DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

ギリシャ文字がついている中では最も暗い恒星 インディアン座ε星

 今回はインディアン座ε星について書いて行きたいと思う。

目次

1. インディアン座

1.1 インディアン座とは

 インディアン座とは南天に位置している小さな星座であり、そこまで明るい恒星は存在していない。その上、日本から見るとかなり南に位置しているため、全体を見渡すことが出来ず、特に注目度のある星座ではない。

 そして、インディアン座はインディアンをモデルにした星座であるため、比較的新しく特に神話は設けられていない。このように神話の無い星座は南天に多く、その理由は星座の起源となった場所が北半球に位置しているからであり、南半球の星空が見づらい所に理由がある。

 そのため、南の星座には知名度の小さな星座が数多く存在しており、インディアン座もその星座の一つである。

 このように書くとインディアン座が特に魅力のない南天の星座のように見えるが実はとある恒星が地球からの距離が非常に近く、その恒星のおかげでインディアン座はある程度の注目度を浴びている。

 その恒星とはタイトルにも書いてあるインディアン座ε星であり、この恒星は地球からの距離が非常に近いことで有名である。しかし、インディアン座ε星は一般的には知名度は皆無であり、その理由は地球から見た明るさが大したことが無く、肉眼で見ることがかなり困難だからである。その上、インディアン座ε星は東京からだと観測が不可能であり、夜空の恒星として見たら特に魅力のある天体ではない。

 このようにインディアン座ε星は太陽系からの距離が非常に近いにもかかわらず明るく見えない理由は絶対等級が非常に暗いからであり、どれほど暗いかと言うと太陽の15%、シリウスの100分の1未満程度である。

 そして、このインディアン座ε星に関しては二章で書いて行きたいと思う。

1.2 インディアン座の主要恒星

 インディアン座には明るい恒星は無いもののα星はそこそこ明るい恒星であり、地球からの明るさは3.11等と意外に明るい。この明るさは3等星に分類され、この恒星はインディアン座唯一の3等星である。

 インディアン座α星は東京からだとギリギリ観測することが可能であり、ペルシアン(Persian)と言う固有名がついているが先ほども書いたようにインディアン座は新しい星座なのでこの名称は伝統的な名称では無く、比較的最近に名付けられたものである。

 そして、インディアン座α星は地球からの距離が98.3光年と比較的近く、絶対等級が0.71等のそこまで明るくない初期段階の巨星である。インディアン座α星は表面温度が太陽よりも1,000 K程度低いため、黄色の恒星として観測され、今後は光度が徐々に増していくと考えられる(増すには数千万年単位の長い時間が必要ではあるが)。

 次にインディアン座α星に次いで明るい恒星について書いて行きたいと思う。インディアン座α星に次いで明るい恒星はインディアン座β星であり、こちらは特に固有名のついていない4等星である。

 β星は地球からの明るさが3.67等の恒星であり、α星とほぼ表面温度が同じなので黄色の恒星として観測される。しかし、地球からの距離はα星と比べてかなり遠いので絶対等級は非常に強く、マイナス2.70等にも及ぶ。

 そのため、β星はかなり強力な恒星と言え、太陽の1,000倍もの明るさで輝いているがこれでも大質量星とは言えず、今後は更に巨星化が進行して白色矮星になると考えられる。

 β星の後はθ星, δ星, η星の順に続き、η星の次に明るい恒星がε星であるがこれらの恒星の中で絶対等級の強い恒星は無く、いずれも暗めの恒星である。

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 インディアン座の明るい恒星は上表のようになっており、この中ではβ星が非常に明るい恒星であり、他の恒星の光度を合計しても追いつかないほどである。そして、θ星はアルタイルよりも若干明るく、反対にδ星はアルタイルよりも若干暗い主系列星であり、そこまで強力な恒星とは言えない。

 また、δ星はシリウスと絶対等級の似た準巨星が連星を組んでおり、合計光度だと4等星であるが実際は5等星2つが合わさった光度となっている。

 このようにインディアン座はβ星以外はそこまで明るい恒星は無く、大質量星と言える様な恒星(太陽の8倍以上)は肉眼で見える恒星(6.5等よりも明るい)の中には含まれていない。

2. インディアン座ε星

2.1 インディアン座ε星の明るさ

 ここからはインディアン座で最も重要な恒星であるε星について書いて行きたいと思う。εとはギリシャ文字で5番目であるため、ε星も5番目に明るそうに見えるがε星は6番目に明るく、若干のずれが生じている(これは他の星座にも言えることだが)。

 そして、β星以外(δ星も若干遠いが)の主要な恒星が比較的近距離にあるインディアン座の中でもε星は非常に近く、その距離はベガの半分未満, アルタイルの71%と極めて近い。

 インディアン座ε星は地球からの距離が11.8光年であり、この距離は肉眼で観測できる恒星の中ではリギル・ケンタウルス, シリウス, エリダヌス座ε星, プロキオン, 白鳥座61番星に次いで近く、肉眼で観測できる恒星の中では6番目に近い恒星系である。

 しかし、インディアン座ε星は地球からの明るさが4.68等とかなり暗く、その原因は単純に暗い恒星だからである。インディアン座ε星の絶対等級は6.89等とかなり暗めであり、この明るさは太陽の15%, アルタイルの1.36%, シリウスの0.65%と非常に暗い。

 そのため、インディアン座ε星は非常に近隣の恒星であるにも暗い恒星としてしか観測ができず、シリウスの位置で3.99等、リギル・ケンタウルスの位置においても2.52等と大した明るさにはならない。

 このようにインディアン座ε星は非常に暗い恒星であるため、1等星(1.5等星よりも明るい)の明るさで観測するには2.732光年よりも近づかなければならない。ちなみに太陽は7光年先まで1等星として観測することが可能なので太陽と比較してもかなり暗い恒星であることが分かる。

2.2 インディアン座ε星の直径, 質量

 インディアン座ε星が非常に暗い恒星であることが分かった所でここからはインディアン座ε星がどのような恒星であるかについて書いて行きたいと思う。

 インディアン座ε星はスペクトル型がK5の主系列星であり、K型とは表面温度が2番目に低いタイプである。そして、主系列星は質量が大きければ大きいほど表面温度が高くなるため、表面温度の低い主系列星であるインディアン座ε星は太陽(G2, Gは下から3番目)と比較してもかなり暗く、これは同時に太陽よりも直径も質量も小さいことを意味している。

 インディアン座ε星の直径は太陽の73.2%ほどと推測されており、この直径はキロメートルに換算すると1,018,944 ㎞と100万 ㎞を若干上回っている程度である。また、質量も太陽の76%と軽量であり、この質量の小ささが光度の小ささに起因している。

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 インディアン座ε星は太陽と比較してもかなり小さい恒星であることが上図から分かり、実際に全天で見える恒星の中ではトップクラスに小さい恒星である。その上、ギリシャ文字のついている恒星の中では光度, 直径, 質量が最小であり、ついていない恒星の中でもトップクラスに小さな恒星である。

 インディアン座ε星よりも暗い恒星には白鳥座61番星A,Bなどがあるが数える程度しか無く、インディアン座ε星が27.32光年先までしか見えないことを考慮すると肉眼で見える恒星でインディアン座ε星よりも暗い恒星は27.32光年以内の恒星に限定される。

 このようにインディアン座ε星は非常に暗い恒星であり、太陽と比較してもかなり暗いがこれでも全恒星の中では明るいほうに分類されており、その理由は1光年先からでも見えないような恒星が数多くあるからである。

 以上、インディアン座ε星についてでした。