DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

遷移金属と典型元素の間の元素 亜鉛

 今回は亜鉛について書いて行きたいと思う。

目次

1. 原子番号30

1.1 亜鉛とは

 亜鉛とは原子番号が30番の元素のことであり、金属元素に分類される。そして、亜鉛の周期表での位置は以下の表の緑色の部分である。

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 亜鉛は同族で最も初めに来る元素の中では最も原子番号が大きく、原子番号が31番のガリウム以降だと同族で自分よりも若い原子番号の元素が出てくるようになる(例えばガリウムの場合は上にホウ素BとアルミニウムAlがあるが亜鉛の場合は上に何もない)。

 また、亜鉛は12族の元素であり、12族は遷移金属と典型元素のちょうど間に位置しているが定義上より典型元素に含まれる場合が多い。ここで言う典型元素とはd軌道と呼ばれる軌道が空, または完全に埋まっている元素のことであり、それとは反対にd軌道が不完全に埋まっている元素のことを遷移元素と呼ぶ。そして、遷移元素は金属元素しか無いため、遷移金属と呼ぶほうが一般的であり、遷移金属は3~11族の元素のことを指す。

 更に亜鉛は実用性の非常に高い元素であり、マンガン電池のような人工物以外にも生体内で亜鉛イオンとして生命維持活動に使われてもおり、亜鉛が生命にとっても科学的な分野においても重要な元素であることが分かる。

1.2 物理特性

1.2.1 融点, 沸点

 亜鉛は全金属の中でも比較的融点の低い金属であり、融点はわずか419.6 ℃程度しかない。この融点は金銭の表面温度よりも低いぐらいであり、鉛と並んで融点の低い金属として知られる。

 そして、融点だけではなく沸点も低く、こちらも907 ℃とかなり低くなっており、亜鉛は1,000 ℃になる前に気化することが分かる。この沸点は全金属元素の中でもトップレベルに低く、亜鉛よりも沸点の低い金属はナトリウム, カリウム, ルビジウム, セシウム等のリチウムを除く1族元素(アルカリ金属)とカドミウム, 水銀等の亜鉛以外の12族元素程度しか無く、亜鉛の沸点がいかに低いかが分かる。

 また、亜鉛の隣に位置している13族のガリウムの融点は夏場の気温程度とかなり低めであるが沸点は2,000 ℃を超えるほど高く、更に亜鉛の周辺元素の沸点は亜鉛だけが異常に低い状態となっている。

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 亜鉛の融点は低いものの隣に位置しているガリウムの融点が低すぎるため、あまり目立たないようになっている。しかし、ガリウムの沸点は融点とは裏腹にそこまで低く無いため、亜鉛だけが異常に低い状態になっている。

 ちなみに原子番号33番の砒素の沸点は亜鉛よりも低いが砒素は金属元素では無いため、融点の低い金属には含まれない。

 このように亜鉛は融点も沸点も低いもののそれ異常に沸点の低さが目立っており、この性質は12族共通の性質であり、他の12族元素も周辺部と比較すると異常に沸点が低くなっている。

1.2.2 密度, 硬度

 亜鉛は融点や沸点が低いだけではなく、密度もやや低くなっており、7.13 g/㎤と鉄などと比較しても若干低い。しかし、こちらは沸点とは違いそこまで目立つ値とはなっておらず、ガリウムの5.90 g/㎤と比較しても高い。

 また、亜鉛は比較的柔らかい金属であり、傷つきにくさを表すモース硬度も2.5とそこまで高くは無く、この値は銅(3.0)よりも低く銀(2.5)と同じである。

 しかし、これでも同族で1周期上に位置しているカドミウムと比較すると高めであり、更に上に位置している水銀は常温常圧化では液体であるため、モース硬度を測ることが出来なくなっている。

 以上のことより、亜鉛の密度は比較的小さくなっているが特別小さいわけでは無く、また、比較的傷つきやすい金属であるため、亜鉛はやや脆い金属と言える。

1.3 同位体

 次に同位体について書いて行きたいと思う。同位体とは原子核の陽子数は同じ(つまり同じ元素)だが中性子数の異なる原子のことである。例えば水素の場合だと陽子1個だけの軽水素と陽子1+中性子1の重水素があり、これらは同位体の関係にある。

 そして、亜鉛の原子番号は30であるので陽子数は30だが中性子数は異なっており、最も多いものは中性子数が34個の亜鉛64である。亜鉛64は全亜鉛原子の中で48.6 %と半分近くも占めており、次いで中性子数が36個の亜鉛66, 38個の亜鉛68, 37個の亜鉛67, 40個の亜鉛70の順に続き、これら5つの亜鉛原子核が安定同位体(原子核の崩壊が起こらない安定な原子核)となっている。

 このように亜鉛には安定同位体が非常に多く含まれているがこの理由は亜鉛の原子番号が偶数だからであり、一般的に原子番号が奇数の原子は安定同位体が2つ以下と言われている。

 例えば原子番号が1の水素の場合は水素1(軽水素)水素2(重水素)の2つだけが安定同位体であり、原子番号が79番の金は金197ただ一つが安定同位体となっている。更に原子番号43番のテクネチウムと61番のプロメチウムには安定同位体が一つも存在しておらず、奇数の原子番号の元素には安定同位体が少ない, または無いことが分かる。

 しかし、これは原子番号が82番までの元素に言える話であり、84番以降になると偶数番でも安定同位体が一つも存在しなくなる。

2. 12族元素

2.1 12族元素と電子配列

 12族元素は遷移金属と典型元素の中間的な性質の元素であり、亜鉛以外にはカドミウム(Cd)と水銀とそこまで印象の良くない元素が含まれている。そして、更に上位にはコペルニシウム(Cn)と言う原子番号が112番の元素もあるがこれは半減期が非常に短い人工の放射性元素であるため、今回は亜鉛とカドミウム、水銀の三元素について書いて行きたいと思う。

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 12族元素は亜鉛(Zn)の下に位置している元素であり、亜鉛(緑色), カドミウムと水銀(水色), コペルニシウム(黄色)によって成り立っている。

 そして、これらの元素の特徴としては何といってもd軌道に10個の電子が埋まっていることであり、次に埋まるp軌道に電子が一つも無いことである。そのため、遷移元素のように錯体(金属イオンが配位子と呼ばれる分子, イオンに囲まれている状態のこと)に色がつくことも無く、化合物も白色である。

 例えば遷移金属である銅の錯体や化合物の色は青色であり、ニッケルの場合は緑色になっている。これはd軌道が不完全に埋まっているからであり、普段は5つのd軌道のエネルギー量は同じであるが錯体が配位すると軌道のエネルギーに違いが生じ、この時光を吸収するようになる。そして、吸収する光のエネルギーは元素によって異なるため、色に違いが生じ銅の場合は青色の光が余り、ニッケルの場合は緑色に光が余るようになる。

 そのため、この残った光が錯体や化合物に色となり、結果として元素に色がついて見えるようになる。

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 上図はニッケルイオンのd電子軌道を表した図であるがニッケルイオンの3d軌道には8つの電子が埋まっている(図の左側)。そして、配位子が配位する時(図の右側)に軌道が分裂し、軌道ごとに異なるエネルギーとなり、この時に吸収した光の波長によって色が決まるようになる。

 しかし、亜鉛の場合はd軌道に電子が完全に埋まっているため、軌道が分裂したとしてもエネルギー量は変わらず、結果として光を吸収せず色がつくことも無い。

 このような経緯があるために12族元素の化合物には色が無い, または白色であり、12族元素の電子配置は以下の様になっている。

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 12族の元素はいずれもd軌道に10個の電子が含まれており、この10個の電子が遷移金属の性質を示さなくしているのである。

2.2 低沸点の12族

 12族の元素には亜鉛以外にカドミウムと水銀があり、これらの元素にはあまりいい印象は無い。その理由はカドミウムはイタイイタイ病, 水銀は水俣病の元凶となっている物質だからであり、いずれも四大公害に関係のある物質となっている。

 そのため、亜鉛以外の12族の元素は環境に悪い印象が強く、無いほうが良いようにも思われるがこれでも良い方面の活躍もある。例えばカドミウムはニッケル-カドミウム電池, 通称ニッカド電池に用いられており、水銀は水銀温度計に用いられ、これらの装置を製作するにあたってはこれらの元素は必須となる。

 このように有害な物質となるものでも使い方によっては有益な物質に変わり、地球上に存在する物質はほぼ全てが何かしらの使い道があると言っても過言ではない。

 そして、ここまではカドミウムと水銀の影響や用途について書いてきたがここからは物理的な性質について書いて行きたいと思う。

 カドミウムと水銀は亜鉛以上に融点も沸点も低い物質であり、水銀に至っては融点が全金属中で最も低く、マイナス38.84 ℃しかないほどである。この温度は日本では旭川市程度でしか観測されたことが無く、シベリアでもなかなかこの温度には達さないものの東シベリアのサハ共和国ではこれぐらいの温度は当たり前であり、その中でもオイミャコンに至っては12月, 1月の間は最高気温でさえこの温度を下回るほどである。つまり、オイミャコンの冬場に水銀を放置すると長い間固体金属の状態でいることとなる。

 このように地球上でも水銀が比較的長い期間固体でいられる場所も存在するがそれでも融点が低いことには変わりは無く、沸点でさえ水銀は全金属中で最も小さい値を取るほどである。

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 12族元素の物理的な性質は上表のようになっており、先ほどまでは異常に沸点に低かった亜鉛でさえこの中では最も高くなっており、更に融点も最も高くなっている。

 これは12族の元素の沸点は周りの元素と比較すると異常に低いからであり、金属元素の中では1族と12族の沸点はどの元素でも非常に低くなっている。

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 12族と前後の周期(11,13族)の沸点は上図のようになっており、12族の沸点がいかに低いかが分かる。

 このように12族は非常に低い沸点と低い融点を有しており、これは遷移金属と典型元素の間に位置している以外の大きな特徴である。

 以上、亜鉛と12族元素についてでした。

 

参考文献

元素の周期性、物性(18-02-01-01) {密度(表2), 融点, 沸点(表3)}

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=18-02-01-01

 

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