DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

熱帯夜が起こりやすい気候

 今回は熱帯夜について書いて行きたいと思う。

目次

1. 熱帯夜

1.1 熱帯夜とは

 熱帯夜は最低気温が25 ℃を上回る日のことであり、夜でも気温が下がらない状態のことである。そして、熱帯夜と言う名前に反して温帯でも見られる現象である。

 日本は気候的に見ると80%程度の面積を温帯が占めており、残りの20パーセント程度は冷帯(亜寒帯)、そして熱帯の占める割合は非常に少ない。日本で熱帯の場所には沖縄県の石垣島や小笠原諸島などがあり、いずれも小さな島であり、北海道, 本州, 四国, 九州の4大島には熱帯は一切見られない。

 しかし、日本のあらゆる地点で熱帯夜が観測されており、最近は地球温暖化のあおりを受けて熱帯夜の観測される日が急激に増えている。

 実際に戦後すぐは熱帯夜の割合は非常に少なくなってきたものの近年では熱帯夜の観測される日が40年前と比較すると倍以上に増えてきている。

 このように温帯が大半を占める日本でも熱帯夜が観測されてきているため、日本の気候は亜熱帯や熱帯のようにも思えるが実は日本の気候は熱帯とは程遠く、沖縄や小笠原諸島を除いた地域では熱帯に近い場所は一切存在していないほどである。

 では、熱帯と日本の気候は何が違うのだろうか?

1.2 日本の気候と熱帯

 日本の夏は非常に暑く、熱帯のようにも見えるが実は日本の気候は沖縄県や小笠原諸島を除くと熱帯とは程遠い気候である。その理由は熱帯や温帯の定義は夏の気温では無く冬の気温で決められているからであり、熱帯とは灼熱の気候では無く一年中気温の下がらない気候である。

 熱帯の定義は最も寒い月の平均気温が18 ℃以上、つまりどの月の平均気温も18 ℃以上であることであり、冬になると気温の下がる日本は熱帯には当てはまらない。

 例えば関東平野で最も南にある県庁所在地である横浜市の最も気温の低い月である1月の平均気温は5.9 ℃であり、この気温は明らかに熱帯とは程遠い気候である。また、那覇市を除くと最寒月の平均気温が最も気温の高い県庁所在都市である鹿児島市の最寒月の平均気温は8.5 ℃と寒い月はあり、熱帯とは程遠い気候である。

 しかし、これはあくまで冬の気候であり、夏になると東京でも太陽が地面との角度が78.4°で南中するため、夏場の気温は非常に高くなり気温は熱帯並みとなる。

 この気候は温暖湿潤気候(Cfa)と呼ばれており、冬場になると気温は低くなるが夏場になると気温がかなり高くなる特徴を有している。温暖湿潤気候の最寒月の平均気温はマイナス3~18 ℃とかなり幅があるため、秋のような冬しかない(最寒月が10~18 ℃)亜熱帯と呼ばれる気候から冷帯に近い冬を有する(最寒月がマイナス3~0 ℃)気候まで含まれており、かなり気候に幅があることが分かる。

 そして、日本の中心地と言える関東平野南部はこの気候の中間あたりの気候であり、最寒月の平均気温は4 ℃(さいたま市)~6 ℃(千葉市, 横浜市)程度となっている。

 しかし、夏の気温は先ほども書いたように熱帯並みに上昇し、夏の気温は緯度にある程度は比例するため、東北地方の夏は関東地方の夏よりも気温が低く、結果として低緯度に当たる関東地方の夏の気温は高くなる。

 ここまでが関東地方と熱帯気候の違いについてであり、関東地方は夏場になると熱帯並みに気温が上昇するが冬場になると気温が低下し、熱帯地方の場合は年中気温の高い状態のままである。

2. 日最低気温と最高気温

2.1 日最高気温, 最低気温とは

 ここからは日最高気温と最低気温について書いて行きたいと思う。日最高気温とは一日で最も気温の高い時の気温であり、一般的な最高気温のことである。例えば横浜市の8月の1981~2010年の日最高気温の平均値は30.6 ℃であり、これは1981~2010年中の8月の全日数である930日の最高気温の平均値が30.6 ℃であることを意味している。

 また、当然ではあるが最高気温は日によって変わるため、最高気温が37 ℃の時もあれば25 ℃の時もあり、現在の日本の気候から考えると明らかに30 ℃を超える日が多いため、昔のほうが最高気温が低かったのではないかと推測できる。

 そして、今回話したいほうは日最低気温のほうであり、日最低気温とは日最高気温と同じように一日で最も気温の低い時の気温のことであり、横浜市の8月の日最低気温は1981~2010年の平均値では24.0 ℃となっている。

 このことは8月の930日間の最低気温の平均値が24.0 ℃出会ったことを意味しており、熱帯夜は最低気温が25.0 ℃以上の状態を表しているため、熱帯夜の割合が比較的多いことを意味している。つまり、横浜市の8月は熱帯夜が特に珍しいわけでは無く、日常的であることを意味しており、熱帯夜が熱帯特有では無いことを意味している。

 では、熱帯夜は熱帯に多く見られるのだろうか?

2.2 各気候区の熱帯夜(海外)

2.2.1 熱帯(ジャカルタ)

 初めに熱帯における熱帯夜について書いて行きたいと思う。熱帯は赤道から回帰線にかけて多く見られる気候であり、今回は熱帯の代表格であるインドネシアの首都、ジャカルタについて書いて行きたいと思う。

 ジャカルタは南緯6°当たりに位置している大都市であり、アジアの中では最も南に位置している場所の一つである。そして、当然赤道に近いため一年中気温が高く、涼しく感じるときは無いほどである。

 では、ジャカルタの気温はどのようになっているのだろうか?

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 ジャカルタは典型的な熱帯性の気候をしており、年較差が非常に小さく、年間を通して気温が高いことが分かる。そして、日較差も小さいものの年較差よりかは大きいため、赤道直下では一日の中に季節があると言われているほどである。

 そして、最低気温に着目してみると最も低い時は7,8月22.8 ℃であり、最も高い時は4,5月の23.9 ℃とわずか1.1 ℃の差しか無いことが分かる。更に最低気温で最も高い時も横浜市の気温を僅差で下回っているため、ジャカルタでは一年中熱帯夜が見られるが最も暖かい月では横浜市のほうが見られる確率が高いのではないかとも考えられる。

2.2.2 亜熱帯砂漠(リヤド)

 この世の中には夏場になると気温が熱帯以上に上がる地域もある。その地域とは大気の循環によって生まれる低緯度の砂漠であり、緯度的に見ると亜熱帯に位置しているため、亜熱帯砂漠と呼ばれている。

 その代表として挙げられる場所はアラビア半島に位置しているサウジアラビアの首都、リヤドであり、リヤドは石垣島とほぼ同じ緯度である。そして、リヤドは砂漠特有の極端な気候を有しており、夏場になるととてつもなく気温が上がり、最高気温が40 ℃を超えることが当たり前となるほどである。

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 リヤドは冬場になると気温が若干下がるものの夏場になると気温が異常なまでに上昇し、特に6~9月にかけては平均最高気温が40 ℃を超えるほどである。そして、当然最低気温も高く、5~9月にかけては熱帯夜の基準である25 ℃を超えている。つまり、リヤドではこの間は熱帯夜が普通であり、むしろ熱帯夜でない日を下がるほうが簡単なほどである。

 更にリヤドの1985~2010年中の7月で最も最低気温が低かった時の気温は23.6 ℃であり、このことはこの間の7月で23.6 ℃を下回ったことが無いことを意味しており、場合によっては7月中全ての日が熱帯夜であった年もある可能性も考えられなくはないほどである。

 このようにリヤドを始めとした亜熱帯砂漠は世界で最も熱帯夜が多い所であり、熱帯夜と言う名前も「亜熱帯砂漠夜」としたほうがいいのではないかとも思う。不自然過ぎる名前であるため、絶対に普及しないと思うが...

 余談ではあるがアラビア半島南東部の国、オマーンのクリヤットでは今年度、最低気温42.6 ℃を観測した。

2.2.3 冷帯 (イルクーツク)

 最後に冷帯について書いて行きたいと思う。冷帯は冬場になると気温が非常に下がるが夏場の気温がそこそこ高い気候のことであり、亜寒帯(むしろこちらのほうが多く用いられるが)とも呼ばれている。

 そして、今回書くところは雨温図でも良く出てくるシベリアのイルクーツクである。イルクーツクはアジアで最も面積の広い淡水湖の近くに位置している都市であり、最も寒い月の平均気温がマイナス17.8 ℃, 年平均気温が1.0 ℃と非常に寒く、典型的な内陸型の冷帯気候を示している。

 それもそのはずであり、イルクーツクは最も近い海からでさえ1,800 kmも離れており、更に北緯52°17'と緯度も相当高いからである。

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 イルクーツクは冬場になると気温が極端に下がり、最も寒い1月では最低気温がマイナス20 ℃を下回ることも当たり前であり、最高気温も非常に低くなっている。そして、この気温の低い状態は長く続き、一年の内5か月間は日平均気温も氷点下である。

 しかし、夏になるとそこそこ気温が上がり、最も暖かい月である7月には最高気温が24.8 ℃とかなり高くなり、30 ℃を超える日も珍しくないほどである。

 けれども最低気温は7月でも13.0 ℃と低めであり、この気温だとまず熱帯夜になることは無く、日較差も年較差も激しい気候であることが分かる。

 これは冷帯全体に言えることであり、冷帯は夏になると気温がそこそこ上がるものの日較差が激しいため、夜になると意外なほど気温が低下し、熱帯夜となることはまずないと言える。

 しかし、札幌のように緯度が低く、ギリギリ冷帯である所では極まれに熱帯夜になることもあり、かつては札幌で熱帯夜になることは無かったものの1981~2010年の間に札幌は3日だけ熱帯夜になったことがある。

 ちなみに高緯度の砂漠は冷帯と同じように日較差が激しいため、亜熱帯砂漠のように熱帯夜となることはまずない。

 以上、熱帯夜についてでした。

 

参考文献

Jakarta Wikipedia 3.2 Climate (ジャカルタの気温)

https://en.wikipedia.org/wiki/Jakarta

Riyadh Wikipedia 2.1 Climate (リヤドの気温)

https://en.wikipedia.org/wiki/Riyadh

Irkutsk Wikipedia 3.1 Climate (イルクーツクの気温)

https://en.wikipedia.org/wiki/Irkutsk