DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

全天五恒星の見える場所

 今回は全天で最も明るい五つの恒星の見える位置について書いて行きたいと思う。

目次

1. 全天五恒星

 地球から見える1等星以上の明るさの恒星は21個あるが全てが見えるわけでは無く、日本からだと見える恒星の数は意外なほど少ない。そして、この中でもとりわけ明るい5つの恒星の中で日本から観測できる恒星は4つしか無く、その内の1つは日本から観測することが難しいので実質日本からは3つしか観測が不可能である。

 その3つの恒星はシリウス, アルクトゥルス, ベガの3恒星であり、季節はそれぞれ冬, 春, 夏である。また、観測できない恒星はリギル・ケンタウルスであり、この恒星は春になると沖縄からは見ることが出来るがかなり低い位置にいるため目立つことは無い。そして、残った恒星はカノープスでこの恒星はシリウスに次ぐ明るさを有しているが東京からだとあまりにも高度が低く、本来の明るさで見ることは不可能であり、仙台辺りにまで行くと見えなくなる。

 このように地球から見て明るい恒星はなかなか本来の明るさで見ることが出来ないため、ベガが全天で二番目に明るい恒星として見られることもあるほどである(何故か普通に観測できるアルクトゥルスの知名度がかなり低いが)。

 では、以下にこれらの恒星のデータを示す。

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 五恒星を比較するとカノープスの距離は他の恒星と比較にならないほど遠く、最も近いリギル・ケンタウルスの70倍以上も離れている。しかし、カノープスはこの中でも群を抜いて絶対等級が強いため、リギル・ケンタウルスの明るさを余裕でしのいでおり、シリウスに次ぐ明るさを有している。

 また、カノープスの次に絶対等級が強いアルクトゥルスは太陽の100倍以上も明るいが質量は太陽とほとんど同じである。この理由はこの恒星が高齢化しており、中心の構造が太陽と明らかに異なっており、巨星と化しているからである。そして、アルクトゥルスはリギル・ケンタウルスと比較すると暗いもののリギル・ケンタウルスの主星単体だとわずかに上回っているため、全天で3番目に明るい恒星をアルクトゥルスとする場合もある。

 ここまでは五恒星について簡潔に書いてきたがここからは五恒星がどの位置にあるかについて書いて行きたいと思う。

2. 五恒星の位置

2.1 五恒星の赤緯

 五恒星は全てが日本(東京)から見えるわけでは無く、わずか3つしか見えない。その理由は五恒星の内、カノープスとリギル・ケンタウルスが東京の緯度に対してあまりにも南にあるからである。

 恒星の見える限界と地球上での緯度の関係は北半球の場合は恒星の赤緯(恒星の緯度に相当するもの)が「(その地点の緯度-90°)以上」であれば見え、東京の緯度は北緯35度41分程度にあるため、マイナス54度19分以下の恒星は見えなくなる。

そして、南半球の場合も同じであり、「(90°+その地点の緯度)以下」であれば見ることが出来る(南半球の緯度はマイナスで示される。例えば南緯40°の場合はマイナス40°)。

 また、一年中見える恒星のことを周極星と呼ぶが周極星となるには赤緯が北半球の場合は「(90°-その地点の緯度)以上」であり、南半球の場合は「(90°+その地点の緯度)以下」であれば周極星となる。

 では、このことを踏まえて五恒星の赤緯、及び可視限界緯度と周極星の限界緯度を書いて行きたいと思う。

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2.2 可視限界緯度

 五恒星の赤緯は以上のようになっているので可視限界緯度、及び周極星限界緯度は以上のようになっている。そのため、これらの恒星を全て見るには北緯29° 9' 58"より南で南緯51° 12' 59"より北に位置していなければならない。

 この緯度に該当している場所は北半球ではあまり多くなく、日本では沖縄県や小笠原諸島程度しか該当箇所は無い。更にヨーロッパに至っては一切該当箇所が無いためヨーロッパではリギル・ケンタウルスを見れる地域が無い。

 しかし、南半球の場合は南極大陸は居住地がないため、ほぼ全ての居住地が該当している。そのため、アフリカ大陸の北部を除いた地域とオーストラリア大陸全域では五恒星全てが観測できる。けれども南アメリカ大陸には南緯51° 12' 59"の地域はほんのわずかだけ存在しており、当然その箇所ではベガを観測することはできない。

 そのような地域に該当する居住地はチリのプンタ・アレーナス(南緯53° 10' 00")やアルゼンチンのウシュアイア(南緯54° 48' 7")などがあり、これらの地域は世界的にも珍しいベガが観測できない地域である。

 また、シリウスは天の赤道に近いため、ほぼすべての居住地で観測することが出来るがアラスカのバロー(北緯71° 17' 26")やサハ共和国のティクシ(北緯71° 39')のような北極海沿岸の町では東京のカノープスと同様に地平線すれすれに見え、世界最北の居住地であるアラート(北緯82° 30' 06")では観測することができない。

2.3 周極星の限界緯度

 周極星の限界緯度は全天で3番目に明るいリギル・ケンタウルスで南緯29° 9' 58"であり、2番目に明るいカノープスは南緯37° 18' 16"であるため、この間の緯度に該当する場所ではリギル・ケンタウルスが最も明るい周極星となる。このような地域には国としては南アフリカ、都市としてはシドニー(南緯33° 52' 06")などがあり、太陽系から一番近いにもかかわらず日本では決して見ることが出来ないリギル・ケンタウルスが一年中見ることが出来る。

 そして、これよりも南に位置しており、なおかつシリウスの限界である南緯73° 17' 02"まではカノープスが最も明るい周極星となる。地球上の居住地は全てシリウスの限界よりも北側にあるため、シリウスが最も明るい周極星となる地域は無く、居住地では無いが極限にまで気温の下がるヴォストーク基地(南緯78° 27' 50")程度でようやくシリウスが周極星となる。

 ここまでは南に注目してきたのでここからは北に注目していきたいと思う。五恒星の中で北寄りの恒星はベガとアルクトゥルスがあるがベガの周極星の限界は北緯51° 12' 59"であるので北ヨーロッパやシベリアの大半の主要都市ではベガが最も明るい周極星となり、先ほど書いたティクシやバローではアルクトゥルスが最も明るい周極星となる。

 以上が五恒星の赤緯と可視限界緯度、及び周極星の限界緯度についてであり、わずかではあるがベガが見えない居住地も存在し、反対にシベリアや北ヨーロッパではベガが一年中見えるようになる。

 以上、全天五恒星の位置についてでした。