DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

世界一南にある大島 フエゴ島

 今回はフエゴ島について書いて行きたいと思う。

目次

1. フエゴ島

1.1 フエゴ島とは

 フエゴ島(Fuego Island)は南米の先端に位置している島であり、最も南に位置している大きな島である。南の島と聞くと一見暖かそうに見えるが暖かいのはの島では無く、赤道に近い島であり、南半球の場合は南に行けば行くほど赤道から遠くなるため、当然気温は低くなる。そのため、南半球では暑いイメージがあるのは北であり、南はむしろ寒いイメージを持つ方角である。

 そして、フエゴ島は南米の先に位置している島であるため赤道からかなり離れており、緯度的に見るとグレートブリテン島やシベリアの主要都市とほぼ同じである(ここでは緯度の絶対値での話であるため、北緯55°と南緯55°は同じ緯度として見なしている)。そのため、フエゴ島はかなり気温が低く、夏の最も暑い月の平均気温でも10 ℃程度しか無く、かなり寒冷な気候となっている。

1.2 フエゴ島の面積, 人口

 フエゴ島は世界で最も南にある大島であるがその面積はどれぐらいなのだろうか?

 フエゴ島の面積は九州よりも広く、九州の1.3倍程度の48,100 ㎢もあり、この面積は世界の島の中では29番目に広い。そのため、フエゴ島は世界的に見てもかなり広い島であり、人口も多そうに見えるが気候がそこまで温暖では無いため、人口は少なく、2010年の時点で13.5万人程度しか居住していない。そのため、フエゴ島の人口密度は3人/㎢程度とかなり少なく、この人口密度は最も人口密度の小さな国であるアイスランドと同じぐらいである。更に、フエゴ島には10万人を超えている街は無く、ウシュアイア(Ushuaia)とリオ・グランデ(Rio Grande)の2つの町の人口が大半を占めている。

 そして、これらの町の人口はウシュアイアが5.7万人(2010)、リオ・グランデが6.7万人(2010)程度とそこまで多くは無いが少ないわけでもなく、比較的発展している町である。

 また、フエゴ島は一つの国だけが属しているわけでは無く、二つの国がまたがっている島であり、チリとアルゼンチンの2つの国の島となっている。そして、フエゴ島は島のほぼ真ん中の位置に国境が引かれており、西側がチリ、東側がアルゼンチン領で面積に大差は無いが人口はアルゼンチン側のほうが圧倒的に多い。

 その理由は、リオ・グランデ、ウシュアイア共にアルゼンチン側に位置しているからである。そのため、アルゼンチン側の人口密度は少ないことは少ないが比較的多くなっているのに対し、チリ側の人口密度は1人/㎢を大幅に下回っている。

 このようにフエゴ島の人口は東側に集中しており、西側の人口は非常に少なくなっているものの全体的な人口もかなり少なく、この理由については次章で書いて行きたいと思う。

2. フエゴ島の気候

2.1 Cfc気候

 フエゴ島の人口は非常に少なく、アイスランド島並に人口密度が小さいがこの理由は気候が原因である。フエゴ島は夏場の気温が非常に低く、最も暖かい月の平均気温でさえ10 ℃程度しか無く、この気温は居住には明らかに適していない。

 そして、夏でもこれほど気温が低いため、冬になると極寒になりそうだが実はフエゴ島の冬の気温はそれほど低くはならない。これは意外かもしれないがフエゴ島の最も寒い月の平均気温は0 ℃前後であり、長野県と同じか少し暖かい程度である。

 フエゴ島で最も人口の多いリオ・グランデの最暖月の平均気温は10.9 ℃とかなり低いものの最寒月の平均気温はマイナス0.2 ℃とそこまで低くは無く、年較差は高緯度(南緯53°47')にあるにもかかわらず、わずか11.1 ℃しかない。この年較差は熱帯と亜熱帯の境目程度の大きさであり、非常に年較差の小さな気候であることが分かる。

 このような気候は世界的に見ても珍しく、フエゴ島以外にはアイスランド島も同じような気候をしており、フエゴ島とアイスランド島は人口密度だけではなく、気候も非常に似通っている。このように一年中日本の冬のような気候をしており、年較差の小さな気候はCfc気候と呼ばれており、温帯の一種である。

 Cfc気候は極温帯気候と呼ばれており、湿潤な温帯気候(Cf)の中では最も気温の低い気候である。Cf気候は3種類に細分化でき、夏場に気温の高い気候は温暖湿潤気候(Cfa)であり、日本はこの気候である。また、夏場の気温がそこまで上がらないが平均気温が10 ℃以上の月が4カ月以上ある気候は西岸海洋性気候(Cfb)と呼ばれており、パリやロンドンのようなヨーロッパの国がこれに属している。そして、今回紹介する極温帯気候(Cfc)は夏の期間が短いものの冬の冷え込みがそこまで強くない気候であり、平均気温が10 ℃以上の月が1~3カ月の気候である。

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 極温帯気候の条件は以上のようになっており

  • 温帯の条件を満たしている (C)
  • 月別の降水量に偏りが無い気候である (f)
  • 暖かい月が少ない (c)

の条件を全て満たしていればこの気候になる。また、Cc気候は冬季少雨型(Cwc)や夏季少雨型(Csc)にも当てはめることが可能であるがこの二つの気候がCfc以上に限定的であり、特にCscはほぼ無いと言っても過言ではないほど限定的な気候となっている。

 また、極温帯気候は年較差が非常に小さいため、温帯から亜寒帯(冷帯)を通さず、いきなり寒帯(ツンドラ気候)になることが多く、実際にアイスランド島では高緯度に進むと温帯が寒帯になり、つい最近まではウシュアイアも寒帯であった。

 以上のことより、フエゴ島の気候は極温帯気候であり、この気候は年較差こそ小さいものの夏でも気温が低いため農業には適しておらず、過酷とは言えないものの居住には明らかに適していない気候である。そのため、フエゴ島やアイスランド島の人口は非常に少なくなっている。

2.2 フエゴ島の町の雨温図

 ここからはフエゴ島の町の雨温図を書いて行きたいと思う。フエゴ島は低温だが年較差の小さい温帯である極温帯気候に属しており、一年中日本の冬のような気候である。

 そのため、人口は希薄であり、人口密度は日本の100分の1も無いがリオ・グランデやウシュアイアのようにそこそこ人口の多い町もある。

 では初めにリオ・グランデについて書いて行きたいと思う。リオ・グランデはフエゴ島で最も人口の多い居住地であり、人口は2010年の時点で6.7万人程度とフエゴ島の半分程度を占めている。そして、夏の気温は11 ℃程度と低いものの冬の気温も氷点下を若干下回る程度であり、最低気温の平均はマイナス3~4 ℃とそこまでは低くは無い。

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 リオグランデは寒帯とそれ以外の気候の境目である最暖月の平均気温10 ℃を若干上回っているため温帯に分類されるがボーダーに非常に近いため、寒帯に近い気候である。また、温帯と亜寒帯(冷帯)の境目である最寒月の平均気温マイナス3 ℃を上回っているため、温帯に分類されており、ボーダーの気温差から亜寒帯よりも寒帯に近い気候である。

 また、降水量は全体的に見てもかなり少なく、全ての月で40 mmを下回り、最も降水の少ない月と多い月では2倍強しか降水量に差が無いため、降水量の方面でも差が小さい気候である。

 次にフエゴ島第二の町であるウシュアイアについて書いて行きたいと思う。ウシュアイアはアルゼンチンで最も南にある町であると同時に世界最南端の町としても知られており、ウシュアイアよりも南にも若干の居住地はあるものの人口はいずれも少ないため、ある程度の人口を持つ中ではウシュアイアが最も南となっている。

 そして、ウシュアイアはリオ・グランデ以上に年較差が小さく、最暖月の平均気温が10.3 ℃とギリギリ10 ℃を上回っている程度であり、極めて寒帯に近い気候である。それどころかウシュアイアは20年前は寒帯に属しており、その時の最暖月の平均気温は9.6 ℃しかなかったぐらいである。また、最寒月のほうはリオ・グランデよりも高い1.6 ℃と氷点下では無く、プラスとなっている。

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 ウシュアイアは20年前まで寒帯に属していたため、10 ℃以上の月が1カ月しか無く、その気温も10.3 ℃とかなり低い。その一方で最寒月の平均気温は1.6 ℃とかなり高く、年較差は南緯54°48'と緯度がかなり高いにもかかわらず8.7 ℃しか無く、10 ℃を下回っている。この年較差は極めて小さいものであり、ほぼ(絶対値的に)同じ緯度に位置しているノヴォシビルスク(Novosibirsk)と比較すると違いは一目瞭然である。

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 ノヴォシビルスクは北アジア最大の都市であり、ウシュアイアとは違い内陸性の気候をしているため最寒月の平均気温はマイナス16.5 ℃と非常に低いものの最暖月の平均気温は19.4 ℃と高めであるため、年較差は35.9 ℃とウシュアイアの4倍以上もある。

 また、年平均気温はノヴォシビルスクのほうが4 ℃ほどしか低くは無く、そこまで大差はないが海洋性と大陸性では大陸性のほうが年平均気温は低くなる傾向があり、この理由は冬場の気温が底下げをしているからである。

 このように同じ緯度でも大陸性か海洋性かで気温は大きな違いがあり、海洋性の場合は年較差が小さく、そして、大陸性の場合は大きくなる傾向があり、特に高緯度の場合ではその違いが顕著に表れるようになる。

 以上のことより、フエゴ島は高緯度ではあるが海洋性の気候をしており、年較差が非常に小さくなっているのである。

 

参考文献

Rio Grande, Tierra del Fuego Wikipedia 2. Climate (リオ・グランデの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Río_Grande,_Tierra_del_Fuego

ウシュアイア Wikipedia 気候 (ウシュアイアの雨温図)

https://ja.wikipedia.org/wiki/ウシュアイア

Novosibirsk Wikipedia 5.2 Climate (ノヴォシビルスクの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Novosibirsk