DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

実は猛暑にはならない都市 シンガポール

 今回はシンガポールの気候について書いて行きたいと思う。

目次

1. 赤道直下の国、シンガポール

1.1 シンガポールの緯度と大きさ

 シンガポール(Singapore)は世界で最も赤道に近い所に位置している国であり、緯度は北緯1.3°にしかすぎない。北緯1.3°というと赤道から150㎞弱しか離れておらず、ほぼ赤道直下と言っても過言ではない。

 そして、シンガポールは都市国家なので首都もシンガポールであるが実は世界で最も赤道に近い首都ではなく、エクアドル(Ecuador)の首都であるキト(Quito)のほうが赤道に近い。エクアドルとは赤道を意味するスペイン語であり、英語ではEquatorがこれに相当する。そのため、エクアドルは赤道直下に位置している国であり、キトは南緯0.14°と赤道から数十キロ程度しか離れていないが年平均気温はかなり低く、東京や横浜と同じぐらいか若干低い程度である。

 キトの年平均気温は15.6 ℃と温帯程度であり、赤道直下としては信じられないほど低くなっているが年較差はほとんどなく、わずか0.4 ℃程度にとどまっている。何故こうなるかというとキトは標高が非常に高い所に位置しており、大体八ヶ岳の山頂付近と同等に位置している。そのため、赤道の気温が単純に標高によって下がっただけであり、一年中日本の春のような気温である(空気はかなり薄いが)。

 その一方でシンガポールは標高は非常に低い島国であり、気温も赤道直下相応に高くなっている。シンガポールはマレー半島の先端にあり、国土面積はわずか720㎢程度しかない。しかし、人口は560万人程度と面積の割には非常に多く、この面積は日本国土の1.3倍の面積を有する中央アジアのトルクメニスタンとほぼ同等であり、日本よりもはるかに広大なモンゴルの人口を大きく上回っているほどである。

 そのため、シンガポールは世界の国家の中では人口密度が最も多く、人口密度が高いことで有名な日本の20倍以上もある。

1.2 熱帯雨林気候

 ここからは熱帯雨林気候について少し書いて行きたいと思う。

 シンガポールは赤道直下の標高の低い島国であるため、年間を通して気温が高く、更に降水量も多い熱帯雨林気候に属しており、熱帯雨林気候は以下の条件を示している。

  • 最寒月の平均気温が18 ℃以上 (熱帯の条件)
  • 年降水量が乾燥限界以上 (熱帯の条件)
  • 最小降水月の降水量が60 mm以上

熱帯雨林気候は最小値を重視している気候であり、最小値さえ満たしていれば偏りが大きくても熱帯雨林気候に属することになる。そのため、石垣島は年較差が11 ℃程度あるが最寒月の平均気温が18.6 ℃と18 ℃を上回っている上に最小降水月の降水量が126 mmあるため、熱帯雨林気候に属している。しかし、石垣島の気候は明らかに赤道直下の気候をしていないため、熱帯雨林気候とは言えども「高緯度熱帯雨林気候」や「亜熱帯多雨気候」と言う名称のほうが正しそうである。

 また、シンガポールよりも赤道に近いキトは気候区的には西岸海洋性気候(Cfb)に属しているがどこからどう見ても海洋性の気候ではなく、高山の気候であるため「(熱帯)高山気候」と呼ばれるほうが一般的である(一応西岸には比較的近いため、「西岸」の部分だけは当たっていそうであるがこの気候はヨーロッパの気候であるため、やはりおかしいことには変わりはない)。

 その一方でシンガポールは年較差が非常に小さく、わずか1.9 ℃程度しかない上に目立った乾季や雨季も無いため、実質季節は無いものと見なせる。これが真の熱帯雨林気候と言え、シンガポール以外にはインドネシアやアマゾン川流域、アフリカの赤道付近と主に赤道直下の地域に見られる気候である。

 では、次章ではシンガポールの気温と降水量について書いて行きたいと思う。

 

2. シンガポールの気温と降水量

2.1 シンガポールの雨温図

 シンガポールは赤道直下の海洋に属しているため、年間を通して気温も降水量も多く、季節という季節は見られず、気温と降水量は以下の雨温図のようになっている。

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 シンガポールは年間を通して気温が高く、最も低い月でも東京の夏と同じ程度ある。しかし、最も暑い月でも気温は最も寒い時と大差は無く、30 ℃を超えることは無い。最も暑い月の気温が30 ℃を超える場所はアラビア半島やサハラ砂漠等の低緯度の乾燥地であり、赤道直下だからと言って気温が極端に上がることは無い。

 また、降水量は日本と比較すると季節による偏りが小さく、更に降水量自体も多いが海洋性の熱帯ではこれが当たり前であり、シンガポールよりも降水量の多い地域も数多く存在する(ちなみに温帯の尾鷲市はシンガポールの降水量をはるかに上回る)。

 このようにシンガポールは典型的な赤道直下の気候をしているが低緯度の砂漠と比較すると極端に暑い夏があるわけでは無く、極端に暮らしづらい気候と言う訳ではない。

2.2 シベリアよりも低い最高気温

 シンガポールは年がら年中気温は高めであるが最暖月でも平均気温が30 ℃を超えることは無く、更に海洋性であるため熊谷のように気温が40 ℃を超えることは決してない。

 それどころか歴代の最高気温は赤道直下とは思えないほど低く、観測史上最も気温が上がった時でさえ36.0 ℃と日本の大半の地域よりも気温が低いほどである。この気温は以外ではあるが日本はおろかシベリアの主要都市の歴代の最高気温よりも低く、シベリアの所要都市の最高気温は36.0 ℃を上回る所が大半である。例えばシベリアの中でもとりわけ寒いサハ共和国の首都ヤクーツクは冬場になるとマイナス40 ℃が当たり前の世界であり、年平均気温もマイナス8.8 ℃程度にしかすぎないが歴代の最高気温は38.4 ℃とシンガポールの気温を2.4 ℃も上回っており、この理由はヤクーツクが典型的な内陸性の気候をしているからである。

 内陸性の気候は熱しやすく冷めやすいので高緯度の地域では最低気温は限りなく低くなるが夏場になると最高気温が高緯度とは思えないほど高くなり、猛暑日になる日さえ出てくるほどである。

 そして、シンガポールの歴代の最高気温はヤクーツクはおろか世界の寒極の一つであるヴェルホヤンスクのものよりも低く、ヴェルホヤンスクは歴代の最低気温がマイナス67.8 ℃にまで下がったことがあるほどであり、年平均気温もマイナス14.5 ℃にしかすぎない。しかし、ヴェルホヤンスクの歴代の最高気温は37.3 ℃とシンガポールの記録を1.3 ℃も上回っており、シンガポールの歴代の最高気温の低さが伺える。

 では、以下にシンガポールとシベリア(ここでは北アジア)の所要都市と寒極であるヴェルホヤンスクとオイミャコンの歴代の最高気温と最低気温を示す。

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 以外ではあるがシベリアの主要都市(オムスクからヤクーツクまで)の歴代の最高気温は全てシンガポールを上回っており、最も低いクラスノヤルスクとハバロフスクでさえ0.4 ℃上回っている。そして、チタに至っては最寒月の平均気温がマイナス25.2 ℃と極端に寒くなるものの歴代の最高気温は43.2 ℃と日本のどの地域をも上回っており、もはやシベリアの面影を感じないほどである。

 また、これらの都市は当然ではあるが冬場は極寒になるため年較差も非常に大きく、サハ共和国の居住地(下3つ)に至っては100 ℃以上も年較差がある。特に世界で最も低い気温を記録したヴェルホヤンスクは年較差も世界一であり、105.1 ℃ととてつもない値を示している(非公式ではあるがオイミャコンでマイナス71.2 ℃というデータもあるがここでは公式記録を載せておく)。

 このようにシベリアは内陸性気候であるため、年較差は非常に大きく、冬場の気温は極限にまで下がるが夏場の気温は意外なほど高く、主要都市では全ての都市でシンガポールを上回る最高気温を観測したほどである。

 その一方でシンガポールは歴代でも最低気温が19.4 ℃とかなり高く、最も気温が上がった時との差でさえ16.6 ℃しかないほどである。

 以上のことよりシンガポールは年平均気温はかなり高く、年較差も小さいが歴代の最高気温は意外に低く、シベリアの大半の地域よりも低いため、ある意味ではシベリアよりも寒いとも言える。

 以上、シンガポールの気温についてでした。

 

参考文献

Singapore Wikipedia 4.2 Climate (シンガポールの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Singapore