DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

東西を分ける経度180°線 少しではあるが陸地も通っており...

 今回は経度180°線について書いて行きたいと思う。

目次

1. 経度180°線

1.1 経度とは

 経度とは南北を表す緯度に対して東西の座標を示しており、東経と西経の二つが存在している。そして、経度は地球を北極, あるいは南極から見た図を参照しており、円一周は360°であるため、東経, 西経はそれぞれ180°まで存在する。

 そして、経度0°はイギリスのグリニッジ天文台を基準としており、経度は以下の図のように表わされる。

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 上図は北半球を表した図であり、中心部は北極点, 円周は赤道を示している。そして、経度180°線は経度0°線の反対方向にあり、左半分が東経, 右半分が西経となっている。また、東方向に角θずれている線が東経θ線であり、西方向に角φずれている線が西経φ線となっている。

 以上が経度の説明であり、人口が集中しているのは東経側である。更に北半球の人口は南半球の10倍以上であるので総合的に見て人口は北緯, 東経側に寄っており、日本もこの部分に該当している。

1.2 経度と時差

 経度は360°で地球を一周しており、地球の赤道の長さは40,078 kmであるため経度1°当たりの長さは赤道で約111.33 kmである。

 しかし、高緯度に行くにつれて円周は段々と短くなっていくため、経度1°当たりの長さも短くなっていき、緯度60°で赤道の半分となる。そして、緯度当たりの円周の長さは赤道の周囲の長さをRとおくとRcosθ (θは緯度)となるため、結局経度1°当たりの長さも赤道のcosθ倍となる。

 そのため、経度1°当たりの長さは以下の表のようになっており、当然ではあるが緯度が90°の場合は長さはゼロとなる。

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 経度1°当たりの長さは緯度30°の地点で√3/2倍(約0.86倍), 45°の地点で√2/2倍(約0.71倍)倍となり、低緯度だとそこまで大差は無いが高緯度になればなるほど短くなっていき、これは微分を用いれば分かるようになる。

 また、東京都が位置している北緯36°の円周は赤道の81パーセント程度なので経度1°当たりの長さはほぼ90 kmとなる。

 更に地球は24時間で南中から次の日の南中に移るため(地球の自転周期は24時間を若干下回っており、23時間56分4秒である)、1時間当たり15°の時差が生じるようになる。そのため、イギリスのグリニッジ天文台と明石の天文台では135°, つまり9時間の時差が生じるようになり、明石市のほうが9時間早く時間が進んでいるように見える。

 そして、先ほどの計算から赤道では経度1°当たりの長さが111.33 kmであったので15°の長さは1,670 kmとなる。そのため、赤道では1,670 km移動すれば1時間のずれが生じるようになり、この長さはちょうど赤道での時速を示している。

 また、当然のことではあるが緯度が高くなればなるほど経度1°当たりの長さは短くなるので1時間当たりのずれに相当する長さも短くなり、北緯36°では経度15°の長さが1,351 kmとなる。つまり、北緯36°の場所では1,351 km移動すると1時間ずれるようになり、西方向に進むと時間が戻り, 反対に東方向に進むと進むようになる。

 更に極端な話となるが緯度89°地点ではこの長さが更に短くなるようになり、円周の長さがわずか699 kmとなるため、経度15°の長さは29.1 kmと非常に短くなる。つまり、1時間の時差に対する長さがわずか29.1 kmとなるため、時速29.1 kmで西方向に進むと実質時間が止まっているように見えるようになる。

 しかし、これほど緯度が高くなると北極海や南極点付近となるため、近づくことさえままならないようになり、更に緯度を一切変えないという前提があるため、このようなことをすることは実質不可能である。

 このように緯度が高くなればなるほど1時間当たりの長さも短くなっていき、北極点付近となればその長さも微々たるものとなってくる。

2. 経度180°線の陸地

2.1 陸の少ない経度180°線

 経度0°線にはイギリスのグリニッジ天文台以外にも多くの陸地が属しており、ユーラシア大陸のヨーロッパ部とアフリカ大陸が属している。そして、経度0°戦場に位置している国はイギリス以外にはフランス, スペイン, アルジェリア, マリ, ブルキナファソ, トーゴ, ガーナの8か国が通っている。

 そのため、経度0°線には比較的陸地が多く、8か国もの国家が通っているが経度180°線には陸地が少なく、海がほとんどの割合を占めている。

 実際に経度180°線にはロシア, フィジーの2か国しか通っておらず、その内フィジーは小さな島国であるため、実質大陸で経度180°線を通っている国はロシアしかない。

 しかし、これは非常に都合の良い話であり、もし経度180°線に陸地が多くあった場合は日付変更線を経度180°線に設置することが出来なくなる, または陸地に日付変更線を設置する羽目となり、非常に困惑した状態となることは想像に難くない。

 けれども現実の東経180°線には陸地がほとんどないため、日付変更線を経度180°線にある程度は通すことが可能となっており、陸地で通っている場所は東, または西に少しずらせば解決できるようになっている。

 そのため、ロシア連邦は西経に突入しているが日付変更線よりも西側に位置しているため、最も日が早く始まるようになっている。

 また、赤道付近には小さな島が多くあるため、比較的ずれが大きくなっているがそれでも生活に支障が出るほどでもなく、経度180°線に陸地がほとんど無いことは奇跡とも言えるのである(これはイギリスの反対側に陸地が少ないことに起因するが)。

 ちなみに経度180°線は東西を分断する線であるが西側が最東端, 東側が最西端となっているため、西に行くと東に、東に行くと西に行くようになり、かなり混乱するような状況となっている。

2.2 チュクチ自治管区とウランゲリ島

 東経180°線を通る陸地は非常に少なく、その内1つはロシア連邦の最東端であると同時にユーラシア, およびアジアの最東端であるチュクチ自治管区である。チュクチ自治管区はユーラシアの最東端であると同時に非常に北に位置しているため、過酷な環境となっており、寒帯であるツンドラ気候が多く分布している。

 そのため、人口密度は非常に少なく0.1 人/㎢をも下回っているがこれが日付変更線の近くに位置していることと合わせて非常に都合がよくなっている。

 そして、チュクチ自治管区の中で経度180°線が通っている場所は大陸部もあるがウランゲリ島(Ostrov Vrangelya, 英名はランゲル島)と言う島も属している。ウランゲリ島は北極圏に位置している島であり、全域が寒帯に属しているので非常に気温が低く、下に雨温図を示す。

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 ウランゲリ島は北極圏に属しているため、雨温図の形が若干特異となっている。そして、注目すべきところは夏の気温の低さであり、最暖月の平均気温でさえも3.0 ℃と南関東の冬よりも気温が低く、一年中寒い気候であることが分かる。

 しかし、最寒月の平均気温はマイナス23.5 ℃と寒いことには寒いもののそこまで低いわけでは無く、ウランゲリ島よりも緯度が低いオイミャコンの最寒月の平均気温がマイナス46.4 ℃であることを考えると温暖であることが分かる。

 この理由はウランゲリ島が内陸性の気候ではないからであり、高緯度の内陸場合は冬場の気温が極限にまで下がるものの夏場になると比較的高温となるため、年較差が極端に大きな気候となる。そのため、世界でもっとも冬の寒い居住地であるオイミャコンは年中寒い寒帯では無く夏場になるとそこそこ暖かくなる冷帯に属している。

 けれどもウランゲリ島が完全な海洋性の気候かと言うとそうでは無く、年較差も東京並みにあるがこれは緯度が非常に高く、暖流も流れていないからである。

 更にウランゲリ島の降水量は非常に少ないがこの理由は単純に気温が年中低いからであり、気温が低いと飽和水蒸気量が極端に少なくなるため、降水自体が無くなるからである。

 また、フィジーにも東経180°線が通っているがあちらのほうは本当の島国である上に緯度もかなり低いため、ウランゲリ島とは違い、年中高温な熱帯気候となっている。

 以上、経度180°線と経度180°線を通る陸地についてでした。

 

参考文献

Wrangel Island Wikipedia 3. Climate (ウランゲリ島の雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Wrangel_Island