DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

気球が持ち上げることのできる質量

 以前は風船の加速度について書いてきたが今回は気球でどれほどの重さのものまで持ち上げられるかについて書いて行きたいと思う(下の記事は前回の記事)。

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目次

1. 浮力

1.1 浮力と質量

 浮力は流体中で働く上向きの力のことであり、浮力の大きさは浮力を受ける物体の体積と流体の密度に比例する。

 そして、浮力以外にも物体には重力が働き、浮力が重力に勝ると物体は浮き上がることが出来、反対に重力が浮力に勝ると物体は浮くことはできないが浮力はきちんと働いているため、上空から落としても浮力が働いていない場合と比較してゆっくり落ちていく。

 この浮力によって風船は浮かぶことが可能であり、ヘリウムを用いた風船は風船に質量が無い場合は重力加速度の6.28倍もの加速度で上空へ浮かび上がることになるが実際には風船に質量があるため、そこまで速い速度で浮かび上がることは無い。しかも質量が無い場合には内部の気体の密度が空気よりも小さければ浮かび上がることは可能となるがアンモニアのように空気よりも軽いものの密度の比較的大きな気体を入れた場合は風船の大きさを大きくしなければ浮かび上がることも無い。

 そのため、風船は浮力の大きさが大きくなる、即ち風船の体積が大きければ大きいほど浮かびやすくなり、体積が非常に大きな気球の場合には相当な質量のものまで浮かべることができる。

1.2 浮力と重力の式

 ここからは風船(気球)にかかる力とその式を求めていきたいと思う。風船には主に2つの力がかかっており、上向きに対しては浮力、下向きには重力がかかっている。

 そして、この下向きにかかる重力は風船内にある気体の質量と風船の質量の2つが関係しており、この風船内の気体の質量と風船の質量の和に重力加速度をかけた値が重力として作用している。その一方で浮力は風船内の気体×空気の密度×重力加速度の値が上向きに作用しており、風船の質量は一切上向きには作用していないため、風船の質量が大きくなっても重力だけが増し浮力が増すことは無い。

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 風船にかかる加速度は上図のようになっており、この加速度が正の場合だと浮き上がり、負の場合だと落ちるようになる。つまり、加速度が正の場合は浮かせることが出来、この加速度は質量が大きければ大きいほど小さくなっていき、重い物体ほど浮かせづらくなる。反対に体積が大きくなればなるほど質量の大きさが無視できるようになり、現実にはあり得ないが体積が無限になると加速度は(ρair/ρ)-1となり、これは風船に質量が無い場合と同じ式となる。

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 体積が無限の時の加速度の式は上式のようになっており、体積が大きければ大きいほど質量の大きさが無視できることが分かるため、風船の体積が大きいほど風船は浮かびやすくなる。そして、当然ではあるが風船内部の気体の密度が空気よりも大きいと重力が浮力を上回るため、たとえ風船の質量がゼロであったとしても浮かび上がることはできない。

 以上が風船にかかる力と加速度であるが次章では実際に求めていきたいと思う。

2. 気球が持ち上げられる質量

2.1 気球にかかる力

 気球には非常に大きなバルーンの部分があり、このバルーンの大きな体積が浮力を生み出している。そして、気球は大きく分けて2種類あり、内部の空気を熱して密度を小さくし、浮力を得る熱気球と内部に軽いヘリウム等の気体を入れて浮かせるガス気球がある。

 そして、熱気球は内部の温度を調節することで上下させることが可能となっているため主流となっているが今回はどれぐらいの質量まで浮かべさせることが出来るかについて話していきたいのでガス気球について書いて行きたいと思う。

 ガス気球の内部の気体はヘリウムを用いていき、今回は地表での場合を想定していきたいと思う。ここでヘリウムの密度は0.169 mg/㎤, 空気密度は1.23 mg/㎤とおき、気球の体積を変えて考えていきたいと思う。

2.2 体積による浮力の違い

 始めにヘリウムを入れた気球について書いて行きたいと思う。気球が浮かび上がるには気球にかかる加速度がプラスになればよく、プラスになるには気球の質量が(空気密度-風船内の気体の密度)×気球の体積よりも小さくなればよいため、単純に気球の体積が2倍になると浮かび上がることのできる体積も2倍になり、10倍になれば10倍になる。

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 浮かび上がらせるのに必要な式は上式になっており、(空気密度-気球内部の気体の密度)が今回はVが変数となるため、(空気密度-気球内の気体の密度)が傾きの単純な一次関数となっている。

 そして、ヘリウム気球の体積が1,000 ㎥の場合だと浮かせることのできる質量は1,061 kgとかなり大きくなり、10,000 ㎥の場合の場合だと当然10,610 kgのものまで浮かび上がられせることが出来る。

 また、日本で最も使われている気球は2,000 ㎥であるため、この体積だと2,122 kgのものまで浮かせることが可能であり、この質量は当然気球の質量とゴンドラの質量を上回っていなければならず、更に全質量がこの質量を上回ると浮かび上がることは不可能となる。

 ちなみに2,000 ㎥の気球にかかっている浮力の大きさは24,108,000 Nであり、ヘリウムにかかっている重力は3,312,400 Nであるため、上向きの力のほうが20,795,600 N大きくなっている。当然この力は2,122 kgの物体にかかる重力の大きさである。

 このように体積が大きくなると単純に比例する形で持ち上げられる物体の質量が増えていくわけだが今度は気球内の気体の密度の変化による持ち上げられる物体の質量について書いて行きたいと思う。

2.3 密度による浮力の違い

 ここからは気球内部の気体の密度を変えていきたいと思う。

 物体の体積は先ほどと同じように2,000 ㎥とおくと気体の密度が0(気体の質量が無い場合)は2,460 kgのものまで持ち上げられるが密度を小さくしていくと直線状に下がっていき、空気の密度と同じ1.23 g/㎤ともなると気体にかかる重力と浮力が釣り合うため、浮かぶことができなくなる(気球にも質量があるため、1.23 g/㎤に達する前に気球が浮かぶことも無くなるが)。

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 密度を中心に考えるとρ(気球内部の気体の密度)が変数となるため、傾きが-V, 切片がρairVの一次関数となり、こちらもかなり簡単な式である。

 このように、気球の体積の場合でも気球内部の気体の密度の場合に関しても持ち上げられる物体の質量は一次関数的に変化していくため、そこまで複雑な式になることは無い(ちなみに上空に行くと空気の密度が小さくなるが空気の密度の大きさも一次関数的に変化する)。

 以上、気球が持ち上げることのできる質量についてでした。