DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

常温常圧で液体の金属 水銀

今回は水銀について書いて行きたいと思う。

 

1. 水銀とは

水銀(Hg)は常温・常圧化で唯一液体である金属であり、金属以外でも常温・常圧化で液体である元素は水銀以外には臭素(Br), オガネソン(Og)しか存在せず、オガネソンは原子番号が今まで発見されている元素の中で最も原子番号が多いため安定して存在することが出来ないので実質常温・常圧化で液体の金属は水銀しか存在しない。

そして、水銀の外見はまさに銀が液体と化したようにも見えるが実際には銀と水銀は全く無関係の元素であり、銀が液体になるためには1,000℃近くもの温度が必要となり、ここまで温度を上昇させると赤熱するために銀の銀色の液体を見ることは不可能である。

また、水銀の沸点は銀の融点よりも余裕で低いので水銀と銀が同時に液体である状態は実質作ることは不可能である。

ちなみに水銀の融点はマイナス40℃よりも若干高いぐらいであるのでシベリアの亜寒帯地域の冬に水銀を持っていくと凍った水銀、即ち固体の水銀を見ることが可能となる。

 

ここまでは水銀と銀の違いについて大雑把に書いてきたがここからは詳しく書いて行きたいと思う。

水銀の原子番号は80番であり、これは放射性元素を除くと3番目に大きく、水銀の原子番号が非常に大きいことが伺える(原子番号83番のビスマスに1つであるビスマス209は半減期が極めて長いので安定同位体と見なすことが出来るのでこれを含めると4番目に大きいことになる)。

そして、原子番号80番は12族であるので同じ族には亜鉛(Zn), カドミウム(Cd), コペルニシウム(Cn)があり、これらの元素はd軌道が埋まっているので典型元素と見なされることもある。

※d軌道と言う軌道が空ではない上に埋まっていない元素は遷移元素と呼ばれ、それに対して空である、または埋まっている元素のことを典型元素と呼ばれるが丁度埋まっている12族は明白にどちらであるかが決められていない

 

それに対して銀は原子番号が47番の元素であり、11族に属している。

11族に属している元素は反応性が低く、更に特有の色を有しているものが多く、銀以外には銅(Cu)と金(Ag)が含まれており、他にもレントゲニウム(Rg)と言う非常に原子番号の大きな元素も含まれている。

 

ちなみに周期表では水銀と銀は以下の所に位置している。

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水銀と銀は意外にも周期表では似たような位置にあり、斜め違いである。

そして、水銀の隣には金があり、元素は原子核によって決められるため水銀の原子核から陽子を一つ飛ばして金を生成するという技術も理論的には可能である。

つまり、数千年の間不可能とされていた錬金術も可能となるわけであるが水銀から作られる金の量は目に見えないぐらいにわずかであるので錬金術は可能ではあるが現実的ではなく、やはり錬金術は夢物語に過ぎないのである。

 

また、水銀は常温・常圧化で液体であるのにもかかわらず原子番号が非常に大きいので密度は融点付近では13.5 g/㎠もあり、この密度は鉄はおろか銀よりも大きいので銀や鉄を水銀の上に置くと浮かび上がるのである。

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このように水銀の密度は非常に大きいので浮力が大きく働き、密度小さい水中では鉄は簡単に沈んでしまう物の水銀中では重力が浮力を上回るので鉄球が浮かび上がるのである。

水銀は他の液体と比較すると密度が群抜きで大きいので密度の大きな金属でも浮かび上がる現象が見られるがさすがにオスミウムやイリジウムのような密度が水銀よりも大きな金属であると水銀と言えども浮かび上がることは無く沈み込む。

 

以上のことより水銀は銀とは異なり、単に融点が極端に低い金属であり、名前の由来も普通の金属の色を「銀色」として見なしていたからであり、ここで言う「銀」とはシルバー(Silver)のことではなくメタル(Metal)のことであると考えられる。

ちなみに水銀は英語で言うとマーキュリー(Mercury)であるがこれは水星の名称に由来する。

 

 

 

2. 水銀の化合物と性質

先ほどまでは水銀がどのような金属であるかについて説明したがここからは水銀の性質について書いて行きたいと思う。

水銀と言うとそこまで健康には良い印象は無く、「有機水銀」のように有毒物質の印象が真っ先に思い浮かぶぐらいである。

そして、水銀と言うと温度計に使われているが現在では水銀が温度計として使われなくなったのでなおさら水銀が有毒物質のようにも思える(単にデジタル化が進んだだけとも言えるが)。

しかし、意外にも金属水銀はそこまで有毒な物質と言う訳でもなく、金属水銀を飲み込んだとしても消化器からはほとんど吸収されることは無いので水銀中毒を起こすことは無いと言われている。

まあ、金属水銀が何の反応も起こさないことなどまず考えられず、イオン化するなどの反応が起こると有毒な物質になるので無事に済むということはまずありえないが...

けれども金属水銀であっても蒸気は人体には有毒であり、肺などに悪影響を及ぼすため、蒸気の場合は金属水銀であったとしても安全なものとは言えない。

 

ここで、大体わかったとは思われるが蒸気を除くと水銀で危険な物質は酸化数0の金属水銀ではなく、酸化数がある有機水銀であり、有機水銀はその名の通り有機物と水銀が結合した形態の水銀のことである。

そして、有機水銀の有機とは主にメチル基のことを指しており、メチル基は最も簡単なアルキル基(炭素と水素のみで構成され、多重結合を含まない基)である。

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メチル水銀は水銀原子にメチル基が直接結合した形態を取っており、正電荷を帯びているのでメチル水銀には電荷を釣り合われるための負電荷のイオンが必要となっている。

そして、メチル水銀は水銀金属とは違い、生物に直接的に害をなす物質である上に生物により濃縮を受けやすい特徴があるので初めの内は濃度が薄くても食物連鎖が重なるにつれてメチル水銀がたまっていき、食物連鎖の上位の生物ともなると危険性があるほどにたまっており、その生物を食すると高濃度のメチル水銀を摂取することになるので水俣病のような公害が発生するようになる。

つまり、メチル水銀の量が初めは少なくても自然のサイクルでどんどん濃縮するようになるのでこの点がメチル水銀の恐ろしい所とも言える。

 

 

また、水銀は特定の金属を置くと吸収する性質があるがこれは水銀とその金属が合金となる現象であり、水銀は液体であるため他の金属と容易に合金を形成するのである。

水銀との合金はアマルガム(Amalgam)と呼ばれ、これは主に歯科用として用いられることがあったが現在では水銀の印象が良くないのかあまりつかわれることは無い。

そして、アマルガムには銀アマルガムや銅アマルガムなどがあり、意外なほど多くの金属と合金を形成する。

 

 

このように水銀には様々な化合物があり、それ以外のも常温・常圧下で唯一の液体の金属であるため古来から注目度の高い金属ではあるが同時に環境には良くないので現在では水銀の使用はそこまでメジャーとはなっていない。

 

 

 

以上、水銀についてでした。