DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

地球の自転速度による重力への影響

 今回は地球の自転速度を変えた時の影響について書いて行きたいと思う。

 目次

1. 地球の自転

 地球の赤道の周囲の長さは40,075 kmであり、地球はこれを23時間56分4秒かけて一周している。これが地球の自転であり、この時間を秒で表すと86,164秒となる。このことより地球は1秒当たり465.1 mの速度で自転しており、この速さは音速以上と非常に速い。しかし、地球の大きさから考えるとそこまで速くは無く、木星や太陽の自転速度はこれとは比べ物にならないほど速く、木星はあの巨体でありながら自転周期は地球の物よりも短くなっている。

 けれども地球型惑星の中では最も自転速度が速く、水星の自転速度は地球と比較すると相当遅く、金星に至っては赤道付近でも早歩き程度の速度にしかならない。

 また、自転速度は地球の場合はどの緯度でも同じ周期となっているが高緯度になればなるほど周回距離は短くなるので結果として自転速度は遅くなる。例えば緯度60度の地点では赤道の自転速度の半分となり、北極点, 南極点に至っては自転していないことになる。このことは他の惑星にも言え、太陽に至ってはガスであるため赤道のほうが自転周期自体が速くなっている。

 ここまでは自転について簡潔に書いてきたがここからは自転により生じる遠心力について書いて行きたいと思う。

2. 自転による遠心力

 ここからは遠心力について書いて行くがその前に重力について簡潔に書いて行きたいと思う。重力は地球上で働いている力であり、例えば物体を上に投げるとある程度の距離を上昇した後、地表に落下するようになる。これは地球と物体間に万有引力が働いている結果より生じるものである。

 万有引力とは質量を持った二物体間に働く力であり、電荷を有する物体同士で働くクーロン力と比較すると微小なレベルで小さく、また正負が存在しないため斥力もあるクーロン力とは異なり引力しか存在しない。万有引力は非常に微小な力であるため、質量の小さな物体間では無いに等しい程度の力しか働かないが質量が非常に大きくなると目に見える力となる。しかし、質量が非常に大きいと今度はこの質量の影響で加速度が小さくなり、結果として目に見えない形となるが物体間に働く力は両物体の質量に極端な差があっても同じ大きさの力が働くので質量が極端に違う物体同士では質量の小さな物体が一方的に引き寄せられることとなる。

 このことは地球上で働く重力と同じであり、地球の質量は極めて大きいので地球上にある物体は地球に大きな力で引き寄せられることとなる。

f:id:DS930810:20180809164331j:plain

 地球上の物体は地球という超巨大な物体に引き寄せられ、地球の重心に向かって働くこととなるから地球との距離は地球の半径と同じになる。そして、力は加速度と質量の積であり、ここでの質量は地球上の物体の質量であるので地球上の物体に働く加速度、即ち重力加速度は「万有引力定数(G)×地球の質量(M)÷地球の半径(r)の2乗」となる。

 地球の半径は6378 km, 質量は5.972×10^24 kgであるため、地表での重力加速度はおよそ9.8 m/s^2となり、これは一般的に言われる地球の重力加速度である。

 しかし、地球は自転をしているので遠心力が働き、遠心力はその名の通り重力が働く方向である中心とは真逆の方向に働いているため、地球の重力はこの数値よりも若干小さくなる。そして、遠心力は「物体の質量(m)×自転速度(v)の2乗÷円運動の半径(r)」に比例するため、自転速度の速い低緯度のほうが遠心力が大きくなり、結果として重力は赤道に近づけば近づくほど小さくなる。

 赤道での遠心力について考えると速度は465.1 m/s, 円運動の半径は6378 kmであるので0.0339 m/s^2となり、この大きさは地球の重力加速度の0.346 %に相当する。

そして、北緯60度の場合では自転速度は半分の232.55 m/s, 円運動の半径もまた半分の3,189 kmとなるため、0.0170 m/s^2となり、赤道の半分の大きさになることが分かる。また、当然ではあるが極地の場合は遠心力そのものが働かなくなるため、極地の重力は地球との万有引力と非常に近い値となるが重力の影響は標高などにも起因し、更に地球は正確には赤道方向のほうが若干長くなっているので正確には地球の重力加速度はこの大きさ(万有引力の大きさ)とも若干異なっている。

 左の式は地球上での重力加速度の式を表しており、θは緯度, vはその地点での自転速度を示している。また、右の式は左の式のvを赤道での自転速度にしたものである(自転速度はvcosθとなるため, vは赤道での自転速度)。

f:id:DS930810:20180809173745j:plain

3. 自転速度を変えたら

 ここからは自転速度を変えた時の影響について書いて行きたいと思う。

 地球上での自転速度は赤道上で465.1 m/sとなっており、この自転速度ではそこまで遠心力の影響は出ない。そのため、地球の自転速度を遅くしても面白みは無いので自転速度が速くなった場合のみについて書いて行きたいと思う。

 初めに地球の自転速度を太陽の物にしていきたいと思う。太陽の自転速度は大体秒速2 km/sであるため、地球の赤道付近の自転速度をこれにすると遠心力による加速度は0.627 m/s^2となり、これは地球の万有引力の加速度の6.4%に匹敵するので100 kgの物体は93.6 kg程度にまで軽くなる。

 更に自転速度をシリウスの16 km/sに変えると遠心力は64倍になるため40.14 m/s^2となり、地球の重力加速度を超えることになる。つまり、地球の自転速度がシリウスと同じになると赤道付近の物は宇宙空間に投げ出され、緯度が75度当たりの物体までは宇宙空間に投げ出されることとなる。つまり、地球上の居住地の殆どの場所で物体は宇宙空間に投げ出されることとなる。

 しかし、シリウスはその自転速度に反して年齢やスペクトル型に対して非常に自転速度の遅い恒星であり、シリウスと似たような恒星であるアルタイルの自転速度は242 km/s、ベガの自転速度は272 km/sであることからもうかがえる。そして、当然ではあるが地球がこの自転速度で回転すると粉々に粉砕し、太陽でさえ粉砕するほどである(地球の場合はシリウスの速度で自転しても粉砕しそうだが)。

 ちなみに自転速度が7.91 km/sになると地球の重力と遠心力が釣り合うようになり、これは地球の第一宇宙速度と等しい値である。

 このように遠心力は自転速度の二乗に比例するので自転速度が速くなるとそれ以上に遠心力が大きくなり、遠心力が重力を超えた時に物体は宇宙に投げ出されることとなる。

 以上、地球の遠心力を変えた時の重力の影響についてでした。