DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

金以上の元素 レントゲニウム

今回はレントゲニウムについて書いて行きたいと思う。

 

1. レントゲニウムとは

レントゲニウム(Roentgenium)は原子番号が111番の元素であり、名称はX線を発見した物理学者であるヴィルヘルム・レントゲン(Wilhelm Roentgen)に由来している。

そして、レントゲニウムは周期表では第7周期11族に属している元素であり、原子番号があまりにも大きすぎるので安定同位体は存在しない。

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また、レントゲニウムは周期表では上図に位置しており、すぐ下には金(Au)が属しており、更に下には銀(Ag), 銅(Cu)が属する形となっており。

つまり、周期表からレントゲニウムは金の上位に当たる金属とも言え、仮に金メダルの上があったとしたらレントゲニウムメダルとなるわけだが残念ながらレントゲニウムには安定同位体が存在せず、更に最も高寿命のものでも数十秒したら半減期が来るのでレントゲニウムを長時間留めておくことは不可能である。

その上、崩壊する際には放射線を放つことになるため健康的にも環境的にも不安定であるためやはり金メダル以上のメダルは現実性が無くなるのである。

しかし、それでもやはりレントゲニウムは金よりも高位の金属であることには変わりはないのでここからはレントゲニウムについて詳しく書いて行きたいと思う。

 

 

 

2. レントゲニウムの同位体と崩壊

レントゲニウムの原子番号は111番と極めて高いので自然には存在せず、人工的に作られたものしか存在しない。

そして、レントゲニウムの同位体はいくつかあるものの最も寿命が長いレントゲニウム281(陽子数111, 中性子数170)でさえ、26秒間で半減するため現在この世にレントゲニウム原子は1つも存在していない状況となっている。

レントゲニウム281は最も高寿命のレントゲニウムであるが先ほども書いたように半減期が26秒と非常に短く、1分程度で元々あった数の5分の1程度にまで減少し、281の場合は自然核分裂する形で崩壊するが他のレントゲニウムはα崩壊する形となる。

α崩壊とは原子核がα線(ヘリウム4の原子核, 陽子数2, 中性子数2)を放出する形の崩壊であり、原子番号は2, 質量数は2減るようになる。

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レントゲニウムは281以外(272,274,278,279,280,282)は非常に短期間の間にα崩壊することによりヘリウム4原子核を放出した後に原子番号が2小さいマイトネリウム(Mt, 109番)に変化をする。

そして更にマイトネリウムにも安定同位体が存在しないためα崩壊やβ崩壊(中性子が陽子と電子に分裂した後に電子が放出される崩壊, 原子番号は1増えるが質量数はほぼ変わらない)を繰り返すことで鉛のような安定同位体になるまで崩壊し続ける。

そのため、レントゲニウムは最終的には原子番号が29も小さい鉛になるまで崩壊するためレントゲニウムメダルを作ったところで多量のα線やβ線を浴び続けた後に鉛のメダルを得るだけとなる(最終生成物が鉛になるとは限らないが鉛に原子番号が近い元素になることは確実である)。

 

ちなみに初めて生成されたレントゲニウムはそこまで安定ではないレントゲニウム272(陽子数111, 中性子数161)であり、1994年にわずか3つだけ生成が確認されただけであった。

その上、半減期はわずか0.0016秒であるので生成してから0.003秒後には全てのレントゲニウム272がマイトネリウム268に変化をし、更にマイトネリウム268も半減期が0.0042秒しか無いためどんどん原子番号の小さな元素となっていった。

このようにレントゲニウムにはいくつかの同位体はあるものの全ての原子の半減期が非常に短いためレントゲニウムはこの世にほんのわずかしか存在出来ない元素である。

 

 

 

3. レントゲニウムの性質

レントゲニウムはほんのわずかで崩壊する上に原子数個分子化生成しないので目に見える形で見ることは確実に不可能ではあるがもし見えた場合はどのようになっているのだろうか?

レントゲニウムが属している11族には銅, 銀, 金が属しており、その中でも銅と金は特有の色があるためレントゲニウムにも特有の色があるようにも見えるが現在では銀と同じように特有な色は無いと考えられている。

そして、レントゲニウムの原子軌道は以下のようになっていると考えられ、[Rn]とはラドンの電子軌道を省略して書かれたものである。

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レントゲニウムの軌道はラドンの軌道に5f電子が14個、6d電子が9個、そして7s電子が2つ加わったものであり、この中で5f軌道、及び7s軌道はすべて埋まっている形となっている。

そして、6d軌道は1つ空の軌道があるがこれは銅, 銀, 金とは異なり、銅, 銀, 金はd軌道はすべて埋まっており、代わりにs軌道は1つ空いている形となっている。

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銅, 銀, 金軌道は上記のようになっており、確かにd軌道は電子10個と埋まってはいるがイオン化するとd軌道から電子が出ていくのでd軌道に空の軌道が生じ、遷移金属としての性質が現れる(遷移金属はd軌道が不完全に埋まっている形となっているため)。

 

また、元素は一般的に同じ族の場合だと下に行くほど(原子番号が増えるほど)反応性が低くなる傾向があり、その中でも11族は反応性が小さいので金は全金属中最も反応性が小さい金属である。

そのため、金は非常に酸化されづらい金属であるので金を空気中に放置しても決して酸化されることは無く、その上その他の薬品にも極めて強く、王水でしかイオン化できないと言われているほどである。

しかし、レントゲニウムは周期表では金のすぐ下に位置しているため金以上に反応性に乏しい金属であると考えられており、塩素とも反応をしないので王水とも反応しないと考えられている。

つまり、現実にはあり得ないがもしレントゲニウムの単体金属が存在したら、金以上に錆びづらく、更に王水にも溶けない最強の金属である可能性が高い。

けれども11族元素は薬品や酸には強いが耐久性はかなり低い金属であるため衝撃等には非常に弱く、原子番号が増えれば増えるほど弱くなるので最も原子番号が大きなレントゲニウムの耐久性は非常に弱いと考えられ、少しの衝撃でもすぐ曲がると考えられる。

そのため、単純にレントゲニウムが最強の金属とは言えず、薬品には無敵だが耐久力は最弱級であるため、この点ではダイヤモンドのほうが優れていると考えられる(ダイヤモンドは金属では無いが)。

まあ、レントゲニウムは原子核がすぐ崩壊するのでそれ以前の問題ではあるが...

 

 

 

以上、レントゲニウムについてでした