DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

いて座で最も明るい恒星 カウス・アウストラリス

 今回はいて座で最も明るい恒星であるカウス・アウストラリスについて書いて行きたいと思う。

目次

1. いて座

1.1 明るさがギリシャ文字に依存しない星座

 いて座は黄道十二星座の一つであり、夏の星座である。そして、いて座には二等星が2つ含まれており、一つは今回紹介するカウス・アウストラリスであり、もう一つはヌンキと言う恒星である。

 そして、カウス・アウストラリスはいて座の中で最も明るい恒星であり、その明るさは北極星を上回る1.79等である。そのため、カウス・アウストラリスは比較的目立つ恒星であり、見つけることは容易である。

 また、もう一つの二等星であるヌンキは南斗六星と呼ばれる北斗七星によく似たアステリズムを形成しており、その中で唯一の二等星となっている。ちなみにヌンキの明るさは北極星よりも若干暗い程度であり、こちらもかなり明るい恒星である。

 このようにいて座は一等星こそないものの比較的明るい二等星が2つもあり、更に次に明るいアスケラも2.60等とかなり明るい三等星である。

 しかし、いて座の恒星の明るさはギリシャ文字とはほぼ関係ない明るさとなっており、最も明るいカウス・アウストラリスはα星では無く、本来ならば5番目に明るいε星となっている。更にヌンキに至っては18番目に明るいはずのσ星であり、これは明らかにギリシャ文字に依存していない。

 けれども三番目のアスケラもζ星と6番目の文字となっているが次に明るいカウス・メディアは4番目のδ星となっており、これだけがギリシャ文字の順番に合致している。

 そして、肝心のα星であるルクバトは3.96等と正直そこまで明るい恒星では無く、他にギリシャ文字に依存していない星座にはりゅう座がある(それどころか最も明るい恒星がα星のものはそこまで多くは無い)。

 以上のことより、いて座はギリシャ文字の明るさと恒星の明るさには全くの関連性が見られず、ε星が最も明るい他の星座にはおおぐま座とぺガスス座がある。

1.2 いて座の恒星

 いて座には二等星以外にも数多くの三等星が含まれており、さそり座ほどでは無いが比較的明るい星座となっている。そして、いて座の恒星は地球からの距離が様々であり、カウス・アウストラリスは地球からの距離が比較的近く、143光年程度離れている。

 そして、二番目に明るいヌンキはカウス・アウストラリスよりも若干遠くに位置しているが遠い恒星はヌンキとは比較にならないほど遠く、特に遠いμ星は地球からの距離が3,000光年以上も離れている。そのため、μ星の絶対等級は非常に強く、マイナス6.60等とリゲルの明るさに迫るほどである。

 その反面グリーゼ783と言う5等星は地球からの距離が地球からの距離が20光年も離れておらず、肉眼で見える恒星の中では最も近い部類に入っている。

↓ いて座の恒星のデータ

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 この表はいて座μ星とグリーゼ783以外は地球から明るい順に並べたものである。そして、その中でもカウス・メディアとアルバルダーは比較的地球からは遠く、絶対等級も強めとなっている。

 しかし、これらの恒星もいて座μ星と比較するとかなり近い上に絶対等級も弱く、極端に絶対等級が強いわけでもない。

 それとは反対にアスケラ, カウス・ボレアリス, アルナスルなどの恒星は地球からの距離が近く、絶対等級も弱めではあるがグリーゼ783と比較すると遠い。

 そして、肉眼で見えるいて座の恒星の中で最も近いグリーゼ783の絶対等級は太陽よりも暗く、エリダヌス座ε星とインディアン座ε星の間ぐらいの明るさの暗いK型主系列星である。この明るさは肉眼で観測できる恒星の中ではトップレベルに暗い恒星であり、肉眼で見えるいて座の恒星の中ではこの恒星が最も絶対等級が暗い恒星である。

2. カウス・アウストラリス

2.1 カウス・アウストラリスの明るさ

 カウス・アウストラリスは先ほども書いたように地球から見た明るさが1.79等、地球からの距離が143.3光年なので絶対等級はマイナス1.42等と近辺の恒星の中ではトップクラスに明るい恒星である。

 この明るさは150光年以内ではエリダヌス座のアケルナルに次ぐほどであり、200光年以内でも上位5番に入るほどの明るさである。そのため、カウス・アウストラリスは距離の割には明るい恒星と言え、そのため地球から見ると北極星よりも明るく見えるのである。

 そして、スペクトル型はB9なのでベガに似た表面温度となっている(ベガはA型の主系列星であるがA型の中で最も高温なA0型なのでB型で最も低温なカウス・アウストラリスと表面温度は似ている)。そのため、カウス・アウストラリスはベガと似た青白い恒星として観測することが出来るが地球からの距離はベガと比較してもかなり遠いため、絶対等級はカウス・アウストラリスのほうが圧倒的に明るい。

 そのため、もしベガとカウス・アウストラリスの位置を入れ替えるとシリウスよりも明るい恒星として観測されるようになる(大体マイナス1.99等として観測される)。

 また、絶対等級の強い恒星であるため、直径も太陽と比較するとかなり大きく、太陽の6.7倍程度ほどの直径を有しているのではないかと推測されており、質量も太陽の3.5倍程度と比較的重い恒星である。

↓ カウス・アウストラリスと太陽の比較

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 更に、カウス・アウストラリスは夏の恒星の中ではベガ, アルタイル, アンタレス, デネブ, シャウラに次いで明るい恒星であり、夏の恒星の中でも非常に目立つ恒星となっている。そのため、カウスアウストラリスを見つけることはそこまで難しくは無く、さそり座の東側にある明るい恒星がカウス・アウストラリスとなっており、近くに北斗七星のような星の並びがあれば間違いなくその恒星はカウス・アウストラリスである。

 また、夏の夜空の中で最も明るい恒星のデータは以下の表のようになっている。

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 この中でアルタイルとベガは地球からの距離が非常に近いため、絶対等級が弱くても明るく見えるがアンタレス, デネブ, シャウラは恒星自体の明るさが非常に明るいため、地球からの距離が遠くても明るい恒星として観測することが出来る。

 特にこの中でもデネブは抜きんでて遠く、一等星以上の恒星の中では最も地球からの距離が遠く、唯一1,000光年以上離れており、更に唯一1京キロメートルよりも遠い恒星である。

 そのため、デネブの絶対等級はマイナス6.93等と太陽の50,000倍以上、カウス・アウストラリスの160倍ととてつもなく明るい恒星であり、この明るさは肉眼で見える恒星の中でも上位20番以内に入るほどである。

↓ デネブとカウス・アウストラリスの比較(左がカウス・アウストラリス, 右がデネブ)

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 しかし、それでもリゲルよりかは暗く、デネブは1等星以上の恒星の中では二番目の明るさとなっている。けれども1等星の中では最も明るい恒星であり、その理由は単純にリゲルが0等星だからである。

 このようにカウス・アウストラリスは夏の恒星の中では明るいほうであるがアンタレスやデネブ、シャウラのように極端に明るい恒星は距離が遠いにもかかわらずカウス・アウストラリスよりも明るくなっている。

2.2 ヌンキとの比較

 カウス・アウストラリスはいて座で最も明るい二等星であるがヌンキも二等星であり、これらの恒星の関係について書いて行きたいと思う。

 カウス・アウストラリスはスペクトル型がB9の巨星であるがヌンキはB2型の主系列星であり、相対的な年齢はヌンキのほうが若くなっている。

 しかし、ヌンキは太陽の8倍近くとカウス・アウストラリスの倍以上の質量を有しているため、主系列星の段階でもカウス・アウストラリスも余裕で明るくなっている。そして、この質量は超新星爆発をギリギリ起こせない程度の質量であるため、将来的にヌンキは青色巨星→白色(輝)巨星→黄色超巨星→赤色超巨星の段階を経た後、大規模な白色矮星になると考えられる。

 けれども直径はカウス・アウストラリスのほうが大きく、ヌンキは太陽の4.5~4.8倍程度の直径しか有しておらず、この理由は主系列星の段階にいるからである。主系列星は巨星化していない恒星であるため、まだ膨張しておらず、そのため、巨星であるカウス・アウストラリスのほうが直径が大きくなっている。

↓ いて座の二等星の比較

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 ヌンキはカウス・アウストラリスの倍の表面温度を有しており、この表面温度はヌンキよりも近い恒星の中では最も高く、ヌンキ以上の表面温度の恒星で地球からの距離が最も近い恒星は250光年離れたスピカである。

2.3 星座中で最も明るいε星との比較

 いて座は「ε星が最も明るい星座」であり、このような星座は他におおぐま座, ぺガスス座の二つが存在している。

 そして、おおぐま座で最も明るい恒星はアリオトであり、この恒星は東京から一年中見える恒星の中では最も明るく、更に北斗七星の恒星の中でも一番明るい恒星である。

 また、ぺガスス座で最も明るい恒星はエニフであり、この恒星は橙色の恒星であり、夏の大三角形に近い所で輝いている。

 当然、これらの恒星のギリシャ文字はεであり、いずれも2等星であるが地球からの明るさは異なっており、アリオトは2等星の中でもかなり明るい部類に入るがエニフはかなり暗く、2.38等しかない。

 しかし、絶対等級はエニフ>>>カウス・アウストラリス>アリオトとなっており、エニフは地球からの距離がかなり遠いため、暗く見えるのである。

 そして、これら3つの恒星のデータは以下の表のようになっている。

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 地球からの距離が非常に遠いエニフは絶対等級がマイナス4.24等と非常に強く、エニフは高温の赤色超巨星(K型超巨星)の段階に位置している。そして、エニフはベテルギウスほどでは無いが非常に高齢の恒星であるため、今後は超新星爆発を起こし、中性子星になると考えられている。

 その一方でアリオトはカウス・アウストラリスよりも若干明るいが地球からの距離が近いため、絶対等級もマイナスに若干入っている程度しか無く、カウス・アウストラリスと比較してもそこまで明るい恒星ではない。

 しかし、100光年以内の恒星では最も明るい恒星であり、アルデバラン, レグルス, ガクルックス, ディフダ, アルクトゥルスに次いで明るい恒星である。そして、若い恒星の中ではレグルスに次いで明るい恒星であり、100光年以内で絶対等級がマイナスの若い恒星(主系列星, または準巨星)はレグルス, アリオト以外にはアンドロメダ座のアルフェラツとペルセウス座のアルゴル程度しかない(ほ座のアルセフィナはきわどい位置にある)。

 このようにカウス・アウストラリスはエニフと比較すると暗めであるがアリオトと比べると明るく、更にこれらの恒星はいずれも距離の割には絶対等級の強い恒星である。

 以上、カウス・アウストラリスについてでした。