DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

現在南極星はあるのか?

 今回は現在の南極星について書いて行きたいと思う。

目次

1. 極星

1.1 北極星

 極星とは地軸の先に位置している恒星のことであり、その中でも北極星は北極点の延長線上に位置している恒星である。

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 しかし、完全に地軸の上を通る肉眼で見える恒星は現在の所は無く、現在の北極星はほんのわずかではあるが地軸からずれている。そのため、北極星はわずかに位置を変え、完全に固定されているわけでは無いがそのずれもわずかであるため、動いていないと見なすことが出来る。

 しかし、地球は歳差運動をしているため北極星の位置は2.6万年の周期で変わっており、いままでで最も天の北極に近づいた恒星はりゅう座のトゥバン(Thuban)である。トゥバンは現在は天の北極とは外れた位置にある暗い恒星であるが2.1万年後に再び北極星になると予想されている。

 けれども恒星はほんのわずかではあるが太陽との相対位置が変わっているため、トゥバンもやがて北極星として見えることが二度と無くなると考えられており、反対にいままで北極星として見えなかった恒星が見えるようになる可能性もある。

 恒星の太陽との相対位置は当然ではあるが太陽と距離が近いほど変わりやすく、トゥバンは303光年と比較的遠いため、そこまで位置は変わらないと考えられるが数百万年も経つとさすがに現在と位置が大きく変わっていると考えられる。

 そして、現在の北極星は1.97等と比較的明るいため、肉眼で観測することが容易にでき、その明るさが知名度の高さにつながったとされる。

 しかし、北極星の反対、つまり南極星はほとんど耳にすることは無く、その理由は天の南極(南極点の延長線上)に明るい恒星がないからである。

 けれども肉眼で見える南極星が無いかと言うと...

1.2 南極星

 南極星は北極星とは反対に南極点の延長線上にある恒星のことであり、現在はそこまで明るい恒星は無い。しかし、肉眼で見える南極星が無いかと言うとそうでは無く、赤緯-88°57'23"と極めて天の南極に近い場所に肉眼で観測できる恒星が存在している。

 その領域ははちぶんき座となっており、そこにははちぶんき座のσ星が位置している。はちぶんき座σ星は5.45等の暗い恒星であるが周りに光が無い条件下では肉眼で観測することができ、肉眼で見える恒星の中では最も天の南極に近い恒星である。

 そのため、はちぶんき座σ星が現在の南極星と言える恒星であるが地球からの明るさが非常に暗く、北極星の25分の1程度の明るさしか無いため、南極星としては使えず、結局天の南極を調べるには南十字座が用いられるようになる。

 つまり、肉眼で見える南極星は存在するもののその明るさは余りにも暗く、南極星と呼べるには微妙ではあるが一応は肉眼で観測することが可能であるため、この「南極星」について次章で書いて行きたいと思う。

2. Polaris Australis

2.1 南極星の名称

 現在における南極星、はちぶんき座σ星は地球からの明るさがあまりにも暗く、南極星と言うにはあまり役に立たないが肉眼で見えるということなので名称や絶対等級などについて書いて行きたいと思う。

 はちぶんき座σ星は天の南極に最も近いため、南の南極星を意味するポラリス・アウストラリス(Polaris Australis)と言う固有名がついている。そして、ここでのポラリスとは極星, アウストラリスとは南を意味しており、実際に北極星にはポラリスと言う固有名がついている。

 しかし、南極星にこの固有名がついたならば北極星の固有名はポラリス・ボレアリス(Polaris Borealis)と言う名称のほうがふさわしくなり、ここでのボレアリスとは北を意味する単語である。

 けれども実際、はちぶんき座σ星は南極星として使うにはあまりにも暗いため、この名称も便宜的な名称とも言えるので、北極星の固有名はポラリスのままで良いと言える。一応北極星には「キノスラ」と言う北極星と関係のない固有名があるため、こちらを用いても良いと思われるが...

  ここまでははちぶんき座σ星の名称について書いてきたがここからは絶対等級などの規模について書いて行きたいと思う。

2.2 南極星の規模

 はちぶんき座σ星は地球からの明るさが暗く、北極星よりも遠い星のようにも見える。しかし、はちぶんき座σ星は北極星の3分の2も地球から離れておらず、地球からは281光年程度しか離れていない。

 そのため、はちぶんき座σ星の絶対等級はそこまで強くは無く、ベガの明るさを若干下回る0.77等しかない。このことよりはちぶんき座σ星は北極星と比較しても小規模な恒星であり、もし絶対等級が北極星並みに明るければ1.04等とスピカと同等程度の明るさとなるほどである。

 そして、はちぶんき座σ星のスペクトル型はF0Ⅲ-Ⅳであるため、表面温度は7,500 K程度と推測され、青みが少しかかった白色の恒星として観測される。この表面温度はシリウスに次いで明るいカノープスと同等程度であり、奇しくもカノープスは南極星と言われることもある恒星である。

 しかし、カノープスの南極とは地平線上にすれすれにしか上がらないことに由来しており、天の南極近くに位置しているはちぶんき座σ星とは由来が全く異なっている。更に恒星としての規模もカノープスのほうが軽々と上回っている。

 そのため、はちぶんき座σ星の直径はカノープスはおろか北極星を軽々と下回っており、太陽の4.2倍程度しかないと推測されている。

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 はちぶんき座σ星の直径は極端には大きくないものの太陽と比較すると大きく、明るさも太陽の42倍程度もある。

 そして、はちぶんき座σ星はたて座δ型変光星に属しており、この変光型はたて座δ星と言う暗めの恒星にちなむ変光型であるがこの変光型には有名な恒星がある。その恒星とはベガやアルタイルであり、これらの恒星もたて座δ型の変光星である。

 そのため、はちぶんき座σ星は恒星的に見てみるとベガやアルタイルと似ている恒星であり、更にアルタイルやベガほどでは無いが自転速度も145 km/sとかなり速めとなっている(たて座δ星は遅い)。

 また、はちぶんき座σ星は自転速度を除いてたて座δ星にかなり似た恒星であるため、質量はたて座δ星と同等の2.2太陽質量程度と推測される。

2.3 北極星vs南極星

 最後に北極星と南極星の規模を比較していきたいと思う。北極星は地球からの距離が433光年も離れているが絶対等級がマイナス3.64等と南極星(はちぶんき座σ星)の58倍も明るいため、遠くに位置していても2等星として観測することが出来る。

 更に直径もはちぶんき座σ星の10倍以上も大きく、太陽の47倍程度もある上に質量も太陽の6倍とかなり大きいため、南極星と比較してもかなり大規模である。

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 上図は先ほどの太陽と南極星の比較図に北極星を足したものであり、この図より北極星が非常に大きいことが分かる。北極星の大きさは先ほども書いたように太陽の47倍程度もあり、この大きさはアルデバランよりも若干大きく、キロメートルに換算すると65,424,000 kmもあるほどである。

 しかし、北極星のスペクトル型はF8Ⅰbと南極星よりも晩期型であるため、表面温度に関しては南極星のほうが高く、この点で唯一北極星に勝っていると言える(自転速度も勝っているが)。

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 北極星と南極星は赤緯を見てみると北極星のほうが極点に若干近く、南極星のほうは北極星とは違い1°以上極点とずれている。そのため、極星に近いのは北極星であり、南極星は極性の面でも北極星に勝てていないのである。

 更に先ほども書いたように北極星のほうが規模の面で圧倒的に上回っており、仮に北極星の位置に南極星を置いても暗闇の中でギリギリに見える程度の明るさでしか見えず、反対に北極星を南極星の位置に置くとスピカと同じ明るさで見えるようになり、南極星として十分に役立つようになる。

 そのため、南極星が暗い理由は距離が遠いのではなく、単純に南極星の絶対等級が弱いだけであり、現在の北極星の明るさで見えるようになるには現在の24.7倍の明るさ、即ち絶対等級がマイナス2.71等にまで明るくならなければならない。

 以上が北極星と南極星の比較であり、南極星が暗い理由は絶対等級が距離に追いついてないからである。

 以上、南極星についてでした。