DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

非常に熱く明るいオリオン座ι星 リゲルよりも明るいのか?

 今回はオリオン座ι星について書いて行きたいと思う。

目次

1. オリオン座ι星

 オリオン座ι星はオリオン座に位置している3等星であり、主要な7恒星を除くと最も明るい恒星である。地球から見た明るさは2.75等であり、位置的にはオリオン座の三ツ星のすぐ下に位置している。

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 オリオン座ι星は上図の赤丸の位置にあり、2.75等と比較的明るいので観測は比較的しやすい。そして、この位置ではι星以外にも2つ恒星が並んでおり、三ツ星のように見えるためそれを目印にして探せば更に観測しやすくなる。

 そして、オリオン座ι星はナイル・アル・サイフ(Na'ir Al Saif)やハチサ(Hatysa)と言う固有名がついており、前者はオリオンの剣に由来する固有名であるが後者の意味は良く分かっていないものの国際天文学連合ではハチサを正式な固有名として認定している。

 また、オリオン座ι星は銀河系の恒星の中でも非常に強大な恒星であり、以下の点で強大と言える。

  • 地球からの距離が非常に遠い
  • 絶対等級が極めて強い
  • 表面温度が極端に高く、総合的なエネルギー量はさらに強力になる。

これらのことからオリオン座ι星は非常に強大と言え、次章では一つ一つについて説明していきたいと思う。

2. 強大な恒星

 オリオン座ι星は非常に強大な恒星であるがここからは順を追って説明していきたいと思う。

2.1 非常に遠い恒星

 オリオン座ι星は地球からの距離が非常に遠く、オリオン座ι星よりも明るい恒星の中ではこの星よりも遠い恒星が無いほどである。オリオン座ι星の年周視差は1.40 ミリ秒であり、年周視差と距離の関係は3.2616÷(年周視差(秒))のであるため、地球からの距離は3.2616÷0.00140≒2330 (光年)である。

この距離は近い恒星として有名なシリウスの271倍, 遠くても明るい恒星であるリゲルの2.7倍もの距離であり、キロメートルに換算すると2京キロをもしのぐほどである。そして、オリオン座ι星よりも遠い3等星はおおいぬ座ο2星(2,764光年)しか無く、3.5等以内の恒星の中でも2番目に遠い。

 そして、これほど遠くにあるにもかかわらず2.75等と比較的明るく見える理由はこの恒星が非常に明るいからであり、絶対等級はマイナス6.52等にも及ぶ。

2.2 極めて明るい恒星

 オリオン座ι星は地球からの距離が極めて遠くにあるにもかかわらず絶対等級が非常に強いのでそこそこの明るさで見え、オリオン座の中では8番目に明るい。そして、絶対等級はマイナス6.52等もあり、この明るさは太陽の3.5万倍近くにも及ぶ。この明るさと同等の恒星にはカシオペア座κ星(マイナス6.51等), 白鳥座γ星(マイナス6.52等), HD 92207(りゅうこつ座, マイナス6.52等)などがあり、いずれの恒星も極端に明るいものばかりであるが表面温度は白鳥座γ星は太陽と同等、HD 92207は太陽よりも高い程度しか無く、総合的なエネルギー量はいくぶんか劣ることになる。また、カシオペア座κ星は太陽とは比較にならないほど高い表面温度を有しており、20,000 Kを軽々と超えるほどであるがそれでもオリオン座ι星と比較すると低く、そのため総合的なエネルギー量は劣る。

 オリオン座ι星のスペクトル型はO9Ⅲであり、これはスペクトル型がOの巨星であることを意味している。O型のスペクトルは最も表面温度が高いことを意味しており、実際にオリオン座ι星の表面温度は32,000 Kと極めて高く、これは太陽の5.5倍もある(O9の9はそのスペクトル型で最も表面温度が低いことを意味しているがO型なので表面温度が高いことには変わりはない)。

 そのため、オリオン座ι星は極めて明るく、表面温度も極端に高いのでマイナス6.52等と言う強大な可視光もほんの一部にしかすぎず、実際のエネルギー量は太陽の数十万倍に及ぶと考えられる。この明るさは同じオリオン座に属しているアルニラム(ε星)と肩を並べるほどであり、アルニラムの可視光絶対等級はマイナス7.22等, 表面温度は26,000 Kであるので総合的な絶対等級はマイナス9等をも凌ぐと考えられ、ι星もマイナス9等を超えていると考えられる。

↓アルニラムの記事

www.rigelultragiant.com

 このことより、オリオン座ι星の質量は極端に大きいことと考えられ、超新星後にブラックホールを残す可能性も十分高いことが予想される。

2.3 ι星の直径

 オリオン座ι星は非常に熱く、そして極端に明るい恒星であるが直径はどれぐらいあるのだろうか?

 その答えはそこまで大きくは無く、せいぜい太陽の8.3倍程度しかないと考えられている。太陽の直径は1,392,000 kmであるため、オリオン座ι星の直径は11,553,600 kmとなり、この直径はリゲルはおろかアルクトゥルス(うしかい座のα星, 全天で4番目に明るい赤色巨星)よりも小さい。

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左から順に太陽, オリオン座ι星, アルクトゥルス, リゲルであり、オリオン座ι星の直径は思った以上に小さい。しかし、オリオン座ι星は表面温度が極めて高く、恒星のエネルギー量は表面温度が高くなると劇的に大きくなるため、総合的なエネルギー量はアルクトゥルスは勿論のことリゲルをも凌いでいる。

 また、リゲルの可視光絶対等級はマイナス6.98等とι星の1.53倍程度も明るいものの表面温度が2.5倍以上も違うため、このことからもι星のほうが明るいのではないかと考えられる。

 しかし、直径が太陽の8.3倍だとエネルギー量が意外と低くなるので実際にはもう少し直径があるのではないかと考えられ、この2~3倍程度はある可能性も十分考えられる。

 このようにオリオン座ι星は主要な七恒星では無いので知名度は低めではあるものの実際には非常に明るく、更に非常に遠い恒星であるので注目度はかなり高い恒星である。

 以上、オリオン座ι星についてでした。