DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

世界一標高の高いヒマラヤとその周辺部の気候

 今回はヒマラヤについて書いて行きたいと思う。

目次

1. エベレスト

1.1 エベレストとは

 ヒマラヤ(Himalaya)はユーラシア大陸(アジア)に位置している世界一標高の高い山脈のことであり、インドとチベットの間に位置している。その中でも一番標高の高い山はエベレスト(Everest)であり、標高は海抜8,848 mと富士山の2.34倍もの標高を有している。

 当然この標高は世界で最も高く、その次に標高の高いカラコルム山脈(ヒマラヤ山脈の一部)のK2の高さよりも237 mほど高い。ちなみにヒマラヤ山脈以外ではアンデス山脈のアコンカグア(Aconcagua)の6,961 mが最も高く、海抜7,000 m越えの陸地はヒマラヤ山脈にしかない。

 このようにエベレストは標高の極めて高い山脈であるヒマラヤ山脈の中でも一番標高が高く、ヒマラヤ以外で最も標高の高いアコンカグアよりも1,727 mも高いため、世界で最も高い山のようにも思えるが厳密に言うとエベレストは世界で最も高い山ではない

 確かにエベレストは海抜で言うと世界一であるが麓からの高さでは世界一では無く、麓からの高さでの世界一はハワイに位置しているマウナ・ケア(Mauna Kea)である。マウナ・ケアはハワイ島に位置している火山で海抜4,205 mと富士山よりも高い程度であるがこれはあくまで海抜での高さであり、海底からの高さは10,203 mとエベレストはおろか10 kmをも超える高さである。

 当然この高さは世界最高峰であり、世界で唯一の10 km越えの山であるが半分以上は海中にあるため、地表からは山全体の42 %の高さしか見えない。そのため、世界最高峰であるにもかかわらず、地表からだとせいぜい富士山を若干超えている程度の高さしか無く、エベレストの半分の高さも無いように見える。

 このようにエベレストは世界で最も高い山であるがあくまで海抜での高さでの話であるため、本当の世界一はマウナ・ケアである。まあ、標高は海抜を基準にしているから一般的にはエベレストが世界一の山と見なされるが...

 また、先ほど紹介した山の標高を下の図に示す。

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1.2 エベレストの名称

 エベレストは海抜の高さが世界一の山であるがその名前は何に由来するのだろうか?その答えは人名に由来しており、イギリス出身のジョージ・エベレスト(George Everest)に由来している。

 ジョージ・エベレストは1790年7月4日生まれの探検家、地理学者であり、インド南端からネパールにかけての測量事業を完成させたことで有名である。そして、イギリス陸軍の士官であるアンドリュー・スコット・ウォー(Andrew Scott Waugh)がエベレストに敬意を払って、世界最高峰の山にエベレストと名付けたことが由来となっている。

 しかし、ジョージ・エベレストは自身の名前が世界最高峰の山に名付けられたことに対して、現地名を尊重したいと言う方針から快く思っていなかったと言われている。ちなみにエベレストにはチョモランマ(Chomolungma)と言う現地名があるがウォーは当時現地名を知らなかった。

 このようにエベレストは人名由来であるが由来となった人物は現地名を尊重してほしいという考えがあり、もし、現地名を知っていたならばチョモランマが正式名称になっていた可能性が高い。しかし、近い将来チョモランマのほうが正式名称になる可能性も考えられる。 

 何故なら2015年に北アメリカ最高峰のマッキンリー(McKinley)の正式名称がデナリ(Denali)になった事例があり、このマッキンリーも人名に由来しているからである。マッキンリーは第二十五代アメリカ合衆国大統領であるウィリアム・マッキンリー(William McKinley)に由来しており、長年この名称であったがバラク・オバマ大統領の現地名を尊重したいという意思から、2015年にマッキンリーから現地名であるデナリに正式名称が変わり、実際Wikipediaでも記事名は「デナリ」となっている。

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 このような経緯があるため、同じく人命由来のエベレストも現地名であるチョモランマに正式名称が変わる可能性も十分考えられ、更にジョージ・エベレスト本人も現地名を尊重していたため、その可能性は十分高いと考えられる。

2. ヒマラヤの影響と気候

2.1 ヒマラヤの影響

 1章ではエベレストについて書いてきたがここからはヒマラヤ山脈の影響について書いて行きたいと思う。ヒマラヤ山脈は非常に標高が高いため、周辺部に及ぼす影響も大きく、ヒマラヤ山脈の南側と北側では全く環境が異なる。

 ヒマラヤ山脈の南側はインドとなっており、高温・湿潤な環境となっているが北側はチベット高原であり、低温乾燥となっている。

 このようにヒマラヤ山脈の南北では環境が大きく異なっているがこの理由は南からの湿潤な季節風がヒマラヤ山脈を越える時、南側に水分を多量に落とし、山脈の向こう側にたどり着くときには乾いた風しか残らなくなるからである。

 そのため、ヒマラヤ山脈の北に位置しているチベット高原はかなり乾燥しており、更に北に位置しているタクラマカンやゴビでは内陸であることと合わせて非常に乾燥した砂漠となっている。

 その一方でインドの北側(ヒマラヤの麓)では夏場の降水量が極めて多くなっており、特にチェラプンジは世界で最も降水の多い地域となっている。

↓ チェラプンジに関する記事

www.rigelultragiant.com

 チェラプンジは降水量の偏りの多い地域であり、乾季の降水量はかなり少ないが雨季になると降水量が極端に多くなり、日本一降水量の多い尾鷲でさえ降水が少ないと感じるほどである。

  その一方でチベット高原の降水量はかなり少なく、乾燥しており、チベットよりも北に位置しているタクラマカン砂漠の降水量は微々たる程度しかないほどである。

2.2 ヒマラヤの周辺部の気候(チベット)

 ヒマラヤ山脈は山脈の北と南の気候を大きく変えており、南は高温多湿、北は低温乾燥となっている。そして、ヒマラヤ山脈自体は標高の高さのおかげで極寒のイメージがあるがこれはあくまで山頂付近での話であり、ヒマラヤ山脈自体は緯度がやや低めであるため、もし標高が0であるならば気候は亜熱帯とある。

 実際にヒマラヤ山脈の南側のインド北部の気候は亜熱帯気候となっており、冬場になってもそこまで気温は低くならない。

 その一方で北に位置しているチベット高原は標高が富士山頂よりも高いため、エベレスト山頂ほどでは無いが年中を通して気温が低くなっており、特にチベットのシガツェ(Shigatse)は世界で最も南に位置している冷帯となっている。

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 シガツェは北緯29.5°と低緯度に位置しているが標高が非常に高いため、気温はかなり低い。それに加えて極端に低緯度では無い上に内陸に位置しているため、ある程度の年較差があるのでシガツェは冷帯に属することが出来る(赤道付近では年較差が無いため、温帯からいきなり寒帯となる)。

 また、降水量はチベットの中では比較的多いほうであり、乾燥限界(410 mm)をギリギリ上回る降水量があるが南側のインドと比較するとかなり低くなっている。しかし、雨季が夏にあるという点ではインドと共通しており、気候で言うと冷帯冬季少雨気候(Dwb)に属している(夏の最大降水月の降水量が冬の最小降水月の10倍以上ある(w)かつ平均気温が10 ℃以上の月が3カ月以上ある(b)ため、Dwbとなる)。

 ちなみにチベットの首都であるラサ(Lhasa)はシガツェよりも温暖であり、気候も温帯(Cwb)であるがこちらも夏に雨季があり、年降水量が乾燥限界をギリギリで上回っている点ではシガツェと共通している(ラサは本当にギリギリであり、あと1 mmでも降水量が下回っていれば乾燥帯に分類されるほどである)。

 このようにチベットは降水量に偏りがある点ではインドと共通しているが降水量自体は極端では無いものの少なめであり、更に標高の影響で年平均気温は北海道と同等程度である。

2.3 ヒマラヤ北部の気候(タクラマカン)

 チベットから更に北に行くと崑崙山脈(クンルン山脈)があり、ここを超えるとタクラマカン砂漠にたどり着く。タクラマカン砂漠はチベット以上に乾燥しており、更に緯度も高くなっているため、冬場の気温は更に低下するようになる。

 しかし、タクラマカン砂漠はとりわけ標高が高く無いため、夏場の気温は非常に高くなっており、亜熱帯砂漠と大差がないほど気温が高くなる。

 そのため、タクラマカン砂漠は灼熱と極寒の両方を味わえる気候となっており、更に降水量も極端に少ないため、非常に過酷な気候となっている。

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 タクラマカン砂漠の周辺部は非常に乾燥しており、いずれも低温砂漠気候(BWk)に属している。そして、緯度的に見てみると東北地方と同等程度であるが夏場の気温は東北地方よりも暑く、反対に冬場の気温は東北地方よりも低くなっている(年平均気温は同等程度であるが)。

 実際にこれらの地域は降水量が少ない点を除けば冷帯的な気候をしており、冬場の気温が北海道並かそれ以上に低下するが夏場になると緯度の割には信じられないほど気温が高くなり、この点で普通の冷帯とは一線を画している。

 特にこの中でも高温なトルファンは最暖月の平均最高気温が39.6 ℃にまで達し、40 ℃越えが当たり前の世界となっている(トルファンの緯度は札幌に近い)。

 更に降水量はチベットよりも少なくなっており、乾燥限界を優に下回っているため、砂漠気候に分類されている。そのため、タクラマカンはチベットとは違い殺風景となっている。この理由はタクラマカンがヒマラヤに加えてチベット高原、崑崙山脈もある上に内陸部に位置しているからであり、雨が届かないからである。

 このようにヒマラヤ山脈は北部の降水量を極端に少なくしており、実際にタクラマカンは不毛の地になっているほどである。更にモンゴル南部のゴビにも影響を及ぼしており、こちらの降水量も非常に少なくなっている。

 以上、ヒマラヤ山脈と周辺部の気候についてでした。

 

参考文献

エベレストの由来

ジョージ・エベレスト Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョージ・エベレスト

アンドリュー・スコット・ウォー Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/アンドリュー・スコット・ウォー

ヒマラヤの気候

Shigatse Wikipedia 4. Climate (シガツェの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Shigatse

タクラマカンの気候 (上から順にコルラ, トルファン, ホータン, カシュガル)

https://en.wikipedia.org/wiki/Korla

https://en.wikipedia.org/wiki/Turpan

https://en.wikipedia.org/wiki/Hotan

https://en.wikipedia.org/wiki/Kashgar