DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

安定同位体がある中では最大の原子番号を有する鉛

 今回は鉛について書いてきたいと思う。

目次

1. 鉛

1.1 鉛の安定同位体

 鉛は原子番号82番の元素のことであり、金属元素の一種でもある。そして、この原子番号は安定同位体が存在する元素の中では最も大きなものとなっており、原子番号83番のビスマスには安定同位体は存在せず、全て放射線元素となっている。

 安定同位体とは原子核の崩壊を起こさない放射性を持たない原子のことであり、鉛の場合は鉛206, 鉛207, 鉛208の三種類が存在している。しかし、ビスマスも安定同位体こそ存在しないものの最も安定なビスマス209は半減期(原子が半減するまでにかかる期間)が1900京年もかかるため、実質安定同位体として見なされることもあり、実際にビスマス209は販売されているほどである。

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 ビスマス209は1900京年後には半数がタリウム205となり、タリウム205は安定同位体なのでこれ以上崩壊が起こることは無い。また、鉛204は放射性同位体であるが半減するまでに14京年もかかるため、こちらも安定同位体として見なせることが出来そうである。そして、こちらは14京年後には水銀200となり、これも安定同位体であるため、これ以上の崩壊は進まない。

 このように鉛には安定同位体が多く存在しており、これは鉛の原子番号が偶数であることに関係している。原子番号が奇数の元素は安定同位体が最大でも2つしかないと言われており、最も原子番号の小さな水素の安定同位体は水素1(軽水素)と水素2(重水素)の2つだけである。

1.2 鉛の硬度, 密度, 融沸点

1.2.1 硬度

 鉛は一般的に柔らかい, 重い, そして低い温度でも溶けるというイメージがあるが実際にどれほど柔らかく、重く、そして融点や沸点はどれぐらいなのだろうか?

 初めに鉛の硬さについて書いて行きたいと思う。硬さの指標としてはモース硬度があり、モース硬度とは片方の物体でもう片方の物体を傷つけた時、どちらに傷がつくかによって硬さを決める指標であり、傷ついたほうが柔らかいと見なされる測定法をしている。そのため、モース硬度はあくまで傷つきにくさを表す指標であり、衝撃等の強さを示したものでないため、最もモース硬度の高いダイヤモンド(モース硬度10)は傷こそつかないが衝撃には弱い。

 そして、鉛のモース硬度は1.5であり、この値は全物質中でも非常に小さいほうである。モース硬度は0~10までの間で決められており、モース硬度2であると爪で何とか傷つけることが出来る程度であるため、鉛は爪で傷つけることが可能なほど柔らかい。

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  モース硬度の基準は以上のようになっており、自力で傷をつけることができる硬度は2、道具を用いて傷をつけることができる硬度は5までである。

 ちなみに柔らかい金属でおなじみ?の金のモース硬度は2.5と鉛よりかは硬く、爪で傷つけられるほど柔らかくは無いが最も原子番号の小さい金属であるリチウムのモース硬度は0.6と非常に柔らかい。また、最もメジャーな金属である鉄のモース硬度は4と思ったほど硬くは無いが特に柔らかいわけでもない。

 以上のことより、鉛は非常に柔らかい金属であり爪で傷つけられる程度に柔らかい。

1.2.2 密度

 鉛は重い金属のイメージもあるが実際に鉛はどれほど重いのだろうか?

 重さを示す指標としては密度があり、密度は単位体積当たりの質量の大きさである。例えば密度が最も小さな金属であるリチウムの密度が0.53 g/㎤、アルミニウムは2.7 g/㎤、そして鉄の密度は7.87 g/㎤程度である。

 そのため、鉄の密度はアルミニウムと比較すると密度が非常に大きく、同じ体積でも重さの違いが簡単にわかるほどである。

 そして、鉛の密度は11.35 g/㎤と鉄と比較すると1.5倍近くもあり、確かに密度の大きな元素であるものの実は同じ周期内ではそこまで密度の大きな金属ではない。鉛の原子番号は82番と非常に大きく、この原子番号は原子番号26番である鉄の3倍以上もあるため、原子1つ当たりの質量も鉛のほうが3.7倍も大きい。

 この原子番号の大きさが密度の大きさに起因しており、実際に鉛と同じ周期の元素の密度は非常に大きく、最も密度の大きな金属であるオスミウム(Os, 76)の密度は鉛の2倍近くもある。

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  密度は温度によって変化するため、以上のデータは常温、または常温近くでの密度を示している。そして、タンタル(Ta, 73)から鉛(Pb, 82)までの金属の密度は安定同位体を有する中では最も高くなっており、鉛の密度でさえ白金や金と比較するとかなり小さくなっている。

 このことより、鉛の密度はかなり大きいものの同じ周期(6周期)で見てみると小さいほうであり、全体的に見てみると大きいほうではあるが族で見てみるとかなり小さいほうである。

1.2.3 融点, 沸点

 最後に融点、及び沸点について書いて行きたいと思う。鉛はそこまで融点の大きな金属では無く、金星の表面程度でも溶けると言われているほどであるが実際に鉛の融点はどれほどなのだろうか?

 鉛の融点は1気圧下では327.5 ℃と金属としてはかなり低いほうであり、この融点は鉄はおろかアルミニウムの融点をはるかに下回っているほどである。実際に鉛の融点よりも融点が低い金属は水銀やアルカリ金属等の融点の小さなもの以外にはほとんど存在しておらず、鉛の融点は非常に小さいと言える。

 また、鉛と同じ6周期の元素の融点は非常に高い傾向があり、最も融点の高い金属は原子番号74番のタングステン(W)であり、3,407 ℃と極端に高くなっている。けれども6族の中でも水銀とタリウムは非常に融点が低く、水銀に至っては全金属中最も融点が低いため、一概に6周期の元素全てが融点が高いわけでは無い。

 そして、この融点は金星の表面温度を上回っているため、確かに金星上で溶ける程度の温度であるが金星の大気圧は90気圧にも及ぶため、実際に金星の表面で鉛が溶けるかどうかは不明である。

 ここまでは融点について書いてきたがここからは沸点について書いて行きたいと思う。鉛の沸点は1,750 ℃と融点と比較すると高めであり、この温度は鉄の融点よりも高い。しかし、金属全体で見てみるとやはり小さいほうであり、タンタルからオスミウムまでの原子番号73~76番の元素の沸点に至っては5,000 ℃を超えており、特にレニウム(Re, 75)に至っては5,596 ℃と太陽の表面温度に匹敵するほどである。

 このように鉛は融点も沸点も低めの金属であり、総合的に見てみると柔らかい所と融沸点が低い所はイメージ通りであるが重い金属かと言われると確かに重いことは重いものの同じ周期の金属から見てみると特に重いわけでは無い。

2. 周期表での位置

2.1 鉛の位置

 ここからは鉛の周期表での位置について書いて行きたいと思う。鉛は原子番号が82番の元素であるため、周期表では緑色の部分が鉛の位置となっている。

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 鉛は6周期14族に当たる金属であり、同じ14族に当たる元素としては炭素, ケイ素, ゲルマニウム, 錫, フレロビウムが該当する。そして、フレロビウムは非常に不安定な元素であるため、すぐに崩壊するが他の元素は安定しており、炭素とケイ素は金属では無いため共有結合をする。

 そして、これらの元素は4つの原子と共有結合が出来るため、非常に重要な元素であり、実際に炭素原子は多くの原子と化合物を形成しており、有機物と言う一大勢力を形成しているほどである。そのため、ケイ素質の生物もいるのではないかとも考えられており、ケイ素は岩石の主成分であるため岩石状の生物になると思われる。

 また、ゲルマニウム以降は金属としての性質が強くなっていき、鉛は完全な金属と化している。

2.2 「鉛」がつく物質

 この世の中には「鉛」とつく物質があるがそれらの物質は鉛に近いのだろうか?

 鉛とつく物質には黒鉛, 亜鉛, 蒼鉛などがあり、これらの物質はそれぞれ炭素, 亜鉛(言うまでも無いが), ビスマスのことである。そして、これらの物質の中で明らかに鉛と遠い物質があり、その物質とは亜鉛のことである。亜鉛は原子番号が30番であるため、4周期12族に当たり、これは明らかに鉛とは遠い元素であることが分かる(鉛は6周期14族であり、位置が全く異なる)。

 しかし、黒鉛は炭素であるため同じ14族であり、蒼鉛はビスマスなので周期表では隣に位置しており、関連性のある元素であることが分かる。

 このように鉛と作つく物質で亜鉛だけは関連性は薄いものの黒鉛と蒼鉛は鉛と関連性の高い物質であることが分かる。

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 鉛とつく物質は黒鉛(灰色), 亜鉛(黄緑), 蒼鉛(青色)の位置にあり、亜鉛だけが周期も族も異なることが分かる。

2.3 鉛の電子配置

 最後に鉛の電子配置について書いて行きたいと思う。鉛は原子番号が82番と大きいため、電子配置もかなり複雑なものとなっている。例えば炭素の場合は1s軌道に2つの電子、2s軌道にも2つ、そして、2p軌道にも2つの電子が入っている形となっている。

 そして、鉛の場合は1s軌道に2つ、2s軌道に2つ、2p軌道に6つ、3s軌道に2つ、...と言う形となっており、以下の様な電子配列になっている。

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 赤色の部分はヘリウムの電子配置、青の部分まではネオン、緑の部分まではアルゴン、紫の部分まではクリプトン、そして、黄色の部分まではキセノンと同じ配置なので鉛の電子配置は下のように省略して書かれるほうが普通となっている。下の書き方はキセノンの配置に6s電子が2個、4f電子が14個、5d電子が10個、そして6p電子が2つ加わっていることを意味しており、ここでの電子はエネルギーの小さな順になっている。

 例えば1s電子は最もエネルギーが小さいため優先的に入り、次いで2s, 2p, 3s...の順になっている。そのため、4sよりも3dのほうがエネルギーが大きいため後に入るようになり、順番が逆転するようになっている。

 ちなみにs軌道には電子は2個、p軌道は6個、d軌道は10個、f軌道には14個入ることができ、その軌道が埋まると次の軌道に入れるようになっている。

 このように電子配列はエネルギーが小さい順に電子が入っていくがd軌道は5つ、または10個の電子が入っている時は安定するため、逆転することもある。実際にクロムや銅などでは4s軌道が埋まっていないにもかかわらず3d軌道に電子が入っており、クロムの電子配列は以下の様になっている。

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 このように鉛は原子番号が大きいため電子の数も多く、その配列はかなり複雑なものとなっているが逆転はしておらず、エネルギー順となっている。

 以上、鉛についてでした。

 

参考文献

モース硬度 Wikipedia (モース硬度の目安)

https://ja.wikipedia.org/wiki/モース硬度

元素の周期表、物性 (18-02-01-01) -ATOMICA- 表2, 及び表3 (密度, 融点, 沸点のデータ)

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=18-02-01-01

 

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