DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

日本一寒い居住地 陸別町

 今回は日本一寒い居住地について書いて行きたいと思う。

目次

 1. 日本の温帯と亜寒帯

 日本は緯度的に見ると北緯20~45度に位置しており、世界的に見るとそこまでは北に位置していないが四季が明確に分けられている地域が多い。四季が明確に分けられている気候と言えば温暖湿潤気候(Subtropical humid climate)であり、日本の気候の大半はこれに属している。この気候の特徴としては熱帯並み, または熱帯に近い夏を有し、そこそこ寒い冬となり、そして降水量が年中を通して多いことである。

 具体的に言うと

  1. 最暖月の平均気温が22℃以上
  2. 最寒月の平均気温がマイナス3~18℃
  3. 乾燥限界を超えている
  4. 最も降水の多い月が冬の場合はその降水量が最も降水が少ない月の3倍未満である、または最も少ない月(夏)の降水量が30 mm以上である
  5. 最も降水の多い月が夏の場合はその降水量が最も降水が少ない月の10倍未満である

の条件を満たしていればよい。

 ここで重要となってくるので4番の赤字部分であり、この条件が無いと上越市(5月の降水量: 95.7 mm, 12月の降水量: 423.1 mm)の比が3倍以上となり、特に夏場に降水が少ないわけでは無いのに温暖湿潤気候にならなくなり、夏場に降水が少ない地中海性気候となる。そのため、温暖湿潤気候は夏場に降水量がそこそこある場合は冬場の降水量が夏場の3倍以上になったとしても定義され、夏場に降水が少ない地中海性気候にはならないのである。このことより、日本の夏場は降水量が少ない地域が無いので日本には地中海性気候は存在しない。

 また、この気候の英名を日本語訳にすると「亜熱帯湿潤気候」となるがこの「亜熱帯」とは冬場に気温が下がらないということではなく、夏場の気温が熱帯並みに上がるということを意味しているので一般的にイメージされる亜熱帯とは大きく違う。例えば冬場になると日平均気温が氷点下になる青森市も夏場になると22℃を超え、温暖湿潤気候となるが冬場に氷点下になるようなところを「亜熱帯」ということには疑問に感じる。そのため、温暖湿潤気候は熱帯に近い場合のみ亜熱帯と呼ばれ、そのような地域は日本では沖縄県や小笠原諸島程度しか無く、東北地方や標高の高い比較的冷涼な地域は「冷温帯」、関東地方や関西地方のように比較的温暖な地域は「暖温帯」と呼ばれることのほうが多い。

 更に日本には非常に狭い地域に最寒月の平均気温が18℃以上の「熱帯」と呼ばれる地域があるがこれは亜熱帯よりも更に気温が高い地域に見られ、日本には石垣島や南鳥島のような一部しか見られないので「帯」と呼ぶには狭すぎる。そのため、日本にある気候帯は「温帯」の中の「温暖湿潤気候(Cfa)」が大半を占めるが北海道に行くと最寒月の平均気温がマイナス3℃を下回り、温帯では済まなくなる。

 その温帯よりも気温が低い地域のことを「亜寒帯」と呼び、温帯の符号が「C」であるのに対し、亜寒帯は「D」で表される。温帯と亜寒帯の違いは冬場の気温が「まあまあ」か「寒い」かの違いだけであり、それはマイナス3℃にボーダーが引かれている。例えば青森市の最寒月の平均気温はマイナス1.2℃で温帯であるのに対し、札幌市の最寒月の平均気温はマイナス3.6℃であるため亜寒帯に分類される。

 また、一般的に亜寒帯はシベリアやカナダのような極端に気候が下がる地域に位置しており、イルクーツク(マイナス17.8℃)やヤクーツク(マイナス39.5℃)、イエローナイフ(マイナス25.6℃)などが属している。これらの地域は札幌とは比較にならないほど気温が低く、下図のようにグラフ化するとその気温差が分かる。

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 この中で札幌はギリギリ亜寒帯であるので冬場の気温はそこまで低くはならないがより高緯度で内陸の3都市は非常に下がり、その中でもヤクーツクは別格なほど低くなっている。ヤクーツクはロシア連邦のサハ共和国の首都であり、「世界一寒い都市」と言われているほどである。しかし、夏場の気温に着目してみるとそこまで大差は無く、特に6月と7月の気温はほぼ同じである。実はその点がヤクーツクがどんなに冬場に寒くなったとしても「寒帯」と呼ばれる所以であり、夏場に気温が上がるために真の寒帯ではないからである。

 寒帯は寒い気候と言うよりも「暑い期間が無い」季節と言ったほうが正しく、最暖月の平均気温が10℃を下回る気候のことを指す。そのため、ヤクーツクは冬場になると極端に気温が下がるものの夏場の気温が高いのでタイガ(Taiga)と呼ばれる広大な森林地帯となっており、これはシベリアやカナダで多く見られる。

  また、亜寒帯気候(D)の右側の符号は亜寒帯の細分化であり、以下のような意味である。

  • a: 最暖月の平均気温が22℃以上で夏に熱くなる気候
  • b: 最暖月の平均気温が10~22℃であるかつ、平均気温が10℃以上の月が4カ月以上である夏場がそこそこ涼しく、比較的夏が長い気候
  • c: 最暖月の平均気温が10~22℃であるかつ、平均気温が10℃以上の月が1~3カ月の夏場がそこそこ涼しいが夏が短い気候
  • d: 最暖月の平均気温が10~22℃であるかつ、平均気温が10℃以上の月が1~3カ月であるかつ最寒月の平均気温がマイナス38℃以下の夏場がそこそこ涼しいが短く、冬場が極寒の気候

そして、気温は当然a>b>c>dとなることが多いが全てがそうなるわけでは無く、例えば最も暖かいタイプであるDaに属している中国のハルビン(Harbin)はDcに属しているフィンランドの北部よりも冬場の気温が低くなっている。これはこの分類の中でa~cが暖かい月のみに着目しており、寒い月にはマイナス3℃以下であること以外には着目していないためであり、同じ平均気温でも年較差の小さい気候のほうがより寒い型となりやすいからである(Ddは極端に寒いことを意味しているため最も寒い気候に確定的になるが)。

  このように亜寒帯も気温で分類すると4種類に分けれらるが日本にはDaとDbしか存在しておらず、更に年中湿潤なDf気候がほとんどである(若干ではあるが冬に降水が少ないDw気候も見られる)。

2. 日本一寒い町、陸別町

 ここまでは温帯と亜寒帯について書いてきたがここからは日本一寒い町について書いて行きたいと思う。日本一寒い町は当然北海道にあり、北海道は函館のような南の地域を除き、ほとんどが亜寒帯気候に属している。そして、札幌市はギリギリではあるが最暖月の平均気温が22℃を超えているのでDfa(夏場の気温が高く、年中湿潤な気候)に属しているがその他の地域は夏場の気温がそこそこであり、そこまで夏が短くない気候であるDfbに属している。そのため、北海道は冬の気温は寒いもののシベリアのような極寒の地域ではなく、更に暖温帯(東京)のように夏場の気温が熱帯並みに上がることは無いが実は北海道のとある地域では非常に寒い地域がある。その地域は冬場の気温がシベリア並...とは言えないもののそれに匹敵する寒さを有しており、本当に日本中なのかが疑わしいほどである。例えば日本一寒い都市である北見市は年平均気温が6.1℃と札幌市(8.9℃)と比較すると非常に低く、最寒月の平均気温もマイナス8.5℃と非常に低くなっている。そして、更に気温が低い町もあり、その街とは陸別町である。

  陸別町は日本で最も寒い居住地であり、最寒月の平均気温はマイナス11.4℃とマイナス10℃をも下回っており、更に最低気温に至ってはマイナス20.2℃とシベリアのイルクーツクと大差がないほどである。つまり、最低気温だけ見ると陸別町は「日本のシベリア」と言っても過言ではなく、実際に以下の表のように非常に寒いことが分かる。

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陸別町は夏場の気温はそこまで低くはないものの冬場になると非常に冷え込み、札幌よりもかなり低い位置にいる。更に最低気温はより低くなり、月の前半ではイルクーツクと大差がないほどである。

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最高気温は上側、最低気温は下側となっており、夏場の最高気温は意外ではあるが陸別のほうが低くなっているが冬場になるとイルクーツクのほうが低くなる。また、最低気温は前半の月ではほぼ同じであるが後半では陸別のほうが幾分か高くなり、年平均気温では陸別のほうが3.5℃高い(陸別: 4.5℃, イルクーツク: 1.0℃)このように陸別町は日本の気候とは思えないほど低く、一部の期間ではシベリアの都市と重なるほど低くなる。

 ちなみに陸別町が冷える理由は盆地にあるからであり、隔海度自体は日本であるためそこまで大きくは無いがイルクーツクは近くにバイカル湖はあるものの極めて隔海度は大きい(1,500 km以上)。

  以上、陸別町についてでした。

 

参考文献

温度図

札幌

https://ja.wikipedia.org/wiki/札幌市

イルクーツク

https://ja.wikipedia.org/wiki/イルクーツク

ヤクーツク

https://ja.wikipedia.org/wiki/ヤクーツク

イエローナイフ

https://ja.wikipedia.org/wiki/イエローナイフ

陸別町

https://ja.wikipedia.org/wiki/陸別町