DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

絶対等級の強い恒星が明るく見えるF型星

 今回はF型星について書いて行きたいと思う。

目次

1. F型星

1.1 F型星とは

 F型星はスペクトル型がF型の恒星のことであり、表面温度は太陽よりも若干高く、6,000~7,500 K程度である。そして、F型星は全スペクトル型の中でもちょうど真ん中に位置しており、シリウスが属しているA型よりも表面温度は低いものの太陽が属しているG型よりかは表面温度が高い。

 そして、地球から見て明るいF型恒星は意外に少なく、1等星以上の中でF型に属している恒星は2つしかない。その2つとはカノープスとプロキオンであり、実を言うとこれらの恒星はそれぞれマイナス1等星, 0等星であるため純粋な1等星(0.5~1.5等星)でF型星に属している恒星は一つも無い。

 また、他の恒星でも言えることだがF型星にも主系列星から超巨星まであり、プロキオンは寿命が差し掛かった主系列星、カノープスは超巨星に分類されている。

 このことについては後に書いて行きたいと思うがF型主系列星は絶対等級が太陽ほどは暗くは無いが夜空の恒星の中ではかなり暗い部類に入っており、明るいF型主系列星はプロキオンを除くと3等星であるおとめ座γ星とオリオン座π3星の2つであり、これらの恒星の距離は当然地球からは近い。

 その一方でF型超巨星は非常に明るいものが多く、最も明るいF型超巨星であるほ座b星の絶対等級はマイナス7をも上回っていると考えられている。その他にもおおいぬ座δ星やケンタウルス座V810星の絶対等級もマイナス6.6等を超えており、これらの恒星のスペクトル型はいずれも明るい超巨星である1a型を示している。

 また、余談であるがF型星は恒星の色が青色に見え始めるかどうかの境界線になっており、F型星の中で最も表面温度の高いカノープスは青白い恒星として見ることが出来る。

1.2 明るいF型星

 地球から見て1等星以上のF型星はカノープスとプロキオンの2つがあるがこれらの恒星の絶対等級は全く異なっており、カノープスのほうが圧倒的に明るく直径も非常に大きい。

 プロキオンは地球からの距離が11.4光年と非常に近く、肉眼で見える恒星の中ではケンタウルス座α星, シリウス, エリダヌス座ε星に次いで近い。その一方でカノープスは地球からは309光年も離れており、プロキオンと比較すると非常に遠いものの地球から見た明るさはマイナス0.72等とシリウスに次いで明るく、夏の恒星の中で最も明るいベガの倍の明るさを有している。

 このようにカノープスはプロキオンよりもはるかに遠いにもかかわらず明るい理由は絶対等級が極端に強いからであり、太陽の15,000倍、プロキオンの2,000倍近くの明るさを有している。このことよりカノープスが非常に絶対等級の強い恒星であることがわかり、肉眼で観測できる恒星の中でも上位70位以内に入っているほどの明るさである。

 そして、この明るさはカノープスの非常に広大な表面積に起因しており、カノープスの直径は太陽の71.4倍、1億キロ近くの直径を有しているため太陽の表面積の5,000倍にも及ぶ。その一方でプロキオンは太陽の2倍強程度しか無いため、表面積も太陽の4倍を少し超える程度しかない。

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 プロキオンとカノープスの大きさは全く異なっており、同じF型星でも明るさが全く異なることが分かる。更にプロキオンは太陽の1.5倍程度の質量しか無いがカノープスは10倍程度の質量を有しているため、カノープスとプロキオンでは全く進化の異なる恒星であることが分かる。

 プロキオンは準巨星に近いものの主系列星であるため、現在の姿が主系列星であるがカノープスの場合は表面温度の高いB型主系列星(B1あたり?)が高齢化して表面温度の下がった状態であるため、元々のスペックがプロキオンとは大きく異なることが分かる。また、質量の大きな恒星は進化が早いため、相対的に見るとカノープスのほうが高齢な天体であるが絶対的に見るとプロキオンのほうが高齢である(星としてはカノープスのほうが高齢であるがプロキオンのほうが数値の年齢が高いことを意味している。例えば12歳の老犬と25歳の若い象を比較しているようなもの)。

 そして、カノープスは数百万年後に超新星爆発を起こして一生を終えると考えられているがプロキオンは1億年後に赤色巨星になると考えられている。

2. F型超巨星の例

2.1 F型主系列星

 F型主系列星は絶対等級があまり強く無いため、プロキオン以外では目立つ恒星が存在しない。そして、プロキオンは準巨星に近いため、F型主系列星としては絶対等級が強く、普通の若いF型主系列星の絶対等級は大体3.0~4.0等程度に収まっている。

 F型超巨星として代表的なものはプロキオン以外にはおとめ座γ星やオリオン座π3星などがあり、これらの恒星の絶対等級は確かに3.0~4.0等程度である。

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 これらの恒星は絶対等級が太陽と大差が無いため、近くにいなければ見えない。そのため、これらの恒星までの距離はかなり近く、地球からの距離は40光年も離れていない。特にオリオン座π3星に至ってはベガと大差がないほど近くに位置しており、肉眼で見える恒星の中では最も近い部類に入っている。

 しかし、エリダヌス座ε星やインディアン座ε星のような最も暗い恒星と比較すると遠くに位置しており、更にそれらの恒星よりも明るく見えるため、至近距離に位置しているとは言えず、そこそこの絶対等級を有していることが分かる。

 このようにF型主系列星は暗めではあるがK型やG型の主系列星と比較するとそこそこ明るいため、100光年離れていても肉眼で観測することは一応可能である。

2.2 F型巨星

 次にF型巨星について書いて行きたいと思うが実を言うとF型巨星には巨星らしい巨星で明るいものはあまりない。しかし、全くないかと言うとそうでは無く、しし座ζ星が地球から見て明るめのF型巨星となっている。

 しし座ζ星はスペクトル型がF0Ⅲの表面温度が高いF型巨星であり、地球から見ると3.43等とギリギリ3等星として観測される。そして、しし座ζ星は地球から274光年と比較的離れているため絶対等級もそこそこ明るく、マイナス1.19等にも及ぶ。

 この明るさは太陽の256倍程度であり、先ほど書いたF型主系列星と比較すると明らかに明るく、質量も太陽の3倍程度と比較的大きい。そのため、しし座ζ星は元々はB9程度のスペクトル型の主系列星であると考えられており、このB9型の主系列星が巨星化してげんざいの姿になったと考えられる。

 そして、正確な直径は不明であるが太陽の10倍程度の直径を有しているのではないかと考えられており、比較的大きいことが分かる。それでも同じ表面温度程度であるが直径が太陽の71.4倍もあるカノープスと比較するとどうしても小さく感じられ、絶対等級もカノープスのほうが58倍程度も明るい。

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 しし座ζ星は比較的明るい恒星であるが超巨星であるカノープスとは比較にならないほど暗く、直径も質量も大幅に下回っているため、カノープスの明るさがどれほどのものであるのかが分かる。

2.3 F型輝巨星

 輝巨星は超巨星よりかは暗いが巨星よりかは明るい恒星のことであり、地球から見て明るいF型輝巨星には2等星であるさそり座θ星と3等星であるいて座π星の2つの恒星がある。これらの恒星は非常によく似通っており、絶対等級は共にマイナス3等程度としし座ζ星と比較しても明るいことが分かる。

 そして、これらの恒星の質量は太陽の5~6倍程度と考えられており、巨星であるしし座ζ星と比較すると重いことが分かる。

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 両恒星共に地球からの明るさは比較的明るく、特にさそり座θ星の視等級は北極星よりも明るい。そして、地球からの距離も比較的遠く、いて座π星に至っては500光年以上も離れており、かなり遠いことが分かる。

 ちなみに直径はアルクトゥルスと同等程度であるが質量や表面温度はこれらの恒星のほうが大きいため、絶対等級はアルクトゥルスに比べるとかなり明るくなっている。仮にこれらの恒星をアルクトゥルスの位置(36.7光年)に持っていくとシリウスを軽々と超える明るさとなり、全天で最も明るい恒星となってしまう。

 このようにF型輝巨星は非常に明るい恒星であるがこれでもカノープスと比較すると暗く、F型超巨星の中にはカノープスを驚愕するものさえ存在している。

2.4 F型超巨星

 F型超巨星は非常に大きい直径と絶対等級を有しており、例えば地球から見て最も明るいカノープスは309光年と非常に遠くに位置しているにもかかわらず25光年しか離れていないベガよりも明るい。

 そして、カノープス以外には北極星もF型超巨星に属しており、こちらはカノープスと比較すると幾分か暗いものの輝巨星と比較すると明るい。しかし、北極星はF型超巨星の中では最も暗い恒星であり、F型超巨星の中にはカノープスを超えるものも数多く存在している。

 例えば2等星の中でカノープスよりも明るい恒星はおおいぬ座δ星と白鳥座γ星があり、これらの恒星の絶対等級はマイナス6.63等, マイナス6.52等と信じられないような明るさである。更に3等星の中にもカノープス以上の恒星が3つも含まれており、うさぎ座α星, ぎょしゃ座ε星, さそり座ι1星の絶対等級がカノープスを上回っている。

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 地球から見て明るいF型超巨星の絶対等級と地球からの明るさは上図のようになっており、絶対等級は下に行けば行くほど明るくなり、視等級は左に行けば行くほど明るいことを意味している。

 そして、この表を見れば分かるようにカノープスよりも絶対等級の強い恒星がかなり多いことが分かり、カノープスを除く9恒星の内、6恒星がカノープスよりも明るい恒星であることが分かる。

 このようにF型超巨星は地球からの明るさが明るいものが多く、更にその大半の絶対等級が極めて強くなっているためF型星は絶対等級の強い恒星が地球から見て明るく見えることが分かる。

 以上、F型星についてでした。

 

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