DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

海から最も遠い地域の過酷な環境

 今回は内陸の極端な気候について書いて行きたいと思う。

目次

1. 世界で最も内陸にある所

 日本は島国であり、内陸と言ってもそこまで極端に内陸に当たる所は存在しない。日本で最も海から遠い場所は長野県の佐久市であり、海からの距離は115 kmとかなり遠いものの世界的に見ればあまりにも海に近い。

 しかし、大陸部には海から極端に遠い所もあり、オーストラリア以外の大陸には海から1,000 km以上も遠い場所もあるほどである。例えばモンゴルのウランバートルは海から1,300 km離れており、シベリアのイルクーツクやウズベキスタンのタシュケントは1,800 kmも離れている。

 そして、これらの場所はいずれもユーラシア大陸の内陸に位置しており、ユーラシア大陸は世界で唯一海から2,000 km以上離れた所が存在している。当然この理由は単純にユーラシア大陸が世界一広い大陸だからであり、ユーラシア大陸で最も海から遠い場所、つまり世界一海から遠い場所は最も近い海から2,645 kmも離れている。

 この海から最も遠い場所は到達不能極と呼ばれており、日本の到達不能極は長野県の佐久市である。そして、ユーラシア大陸の到達不能極、つまり世界の到達不能極は中国とカザフスタンの国境付近にあり、この地域は中国のウイグル(Uyghur)自治区に相当する。

 ウイグル自治区は海から非常に遠いため全体的に乾燥しており、広大なタクラマカン(Taklamakan)砂漠が位置している所もここである。そして、これらの乾燥地は亜熱帯高圧帯によるものではなく内陸による影響により乾燥しているため比較的緯度が高く、冬場になると気温が相当冷え込む特徴がある(夏の気温は当然ではあるが非常に高い)。

2. 到達不能極付近の居住地

 ここからは到達不能極の近くにある居住地について書いて行きたいと思う。到達不能極の近辺は中国とカザフスタンの領土であるがカザフスタンには目を見張る所があまり無いのでここでは中国の町について書いて行きたいと思う。

2.1 ウルムチ

 ウルムチ(Urumqi)は中国のウイグル自治区内にある都市であり、ウイグル自治区最大の都市であると同時に同自治区の首府でもある。そして、ウルムチは到達不能極とは320 kmほど南に位置しており、北緯43度49分30秒, 東経87度36分と緯度的に見ると北海道と同等であるが気候は北海道と比較するとかなり年較差が大きい。つまり、ウルムチは海から2,000 km以上も離れており、日本人からすると信じられないようにも思えるが国的には中国であるため、国境を超えなくても海にたどり着くことが可能である(タジキスタンは二回超えないといけない)。

 では、ウルムチの雨温図を示していきたいと思う。

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 ウルムチは海から2,000 km以上も離れているにもかかわらず降水量は(海からの距離を考慮した場合)非常に多く、更に乾燥限界をギリギリ上回っているので乾燥帯ではなく亜寒帯(Dfa)に属している。

※ウルムチの年平均気温は6.9 ℃, 年合計降水量は286.2 mmであり、これは乾燥限界である278 mm(20×(6.9+7))を若干上回っている。

 そして、気温のほうに着目すると最寒月である1月の平均気温はマイナス12.6 ℃と日本一寒い居住地である陸別町よりも低く、これは日本のどの地域よりも低いことを意味している(陸別町の最寒月はマイナス11.4 ℃)。逆に最暖月の平均気温は23.7 ℃と非常に高く、更に日較差も非常に大きいので昼間の気温は30 ℃を超え、これは日本の夏とほとんど変わらない。そのため、ウルムチの年較差は非常に大きいと言え、過去の記録を見てみると歴代の最低気温はマイナス41.5 ℃と日本最高記録である旭川を若干下回り、逆に最高気温は42.1 ℃とこちらも日本最高記録である熊谷を上回っている。

 以上のことよりウルムチは海から2,000 km以上も離れているため典型的な内陸性の気候を示しており、年較差, 日較差ともに非常に大きくなっている。

2.2 トルファン

 次にウルムチと同じくウイグル地区に位置しているトルファン(Turpan)について書いて行きたいと思う。トルファンは北緯42.95度, 東経89.18度に位置しており、こちらも北海道と同等の所に位置しているがウルムチと比較すると気温は高めである。トルファンの年平均気温は14.4 ℃と埼玉と大差がないほどであり、温暖のようにも思えるが最寒月の平均気温はマイナス7.6 ℃と札幌はおろか旭川と同等にまで下がる。

 ここで最寒月はかなり冷え込むにもかかわらず年平均気温はそこまで低くないので何かがおかしいようにも見える。その疑問の答えはトルファンの夏は極めて高い気温となるからであり、実際にトルファンの夏の気温はアラビア半島に相当するほど高くなる。

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 トルファンの気温はひと月ごとに急激に変化をし、年較差は39.8 ℃と40 ℃近くにも及ぶ。この年較差は極寒の地であるシベリアと似ており、あちらは冬場に極寒になるのに対し、こちらは夏場は灼熱, 冬場はかなり寒くなるのである。更に日較差も大きいので最暖月である7月の平均最高気温は40 ℃程度にまで上がり、反対に最寒月である1月の平均最低気温はマイナス12 ℃程度にまで冷え込む。

 そして、降水量に至ってはゼロに近いほど少なく、年合計降水量は15.7 mmと雨が降らないことで有名なペルーの首都であるリマに相当するほどである。しかもリマの場合は寒流が原因で砂漠化しているため、年較差が小さく過ごしやすい気候になっているのに対しトルファンの場合は年較差が非常に大きいため夏場は灼熱地獄、冬場は寒冷となり、降水量がゼロに近いという共通点はあるが過ごしやすさでは雲泥の差である。

 このように陸地から極めて遠い場所は年較差が非常に大きくなるという特徴があり、気候も過酷となるため灼熱と極寒の両方を体験しなければならなくなる(内陸部は緯度が高い場所が多いため、極寒のほうが多くなるが)。

 以上、陸地から最も遠い地域とその気候についてでした。

 

参照文献

Urumqi Wikipedia 2.2 Climate (ウルムチの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Ürümqi

Turpan Wikipedia 3.2 Climate (トルファンの雨温図)

https://en.wikipedia.org/wiki/Turpan