DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

極寒とダイヤモンドの国 サハ

 今回はサハ共和国について書いて行きたいと思う。

目次

1. サハ共和国

1.1 サハ共和国とは

 サハ共和国(Sakha Republic)は北アジアの国であり、面積は北アジアの中では最大である。その大きさはアジア全体で見てみても中国, インドに次ぐほどであり、しかもインドとは大差がないほど広い。

 そして、面積は310万㎢にも及び、アフリカではこの面積に匹敵する国家は存在せず、アルゼンチンやカザフスタンの面積をも凌ぎ、モンゴルの2倍近くにも及ぶ。

 しかし、人口は非常に少なく100万人を若干下回るほどであり、人口密度は0.3人/㎢と極端に少ない。これは人口密度が最も少ない独立国家であるモンゴルを軽々と下回るほどであり、人口密度が最も少ない国家は実はモンゴルでは無くサハ共和国である。

 ここまで人口密度が少ない理由は非常に過酷な環境にあるからであり、ユーラシア大陸の北東部に位置しているサハ共和国は南極を除くと世界で最も冷え込む地域に位置している。どれほど冷え込むかと言うとサハ共和国には温帯が存在せず、それどころか年平均気温がマイナス5 ℃を上回る地域が無い、つまり、どの地域も極端に気温が低く、首都のヤクーツク(Yakutsk)の年平均気温はマイナス8.8 ℃, 最寒月の平均気温に至ってはマイナス38.6 ℃と世界一寒い独立国家の首都であるウランバートルの気温を軽々と下回っており、世界一寒い首都はやはりウランバートルでは無くヤクーツクなのである。

 このようにモンゴルから世界一を二つも取っていったサハ共和国は寒くて過酷であるだけではなく、世界有数のダイヤモンドの産地であり、世界のダイヤモンドの産出量の内、サハ産のものは22.6%にも及び、この量は世界一の産出量である。

 このようにサハ共和国は知名度こそ低いものの世界一が3つもあり、その世界一は以下の様になっている。

  • 人口密度の少なさ
  • 首都の寒さ
  • ダイヤモンドの産出量

 以上のことより、サハ共和国は非常に過酷ではあるもののダイヤモンドが豊富な国となっている。

...ここまではサハ共和国について書いてきたが実はサハ共和国と言う独立国家は存在しておらず、サハ共和国はロシア連邦に含まれる共和国の一つ、つまり独立国家ではないのである。

 そのため、世界一人口密度の小さい国はモンゴルであり、世界一寒い首都はやはりモンゴルのウランバートルであることには変わりは無く、サハ共和国は残念ながらこのランキングには載せることが出来ないのである。

 しかし、ここまで書いてきたことは全て本当のことであり、サハ共和国は非常の広大で更にその広大な土地にはウランバートルよりも暖かい地域は一切存在しておらず、全ての地域が亜寒帯, または寒帯となっている。

 そのため、人口密度は非常に少なくなっており、人口の大半はサハ共和国唯一の都市(ここでは10万以上の人口を有する居住地)である首都ヤクーツクに集中している。

1.2 サハ共和国の由来と民族

 サハ共和国はロシア連邦の北東部に位置している広大な国であり、南極を除くと世界で最も寒くて過酷な地域となっている。そして、サハ共和国の名称の由来はサハ共和国に居住している民族名に由来しており、サハ共和国にはサハ人が居住している。

 サハ人は元々は中央アジアに居住していた民族であり、13世紀にこの極寒の地に移住してきた歴史がある。そして、サハ人は人種的に見るとアジア系であり、日本人と似た外見をしている。これは他のシベリアの地域にも言えることであり、シベリアには他にブリヤート共和国(Buryatia), アルタイ共和国(Altai Republic), トゥヴァ共和国(Tuva Republic), ハカス共和国(Khakassia)の4つの共和国があり、これらの共和国もアジア系である。特にブリヤート共和国に居住しているブリヤート人に至っては日本人と非常に近縁であると考えられているほどである。

 そして、首都のヤクーツクの名前はヤクート(Yakut)+街(sk)に分解することが出来、この町の意味はヤクートの街と言う意味になる。ヤクートとはサハ人の別名であり、そのためヤクーツクはサハ人の街と言う意味になる。

 ちなみにサハ共和国の国民の割合はサハ人が最も多く、次いでロシア人が多い比率となっており、ロシア連邦内では珍しく元々居住していた民族の割合が多いものとなっている。

2. ダイヤの国

2.1 サハ産のダイヤモンド

 サハ共和国は非常に過酷な環境に位置しているものの世界一ダイヤモンドが豊富な国であり、その産出量はロシア連邦の99%を占めているほどである。ロシア連邦は世界一ダイヤモンドの産出量が多い国であり、その産出量は2004年の時点で3,560万トン、即ち全世界の22.8%も占めている。

 つまり、サハ共和国のダイヤモンドの産出量は(単純計算ではあるが)2004年で3,524.4トンにも及び、この割合は世界的に見ても22.6%に相当する。この統計は2004年のものであるため、現在では異なっているもののそれでもサハ共和国のダイヤモンドが世界のダイヤモンドの多くを占めていることには変わりは無く、ダイヤが世界で最も豊富な国であることには変わりはない。

 このようにサハ共和国ではダイヤが非常に豊富であるがこれほどの量を採掘するには相当掘らなければならない。そして、サハ共和国で最もダイヤが取れる町では...

2.2 ダイヤの町 ミールヌイ

 世界一ダイヤが豊富な国、サハの中でもダイヤが最も採掘できる町はミールヌイ(Mirny)と言う町である。ミールヌイはサハ共和国の中西部に位置している町であり、緯度的にはヤクーツクと大差は無いが西側に位置しているため、気候はヤクーツクほど過酷では無い。けれども年平均気温がマイナス5 ℃以上の場所が無いサハ共和国内なので極めて過酷な環境であり、冬場は極寒であることには変わりはない。

 それでもミールヌイはダイヤモンドの埋蔵量が極めて大きく、とてつもないほどのダイヤモンドを採掘したほどである。どれほど採掘したかは不明であるが採掘場には直径が1.25 km、深さが525 mの穴が開いているほどであり、千葉県で最も標高の高い山の標高よりも100 m以上も深いほどである。そのため、この巨大な穴はgoogle mapでも普通に観測することができ、トルクメニスタンにある燃える穴よりもはるかに大きいほどである。まあ、トルクメニスタンの穴は事故によるものであるため、採掘跡のミールヌイの穴とは全く形成要因が異なるわけであるが...

↓ トルクメニスタンの穴に関する記事

www.rigelultragiant.com

 このようにミールヌイは世界一ダイヤモンドの採掘量の多い国の更にダイヤモンドが最も採掘されている町であるため、巨大な穴が開いているほどである。

3. 極寒の国

3.1 サハの気候

 サハ共和国はダイヤモンドで有名であるが極寒のほうがむしろ有名なほどである。サハ共和国は南極を除くと世界一寒い地域であり、年平均気温がマイナス5 ℃, 最寒月の平均気温がマイナス25 ℃を上回っている地域が無いほどである。

 サハ共和国の気候は冷帯(亜寒帯), 及び寒帯の二つがある。その内冷帯は二つの気候に細分化することができ、夏が短いDfc気候と夏が短く、更に冬の気温が極限まで下がるDfd気候の2つに細分化することが出来る。

 Dfc気候は以下の様な条件をそろえている気候である。

  • 最寒月の平均気温がマイナス38~マイナス3 ℃である (冷帯であるかつDd気候でもない)
  • 最暖月の平均気温が10 ~22 ℃である (寒帯ではなく、Da気候でもない)
  • 平均気温が10 ℃以上の月が1~3か月間である (Db気候ではない)
  • 乾燥限界以上の降水量がある (乾燥帯ではない)
  • 季節による降水の偏りが無い (s, w気候ではない, ここでは簡略化)

 この条件を満たしていればDfc気候に分類されるがここで注意しておきたいのが降水量の偏りである。

 サハ共和国は年平均気温が極端に低いため、乾燥限界は0に近い、またはマイナスとなるため乾燥帯になる心配は無い。また、サハ共和国は冬季の気温が極端に低くなる関係で降水量が極端に少なくなり、一見すると冬季少雨型(w型)になりそうであるが夏の降水量も大して多くは無いため、湿潤型に分類されることが多い。しかし、文献によっては冬季少雨型に分類されることもあるため、必ずしもDfcになるわけでは無く、場合によってはDwcに分類されることもあり、これはDfdにも同じことが言える。

 そして、ここからはDfcの冬場の気温が極端に低いタイプのDfd気候について書いて行きたいと思う。Dfd気候は最寒月の平均気温がマイナス38 ℃未満であること以外はDfcと変わりが無く、単純に冬場の気温が極端に低いDfc気候である。

 しかし、この気候はサハ共和国以外には無い気候であり、シベリアと並ぶ極寒地として知られるカナダにさえこの気候は存在しない。そして、この気候に属している居住地は首都のヤクーツク、及び寒極として知られるヴェルホヤンスク(Verkhoyansk)とオイミャコン(Oymyakon)などがあり、とてつもなく寒い気候であることが分かる。現にこの気候に属している地域の年平均気温はいずれもマイナス8 ℃を下回っており、オイミャコンに至ってはマイナス15.5 ℃ととてつもなく低く、これよりも低い居住地はカナダのアラート(マイナス17.7 ℃)しかないほどである。しかもアラートはかなり限定的な居住地であり、人口も100人を切っているがオイミャコンは普通の家庭もあり、更に学校もあるため普通の住民が居住している中では紛れも無くオイミャコンが最寒であり、1月の平均気温に至っては南極を含めてもオイミャコンが世界最寒となっている(南極は夏であるため、オイミャコンほどは気温が低くはならない)。

 このようにものすごく寒いオイミャコンでも夏場の気温は意外に高くなるため、タイガの森林は林立しており、意外にもサハ共和国は47%がタイガに覆われているがそのタイガさえも無い寒帯もサハ共和国にはある。

 サハ共和国には寒帯もあり、いずれも最暖月の平均気温が0~10 ℃のツンドラ気候(ET)となっている。そして、サハ共和国のツンドラ気候は年較差の大きなものとなっているため、冬場の気候は内陸ほどでは無いが非常に冷え込み、更に夏の気温も低いため季節こそあるものの年中寒い気候となっている。

 このような気候では森林は発達せず、内陸よりも景色は殺風景なものとなっている。そして年平均気温もマイナス10 ℃を下回っている非常に低く過酷な気候であるため大きな町は一つも無く、最も発展しているティクシ(Tiksi)でさえ人口減少が進んでおり、その人口は5,000人を下回っている。

 このようにサハ共和国は全域が極端に過酷な環境となっているが次はサハ共和国の居住地について書いて行きたいと思う。

3.2 サハの居住地

3.2.1 Dfc ネリュングリ

 サハ共和国は全域が過酷な気候となっているがここからはDfc, Dfd, ET気候の居住地の雨温図を書いて行きたいと思う。

 初めにDfc気候から書いて行きたいと思う、Dfc気候に属している町にはネリュングリ(Neryungri)があり、ネリュングリはサハ共和国内では二番目に人口の多い居住地である。そして、ネリュングリはサハ共和国内では比較的温和な気候であるがそれでも極寒であることには変わりは無く、ウランバートルよりも余裕で寒いほどである。

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 ネリュングリはサハ共和国内では温暖ではあるがそれでも最寒月の平均気温はマイナス30 ℃を下回り、年平均気温もマイナス6.9 ℃と極寒である。 

 そして、ネリュングリは極寒地にしては年降水量が583 mmと多めではあるがその降水は夏季に集中している。しかし、7月の降水量が2月の降水量の9倍であるため、ギリギリ冬季少雨型とはならず、ネリュングリの降水には偏りが無いと見なせる。

 また、ネリュングリの乾燥限界はわずか2 mmであるため、乾燥限界にひっかかることはまずなく、乾燥帯では無いことが分かる。

 更に平均気温が10 ℃以上の月が3か月間であるため、ネリュングリの気候はDfcであることが分かる。

3.2.2 Dfd オイミャコン

 Dfd気候で最も人口が多い居住地はヤクーツクであるがここでは世界一寒い村であるオイミャコンについて書いて行きたいと思う。

 オイミャコンは世界の寒極であり、かつてはマイナス70 ℃をも下回ったともいわれており、もし、この記録が正しければ世界で唯一マイナス70 ℃を下回った居住地となる。

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 オイミャコンは極寒のDfd気候の中でも最も寒く、年平均気温はマイナス15.5 ℃にしかすぎない。そして、最寒月の平均気温はマイナス46.4 ℃とどの地域よりも寒く、この気温を下回る地域は一切存在しない。

 しかし、夏になるとそこそこ気温が上がるため、タイガの森林があり決して殺風景な光景では無い。そのためオイミャコンは寒帯では無く冷帯に分類されている(冷帯の中では紛れもなく最寒)。

 また、これほど気温が低いので降水量も非常に少なく、もし東京でこの降水量だと間違いなく砂漠となっているがオイミャコンは乾燥限界がマイナス170 mmともはやプラスですらないため、たとえ降水量が0であったとしても乾燥帯にはならない。

 また、最小降水月と最大降水月の比が9倍なので冬季少雨型ではなく年中湿潤型となっているため、気候はDfd気候に分類されている。

3.2.3 ET ティクシ

 最後に寒帯であるティクシについて書いて行きたいと思う。ティクシは北極海に面した町であり、緯度も非常に高く北極圏に位置している。

 そして、寒帯であるため夏の気温も低く、東京の真冬よりも若干高い程度しかない。では、季節が無いかと言うとそうでは無く、冬場になると気温が非常に低くなり、年較差は東京以上であるため季節はきちんとある。

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 ティクシは最も暖かい月の平均気温が10 ℃を下回っているため、寒帯に属している。そして、最寒月の平均気温はマイナス30.2 ℃とオイミャコンほどは低くは無く、ネリュングリ程度と比較的温暖ではあるがそれでも極寒であることには変わりは無く、年平均気温もマイナス12.8 ℃と非常に低い。

 そして、降水量は極寒地の割には意外に多く、オイミャコンの1.5倍程度もあるがネリュングリと比較すると少なめである。

 このようにサハ共和国は気温に違いこそあるもののどの地域も極寒であることには変わりは無く、過酷な環境しか無いもののダイヤモンドが豊富な国であるため、重要な国でもある。

 以上、サハ共和国についてでした。

 

参考文献

Neryungri Wikipedia 5. Climate (ネリュングリの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Neryungri

Oymyakon Wikipedia 4. Climate (オイミャコンの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Oymyakon

Tiksi Wikipedia 4. Climate (ティクシの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Tiksi