DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

亜寒帯と寒帯の違い 亜寒帯は冬が寒く寒帯は夏も寒い

 今日は亜寒帯と寒帯を比較していきたいと思う。

目次

1. 亜寒帯と寒帯の違い

 初めに亜寒帯と寒帯の違いについて簡潔に書いて行きたいと思う。

 亜寒帯と聞くと気温の高い寒帯のように思えるが実際には異なり、寒帯よりも寒い亜寒帯も数多く存在する。例えば南半球のフォークランド(Falkland)諸島に属するスタンリー(Stanley)と言う町は現在は地球温暖化の影響で温帯であるが1961年から1990年までの間は寒帯に属していた。そして、世界一寒い居住地であるオイミャコンは冬場になると最低気温がマイナス50 ℃が当たり前の極寒の地であるが寒帯ではなく亜寒帯に属している。

 では、スタンリーとオイミャコンではどちらのほうが年平均気温が高いのだろうか?

その答えは言うまでも無くスタンリーであり、スタンリーの平均気温は5.9 ℃ (現在は6.5 ℃ほどあるが)と比較的高く、この温度は亜寒帯の中でも比較的気温の高い陸別(日本一寒い居住地)やウラジオストク(日本と最も近いロシアの大都市)よりも高い。その一方でオイミャコンの平均気温はマイナス15.5 ℃と比べ物にならないほど寒く、最低気温に至っては南極大陸を除くと最も寒いほどである。

 しかし、スタンリーのほうが圧倒的に気温が高くてもスタンリーは寒帯(現在は温帯)であり、オイミャコンは亜寒帯である。

f:id:DS930810:20180731002911j:plain

このようにオイミャコンとスタンリーではオイミャコンのほうが圧倒的に寒く、とてもオイミャコンのほうが「亜」寒帯のようには思えない。

※スタンリーは南半球なので季節が逆になっている

 このオイミャコンとスタンリーを見ていると一見スタンリーが亜寒帯でオイミャコンが寒帯のようにも思えるが実際にはその逆である。では、何故このようにおかしなことになっているのだろうか?

 その答えは亜寒帯と寒帯は平均気温や寒い時で判断しているわけでは無く、最も暑い月、即ち最暖月の平均気温で判定しているからであり、例え冬場にどんなに気温が低くなったとしても夏場の気温が高くなれば亜寒帯に分類されるようになる。

つまり、冬場は極寒だが夏場になるとそこそこ気温の上がるオイミャコンは亜寒帯に分類され、冬場は大して寒く無いが夏場になっても気温が上がらないスタンリーは寒帯に分類されるわけである。

 では、ここで亜寒帯と寒帯の定義を見ていきたいと思う。

f:id:DS930810:20180731003810j:plain

寒帯の定義はいたって簡単であり、最も暖かい月の平均気温が10 ℃を下回っていればそれでよく、降水量は関係ない (一応ではあるが乾燥限界を下回っている寒帯は無い)。

その一方で亜寒帯は最も暖かい月以外にも最も寒い月の平均気温も関わっており、マイナス3 ℃を下回っていなければならない (余談ではあるが亜寒帯と温帯は最寒月以外は共通しており、冬場に寒い温帯が亜寒帯に相当する)。

 つまり、亜寒帯は最低でもマイナス3 ℃を下回らなければならない時が無いといけないが寒帯の場合は定義上10 ℃を下回っていればよく、極端な話になるが年がら年中9.9 ℃でも定義上は寒帯に分類される (東京の最寒月は6 ℃程度)。

 以上のことより、寒帯と亜寒帯はそもそも着目している場所が異なり、寒帯は暑い月が無い気候であるが亜寒帯はそこそこ暑い月とかなり寒い冬を有している気候である。

2. 寒帯の細分化

 ここまでは亜寒帯と寒帯に違いについて書いてきたがここからは寒帯を中心に書いて行きたいと思う。

 寒帯は大きく分けて2種類に分けられ、これ以上細分化がされることは無い。そして、その分類方法は最も暖かい月の平均気温であり、その気温が0 ℃以上かそうでないかである。

 0 ℃以上の場合、つまり最暖月が0~10 ℃の場合はツンドラ気候(ET)に分類され、これは先ほど書いたスタンリーも含まれる。そして、ここには冬場になると極寒である町も含まれる、例えばシベリアのティクシ(Tiksi)やディクソン(Dikson), アラスカのバロー(Barrow)と言った町は最も寒い月の平均気温がマイナス30 ℃程度にまで下がり、これらの町では年平均気温がマイナス10 ℃をも下回るほどである。

 しかし、当然ではあるがスタンリーのような年較差が非常に小さな町とティクシのような年較差の大きな町では気候は全くと言っても良いほど違い、この分類はかなりいい加減なものとなっている。そのため、これらの町は両方ともツンドラ気候ではあるが全く別物であると言っても良く、前者は温帯海洋性ツンドラ気候、後者は極性ツンドラ気候と言うべきではないかと個人的には思う。

 そして、年平均気温が0 ℃を下回る世界一寒い気候は氷雪気候(EF)とよばれ、この気候は南極大陸とグリーンランド内陸、カナダのクイーンエリザベス諸島の北部にしか見られない気候である。

この気候の特徴としては年がら年中氷点下(最高気温はプラスになることはあるが)であるため、生物には不向きな環境であり、都市はおろか村すら見当たらないほどである。

 そのため、この気候の観測所は基本的には南極の基地にだけあり、昭和基地やヴォストーク基地(Vostok)などが有名である。

 そして、この気候もツンドラ気候と同様に最も暖かい月の気温だけで考慮されており、比較的暖かい昭和基地は最も寒い月でもマイナス20 ℃程度、最も暖かい月に至っては0 ℃を若干下回るほどにまで気温が上がるのに対し、ヴォストーク基地は最も暖かい月でさえマイナス30 ℃ほどとシベリアの冬並みの気温しか無く、最も寒い月に至ってはマイナス70 ℃近くにまで下がり、これは北半球の歴代の最低気温に匹敵するほどである。

 このように氷雪気候と言っても昭和基地のようにそこまで気温が下がらないところもあればヴォストーク基地のように極端に低い所もあるほどである。

3. 極寒の亜寒帯、Dd気候

 最後に最寒の亜寒帯と寒帯を比較していきたいと思う。

 亜寒帯は冬場になると気温が非常に下がる地域であるが最も寒い月の平均気温がマイナス3 ℃を下回っていればどれも亜寒帯と呼ばれ、例えば最寒月の平均気温がマイナス3.6 ℃の札幌とマイナス46.4 ℃のオイミャコンはいずれも亜寒帯に属している。

 しかし、亜寒帯は大きく分けると4つに細分化され、最寒月がマイナス38 ℃を下回る極寒の亜寒帯はdに分類され、その他の亜寒帯はa~cに分類される。

つまり、オイミャコンは最寒月がマイナス38 ℃を下回っているのでDdに分類され、この分類の気候は最低でも年較差が48 ℃もあることとなる。そして、この分類は非常に珍しく、極寒のカナダでさえ見られず、ロシア連邦のサハ共和国のみ見られると言っても過言ではない。

 サハ共和国(Sakha republic)はロシア連邦の北東部に位置している非常に広大な地域で面積は310万平方キロメートルほどもあり、この大きさはインドの大きさより若干狭いほどである。そして、この地域は冬場になると極端に寒くなることで有名であり、首都のヤクーツク(Yakutsk)は世界最寒の都市であると同時に唯一のDd気候に分類される都市でもある。

その中でもオイミャコンは最も寒い地域であり、冬場に寒くなるツンドラ気候であるティクシやディクソンと言った町よりも年平均気温は低い。

更にツンドラ気候には最寒月平均気温がマイナス38 ℃を下回る地域は一切存在せず、この気温(マイナス38 ℃)を下回る地域はDdと氷雪気候のみである。

ちなみに最も寒いツンドラ気候であるカナダのアラート(Alert)の年平均気温はオイミャコンよりも低いマイナス17.7 ℃であるが最寒月はオイミャコンはおろかヤクーツクよりも高いマイナス33.2 ℃程である。

 このようにツンドラ気候のほぼすべての地域はオイミャコンよりも年平均気温が高く、アラートのように下回る地域はあるものの最寒月はオイミャコンのほうが余裕で低く、マイナス38 ℃を下回っている所は無いほどである。

 けれども氷雪気候の場合は当然ツンドラ気候とは比較にならないほど寒い所もあり、ヴォストーク基地の年平均気温はオイミャコンが暑すぎるほどに感じてしまうほど低く、数値で表すと40 ℃近くも低い。

 ちなみに昭和基地の年平均気温はヤクーツクよりかは若干低いもののオイミャコンよりかは高い。

 ↓ 関連記事

www.rigelultragiant.com

 以上、亜寒帯と寒帯の違いと比較についてでした。

 

参考文献

Stanley (Falkland Island) wikipedia 4.Climate (スタンリーの気温)

https://en.wikipedia.org/wiki/Stanley,_Falkland_Islands

Oymyakon wikipedia 4.Climate (オイミャコンの気温)

https://en.wikipedia.org/wiki/Oymyakon