DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

酢酸が属しているカルボン酸と電離度

 今回は酢酸が属しているカルボン酸とその電離する割合について書いてきたいと思う。

目次

1. カルボン酸

1.1 カルボン酸とは

 酢酸はカルボン酸の一種であり、カルボン酸の中では二番目に簡単な構造をしている。カルボン酸とはカルボキシ基(カルボキシル基)を有する有機酸のことであり、カルボキシ基とは-COOHの構造を取った官能基のことである。この官能基が酸を示す性質を持っており、-COOHのHの部分が電離することで水素イオンが発生する。酸とは水素イオン濃度が高い状態であり、H^+が電離すると水素イオンが水溶液中に拡散するため、結果として酸となるのである。

 また、カルボン酸で最も簡単な構造の物はギ(蟻)酸であり、ギ酸はカルボキシル基に水素が結合しただけの構造を取っており、HCOOHの構造式で表される。更にギ酸はアルデヒド(HCOOH)の構造も持っているため、アルデヒドとしての反応も起こる。

 そして、酢酸は蟻酸に次いで簡単な構造を取っており、カルボキシ基にメチル基(CH3)が結合しているため、化学式で書くとCH3COOHとして書ける。しかし、酢酸はギ酸とは異なりアルデヒドの構造を有していないため、アルデヒドの反応を起こすことは無く、ギ酸以外のカルボン酸はアルデヒドの構造を有しているものは無いため、アルデヒドとしての性質を示すのはギ酸のみである。

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 カルボン酸は以上のような構造を取っており、ギ酸は最も簡単な水素がカルボン酸の炭素に直接結合しているが故にアルデヒドの構造を取ることもできる。

1.2 カルボン酸の酸の強さ

 酢酸はギ酸に次いで簡単な構造をしている酸であり、酸ではあるものの酸性は弱く、塩酸や硝酸と比較すると酸性は非常に弱い。酸性が弱いということは分子状態が安定している、または電離した後の陰イオンが不安定であることを意味しており、酢酸は分子状態が安定している酸である。

 では、ギ酸と酢酸ではどちらのほうが酸性が対いのだろうか?

 答えはギ酸のほうが強く、その理由はカルボン酸の炭素原子に直接結合している官能基にある。ギ酸は水素がカルボン酸の炭素原子に直接結合しており、それに対して酢酸はメチル基が直接結合している。そして、ここからは話が専門的になるため、かなり省略した形で書いて行きたいと思う。カルボン酸の場合は電子密度が多くなると水素と酸素の結合が強くなり、結果として分子が安定した状態となる。そのため、カルボキシ基の電子密度を減らすことで酸性を強くすることが可能である。そうするためにはカルボキシ基の炭素に結合している物質が電子を求引しやすいものにすれば良いわけであり、反対に電子を与える官能基が結合していると酸性は弱くなる。

 ここでメチル基は電子を供給するタイプの官能基なので酸性度がギ酸よりも低くなる。反対に電子を求引しやすいハロゲン(F, Cl, Br, I)がメチル基の水素と入れ替わると電子がメチル基(に結合したハロゲン原子)に吸収されるようになり、結果としてカルボキシ基の電子密度が小さくなる。このようになると酸性度が強くなり、フッ素が3つ結合したトリフルオロ酢酸ともなるともはや強酸の領域に達するほどである。

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 このようにカルボン酸の酸の強さは変わり、カルボキシ基に何が結合しているかによって強さが変わるのである。

2. 酢酸の電離

 ここからはさくさんの電離について書いて行きたいと思う。電離とは分子, またはイオンが陽イオンと陰イオンに分かれることであり、強酸の場合はほぼすべての分子が電離することになる。例えば強酸の代表例である塩酸は水中では水素イオンと塩化物イオンにほぼ全てが分離するため、水溶液中に多くの水素イオンが放出されるため、酸性が強くなるが酢酸の場合はそのようにはいかない。

 何故なら酢酸は弱酸であり、ほぼすべての分子が電離することも無く分子の状態のままいるからである。そのため、酢酸を水に溶かしても大した量の水素イオンが発生することも無く、そこまで酸性は強くならないがどれほどの強さなのだろうか?

 その強さを示す度合いとして酸解離定数があり、酸解離定数とは酸性の強さを表す度合いである。酢酸の酸解離定数は4.76であり、これはそこまで大きな値ではなく、酢酸は弱酸であることが分かるが実はこの値は非常に重要である。

 では、ここからは酸解離定数から酢酸の電離について考えていきたいと思う。電離している割合、即ち解離度を求める方法はかなり複雑になるため、以下に簡略化した方法を図示する。

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 酢酸の解離度は以上の計算から求めることができ、解離度は酢酸の濃度に依存している。では、ここからは各濃度による解離度を求めていきたいと思う。

 ここでの濃度はモル、即ち分子数により決定するものを用いるが見られないため、1リットルの水に何グラムの酢酸を溶かしたかで示していきたいと思う。酢酸の量は0.01~5 mol、即ち0.6~300 gの間で考えていきたいと思う。

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 酢酸は濃度が大きくなればなるほど解離度が小さくなる、即ち電離する割合が小さくなっていき、1 L当たり0.6 gしか含まない場合は4.08 %の酢酸が解離しているが300 gともなると0.19 %程度しか解離しなくなる。そのため、酢酸は濃度が大きければ大きいほどどんどん解離しずらくなっていくがこれは弱酸の共通点であり、酢酸だけに限った話ではない。

 しかし、酸性度は濃度が増えれば増えるほど大きくなっていき、以下の様に増えていく。

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 酢酸の水素イオン指数、即ちpHは小さくなればなるほど酸性が強くなることを意味している、そして、酢酸の水素イオン指数は酢酸の濃度が大きければ大きいほど小さくなる、つまり酸性度が強くなり、水1 L当たり0.6 gの酢酸しかない場合はpHは3.4程度であるが300 gの時は2程度にまで小さくなる。

 このことより、酢酸のような弱酸では濃度が濃ければ濃いほど解離度は小さくなるが酸性は反対に強くなっていく性質を持っている。

 以上、カルボン酸とその電離度についてでした。