DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

世界の寒極 南の寒極は極端に寒く北とは比較にならない

 今回は寒極について書いて行きたいと思う。

目次

1. 寒極とは

 寒極は地上で最も低い地上の温度が観測された地点のことであり、北半球と南半球にそれぞれ存在している。そして、北半球は陸地が多いものの極地は海であり、反対に南半球は陸地は少ないものの極地には広大な南極大陸が広がっている。そのため、北半球の寒極は極地とは意外なほど離れており、比較的低緯度側に位置しているが南半球の寒極は極地に近い場所に位置している。では、ここからは北半球と南半球の寒極について書いて行きたいと思う。

2. 北半球の寒極

 北半球には世界最大の大陸であるユーラシア大陸と三番目に広い北アメリカ大陸が広がっている。そして、これらの大陸は非常に高緯度側にまで広がっており、ユーラシア大陸の北にはシベリア, 北アメリカ大陸の北にはカナダの針葉樹林が存在している。これらの地域は冬場になると極めて寒冷となり、最低気温がマイナス50℃を下回る地域もあり、日平均気温でさえマイナス30℃を下回ることが日常である。

 特に東シベリアのサハ共和国ではマイナス50℃を下回ることが普通であるほどであり、これほど寒い地域は北半球では他にないほどである(グリーンランドの内陸部は怪しいが)。例えばサハ共和国の首都ヤクーツク(Yakutsk), ベルホヤンスク(Verkhoyansk), オイミャコン(Oymyakon)では最寒月(最も低温の月)の平均気温がマイナス38℃をも下回るDd気候(Dwd, Dfd)に属しており、この気候はカナダでは見られなく、ほぼサハ共和国特有の気候である。サハ共和国特有の気候ということは北極海沿岸の地域ではこれほど低温になることは無いことも意味しており、この理由は単純にこれらの都市や町が内陸部に位置しているからである。

 では、ここからはサハ共和国にある3地域の雨温図を載せていきたいと思う。

ヤクーツクの雨温図は以下の通りである。

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ヤクーツクは10℃以上の月が3カ月もあるため寒帯ではなく亜寒帯に属しているが最寒月(1月)の平均気温はマイナス39.5℃とマイナス38℃(図の青線)を下回っているため亜寒帯の中でも特に寒いDd気候(Dfd)に分類されている(年平均気温はマイナス9.5℃)。そして、ヤクーツクの人口は30万人ほどであるため、十分都市と言えるほどであるためヤクーツクは世界一冬が寒い都市であると同時に唯一のDd気候に属している都市でもあり、観測史上の最低気温は(年は不明ではあるが)2月に観測されたマイナス64.4℃である。また、降水量は非常に少なく、年間の降水量を合計しても238 mm程度しか無いがこの理由は寒ければ寒いほど大気の循環が遅くなるうえに飽和水蒸気量も少なくなるためである。しかし、一回降雪があると気温があまりにも低すぎるために雪が解けることは無く、そのため雪が積もったままになるので冬場になると大量の雪が積もることとなる。

 次にベルホヤンスクについて書いて行きたいと思う。

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ベルホヤンスクはヤクーツクよりも更に寒く、北緯67.5度に位置しているため北極圏内の都市である。そして、年平均気温はマイナス14.5℃とヤクーツクよりも5℃も低く、ヤクーツクでさえ想像しがたい寒さであったがベルホヤンスクはそのヤクーツクよりも余裕で気温が低い。更に最寒月の平均気温はマイナス45.4℃とこちらもヤクーツクを軽々と下回っており、マイナス38℃以下の月が3カ月もあるほどである。しかし、最暖月の平均気温は16.5℃と10℃を余裕で上回っているため寒帯ではなく亜寒帯に属しており、夏場になると意外なほど気温が上昇することになる。けれども歴代の最低気温は1885年、及び1892年に観測されたマイナス67.8℃とヤクーツクを若干下回っており、更に歴代の最高気温は37.3℃と非常に高いため、ベルホヤンスクは世界で最も寒暖差の大きな町と言われている(100℃以上)。ちなみに人口は千数百人程度と非常に少ないため、都市ではなく町に分類されている。

 最後にベルホヤンスクをも下回るオイミャコンについて書いて行きたいと思う。オイミャコンはベルホヤンスクよりも更に人口が少なく、村に分類されているが世界一寒いことで有名であるため、最も有名な村と言っても過言ではない。

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オイミャコンはベルホヤンスクと気候は似ているが年平均気温はマイナス15.5℃と1℃程度下回っており、最寒月の平均気温もちょうど1℃低いマイナス46.4℃である。また、意外ではあるがオイミャコンは北極圏よりも南に位置しているため北極圏では無いものの北半球の寒極であり、歴代の最低気温は1926年1月26日に観測されたマイナス71.2℃と言われている(ただしこれは観測方法に疑問があると言われており、一説にはマイナス67.7℃と言われている)。しかし、これほど気温が低くても最高気温は10℃を上回っているので亜寒帯に属しており、そのため北半球の寒極は寒帯ではなく亜寒帯である

 以上のことより北半球の寒極はサハ共和国のオイミャコンであり、冬場の気温は下がるものの夏場の気温は意外にも上がり、これはサハ共和国の他の地域でも言える(北極海沿岸都市では夏場の気温も低く、寒帯に属しているが)。

3. 南半球の寒極

 ここからは南半球の寒極について書いて行きたいと思う。北半球の寒極は北極圏でもなければ寒帯でもないオイミャコンであったがこの理由はオイミャコンが冬場には特に気温の低くなる東シベリアに位置しているかつ極地に陸が無いことに起因している。しかし、極地に陸がある南半球では極地に近い所に寒極が存在しており、更に気温も北半球とは比較にならないほど低い。南半球の寒極は南緯78.5度ほどに位置しているヴォストーク基地(Vostok)であり、ここは標高も非常に高い上に内陸部に位置しているためオイミャコンとは比較にならないほどの極限状態にある。そのため、夏場の気温も極めて低く、冬場になると更に低くなるためオイミャコンよりも年平均気温が40℃程度も低くなっている。

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ヴォストーク基地では最暖月の平均気温でさえマイナス31.8℃と極めて低く、観測を始めてから気温がプラスに達したことが無いほどである。そして、最寒月の平均気温マイナス67.9℃とオイミャコンやベルホヤンスクの歴代の最低気温とほぼ同等であり、歴代の最低気温はマイナス89.2℃に達したことがあるほどである。

 このようにヴォストーク基地は最寒月の平均気温でさえ北半球の寒極と同じぐらいとなり、最低気温に至っては二酸化炭素が凝固するほどのものとなっている。また、降水量も非常に少なく、年内のものを合計しても22 mm程度にしかならないがこの理由は極地は余りに低温なため、空気が重くなり高気圧が年中発生しているからである。そのため、極地ではサハラやアラビアのような亜熱帯地域以上に乾燥しており、南極大陸は世界最大の砂漠であると言われるほどである。

4. 寒極の比較

 ここまではそれぞれの寒極について書いてきたがここからは簡潔に量寒極の比較を行っていきたいと思う。北半球の寒極はオイミャコン, 南半球の寒極はヴォストーク基地であったがこれらの地域は緯度も標高も全く異なるため、気温も大きく異なり、オイミャコンですら非常に暖かく見えるほどである。

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オイミャコンの気温はヴォストーク基地と比較するとはるかに気温が高く、最寒月の平均気温でさえ20℃程も上回っているが最も大きな違いは夏場の気温と言える。ヴォストーク基地は夏でさえシベリアの冬並みの気温であるがオイミャコンは夏場の気温がかなり高くなり、月平均気温の年較差でさえ60℃以上に及び、歴代の気温の場合だと100℃以上の年較差となる。そのため、年較差においてはオイミャコンのほうが大きくなり、年がら年中極寒のヴォストーク基地とは異なり夏場に気温の上がるオイミャコンは定住可能である(夏場に気温が上がるため、森林地帯となっている)。

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 また、上図は両寒極の月別の気温を比較したものであるが季節は逆であるため1月と12月ではオイミャコンのほうが低温となっているがそこまで気温に大差が無く、このことよりオイミャコンの冬とヴォストーク基地の夏の気温に大差が無いことが分かる。加えてヴォストーク基地の気温を北半球に合わせた図が右図であるが両者の気温はかなり異なり、特に春から秋にかけてはそれが顕著である。

 このように緯度, 標高などの違いから両寒極の環境が大きく異なることが分かり、北半球の寒極でさえ南半球と比較するとかなり暖かいことが分かる。

 以上、寒極についてでした。

 

参照文献

2. ヤクーツク

https://ja.wikipedia.org/wiki/ヤクーツク

2. ベルホヤンスク

https://ja.wikipedia.org/wiki/ベルホヤンスク

2. オイミャコン

https://en.wikipedia.org/wiki/Oymyakon

3. ヴォストーク基地

https://ja.wikipedia.org/wiki/ボストーク基地