DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

新たにアルゴ座に加えられた星座 らしんばん座

 今回はらしんばん座について書いて行きたいと思う。

目次

1. らしんばん座

1.1 アルゴ座

 らしんばん(羅針盤)座とは88星座の一つであり、旧アルゴ座の領域に新たに加えられた星座である。アルゴ座(Argo)とはかつて存在していた巨大な星座であり、神話の船を模した星座のことである。そして、アルゴ座は余りにも巨大であったため、3つの星座に分割され、その星座とはほ座, とも座, りゅうこつ座のことである。

 その中でもりゅうこつ座には全天で二番目に明るいカノープスが含まれており、現在カノープスはりゅうこつ座のα星であるがかつてはアルゴ座のα星であった。しかし、カノープス以外には一等星以上の恒星は旧アルゴ座には含まれておらず、次に明るいミアプラキドゥスは1.68等と明るいことには明るいがカノープスと比較するとかなり暗く、9.12分の1程度の明るさしかない。

 そのため、アルゴ座はα星の次に明るい恒星の明るさはかなりのものとなっているがα星が極端に明るいため、α星との差が大きい星座となっており、これはおおいぬ座にも言える話である。

1.2 アルゴ座の主要恒星

 アルゴ座には1等星こそカノープス程度しか無いが(正確にはマイナス1等星)2等星は多く含まれており、β, γ, δ, ε, ζ, ι, κ, λ星が2等星に含まれている。そして、3等星ともなると非常に多くの数の恒星が属しており、中にはギリシャ文字を含まないような恒星も含まれている。

 そのため、アルゴ座の恒星は非常に明るいものが多く、単純に大きさだけが大きい星座と言う訳でもない。

 更にアルゴざの恒星の中には絶対等級が極端に大きなものも多く含まれており、その絶対等級はカノープス(マイナス5.6等)とは比較にならないものも多く、中にはマイナス7等をも超えるものも含まれている。

 そして、旧アルゴ座の星座、即ちほ座, とも座, りゅうこつ座で最も明るい恒星はいずれも強力な恒星となっており、りゅうこつ座で最も明るいカノープスは言うまでも無く、ほ座で最も明るいアル・スハイル・アル・ムーリフととも座で最も明るいナオスは地球からの距離が1,000光年以上も離れている2等星である。

 更にこれらの恒星は表面温度が30,000 Kを超えるような非常に高温な恒星であり、特にナオスに至っては42,000 Kと肉眼で見える恒星の中ではトップと言っても過言ではないほどの表面温度となっている。

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 旧アルゴ座の最輝星の可視光での絶対等級は大差はないものの表面温度はカノープスが非常に低いというよりも他の2つの恒星が非常に高くなっているため、総合的なエネルギー量ではカノープスが最も低くなっている。そのため、全波長での絶対等級はカノープスが群抜きで低くなっており、他の2つの恒星の絶対等級はリゲルをも凌ぐほどとなっている。

 このように旧アルゴ座の主要恒星は非常に明るいものが含まれており、比較的明るい恒星の中ではα星(カノープス), γ星(アル・スハイル・アル・ムーリフ), ζ星(ナオス)以外にε星, ι星, κ星, λ星, π星, θ星などの恒星が強い絶対等級を有している。

2. らしんばん座の恒星

2.1 らしんばん座の位置と恒星

 らしんばん座はアルゴ座のギリシャ文字のついていない恒星の領域に加えられた星座であるため、明るい恒星は無く、最も明るいα星でさえ3.68等とそこまで明るい恒星ではない。そして、α星以外にはβ星とγ星が4等星に含まれており、それ以外の恒星は5等星以下の暗い恒星である。

 そのため、他の旧アルゴ座の恒星と比較するとかなり暗めであり、どの星座がらしんばん座であるかは非常に分かりづらくなっている。

 しかし、らしんばん座は旧アルゴ座の中では比較的北の方向に見えるため、観測することは東京でも容易であり、更に3.68等は極端に暗いわけでも無いため、観測しようと思えば観測することが可能である。

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 らしんばん座はおおいぬ座の隣に位置している旧アルゴ座のとも座の更に隣に位置しており、γ星とα星, β星がほぼ直線をなしている形となっている。

 そして、らしんばん座の恒星の絶対等級はα星がかなり明るめとなっており、有名どころの恒星で言うとスピカとほぼ同レベルのものとなっている、スピカはおとめ座の恒星のことであり、地球からの距離が250光年程度離れている一等星で絶対等級はマイナス3.5等とかなり明るめである。

 また、β星はα星ほどは明るくなく、絶対等級もマイナス1.5等を若干超えている程度であるがそれでも暗い恒星と言う訳では無く、そこそこの絶対等級を有しているほどである。

 しかし、γ星の絶対等級は暗めであり、0等程度しか無いため、近さで言うと地球から見た明るさとは反対にγ星が最も近く、反対にα星が最も遠いものとなっている。また、らしんばん座の恒星のデータは以下の様になっている。

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2.2 らしんばん座の恒星のデータ

2.2.1 α星

 らしんばん座の恒星で最も明るいα星にはアル・スムト(Al Sumut)という固有名がついている。

 そして、α星は先ほども書いたように地球からの距離が非常に遠く、879.2光年も離れている。この距離は絶対等級が極めて強いことで有名なリゲル(863光年)よりも遠いほどである。

 そのため、らしんばん座α星の絶対等級は非常に強いものとなっており、マイナス3.47等にも及ぶ。この明るさはおとめ座のスピカの明るさとほぼ同等であり、スピカは250光年近く離れた所に位置している0.98等の明るい恒星である。

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 スピカはB1型の主系列星であるが資料によっては巨星とされることもあるため、年齢的にはらしんばん座α星とは大差がない。更にスピカとらしんばん座α星は変光星であり、その変光型も同じものとなっているため、違いは地球からの距離程度となっている。

 このことより、スピカとらしんばん座α星は非常に似通った恒星となっており、らしんばん座α星以外でスピカと似た恒星にはケフェウス座β星, おおかみ座α星等があり、これらの恒星はいずれも早期(表面温度が高めの)B型の恒星である。更にこれらの恒星はケフェウス座β型と呼ばれる変光星に属しており、らしんばん座α星もこの変光星である。

 また、らしんばん座α星の質量は太陽の10倍程度であり、この質量は奇しくもアルゴ座の主星であるカノープスと同等であり、らしんばん座α星が高齢化するとカノープスの様な恒星になることを意味している。

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 らしんばん座α星は現在太陽の7.6倍程度の直径を有する恒星であり、表面温度が20,000 Kを超えるような高温の恒星であるが今後は超巨星となり、カノープスの様な恒星になると考えられている。

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 らしんばん座α星とカノープスの大きさは上図のようになっており、カノープスのほうが明らかに大きいものの質量はほぼ同じである。そして、らしんばん座α星は質量が太陽の10倍ほどもあるため、超新星爆発を起こした後に中性子星が残ると考えられ、これは大質量星の典型的な一生である。

2.2.2 β星

 らしんばん座β星はα星ほどは明るくなく、距離も416光年とα星の半分も離れていない。そして、β星の明るさはα星と比べても暗く、視等級は3.97等, 絶対等級はマイナス1.55等とそこまで強い恒星ではない。

 しかし、決して弱い恒星と言う訳でもなく、太陽の360倍近くの明るさを有しているため、そこそこの明るさを有しており、更にスペクトル型が太陽と同じG型であるため、太陽と比較すると少しだけ表面温度が低いぐらいである。

 そして、表面温度が低い分、α星よりも直径はいくぶんか大きくなっており、大体太陽の28倍程度の直径を有していると考えられている。

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 らしんばん座β星は太陽と比較すると非常に巨大な直径を有しているがこれでもカノープスの半分の直径を有しておらず、更にカノープスは表面温度が太陽と比較すると幾分か高いため、絶対等級はカノープスの40分の1を若干下回っている。

 そのため、β星はそこそこの明るさを有してはいるもののそこまで明るくは無く、更に質量もそこまで大きくないので将来は超新星となることも無く、白色矮星として一生を終えると考えられる。

 また、γ星も比較的明るい恒星であるがそこまで面白い恒星では無いため、今回はα星とβ星のみで記事を終了させていきたいと思う。

 以上、らしんばん座についてでした。

 

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