DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

最も融点の高い金属タングステン 沸点も高くその沸点の大きさは...

 今回はタングステンについて書いて行きたいと思う。

目次

1. タングステン

1.1 タングステンの由来

 タングステン(Tungsten)は原子番号74番の元素であり、元素記号で書くとWである。そして、タングステンは元素記号が1文字の元素の中では二番目に原子番号の大きな金属であり、最も大きな金属はウラン(U)の92番である。

 また、タングステンは英語で書くと上記のようにTから始まっており、「W」と言う文字は含まれていないがその理由は周期表はドイツ語由来であり、英語由来ではないからである。例えばナトリウムは英語ではソディウム(Sodium)と言い、カリウムはポタシウム(Potassium)と言うようにドイツ語と英語では名称が異なっており、日本での元素はある意味では英語(タングステン)とドイツ語(ナトリウム, カリウム)か混合している形となっている。

 では、タングステンをドイツ語では何と呼ばれているかと言うとウォルフラム(Wolfram)と呼ばれており、確かにWから始まっている。このウォルフラムはWolfと言う名の通り、オオカミに由来しており、その語源は以下の様になっている。

タングステン(Tungsten)とは、スウェーデン語で「重い石」という意味。元素記号のWはドイツ語 のWOLFRAM(ウォルフラム)にちなんでいます。これは、タングステン鉱石(鉄マンガン重石=w olfart)から来ており、これが錫鉱石の中に混入すると、鉱屑を作って錫の精製を阻害することか ら、錫を狼のようにむさぼり食べるという意味で名付けられました。

↓ 引用元
www.nittan.co.jp

 狼は西洋では悪者のイメージがあり、貪欲さの象徴のように扱われている。そのため、タングステンは上記のように錫(Sn, 50)の生成を粗題しているのでこのように呼ばれるようになった経緯がある。

1.2 融点, 沸点

 タングステンはドイツ語由来の元素であるため、英名にはWと言う文字が入っていないにも関わらずWと言う文字が入っている。そして、タングステンの特徴と言えば何よりも融点が高いことであり、その融点は全金属中最大の値を示している。

 タングステンの融点は3,684 K (3,407 ℃)と極めて高く、これは融点の高いことで知られている6周期(以下タンタルから白金)の遷移元素の中でも一番高い。下に原子番号73~78番までの元素の融点と沸点を掲載する。

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 タングステン周辺の元素も融点が非常に高いがタングステンを中心に融点は下がっていき、原子番号が進むにつれて急激に下がっていく。そして、ここでは書いていないが融点は原子番号80番の水銀で底をつくようになる。水銀は全ての金属元素の中で最も融点が低く、その融点はマイナス39 ℃近くである。更に驚くべきことに水銀はタングステンとは原子番号が6しか違いが無く、74から80に欠けて急激に融点が下がっていくことが分かり、水銀以降のタリウム, 鉛, ビスマスの融点も低めである。

 このようにタングステンの融点は極めて高く、周辺部の元素の融点も非常に高いが原子番号が進むにつれて融点は急激に下がっていき、6個先の水銀ともなると最低値となるが沸点のほうはどうなのだろうか?

 タングステンの沸点は融点と同様に非常に高く、全元素中でも隣に位置しているレニウムに次ぐほどである。しかもタングステンとレニウムの融点には大きな差が無く、わずか41 ℃しか融点に違いは無い。

 そのため、タングステンは融点も沸点も高い元素であり、この性質を利用して電球のフィラメントに使用されていることが多い。

1.3 密度, 硬度

 タングステンの融点, 沸点は非常に高いが密度や硬度のほうはどうなのだろうか?

 タングステンは融点が最大の金属であるが密度のほうも非常に高く、19.30 g/㎤もある。この密度は鉄の倍以上もあり、最も密度の大きな鉄の2倍以上、更にはウランの密度をも上回っている。

 そして、6周期の遷移元素の密度は融点や沸点と同じように非常に高く、最も密度の大きい元素はタングステンの2つ先のオスミウムである。オスミウムの密度は22.57 g/㎤とタングステンをも上回っており、更に他の6族(73~78)の元素の密度を記載していきたいと思う。

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 原子番号73~78番の金属の密度はどれも非常に高くなっており、特にレニウムから白金にかけては密度が20 g/㎤を上回っている。また、ここでは記載していないが金の密度はほぼタングステンと同じであり、水銀の密度はいくぶんか下回るものの融点のように極端に低いわけでは無く、13.6 g/㎤と鉄と比較するとかなり高い。

 このように6周期の遷移元素の融点が高い理由は単純に原子番号が大きく、一原子当たりの質量が大きいからであり、5周期の遷移金属の密度は11 g/㎤前後、4周期の遷移金属の密度は8 g/㎤前後となっている。

 また、タングステンは非常に硬い金属であり、モース硬度は7.5と非常に高い。この高さは鉄(4)と比較しても高く、硬い金属が多い6周期の中でも最も高い値を示している。

 以上のことよりタングステンは融点, 沸点, 密度, 硬さの全てにおいて非常に高い値を示しており、これは6周期の金属元素(ここでは白金を除く, 白金は鉄と同等か少し硬い程度である)の全てに言えることである。

2. 周期表と電子配置

2.1 タングステンの位置

 タングステンは周期表では第6周期, 6族の金属原子であり、以下の緑の所に位置している。

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 タングステンは遷移金属であり、遷移金属とは3族から11族の元素のことを指しており、ランタニドやアクチニドもここに含まれている(12族は遷移金属に含まれることもあるがd軌道の関係上、当サイトでは典型元素として扱っている)。

 そして、タングステンは6族に位置しており、6族にはタングステン以外にはクロム(Cr), モリブデン(Mo), シーボーギウム(Sg)が含まれているがシーボーギウムは安定に存在できないので実質クロム, モリブデン, タングステンの3元素が6族として扱われている。また、これらの元素は全て金属元素であり、遷移元素は全て金属元素であるため遷移金属とも呼ばれている。

 ちなみに6族の融点, 沸点, 密度は以下の様になっている。

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6族は同周期の中では融点が高くなっている傾向があり、クロムは23番のバナジウム(V)に次いで融点が高い。また、モリブデンは同周期の中では融点が抜きんでて高く、沸点も最も高くなっている(モリブデンの融点はイリジウムよりも高い)。

 しかし、密度は周期内でも特に高いわけでは無く、タングステンの密度が大きい理由は単純に原子番号が大きいからである。

2.2 タングステンの電子配置

 タングステンは原子番号が74番と非常に大きいため、s, p, d, fのいずれにおいても電子が存在している。そして、タングステンは遷移金属であるのでd軌道が不完全に埋まっており、不完全に埋まったd軌道がある元素は遷移元素と呼ばれている。

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 タングステンの軌道は上図のようになっており、キセノンの配置に加えて6s軌道に2つ, 4f軌道に14個、そして5d軌道に4つの電子が埋まっている状態となっている。

 そして、d軌道には10個の電子を収容することが出来るのでタングステンのd軌道には6つ分の電子が足りないため、タングステンはd軌道が不完全に埋まっている遷移元素となっている。このd軌道が埋まるにはあと6つ電子が必要となり、6つ電子が埋まった軌道、即ちd軌道が充填した元素は水銀である。

 そのため、水銀はd軌道に電子が完全に埋まっている元素、即ち12族元素(Zn, Cd, Hg, Cn)となっているため遷移金属ではなく典型元素として扱われることが多い。

 ちなみに同じ6族のクロムの電子配置は[Ar](4s^2)(3d^4)ではなく[Ar](4s^1)(3d^5)となっているがこれはd軌道は電子が5つそろったほうが安定であるからであり、モリブデンも[Kr](5s^1)(4d^5)の電子配置となっている([Ar]は原子番号18番アルゴンの電子配置, [Kr]は原子番号36番のクリプトンの電子配置)。

 しかし、タングステンはこの配置になっていないため、一概に全ての元素がそのようになるわけでは無い。

 以上がタングステン、及び6族元素の電子配置であり、電子配置には若干の違いがあることが分かる。

 

参考文献

タングステンのすべて タングステンの別名はオオカミ? |  日本タングステン株式会社

https://www.nittan.co.jp/tech/all/detail01.html

元素の周期表、物性 (18-02-01-01) - ATOMICb (表2, 表3)

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=18-02-01-01

 

関連記事 (モース硬度の説明も書いてあります)

www.rigelultragiant.com