DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

ヨーロッパの夏は涼しいが夜は意外に寒くなる

 今回はヨーロッパの夜の気温について書いて行きたいと思う。

目次

1. ヨーロッパの緯度と気候

1.1 ヨーロッパの緯度

 ヨーロッパは温暖なのでそこまで緯度は高くないように見えるが実は日本と比較しても非常に高く、東京程度の緯度ではヨーロッパの南端と同じぐらいである。

 例えばヨーロッパの中でも低緯度側に位置しているスペインでさえ最南端の緯度は東京よりも高く、首都のマドリードの緯度は秋田県ぐらいである。そして、マドリードはスペインのちょうど中心当たりに位置しているため、スペインの中心の緯度は秋田県ぐらいにあると言える。

 更により北に位置しているフランスやイギリスはスペインよりも高緯度に位置しており、フランスの首都のパリの緯度は日本の最北端よりも高緯度に位置している。これは日本のどの地域もパリよりも緯度が低いことを意味しており、パリの緯度は世界最寒の首都であるウランバートルよりも高い。

 そして、ロンドンはパリよりも緯度が高く、南樺太の最北端である北緯50°をも超えており、世界的に見ても高緯度側に属している首都である。

 このようにヨーロッパの緯度は想像以上に高く、北海道でさえかなり南に位置しているほどであるが近くに暖流である北大西洋海流が流れているため、冬場の気温ははるかに低緯度に位置している東京と大差は無く、同緯度の中では最も気温の高い地域となっている。

 しかし、高緯度故に夏場の気温はそこまで高くはならず、日本のように暑い夏が無いため、年較差の小さな気候となっている。このように年較差の小さな気候は西岸海洋性気候(Cfb)と呼ばれており、大陸西岸の高緯度側に良く見られる気候である。

1.2 西岸海洋性気候

 西岸海洋性気候は温帯の一種であり、冬場の気温はそこまで低くはならないが夏場の気温もそこまで上がらないという特徴がある。

 それに加えて降水量にも大差が無く、同じ温帯の湿潤気候に属している温暖湿潤気候(Cfa)と比較してもその差はかなり小さくなっている。

 そして、西岸海洋性気候は以下の条件を満たしている。

  1. 最暖月の平均気温が10 ~22 ℃ (寒帯ではないかつ温暖湿潤気候ではない)
  2. 最寒月の平均気温がマイナス3~18 ℃ (温帯の条件)
  3. 降水量が乾燥限界を上回っている (乾燥帯ではない)
  4. 夏の最小降水月の降水量が冬の最大降水月の3分の1以上、または30 mm以上 (夏季少雨型ではない)
  5. 冬の最小降水月の降水量が夏の最小降水月の10分の1以上 (冬季少雨型ではない)

また、この条件を満たしている中で10 ℃以上の月が4~11カ月の場合は普通の西岸海洋性気候(Cfb)であり、1~3カ月の場合は極温帯気候(Cfc)と呼ばれる西岸海洋性気候の中でも夏が短い気候となる。

 普通の西岸海洋性気候の代表例としてはパリがあり、パリはロンドンと並んで典型的な西岸海洋性気候となっている。

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 パリの最暖月の平均気温は20.5 ℃で10~22 ℃の間に入っており、更に最寒月の平均気温が4.9 ℃であるため、温暖湿潤気候ではない温帯である。そして、温帯になるには乾燥限界を上回る必要があるがパリの年降水量は乾燥限界である388 mmを上回っているため、乾燥帯ではない。

 更に降水量の偏りは小さいため、年中湿潤型となっており、10 ℃以上の月が6か月間あるので普通の西岸海洋性気候(Cfb)となる。

 また、西岸海洋性気候の中でも夏が短い極温帯気候は非常に珍しく、この気候の代表例としてはアイスランドのレイキャビクやアルゼンチンのウシュアイアなどがある。そして、ここではレイキャビクについて書いて行きたいと思う。

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 レイキャビクの最暖月の平均気温は11.2 ℃で10~22 ℃の間に入っており、更に最寒月の平均気温が0 ℃であるため、温暖湿潤気候ではない温帯である。そして、温帯になるには乾燥限界を上回る必要があるがレイキャビクの年降水量は乾燥限界である234 mmを上回っているため、乾燥帯ではない。

 更に降水量の偏りは小さいため、年中湿潤型となっており、10 ℃以上の月が2か月間しかないので極温帯気候(Cfc)となっているとなる。

 このように極温帯気候は年較差が非常に小さいという特徴があり、夏場の気温もかなり低めとなっている。そのため、レイキャビクの年平均気温は日本で最も寒い陸別町や満州の極寒都市であるハルビンと同じぐらいであるがこれらの地域は年較差の非常に激しい過酷な気候であり、冬場の気温が非常に低くなるがレイキャビクの場合は冬場の気温も高く、長野や越後湯沢よりも高いほどである。

 以上のことより、ヨーロッパの気候は年較差の小さな気候となっており、平均気温も同緯度の地域と比較すると高めではあるが実は夏の夜の気温は意外なほど低くなっている。

2. ヨーロッパの夏の夜

 ヨーロッパの夏の気温はあまり高くは無く、最暖月でも日本の春や秋の気温程度であるが実は夜の気温は想像以上に低くなり、夜出歩くときは間違いなく半そでではいられないほどである。

 そして、今回は横浜(Cfa), パリ(Cfb), レイキャビク(Cfc)の3例を挙げていきたいと思う。

 横浜は温暖湿潤気候の代表的な気候と言え、冬場になるとパリと同等にまで気温が下がるようになる。しかし、パリとの決定的な違いは夏場の気温が高いことであり、最暖月の最低気温に至ってはパリよりも10 ℃ほども高いほどである。

 そのため、パリと比較しても年較差が大きく、この気候は中緯度の東岸に良く見られる気候である。ちなみに横浜と同じ緯度の西岸では地中海性気候となり、夏の降水量が極めて少なくなるが横浜は年中湿潤であるかつ降水量も非常に多いため、パリの倍以上の降水量を有している。

 そして、ここからは最低気温の月別の平均を書いて行きたいと思う。

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 横浜の最暖月の最低気温平均は24.0 ℃と非常に高いがパリの最暖月の最低気温は15.8 ℃と低めとなっており、レイキャビクに至っては8.8 ℃と非常に低く、冬の気温と大差がないほどである。

 更にパリは最暖月の7月の最低気温で3.1 ℃と真冬(少し高いが)並みの気温を観測したこともあり、パリの夏の夜は決して暖かく無いことが分かる。

 そのため、ヨーロッパの夜は夏でもかなり気温が下がり、日本の夜のように薄着で出かけることが出来ないほどである。

 このようにパリやレイキャビクの夏の夜は寒いがこの理由はパリやレイキャビクの緯度が高いからであり、レイキャビクはおろかパリの緯度が北海道以上であることを考えると、この寒さがとりわけおかしく無いことが分かる。

 その一方で最寒月の平均最低気温は若干ではあるが横浜のほうが低く、パリの高緯度(稚内以上)を感じさせないほどの高さであり、グラフから分かるようにパリの最低気温の年較差は平均気温以上に小さいことが分かる。

 また、オイミャコンよりも緯度の高いレイキャビクは夏の最低気温もかなり低く、7月に1.4 ℃と非常に低い気温を観測したことがあるが冬の最低気温もマイナス2.4 ℃と緯度の割には非常に高く(オイミャコンの1月の平均最低気温はマイナス50 ℃)、これは成田市と同等程度である。

 この理由は先ほども書いたように暖流である北大西洋海流が影響しているからであり、もしこの海流が無ければ5~10 ℃ほど気温が下がるのではないかと推測されている。

 ちなみにパリの最高気温は意外なほど上がり、平均でも25 ℃を超え、夏場の日較差は横浜よりも大きくなっている。そして、年較差は横浜よりも小さいものの日較差は意外なほど大きく、パリの年平均日較差は横浜と同じである。

 しかし、レイキャビクは日較差も小さく、そのため、年較差, 日較差ともに小さくなっている。このことより、レイキャビクの気温は一年中日本の冬のようになっており、これは極温帯気候に共通する特徴となっている。

 以上、ヨーロッパの夏の夜の寒さについてでした。

 

参考文献

Paris Wikipedia 3.1 Climate (パリの雨温図, 最低気温)

https://en.wikipedia.org/wiki/Paris

Reykjavik Wikipedia 2.1 Climate (レイキャビクの雨温図, 最低気温)

https://en.wikipedia.org/wiki/Reykjavík#Climate

Yokohama Wikipedia 3.1 Climate (横浜の最低気温)

https://en.wikipedia.org/wiki/Yokohama