DS930810のブログ

筆者は自然や自然現象に関心が相当あるので自然に関する記事(天文, 地理, 生物)を書いていきたいと思います。かつては1日2記事を適当な時間に投稿していましたが今のところは午後6時に1記事投稿する形にしています。

標高の高い気候 高山気候

 今回は高山気候について書いて行きたいと思う。

目次

1. 高山気候とは

 ケッペンの気候は気候の分類の中で最も有名なものであり、これは植生の結果論によって分けられている。気温は赤道に近ければ近いほど太陽がより直角に近い形で当たるようになるため気温が上がり、赤道に近い地域では太陽の南中(北中)高度が年がら年中高いので気温は年間を通して高い。そして、赤道から少し外れると亜熱帯地域に入り、亜熱帯地域は冬場になると太陽の角度が熱帯と比較すると若干低くなるうえに日照時間も短くなるので弱い形であるが一応季節は存在するようになる。

 更に高緯度側に行くと冬場の太陽の高度が明確に低くなり、日照時間も短くなるため寒い冬が存在する温帯となり、温帯では四季が明白となっている。更に温帯よりも高緯度側に行くと亜寒帯地域に入り、亜寒帯地域では冬場の日照時間が限りなく短くなるか場合によっては短い極夜が生じ、更に太陽との角度も非常に小さくなるので冬場は温帯とは比較にならないほど冷え込むようになる。

 けれども夏場の日照時間は太陽の南中高度は低いものの非常に昼が長くなり、場合によっては白夜ともなるので温帯ほどでは無いが気温は上がり、少なくとも東京都の冬場よりも高くなる。

 このように、亜寒帯気候は冬場の気温は極端に低くなるものの夏場の気温はそこそこ高くなるので英語のsubに相当する「亜」という字が入る。つまり、亜寒帯はましな寒帯と言うよりも「夏場に気温の上がる」寒帯のことであるので亜寒帯だからと言って寒帯よりも冬場の気温がましになるわけでは無い。

 そして、最も高緯度側に位置しているのが寒帯であり、寒帯は季節はあるものの夏場の気温でさえ東京の冬場の気温よりも低く、冬場になるとさらに過酷な気候となる。

 このようにケッペンは緯度が低い順からA,B,C,D,E気候と分類し、熱帯がA, 亜熱帯がB, 温帯がC, 亜寒帯がD, そして寒帯がE気候のように分類したが実はBだけは異なり、ケッペンの気候区には「亜熱帯」という分類は存在しない。亜熱帯地域は亜熱帯高圧帯の影響により、大陸西岸側は極度の乾燥地域になっているのでB気候は亜熱帯ではなく「乾燥帯」となっており、この分類は亜熱帯地域の多く見られる気候である。

 しかし、B気候は亜熱帯特有の気候ではなく、とにかく乾燥していればこの気候区に分類されるので気候的には温帯に近いゴビ砂漠や亜寒帯に近いウランバートルも降水量が少ないのでB気候に分類されている。このように乾燥帯は亜熱帯に乾燥地域が多いために変更された気候区であり、乾燥していない亜熱帯は温暖湿潤気候(Cfa), 温暖冬季州気候(Cw)に分類されることが多く、夏場の降水量が少なく、冬場の気温が高い地中海性気候も亜熱帯に分類されることもある。

 そして、実を言うともう一つイレギュラーな気候区が存在しており、それが今回紹介する高山気候である。高山気候は標高が極端に高い地域に見られる気候区であり、アルファベットでは「H」で表されることがあるがこれはめったに使われることは無い。

 高山気候が存在している地域は同緯度の地域と比較すると気温が低い傾向にあり、例えば標高が富士山頂並みにあるボリビアのラパスの雨温図は以下のようになっている。

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ラパスは南半球にある年であるので夏と冬は北半球とは真逆になっている。そして、最暖月気温は10.4℃、最寒月気温は6.4℃であり、更に乾燥限界以上の降水量があるので温帯に分類される。また、最大降水月の降水量は1月(夏)の242.2 mm、最小降水月の降水量は7月(冬)の11.2 mmなので冬季少雨型に分類される。

 そのため、ラパスの気候区は温暖冬季少雨気候(Cwc)に分類され、小文字のcは平均気温が10℃以上の月が3カ月以下であることを示している。このようにラパスは温帯に属しているが11月の気温が後0.5℃も低ければ寒帯に分類されるようになり、ラパスが非常に寒い気候であることが分かる。

 しかし、よく見てみるとかなり奇妙な気候となっており、寒帯すれすれの気候であるのにもかかわらず最寒月の平均気温が6.4℃と異常に高く、この気温は東京都の最寒月の平均気温よりも若干高い。そして、気温の年較差も非常に小さく、年較差が非常に小さい地域と言えば熱帯地域であるがラパスの気温は熱帯とは思えないほど低い。ラパスの緯度は南緯16度ぐらいであり、この緯度は普通だと熱帯のサバナ気候(Aw)に分類され、冬場に降水が少なくなる地域である。雨温図より、ラパスの降水量は冬場に少なく、更に気温の年較差も非常に小さいので気温さえ高ければ確実にサバナ気候になる気候である。

 では、何故ラパスの気温は低いかというと先述したようにラパスの標高が富士山頂ほどの高さであるからであり、実際に同じ緯度にある地域の気温をそのまま下げたような気候となっているので寒帯に近い温帯であるのにもかかわらず年較差が小さいのである。つまり、ラパスは本来ならば熱帯であるべきだが標高が高くなっているので年較差の小さい寒帯に近い気候となっており、このような気候は単純に緯度の高さではまずありえない気候であるので高山気候と呼ばれるのである。

2. 高山気候の特徴

 ケッペンの分布を調べてみると低緯度にもかかわらず寒帯の地域が見られることがあるがこの地域に当たる所はまず標高が高いとみて間違いはない。標高が高い地域は近くに位置している標高が低い地域と比較すると気温だけがそのまま下がっているという特徴があり、これは単純に標高が高くなればなるほど気温が下がるからである。

 例えば赤道直下で標高が高い場合には年較差はほとんど無いが平均気温が低い地域となり、標高が低い場合には熱帯雨林気候であるが標高が高くなればなるほど熱帯雨林気候→西岸海洋性気候→ツンドラ気候→氷雪気候の順となっていき、気温の年較差の大きな亜寒帯気候になることはまずありえない。

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 仮に年較差が0の場合には18℃以上の場合は最寒月が18℃以上ということになるので熱帯ではあるが18℃を下回ると最暖月が22℃以上の温暖湿潤気候とはならずに10~22℃の西岸海洋性気候となり、10℃を下回ると最暖月が10℃を下回るのでツンドラ気候となり、最終的に0℃を下回ると氷雪気候となる。そして、ラパスは赤道直下では無いため多少の年較差はあるがそれでも年較差は小さいので熱帯地域の高山地域が亜寒帯となることは無く、亜寒帯になるためには年平均気温の年較差が13℃以上必要となる。この年較差は熱帯地域ではまずありえないが温帯では考えられるので今度は東京都の標高が高くなった場合について考えたいと思う。

 東京23区の最寒月の平均気温は5.2℃であり、最暖月の平均気温は26.4℃である。そして、仮に東京23区の標高を0 m、標高による逓減率を100 m当たり0.6℃とし、単純に標高が高くなるとどの月の気温も平等に下がると仮定する。標高が1,367 mに達した時に最寒月の平均気温がマイナス3℃となり、最暖月の平均気温は18.2 ℃となるので東京23区は亜寒帯気候に分類されるようになり、更に標高が2,733 mに達した時に最暖月の平均気温が10 ℃になるので寒帯のツンドラ気候になる。そして、標高が4,400 mに達した時には最暖月の平均気温が0℃となるのでこれ以上の標高となると東京23区は氷雪気候となる。

 このように東京23区は温暖湿潤気候であるが年較差がある程度あるので標高が高くなると亜寒帯湿潤気候→ツンドラ気候→氷雪気候となり、熱帯とは違い亜寒帯気候が加わるなどの違いがある。

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東京都では標高がある程度高くなると亜寒帯気候となり、更に高くなれば熱帯地域と同じようにツンドラ気候となり、更に高くなると氷雪気候となるが氷雪気候となるには富士山頂よりも標高が高くなる必要があり、実際に富士山頂の気候は氷雪気候ではなくツンドラ気候となっている(日本で唯一の寒帯気候)。

 そして、亜寒帯で標高が高い場合は割と早い段階でツンドラ気候となり、その後はやはり氷雪気候となる。

 このように、標高が高くなると気候が高緯度側の気候にずれていくが赤道付近の熱帯地域では年較差が小さいので亜寒帯気候とはならず、亜寒帯気候となるには年較差が大きくなる温帯以降の高山地域でなければならない。

 ちなみに南極は北極よりも寒いと言われるがその理由は標高が高いことも原因の一つであり、更に南極は厚い氷が張っているので大陸の標高に加え氷の高さも加わるので平均標高も数千メートル級となっている。

 以上のことより高山地域は同じ緯度の地域と比較すると気温がそのまま下がったような気候となっており、低緯度にもかかわらず寒帯が位置している場合はまず標高の極端に高い地域であることには間違いないが年較差の関係上亜寒帯とはならず、アンデス山脈には寒帯は存在するが亜寒帯は存在しないのである。

 以上、高山気候についてでした。

 

参考文献

ラパス 雨温図

http://blog.livedoor.jp/ventedesu/archives/1897280.html