DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

最も原子番号の小さな遷移金属 スカンジウム

 今回はスカンジウムについて書いて行きたいと思う。

目次

1. スカンジウム

1.1 最も原子番号の小さな遷移金属

 スカンジウムは原子番号が21番の元素のことであり、4周期3族に属している(下の周期表の緑色の部分)。

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 そして、周期表だけ見てみると何の変哲の無い元素であるが実はスカンジウムは遷移金属の中では最も原子番号の小さな元素、つまり最も最初に表れる遷移金属である。遷移金属とはd軌道が不完全に埋まっている元素のことであり、スカンジウムの電子軌道はアルゴンの物に加えて4s軌道に2つ, そして3d軌道に1つ電子が埋まっている状態となっている。

 d軌道とは電子軌道の一つであり、d軌道には10個の電子が埋まることが可能であるため、不完全に埋まっている状態とはd軌道に電子が1~9個ある状態のことである。そのため、d軌道に1つ電子が埋まっているスカンジウムは遷移金属であり、スカンジウムよりも原子番号が小さい元素の中でd軌道に電子が埋まっている元素は無いため、スカンジウムは遷移金属の中で最も原子番号の小さな元素となっている。

 また、遷移元素については下の記事に書いているため、参照していただきたい。

www.rigelultragiant.com

  ここまではスカンジウムの周期表の位置と遷移金属について書いてきたがここからはスカンジウムの由来について書いて行きたいと思う。

1.2 スカンジウムの由来

 スカンジウムは英語で書くとscandiumと表記される。そして、この中のiumと言う名称は金属原子や陽イオンの末尾に用いられるものなのでスカンジウムはscand+iumに分解することが可能である。

 つまり、スカンジウムはscandと言う名称に由来しており、scandとはとある地名の一部となっている名称である。スカンジウムのscandとはScandinaviaから来ている名称であり、Scandinaviaとはヨーロッパ北部, つまり北欧の大部分を占める地域に由来している。

 スカンディナヴィアとは北欧の中でノルウェー, スウェーデン, デンマークを含む地域であり、北欧と言うように非常に高緯度側に属している。しかし、高緯度に属している割には気温がそこまで下がるわけでは無く、冬場でも北海道と同等程度と緯度の割にはかなり気温が高くなっている。

 そして、スカンジウムはガドリン石と言うフィンランドの科学者であるヨハン・ガドリン(Johan Gadolin)に由来する鉱物から発見されたことがこの元素の発見となった。ちなみに原子番号64番のガドリニウム(Gadolinium)はこのヨハン・ガドリンに由来する金属である。

 このことについては以下の記事を参照していただければよいと思う。

www.rigelultragiant.com

  また、北欧の気候については以下の記事に書かれている。

www.rigelultragiant.com

2. 3族

2.1 3族とは

 3族とは周期表の3列目に当たる元素群のことであり、スカンジウム以外にはイットリウム(Y), ランタン(La), アクチニウム(Ac)が属している。しかし、3族は周期表で見ていただければわかるようにランタニド(Lanthanids)やアクチニド(Actinids)と言った周期表に収まらない元素が数多くあり、どれが3族であるかが良く分からない状態となっている。

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 これは周期表が電子軌道を元に作成していることが原因であり、周期表はd軌道を基準にして作成されている。そのため、d軌道が存在しない1~3までの周期には空白がいくつか開いており、特にs軌道しかない1周期に至っては2~17族までが空白となっている。

 そのため、その周期に対応していない部分には空白が開いており、先ほど書いたd軌道に影響がある遷移金属が属している部分は3~11族であるため、12族を除くと丁度対応している形となる。けれども典型元素である12族の部分が何故空白になっているかと言うと12族はd軌道が丁度埋まっている形となっており、d軌道に対応する軌道となっているからである。

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 上図は4周期元素の電子軌道を表したものとなっており、Sc~Niまでは不完全にd軌道が埋まっている。しかし、遷移金属であるCuはd軌道が完全に埋まっているがこれはイオン化するとd軌道から電子が1つ離れるため、結果としてd軌道に電子が9つ、つまり不完全に埋まる形となる。

 そのため、Cuは遷移金属として扱われるようになるがZnはイオン化してもd軌道に10個の電子が存在している形となるため、遷移金属とはならないのである。

 そして、周期表であぶれた部分, ランタニド, アクチニドについて書いて行きたいと思うがこれらの元素はf軌道と言う更に上位の軌道に対応するため、このようにあぶれるようになる。実際にf軌道に対応した周期表を書くと以下の様になり、非常に空白の多い周期表となるため、現在のd軌道に対応する周期表が使われているのである。

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 もし、ランタニドやアクチニドを一つにまとめて書くと上図のようになり、非常に見づらくなるため、ランタニドとアクチニドを分けて書いているだけであり、決してランタニドやアクチニドが特異な元素と言う訳ではない。

 そして、上表から見てわかるように3族元素はスカンジウム(Sc), イットリウム(Y), ランタン(La), アクチニウム(Ac)の4種類だけであることが分かる。

 更にf軌道が初めに埋まる元素は57番のランタンでは無く58番のセリウム(Ce)であり、ランタンはスカンジウムと同じようにf軌道には関与しない元素である。

2.2 3族の融点, 沸点, 硬度

 3族元素はスカンジウム, イットリウム, ランタン, アクチニウムの4つであるがこれらの融点, 沸点, および密度について書いて行きたいと思う。

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※3族は元素の周期表、物性 (18-02-01-01) - ATOMICA -のデータが少なく、イットリウム以外のデータが無かったので太字以外はWikipediaを参照としたデータを掲載している。

 3族の特徴としては密度が非常に小さいことであり、密度の極端に小さな1族や2族を除くとかなり小さい。例えばスカンジウムと同じ4周期の鉄の密度は7.874 g/㎤とかなり大きく、その一方でスカンジウムの密度は2.985 g/㎤とアルミニウムと大差がないほどである。このことは他の3族元素でも同じことが言え、原子番号がかなり大きいランタンでさえ鉄の密度を普通に下回っているほどである(さすがにアクチニウムほど原子番号が大きくなると鉄よりも大きくなるがそれでも3つ先のウランと比較すると半分近くも小さい)。

 また、融点は原子番号の小さなスカンジウム, イットリウムのものが比較的大きくなっており、スカンジウムに至っては鉄やニッケルなどの他の4周期元素と比較しても大差がないほどになっている。

 しかし、ランタンの融点はかなり低く、3族の中では最低値となっているものの隣に位置しているセリウムの融点は更に低いため、ランタンだけが特別低いわけでは無い。けれどもランタンと同じ6周期の元素でタンタルからイリジウムにかけては最も融点, 沸点の高い元素となっているため、これらと比較するとやはりかなり低いように見える。

2.3 3族の安定同位体

 安定同位体とは放射性でない同位体のことであり、崩壊して他の原子核にならない原子のことである。そして、安定同位体は原子番号が1~82番(43, 61を除く)の元素に存在しており、83番以降の元素と43番, 61番の元素には安定同位体は存在していない。

 そのため、原子番号が89番のアクチニウムには安定同位体は存在しておらず、全ての原子核が放射性となっている。

 また、安定同位体は原子番号が奇数の原子核には非常に少ないという特徴があり、最大でも2つしかないほどである。そのため、原子番号が奇数の3族元素には安定同位体が少なく、例えばスカンジウムには安定同位体がスカンジウム45, イットリウムにはイットリウム89, ランタンにはランタン139しかない。

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 安定同位体と全元素中に占める割合は上表のようになっており、スカンジウムとイットリウムは100%を占めている。しかし、ランタンだけは100%では無く、若干少なめとなっているがその理由はランタン138の半減期が1050億年と非常に長いからであり、崩壊までに非常に時間がかかるからである。

 ちなみにアクチニウムは原子番号が非常に大きいため、安定同位体は存在しないがアクチニウム227は半減期が最も長いため、アクチニウムの中ではほぼ100%を占めている。しかし、その半減期も21.773年と短めであるため、100年も経つと数パーセント程度しか残らないようになる。

 以上が3族の安定同位体であり、3族は奇数番号であるため、安定同位体の数が少なく、アクチニウムを除いてただ1つの元素だけが安定同位体となっているのである。

 以上、スカンジウムと3族元素についてでした。

 

参考文献

参考文献

元素の周期性、物性(18-02-01-01) {ランタンのみ, 密度(表2), 融点, 沸点(表3)}

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=18-02-01-01

他はWikipediaを参照