため、砂漠気候でありながら森林が形成されている非常に珍しい気候となっており、単純に気温と降水量だけで植生が決まるわけでは無いことが分かる。

 以上が南アラビアについてであり、南アラビアは乾燥している所が多いもののわずかに湿潤な場所が見られ、森林が発達している場所も存在する。

 以上、南アラビアについてでした。

 

参考文献

南アラビアの国(イエメン, オマーン)の人口, 面積

Country in the world by population (2018) (人口)

http://worldpopulationreview.com/

List of countries and dependencies by area (面積)

https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_and_dependencies_by_area

イエメンの都市

Aden Wikipedia 5. Climate (アデンの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Aden

Sana'a Wikipedia 2.2 Cliamte (サナアの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Sana%27a

Taiz Wikipedia 2.1 Climate (タイズの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Taiz

オマーンの都市

Muscat Wikipedia 4. Climate (マスカットの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Muscat

Salalah Wikipedia 3. Climate (サラーラの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Salalah